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【Special】ヘンリー・フーフト&鈴木崇矢対談─03─「夢を追い求めるなら、より良い環境に身を置くこと」

【写真】フーフト夫人は、日本人の感覚からいうとはっきりと言葉を口にするように感じる。それも彼女が英語を話す努力をし、英語を話すときは英語脳になっているからだと思う。ヘンリーは英語を使うことについても、言及してくれているので──是非(C)MMAPLANET

キルクリフFC総帥ヘンリー・フーフトと鈴木崇矢の対談P最終回。UFCで勝つためのキャリアアップに続き、米国と母国のどちらの拠点を置くのか。ヘンリーは絶対的に米国に住むことを推奨した。
Text Manabu Takashima

自分が何を目指すのか。この間、常に書き記してきたUFCを軸にしたMMAにおける練習環境。なぜ、米国に住むべきなのか──その想いの強さ、決意が人生を切り開くというヘンリーの熱い激を感じ取ってほしい。

<ヘンリー・フーフト&鈴木崇矢対談Part.02はコチラから>


──あくまでもUFCで勝つことを目標として、ということを想定した場合ですよね。全選手がそうでなくて。UFCを目指すうえでは、最近LFAの中継でも「UFCに辿りつくためじゃない。UFCで戦い続けるため」という言葉が聞かれます。

ヘンリー UFCもそのファイターが、誰と戦ってきたかをチェックするからね。私はキックで世界チャンピオンだった。ただし、K-1チャンピオンにはなれなかった。世界チャンピオンより、K-1チャンピオンが真のグレート・ファイターだ。ピーター・アーツ、アーネスト・ホーストのような。ベルトじゃない。一番レベルが高かったのがK-1だったんだ。

と同時にオランダ、ベルギー、ドイツではタフなファイトが常に行われ、K-1で戦う機会がなくても強かったキックボクサーは存在した。私たちはK-1で戦いたいから、タフなローカルショーで試合をしてきたんだよ。

──それがLFAやCFFCということですね。ところで米国で練習する場合も、住まいを移している選手と2~3カ月の滞在で母国と行き来する2つのケースがあります。行き来するのと、ステイする。そのメリットとデメリットがどちらにもあるかと思うのですが。ヘンリーはどのように考えていますか。

ヘンリー 家族持ちなのか、そうでないのか。シャクハト・ラクモノフはカザフスタンに家族がいる。だから、ファイトキャンプの時にフロリダにやってくる。そういう選手は、そうせざるを得ない。家族がいるなら、一人でこっちにいるのは楽ではないからね。

ただ独身なら、ずっと米国にいることを勧める。そして、試合も米国でするべきだと思っている。君も言ったように、目標がUFCならね。キャリアを米国で積むことは大切だ。3カ月、試合のためにトレーニングをする。そして自分の国に戻る。そのたびにトレーニング・パートナーが変わる。練習相手から吸収できることも多い。この業界の生の情報が、米国中で戦っている仲間から耳に入ってくる環境も大切だ。それこそが、チームの一員になるということで。

鈴木崇矢 日本とこっちでの練習内容が違うと、こっちにきたときにケガをするリスクは高くなるかと感じました。トレーニングの強度が違うので。でも、こっちにいればそれが当然になるので感覚にギャップがなくなり、ケガのリスクは軽減するかと。

ヘンリー 私が初めてタイで練習をしたのは17歳の時だった。父に「冬の間、タイでとトレーニングする」って伝えると、「それはどこだ?」って言われたよ(笑)。

鈴木崇矢 ハハハハハハ。

ヘンリー 飛行機を間近で見たことすらなかったけど、24時間かけてタイに行った。タイでは1日7時間の練習ができた。それからタイを離れることはなかったよ。タイが拠点になったんだ。素晴らしいトレーニングと人生を得ることができた。妻がいて、孫にいる。本当に恵まれた人生を歩めている。それは全て、あの時にタイに行ったからだよ。

私は日本のことが大好きだ。全てにおいて整っていて、人々が親切。これほど美しい国はない。でもUFCで成功を収めたいなら、練習環境が整っている場所に住んでトレーニングをするほうが良い。人生で何を一番重視しているのか。日本に住んで家族を養うことが一番大切なら、そうすべきだ。日本で格闘技を続けたいなら、それで良い。でも、UFCでチャンピオンになりたいのであれば練習環境、UFCの目に留まる試合機会がある米国に来るべきだ。UFCで成功するのは、アメリカン・ドリームだ。なら米国に来ないと。

米国でやるべきことをやり、やっていける目星がつけば帰国するのも良いだろう。ただし、やり始めが大切だ。私の成功体験を若い選手に押し付けているわけじゃない。自分の夢を追い求めるなら、より良い環境に身を置くことを考えるべきだと言っているんだよ。多くの人は、その場に留まっている。でも、まるで違うキャリアの積み方が米国にはあるんだよ。

ホームシックなんて誰でも経験する。私もそうだった。今いる環境を大切にする気持ちは理解しているよ。ただし、本気で何かを追求するなら、ベストの環境を手にするために何かを失うぐらいでいないと想いは叶わない。

私はすべての職業に就いている人たちを尊敬している。ただし、私はファイターとして生き、ファイティングワールドに居続けたいと思ってきた。そっちの世界を私は選んだんだ。友達と一緒に遊びに行くこともなく、酒も飲まない。できないことだらだけだ。なぜか? この人生を選んだからだ。そして、今、ここにいる。

ジムには朝の7時半からいる。私は選手にベストになってほしい。選手が合わないと思うなら仕方ない。でも私は選手に対して、自分のベストを尽くしたいんだよ。

鈴木崇矢 ヘンリーが一番、ジムにいると思います。どの選手よりも、コーチよりも。

──成功したから言えるんだということでなく、その成功を目指す一歩のことをヘンリーは言っているのですね。若いうちは人生を修正できますが、年を重ねるとチャレンジは年々できなくなっていきます。特にファイターという人生を選択すると、その期間は全くもって短いわけですし。

ヘンリー そうでない人生だってある。そして、誰もが幸せを求めている。ただし人々がチケットを買って、試合を見たいと思われる場で戦うファイターは特別な存在だ。個人的な知り合いでもないのに、ファイトが視たいと思ってもらえていることは。つまりは、特別な人生を往くことになる。

そのためには、つつがない人生で得られる幸せを若いうちは、求めないで邁進するぐらいのエネルギーは必要だ。君という存在は、君でしかない。代わりを務める人がいるわけでなく、顔も知らない人々の期待を集めて生きるのであれば。そのために必要な環境を手にするよう生きるんだ。

ファイターは孤独だよ。チームの皆が支えている。でも、ケージのなかは1人だ。勝てば皆が喜んでくれるけど、負ければその事実を誰よりも深く受け止める。

試合前には凄まじいプレッシャーを感じる。ものすごく神経質になる。チームは支えてくれるけど、最終的には自分で乗り越えるしかない。もう無理だと思ったら、戦えない。こういうとアレだけど、私は練習では強かった。でも、プレッシャーに強い人間ではなかった。練習では負けないアーネストに、試合では勝てない。だからファイターでなく、トレーナーとして人生を歩んでいこうと決めた。

人々は最高の姿だけを求めて、チケットを買う。PPVを購入する。その期待に応えることができなくなると、身を引く。そして、戦っていた時間が本当に懐かしくてしょうがなくなる。それだけのことをやってきたのだから。そういう人生を歩むには、最初の決意が本当に重要になってくる。

日本で戦っていても、RIZINの選手なんてそのプレッシャーを常に感じているはずだ。皆が選手のことを知っているんだから。我々の頃はSNSがなかった。だから試合が終われば、人々の目やプレッシャーから解放される。でも今の選手は、試合が終わってもSNSで、興味本位な意見の標的になる。

タカヤは10代で、そのプレッシャーを経験している。そして、こっちの世界にジャンプインした。25歳になった時、彼はどれだけ成長していることか。そして、次の5年を考える。厳しい言い方をすると、今の日本で5年間やり切った時に次の5年が見えるのか。

──……。

ヘンリー そういうことなんだよ。20歳の若い選手が、UFCでチャンピオンになりたいというのであれば。どれだけ強い意志を持ち、才能があっても日本にいるのと米国で過ごす5年間は違うモノになる。

鈴木崇矢 ハイ。

──冗談でなく。フロリダでガールフレンドを見つけるべきですよ(笑)。

ヘンリー このルックスなら、好きにできるはずだ。それが私の若い頃との違いだ。アハハハハハ。私の娘も「あのボーイは誰?」って気にしているよ(笑)。

鈴木崇矢 いやいやいや、勘弁してください(苦笑)。

──そこも含めヘンリーの下で、鈴木崇矢選手がいかにキャリアを重ねていくのか、楽しみにしています(笑)。

ヘンリー とにかく正しいタイミングで、正しいファイトを戦わせる。と同時に英語をマスターする必要がある。この国では自分の意志を言葉にして、人々に伝えることができる方が良いからね。成功したいという強い気持ちもあるし、ファイターとして素質もある。戦うハートも持っている。だから、英語を話せるようになってほしい。

彼の同い年でメキシコからやってきたファイターがいる。パスポートを失効しながら練習しているダゲスタン人ファイターもいる。彼らはただ強くなるために、トレーニングをしている。実際、米国という国はそういう人間だらけだ。

いつ放り出されるかもしれない環境下で、強くなることだけ、生き残ることだけを考えるメンタルの強さを既に備えている。そんな連中が、いくらでもいるんだよ。米国人なら野球、フットボール、バスケットボールと多くの選択肢がある。でも彼らにはない。ファイトしかないんだ。

彼らの状況と比較すると、タカヤは恵まれている。その恵まれている状況をプラスにしなければならない。そういう連中と同じだけのメンタリティを備えないといけない。

鈴木崇矢 ハイ。とにかく英語は本当に勉強しないといけないと思っています。もっと意思の疎通ができるようにならないと。

ヘンリー 最初の頃より、ずっと良くなっているよ。

──全然完璧でなくて良いと思いますよ。「お前の英語は何を言っているかわからない」と言わると、多くの日本の人は委縮してしまうと思います。そんな時「お前の日本語より、俺の英語の方がずっとマシじゃ」って思えば(笑)。

ヘンリー その通りだ(笑)。妻は米国での生活が始まったころ、英語が下手だと気にしていた。これじゃ、誰からも相手にされないってね。「何を言っている。飛行機で20時間も離れた国から、一人で僕について来たんだ。この寒くて、ご飯が不味い国に。それだけでも尊敬されるべきなんだよ」って伝えたよ。彼女は今、完璧な英語を使いこなせるようになんて思っていない。でも、自分の言葉で自分を表現している。大体、キルクリフFCで完璧な英語を話す人間がどれだけいるか(笑)。

──確かに、そうですよね。

ヘンリー しかも英国からやってきた選手の英語の理解は、誰もが苦戦している。英語なのに(笑)。文法なんて、構わない。何も言葉だけじゃない。体を使って、自分の意志を伝えれば良いんだよ。

──ヘンリー、英会話のあり方まで話してもらって本当にありがとうございます。今日は本当に貴重な、そしてMMA界にいるなら心に刻むべき言葉をいくつもいただき感謝しています。

ヘンリー いつだって、大歓迎だよ。少しでもUFCを目指す日本のMMAファイターの役に立てるなら、嬉しい限りだよ。

──崇矢選手も、ヘンリーの下でどのような戦いを見せてもらえるのか期待しています。

鈴木崇矢 ハイ。ありがとうございます。凄く良い話を僕も聞くことができて良かったです。

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【Special】ヘンリー・フーフト&鈴木崇矢対談─02─「コンテンダーシリーズがベストとは思わない」

【写真】昨年春のABEMA海外武者修行の時のヘンリーと鈴木。既に良い空気感(C)TSP

キルクリフFC総帥ヘンリー・フーフトと鈴木崇矢の対談Part.02。話題は20歳、5勝1敗の鈴木のキャリアの積み方について──。
Text Manabu Takashima

世界トップのプロMMAファイター集団を率いるヘンリーの日本のMMA界の評価と、北米におけるUFCファイターへの道。禁断ではなく、UFCを目指すのであれば目を通すことが必須といえる──ヘンリー・フーフトの選手の人生を守る育成方法が明らかとなる。

<ヘンリー・フーフト&鈴木崇矢対談Part.01はコチラから>


──佐藤選手、木下選手がいることは心強いですか。

鈴木崇矢 ハイ。ただ、いない状況が分からないので。自分の想いとしては、すべて自分でやる。どのような状況でも、個人で乗り越える人間力のようなモノを海外で身に着けたいということもあったのですが……修行ですよね。でも天さんや憂朔さんがいてくれる状況は、絶対的に練習をする上で良いのだと思います。

ヘンリー 修行か(笑)。でも、自分と同じ言葉を話す仲間が周囲にいることは本当に助かっているはずだ。どれだけのパッションを持っていても、あるいは自信が備わっていてもハートが折れるときは必ずある。そんなとき、タカシは絶対的な力になってくれる。彼はあらゆる経験をした。フロリダに来てからお父さんを亡くし、お兄さんを亡くした。どれだけお母さんのことが心配か。

それでも、彼は常にポジティブな思考で戦い続けてきた。ファイターとしてどれだけ強いのか。そんなことよりも、人としてどれだけ強くあることができるのか。その方が、人生で大切だ。タカシはフロリダに来るまで日本でキャリアを積んできた。でも、今は共に人生を歩んでいるつもりでいる。

タカシは本当にデキた人間だから。タカヤはそんな人間が間近にいる。なにかあった時、自分の言葉で話せるんだ。同じ言葉を話すからこそ、悩みもより理解できる。ジムでは米国人は当然として、ロシア人やブラジル人、色々な国の違った文化や言葉を持つファイターがいる。誰も自分と同じ言葉を話さない集団のなかに1人ぽつんといる辛さは、私は30年も昔にタイで経験してきた。アカヤはそうじゃない。日本の皆と、同じところで住んでいることは絶対的にプラスになる。

ロシア人や米国人と考え方が、絶対に違うわけだし。迷ったときに、力になってくれるのは同じ国の人間だよ。タカシは試合で負けた。でも米国で正しい道を歩んできた。試合に負けて悩むことは、このスポーツの一部だ。私にもあったし、誰もが抱える問題だ。勝っていれば、人生は楽だよ。でも、勝ち続けることなんてない。そんな時にお手本となる人間が、近くにいることは絶対的にタカヤを良い方向に導いてくれるだろう。

──この若さと5勝1敗という戦績で、米国に拠点を移す。堀内佑馬選手に続く日本のMMA界でもレア・ケースです。そういうなかでキルクリフFC所属の鈴木崇矢選手が、米国でどのようなキャリアアップをしていくのか。非常に興味深いです。そもそも、UFCへのプロセスをどのように考えてフロリダに移ったのでしょうか。

鈴木崇矢 最初はLFAで2、3試合して2025年のコンテンダーシリーズで戦うことが目標でした。ただ、フロリダに住んで練習をするようになって「ちょっと、まだ早い」と肌で感じました。気持ちはそうしたい。それが最短ルートでUFCを目指すということになるので。

でも……こっちの5勝1敗とか6勝1敗の連中って皆、レスリングが当然にできてスペシャルな何を持っている。もうUFCが近いって奴らばかりで、「俺は、まだだ」って(苦笑)。どういう風に説明をすれば良いのか上手く言葉にできないのですが、もう僕の体と頭、気持ちが出した答えなんです。

そうしたら、ヘンリーにも同じことを言われました。まずはレスリング力をつけること。LFAで試合をするのは、まだ早いと。UFCのチャンピオンを育て、これだけの選手がいるジムのヘンリーが言うなら間違いないです。この5カ月で僕はヘンリーを信じています。ヘンリーと一緒に一つ一つ試合経験を積んでいくと1年半、2年後に安定したUFCへの道が見えてくるはず。なので、今は一つ一つ試合を勝っていく。そういう考えになりました。

ヘンリー これまで何をしてきたのか。米国の練習は、タカヤが日本でやってきたこととは違う。我々はハイレベルなファイターだけが集まり、1日2度の練習を日々繰り返している。既にUFCやBellatorで戦っている選手や、そこを目指しているファイターたち、経験豊かなファイターが揃っている。

タカヤは、そこでハイレベル・ファイターか同じレベルの選手とトレーニングをしているんだ。自分より下の選手はいないという状況だ。そうやって力をつけている状態にあるからこそ、キャリアアップに関しては真剣に考える必要がある。

そうしないとマネージャーはお金を手にするために、何の責任感もなく選手を戦わせようとする。いくらでも代わりはいるという考えだ。私はマネージャーでなく、トレーナーだ。ファイター、ファイターの家族、そしてジムに責任を持っている。勝つか負けるか、勝算50パーセントではケージに選手を送り込むことはできない。勝てる見込みが、もっと高くないと。

タカヤのレコードだけを見ると、米国でも良い試合機会は巡ってくる。ただし、私からすれば日本の5勝1敗は、米国では2勝1敗だ。それだけレベルが違う。だから最初の5カ月は、ゆっくりとタカヤの状態を見てきた。2025年は身の丈にあった試合を3、4試合させたい。彼は20歳だ。7勝1敗で21歳。凄く若いということはない。でも、経験は十分に積んでいる。キルクリフでハードな練習を日々、繰り返しているのだから。まずはコネクションがあるプロモーションで、彼が成長できるファイトを戦わせていきたい。

それでも米国にイージーファイトはない。そのなかでタカヤの可能性を伸ばす、彼が力をつけることができるような試合を戦わせたい。UFCの目に止まるファイターになるよう時にはストライカーと、別の機会にはグラップラー、レスラーと戦っていき、経験を積ませたい。

タカヤも言っているが、皆がコンテンダーシリーズに出てチャンスをつかもうとするが、それがベストとは私は考えていないんだ。

──えっ!! それはなぜですか。

ヘンリー タフな相手に、フィニッシュが絶対に必要。そのうえでダナ・ホワイトに気に入られる必要がある。そして手にする契約は、何も特別なモノじゃない。毎週4人、5人とサインするなかの1人だ。それならばLFAやCage Fury FCのベルトを狙わせる。LFAもCFFCもUFC Fight Passでの中継がある。コンテンダーシリーズのように、フィニッシュが絶対という条件はない。それでいて、ショートノーティス出場の候補になれる。

何もUFCと契約することが、ゴールではないはずだ。ただし、勝てないとリリースされる。すぐに契約が切られると、何も手元には残らない。それにコンテンダーシリーズで契約というルートは、安定した戦い方を忘れさせてしまう。

──鈴木選手は日本人なので、Road to UFCという選択もできますが。

ヘンリー タカヤはそうしたかったんだ。そのつもりで、最初はフロリダにやってきたんだよな。

鈴木崇矢 ハイ、そうです。でも出場できなかったです。

ヘンリー 私は良かったと思っている。米国のUFC Fight Passで試合がオンエアーされている大会で戦う方が、良いオプションだから。そこで印象に残れば米国のファンがSNSで発信する。あっという間に、皆に名前が広まるよ。

それと米国でキャリアを積む利点は、ここには市場があるということだ。スポンサーがつく。そういう場で戦える力をつけるために、その下のローカルショーで経験を積む必要がある。そこで実績を積めば、LFAやCFFCとサインをしてタイトルを狙うロースターになれる。それから4戦目でタイトル戦の機会を得たとして、まだタカヤは22歳か23歳だ。急がせない。急いで、早々に燃えつきた人間を多く見てきたからね。

──米国でUFCを目指すファイターたちを指導している身として、UFCファイターになるために日本のベルトは役に立つという見方はできますか。

ヘンリー 日本で日本人と戦って手にしたベルトは、UFCで勝つために役に立たない。必要なのは強くなるための経験だ。何も日本だけの話ではない。米国でも同じだ。そのベルトを取っても、どうなるというベルトだらけだ。UFCで勝つために、必要なレベルで試合をしているのか否か。その方が大切になってくる。

グラップラーと戦う。ストライカーと戦う。グラップリングで勝つ。打撃で勝つ。どのような戦いをしてきたのか。ベルトはUFCで戦える力があることを証明しているわけではない。

UFCで戦える力のある選手と、戦うことが重要だ。例えば元UFCファイターだとか。日本だと、海外で戦うことも手だろう。OKTAGONやヨーロッパで戦うことは、経験値をあげるに違いない。日本の若い選手が、ロシアのACAで行くのも悪くないだろう。イージーな相手に勝ってパーフェクトレコードを持っていても、10戦8勝2敗でその2つがロシアの強豪に喫したものなら、その方がずっと良い経験になっている。そしてUFCでやっていける可能性も上がる。UFCに行く前にタフファイトを経験しているからだ。そうでなく、ただベルトを持っていても意味はない。

実際、私はキックボクシングの世界チャンピオンだった。世界のベルトを持っていた。でも一体、どれだけの人間がキックボクシングでは世界王者になり、世界のベルトを手にしている?

同じ階級に10人の世界チャンピオンがいた。私がLFAとCFFCの名前を何度も挙げているのはマーケティングからの観点と、この2つのプロモーションでベルトを手にするということは、UFCで戦っていけるだけの力があることを示すことになるからだ。他の米国でのベルト、日本のベルトは……思い出に残る、ナイスな写真を撮るために巻けば良い。UFCで勝ち上がるためには、ベルトがなくてもしっかりと経験を積むことの方が大切だ。

鈴木崇矢 舐めているわけじゃないですけど、僕も日本のベルトはいらないです。

<この項、続く>

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【Special】日本の現実を知る。ヘンリー・フーフト&鈴木崇矢対談─01─「20歳は、若いということはない」

【写真】すでに父と子のように見るヘンリーと鈴木崇矢。合理的なオランダ人でいて、タイでの生活えアジアのウェットさが分かるヘンリーは、日本人が北米で生き残るための欠かせない──抜群の感性を持っている(C)MMAPLANET

昨年12月中旬、東京と大阪で3度のセミナーを行ったキルクリフFC総帥ヘンリー・フーフト。東京でのセミナーを終えたヘンリーと、キルクリフFCに拠点を移しUFCを目指す鈴木崇矢に──これからのステップアップ方法を尋ねた。
Text Manabu Takashima

鈴木の育成方法を語るうえで、ヘンリーは日本のMMAの現実とUFCの現実を冷静に話してくれた。その言葉は、あまりにも冷酷に聞こえるほど日本のMMAに手厳しいものだった。ただし、そんな現実を目の当たりにしてフロリダで汗を流す20歳の若者がいる。

UFCを絶対の存在とするMMAであるならば、ヘンリーの言葉に耳を傾けるしかない。


──まず本題に移る前に2つ、時節柄に則した質問をさせてください。まずZFNでの佐藤天選手の敗北について、どのような印象を持ちましたか。

鈴木崇矢 そうですね……今の判定基準では、相手についてもしょうがないかとは思います。ただ要所で展開を創ろうとしていたのは天さんだから、天さんが勝ったという意見があるのも分かります。テイクダウンからの明確なダメージが取れなかった分、ジャッシの評価が相手に傾いた。シンプルにそう思いました。

ヘンリー 接戦だった。タカシも私も一致しているのは、フィニッシュしないとジャッジはどう判断するか戦っている側ははコントロールできないということ。勝つ可能性はあっても、相手に持って行かれる可能性もある。タカシは打撃では劣勢だった。ただテイクダウンをした。打撃で劣勢なら、組みに行くのは当然だ。そこからタカヤが言ったように、ダメージを与えるかサブミットしなければならない。

ジャッジが試合を止めて、試合をスタンドに戻したことからもそれは分かる。と同時に、対戦相手がスタンドで何をしたということでもない。ただ立ち上がって、数発ほどクリーンヒットがあっただけだ。3Rにテイクダウンをし、ダメージを与えていればタカシは勝っていた。

多くの人が、タカシが勝っていたと言ってくれた。でも、意味はないんだよ。「勝っていた」では。勝たないと。タカシは長いブランクがあった。色々と個人的な悩みもあって、あの場に立っていたんだから。

──ジャッジの裁定基準は変わりました。そして以前から存在するダメージ重視……ただ佐藤選手にもダメージはなかったです。打撃の攻勢点はダメージ、組みはそうでないというのはどうなのかとは感じます。ヘンリーが言ったように打撃の局面で居心地が悪いなら、組みに行けば良い。それがMMAかと。あの夜、打撃で不利なのに打撃で戦い続け、KO負けする。そんな試合もありました。

ヘンリー そうなんだ。それで負けていれば、キックボクシングだ。あの試合はボクシングか、キックボクシングのジャッジがスコアをつけていたのかな? とにかくMMAは選択肢が多い、その選択を間違えずに戦うべきだ。そして君が言ったようにパンチが当たっても、別にダメージはなかった。

私がジャッジなら、そういう見方はできる。ただ、もう過ぎたことだ。裁定は変わらない。それなら、この経験を生かして前を向くしかない。タカシの身にこれまで何があったか。誰も知らない。でも、私は知っている。あんなに不運が重なって、でも彼は常に前を向いている。ならば、私もタカシと前を向いて進む。

タカシにはそれだけの力がある。タカシはUFCで勝てなかった。2勝5敗だ。そのうちの1人はベラル・モハメッド、今の世界王者だ。グンナー・ネルソン、とてもタフな相手だ。彼がどういう相手と戦って来たのか。イージーファイトは一つもなかった。そのかで、KO勝ちもしている。そんなこと言うのはおかしいと指摘する人間もいるかもしれないが、ファイターには運も必要なんだ。そしてタカシはことごとく不運に見舞われてきた。私にとってタカシは欠かせない人間だ。これからもタカシと戦っていく。

──ヘンリーは本当に選手を想う気持ちが強いですね。もう一つ、世界最高峰のUFCに初戦でタイトル戦を朝倉海選手が戦い、敗れたことを同じ場所を目指す鈴木選手はどのように思っていましたか。

鈴木崇矢 正直、どうでも良いです。朝倉海選手がやってきたこと、どれだけ実績を残してきたのかは理解しています。PPV大会のメインで戦うこと。そして世界戦だったこと、それは朝倉選手が持っているということ。ただ、取り切れなかった。それは実力が足りていなかったから。そして、パントージャが強かった。それだけです。なぜUFCでキャリアを積んでいないのにベルトに挑戦できるんだとかは、全く思っていない。

僕は自分がUFC世界チャンピオンになるためにやっていて。あの試合を見て、多くのことを学ばせてもらったという感想しかないです。ただ、やるだけなんです。

ヘンリー UFCが他の組織から、新しいファイターを投入して何か毛色の違ったことを試みたのは良いことだと思う。ただUFCはレベルが違う。過去14年間、そこを見て指導してきた。RIZINだけじゃない。他のプロモーションのチャンピオンでも、UFCのトップ10になるのは大変だという認識は必要だ。その事実を認めないと。

カイ・アサクラのRIZINでのパフォーマンスを見ると、彼がUFCのトップ10とやり合える力の持ち主で、その可能性があることは明らかだ。そして、ベルトを手にすることも。ただし、パントージャとの力量の差は大きかった。それは経験の違いといえるだろう。それでも日本のファイターが、段階を飛び越えて世の常識を打ち破ろうとしたことは素晴らしいよ。

ただUFCは他のどこのプロモーションとも違う。Bellator もPFLも良い大会だ。RIZINは常に素晴らしいショーをしている。見ていて、本当に楽しい。でもUFCのチャンピオンは別モノなんだ。

ただし、いつの日か──タカヤは、あの場に立つよ。

鈴木崇矢 Yes !!

──ところで鈴木選手がフロリダに行って、どれぐらいになりますか。

鈴木崇矢 5カ月ですね。

ヘンリー 毎日跳ねまくって、ハッピーマンだよ。常に大声で自分の名前を叫んでいて、最初は「誰だ? この日本人は?」って感じだったファイターたちも、すぐに名前と顔を覚えた(笑)。もちろん、それだけでなく優れた才能の持ち主だ。前回のセミナーで彼の動きを見て、キルクリフに来ないかと思っていたんだ。

とにかく一生懸命に練習をしていて、ポジティブなエネルギーを発散させている。それでいて、まだまだ若い。だから、急いでいない。タカシとユーサク(木下憂朔)がいてくれるから、その若さが間違った方向に向くこともない。米国でも試合の機会はあったけど、正しい方向で育てていきたい。

タカヤは日本で5勝1敗だ。でも、米国で戦ったレコードじゃない。日本と米国は違う。ゆっくりと一歩一歩、ステップアップする必要がある。実際、最初のころはジムのロシア人たちのラフなトレーニングでボコボコにされていた。でも5カ月で、かなりの成長を見せている。

米国の実情でいえば20歳のMMAファイターは、めちゃくちゃ若いということはない。それにタカヤにはレスリングのバックグラウンドがない。米国のファイターは7歳の時からハイスクールまで、レスリングをやってきたような連中ばかりだ。

タカヤの打撃は相当なもので、何より目が良い。動きも速い。そして、行かないといけないときに行ける。キルクリフでは、それができないと生き残れない。ただしMMAだけでなく、レスリングも同時に強化しないといけない。二倍の練習量が必要だ。それでもたった1人で日本からやってきたタカシとは違う。既に日本人ファイターがいて、タカシの人間性があって皆、タカヤのことを可愛がっている。2025年は堅実に正しいステップアップをさせたい。

<この項、続く>

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45 AB ABEMA DEEP Special ブログ ヘンリー・フーフト 鈴木崇矢

【Banana Oil 2025─03─】原点回帰に使命感を与えてくれたヘンリー・フーフトの”怖い”言葉を考察

【写真】左の攻防も、右の攻防もタマの取り合い。左で取られる選手は、右はない。だからこそ、左の攻防ができる日本のMMAでないといけない(C)MMAPLANET

年始のご挨拶で個人的なMMAPLANETの2025年の指針を書かせていただきました。その原点回帰に舵を切りたいというきっかけとなったのがアレッシャンドリ・パントージャ×朝倉海のUFC世界フライ級選手権試合であることも記させていただきました。その“きっかけ”以上に、ある意味使命感を帯びるような気持ちにしてもらったのが、12月中旬に行ったヘンリー・フーフトと鈴木崇矢選手の対談でした。この模様は近日中にアップいたしますが、そこで聞かれた2つのヘンリーの言葉は、大げさでなく落雷を頭から落とされたように脳天から爪先まで自分の体を貫きました。
Text by Manabu Takashima

ヘンリーはダッチ・キックボクシング界の強豪ファイターから指導者となり、MMAの転向を図っていたタイロン・スポーンの誘いを受け、大西洋を越えてブラックジリアンズの打撃コーチに就任。以来、一流の打撃の知識を北米MMAに落とし込み続けてきた名伯楽だ。それだけでなく自らのプロチームを立ち上げるとフロリダのディアフィールド・ビーチにある巨大なジムをネーミングライツという手法を取り、発展させてきた敏腕ビジネスマンでもある。

医療企業サンフォード・ヘルス、そしてエネジードリンク・メーカーのキルクリフと名称を変更しながら、ヘンリー率いるプロMMAファイター集団はこのスポーツの頂点で戦う──あるいは目指す選手が日々汗を流している。指導者、そして経営者としてヘンリーは選手のキャリアアップを支え、真剣に取り組んでいる。今も深い関係にあるサンフォード・ヘルスがサウスダコタ州スーフォールズに所有するサンフォード・ペンタゴンが使用されるLFAではマッチメイクに強い影響を与えることができ、選手のステップアップにも向き合っている。

今では佐藤天、木下憂朔、鈴木崇矢も現地に拠点をおきヘンリーの下でトレーニングを行う。ヘンリーはK-1ファイターだったこともあり、日本の格闘技への想いも強い。その上でUFCを唯一の世界最高峰と認め、世界各国の大会に選手を送り込んでいる。そのヘンリーが昨年12月に、一昨年に続きABEMAの招きで東京と大阪でセミナーを行った際、鈴木崇矢の成長度合を訪ねるために、対談という形で取材をさせてもらった。

UFCファイターになるためにフロリダに渡った鈴木は、すぐにでもLFAで戦う気持ちでいたが現地で練習を経験することで方向転換。まずはフロリダのローカル大会で経験を積んでいくことになったという。彼のキャリアアップに関して話すヘンリーの口から「日本人選手の5勝1敗は、米国では2勝1敗」。「修斗、パンクラス、DEEPのタイトルはUFCで戦える力をつけるために、意味はない」という言葉が聞かれた……。


「日本人選手のキャリア5勝1敗は、米国では2勝1敗」。

これはレスリング力の差から、出た言葉だ。北米のジムでの練習を経験した日本人選手の多くが、細かい技術力の違いの前に圧倒的なレスリング力の違いを挙げる。だからレスリングを強化する。それは当然で本気で世界を目指す選手やジムは日々、克服に励んでいる。同時にヘンリーの話を聞き、レスリング力に明確な差が存在している状況で闇雲に北米判定基準を追い、ダメージという名の打撃偏重&組み軽視で進む日本のMMAに対して不安が大きくなった。

テイクダウンをされた選手が下にいてヒジやパンチを使う。ケージに押し込まれ、腰を落とした状態で鉄槌を入れる。そんな攻撃を見せていた選手が、判定勝ちするというケースが多くなっている。それらの選手は、立ち技では優勢だったからだ。よってダメージ重視という観点から判定勝ちを手にする。判定基準が明白となっている以上、そうやって勝つことは何ら間違いでない。

それがUFCで結果を残すという目標を持っていないのであれば。

上記の判定基準は北米MMAの判定基準の変化に倣って実施されているものだ。そこにヘンリーの言葉、「日本人選手のキャリア5勝1敗は、米国では2勝1敗」を落とし込みんでみたい。米国ではレスリングベースで、そのテイクダウンの圧と打撃を掛け合わせて戦う選手が日本より多い。あるいは鉄壁のテイクダウン防御力を誇り、ジャブで突き放して組ませない戦いをやってのけるトップレスラーもいる。

加えてレスリング・ベースでないファイターのTDディフェンス、スクランブル能力も高い。攻守ともにレスリングを消化しないと、安定した数字など望むべくもないのだから自然とMMAにおけるレスリングのレベルは高くなる。

そのレスリングだが試合になれば打撃、柔術と同様に一方が防御に徹していれば、攻防は生まれない。結果、MMAではブレイクが入る。打撃で仕切り直しだ。ダメージ重視、コントロールで終わらせないぞ──というMMAが成立する。

対して、世界と比較するとレスリング力が落ちるなかで、グラップリング主体のファイターが多かった日本。最近ではキックやムエタイから転向してくるファイターも増えてきたが、彼らの防御に徹した組みでグラップリングを跳ね返され、打撃で劣勢になるピュアMMAファイターという構図も見られるようになった。

ジェネラルなファン層を対象とすると、レスリングという核がないまま打撃の攻防が増えることで試合は盛り上がる。UFCで勝つ選手を育てる必要のないプロモーションは、テイクダウン&コントロールという局面がなくなり、レスリングができなくても打撃を繰り出す試合が増えれば御の字だろう。

その結果、明確に技術レベルに違うなかで、判定基準だけを北米流とした──中身が違う──MMAが繰り広げられる。これでは北米との距離が離されるのも無理はない。同じ判定基準を採用しても、レスリングを消化・吸収した打撃とレスリングを咀嚼しない打撃の攻防は別モノだ。同時に試合とは勝つために出場するもの。ルールで認められた攻撃でも、評価されない攻撃を仕掛けることを、”UFCで通用するよう、強くなる”という理由で強要などできない。

何が世界標準なのか。エンジンと足回りを北米と統一規格としても、オクタン価の低いガソリンが使用されていれば同じ土俵に立つことはできない。そんな日本と北米の差をヘンリーの言葉で痛烈に痛感させられた。

それ以上に身が震えた「修斗、パンクラス、DEEPのタイトルはUFCで戦える力をつけるために、意味はない」という言葉は、次回の考察としたい。

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45 AB MMA MMAPLANET o UFC YouTube ZFN02 アレックス・ソラ ジャン・ユンソン テンバ・ゴリンボ 佐藤天 鈴木崇矢

【ZFN02】ゾンビチルドレンと対戦、佐藤天「苦しいことを……苦しいと思わないぐらい夢中でやってきた」

【写真】(C)MMAPLANET

14日(土・現地時間)、韓国はコヤンのキンテックス7Aホールで開催されるZFN02に佐藤天が出場し、ジャン・ユンソンと戦う。
text by Manabu Takashima

UFCをリリースされ1年7カ月振りのファイトは、韓国となった。現在4連敗中、16勝3敗だったレコードは16勝7敗になっている。対戦相手は5勝1敗のコリアン・ヤングプロスペクト。自身のキャリアを上書きしようとする対戦相手、その師匠が開くイベントでのファイトだ。それが現実だと受け入れつつ、佐藤天は今も変わらぬ目標に向かい歩を進めている。


――実にテンバ・ゴリンボ戦以来、19カ月振りの実戦復帰が韓国のZFNとなりました。この間、幾度なく試合がありそうだという話も伝わってきていたのですが、実現しなかったです。

「そうですね。マネージャーが交渉していたのはチェコのOCTAGON、実際にオファーがあったのはKSW。ただ対戦相手がキルクリフFCに練習に来ていたことがある選手で、断られてしまいました。フロリダのX-MMAも交渉までいっても、相手に断れることがあって……。最近、UFCからリリースされたキャリアのある選手はなかなか試合が組まれないという現実はあります。

今はコンテンダーシリーズがあるじゃないですか。5戦とか6戦で出場できるので、若い選手に対して僕らのようなファイターとは試合を組ませないマネージメントが増えてきましたね。

それでも10月にもマイアミのローカル大会でコンテンダーシリーズに出ていた選手と戦うことが一度は決まったのですが、相手のケガで流れました」

――大手フィーダーショーや他のメジャーでなく、フロリダのローカルショーでも戦う意思はあったということですね。

「ハイ。まずはカムバックすること。そこが第一にありました。戦う場所は選ばずに勝ち星を重ねて、また大きな舞台に戻る。そのつもりでやっています。入れ替わりの激しい競技で、全員にチャンスが巡ってくるわけでもない。そのなかでチームメイト達もいつでも戦える準備をしています」

――それでも日本で戦うことは考えなかった?

「フロリダに拠点を置いているのだから、米国で試合をするという風に自然に考えていました。結果、韓国の大会に行き着いたんですけど(笑)。こっちはメチャクチャ寒いですけど、まぁ試合やファイトウィークは変わらないです。ホテルに練習場所もありますし、日本に帰国中の木下(憂朔)君が来てくれているので体も動かせています」

――現地入りは土曜日でした。

「ハイ。2日間、何もしないで時差調整という感じで早く入りました。大会がホテルを用意してくれるのは月曜日(※取材は10日に行われた)からだったので、2日ほど自分で取りました」

――なるほどです。韓国があるなら、日本もあり得るのかと期待してしまいます。

「どうなんですかね……。僕は目指しているモノがあって、時間も限られてきたなかで、この現実が今の立場。だからこそ米国で試合を重ねて2連勝、3連勝と結果を残す。それがマネージメントと話してきたことですね。キャリアの最終地点が日本になるということは、考えていないです。

勝手なことを言わせてもらうと、日本にはいくらでも選手がいます。なので僕でなくても良いはず。僕は僕のやりたいことを貫き通して、上で結果を残す。近い未来……年齢的にも引退が見えてきているので、一つ一つの目標に具体性を持って取り組んでいこうと思います。

日本だけでなく、どこでもということでなくゴールに向かって一つ一つ積み重ねてきます」

――そのなかでジャン・ユンソンはキャリア5勝1敗。米国のコンテンダーシリーズを目指し、ベテランとの対戦を避けてくる選手たちと同じような経験値です。

「皆、UFCに行きたいからといって対戦相手を選んでいたら、UFCに行ってからが厳しい。コリアンゾンビのジムの子だし、先を考えた育成をしているんだと思います」

――やる気に満ち満ちた、怖いモノ知らずのヤングブラッドではあると思います。ただし、あまり実像は見えてこないです。

「日本人も3人とか戦っていますよね。なんか昔バンタム級で戦っていた選手と、ウェルター級で試合をしていました・でも、あまり分からないというのが実情で」

――唯一の黒星を喫したアレックス・ソラは、ジャン・ユンソンに勝ってからBRAVE、ARES FCで活躍し現在はARESのライト級チャンピオンですね。

「その相手と戦った試合映像は視ました。まぁ、一つ一つ勝たないといけない自分が、この相手と戦う。それが僕の今、おかれている現状だと納得しています。どこにいても、結果を出すしかない。自分がやってきたを証明するには勝つしかないです」

――若い選手への質問のようですが……この1年5カ月で、何か見直すところとかありましたか。

「ヒザの手術をして、リハビリが半年間。この間に見つめ直すことがたくさんできました。技術的にもそうだし、いうと私生活においても、もっとできていたということがいくらであって」

――具体的には、どのようなことでしょうか。

「少し早く起きる。まさに、そこからです。1年という単位で考えると、大きな違いになります。前にフロリダに来ていただいた時に住んでいたファイターズ・ハウスは、ジムから遠くて。皆で車をシェアしてジムに向かうと、どうしても遅くなる。だから、試合前はタクシーを呼んで1人で先に行くとかやっていて。

そういう少しの時間の積み重ねが大切で。なので手術後にジムから歩いて10分ぐらいのところに家を借りて、ファイターズ・ハウスという形で木下君、鈴木崇矢君、それとロシア人2人と一緒に住んでいます」

――できることは全てやってきたということですね。

「だからこそ、自分がやってきたことの確認をするためにも試合が必要でした。その日が来るために集中力を切らさずに、自分の格闘技に厚みをつけることを繰り返してきました。正直なところ負けて、修正すべき点を洗い出すのは苦しい作業でした。でも試合で出せていなかったのだから、練習から変えないといけない。そういうところと向き合って。苦しいことを……苦しいと思わないぐらい夢中でやってきたという気持ちはあります」

――UFC Fight Passで視聴できる大会です。日本のファンに、どのような姿を見せたいですか。

「まだ終わっていない。応援してくれる人達にも、UFCにもそこを見せたいです。でもいくら語ってもしょうがない。結果を出すしかないです。結果が全てなので」

■視聴方法(予定)
12月14日(土・日本時間)
午後6時30分~UFC Fight Pass

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45 AB ABEMA DREAM FAW2024#03 Gladiator Grachan MMA MMAPLANET o RIZIN Road to UFC Special UFC ギレルメ・ナカガワ シャーウス・オリヴェイラ チャンネル トミー矢野 パンクラス ミスター・ホンデ ライカ 中村京一郎 中村倫也 小島勝志 狩野優 鈴木崇矢

【FAW2024#03】代理戦争決勝でトミー矢野と対戦、中村京一郎「彼には柔術という逃げ道がある」

【写真】計量終了直後に見せた表情、どこまでもリラックス。そして余裕が感じられる(C)MMAPLANET

明日、17日(金)に会場未公開で開催される格闘代理戦争-THE MAX-決勝大会で、中村京一郎がトミー矢野と対戦する。格闘DREAMERS出身、デビュー戦は両国国技館のPOUND STROMにおける狩野優戦だった。その敗北から、始まったといっても過言でない中村のMMAファイター人生。
Text by Takumi Nakamura

初戦と準決勝の戦い振りもそうだが、前回の試合と今回の決勝戦について話す中村の言葉の一つ一つから、この2年の間、彼がどれだけMMAと向き合った来ていたかが伝わってきた。


──試合を3日後に控え、やはりリラックスしていますね(※取材は14日に行われた)。

「緊張はしていないです。試合まで、このままです」

──4月のギレルメ・ナカガワ戦は組みを切って、殴る。殴って組ませない。その流れが完全に出来上がってきたところで仕留めに掛かると、打撃で思わぬ反撃を食らいました。

「まぁ、僕の試合が無かったら代理戦争も盛り上がっていなかったと思います。そういう点でも流れが僕に来ている。パンチを被弾したのは……僕の練習相手は綺麗な打撃で、見やすいんですよ。それが久しぶりの喧嘩ファイトというのか、見えなかったです。『うわ、そこから来るのか!!』みたいに。汚い打撃を久々に食らいましたね。でも、あれって練習ではできないことなんですよね。

やっぱりボンサイは打撃に拘っていないからこそ、打撃を当てることができるんだと思いました。クレベルにしても、サトシにしても、ギレルメにしても」

──組み技に秀でていても、喧嘩ができるというか。

「ボディも顔も打って、心が折れるグラップラーも多いのですが……。本人も打撃ができないのが分かっているのに、打撃で来る。根性ありますよね。油断をしているつもりはなかったのですが、どこかで打撃では来ないという想いがあったのだと思います」

──日本のストライカーは組まれると終わりという状態にまだあると思っています。それが北米に行くと、ムンジアル優勝者や世界のトップクラスの柔術家に組ませない。柔術家が如何に勝つかという点に注目がいくのと、真逆の状態が続いています。その点で、中村選手とギレルメの試合は北米の構図になっている試合内容でした。

「シャーウス・オリヴェイラ、ジルベウト・ドリーニョ、ディアス兄弟もそうです。あれだけ寝技ができる柔術家が、打撃がメチャクチャ強い。なんなら寝技をしなくて勝つ。自分はUFCで勝つことを目標にしているので、組まれるのは当然だと思ってやっています。組まれたら、嫌だという思考でなくて。そこで切れずに、打撃戦に戻せないならMMAのストライカーじゃないです。

同時に彼らに組ませたら危ない。その意識を持ち続けています。練習で取られないようになっても、やはり戦う相手本人ではないです。今もトミー対策で、今成(正和)さんのところで解除方法を習っていますが、それが絶対でないという意識でいます」

──関節技と打撃は練習で100ではできないですし。

「打撃に関しては、トミーがそこを分かっているのかなって思っています。本気で殴られたことがない。何発か被弾すると、凄い恐怖を感じるはずです」

──それは足関節やサブミッションにも当てはまりませんか。

「今成さんは際どく攻めてくれるので、有難いです(笑)。それでも100ではないので、ビックリタップには気を付けないといけない。ただ、トミーも本来は上を取りたいはずです。MMAなんで。それが無理なら、足関節に来る。でも、僕は殴れるので」

──真剣の斬り合いのような攻防になりそうです。Kガードからのエントリーなど、殴られる覚悟で仕掛けてくると怖そうです。

「どういう流れになるのか……でも、Kガードを仕掛ける時間があるのか。確かに殴られる覚悟で仕掛けてくると厄介かもしれないですけど、効かさると本来の極めの強さも維持できないですからね。元気な状態の下と、効かされた状態は違うと思っています。トミーに関しては、もう倒すイメージはできています。僕も組みが強い人と練習していますから。

でも、そういう選手と戦えると思っていなかったので、格闘代理戦争に出て本当に良かったです。きっと、普通にMMAの団体で戦っていたらギレルメもトミーも試合ができなかった。いうと初戦のミスター・ホンデも含めて、全て国際戦を経験できているので」

──なるほど。本当にその通りですね。

「今後、世界に出ると道程にあってMMAはそれほどでも、柔術はしっかりとデキる選手と戦うことができた。戦績だけ見ると僕が一番上のようですが、彼らの格闘技歴は僕なんかより、ずっとあって。それだけ戦うことに慣れている。そういう選手と戦うことができて良かったです。3カ月連続で試合をすることもなかったと思いますし」

──なんだか、もう優勝したあとの言葉に感じられますが(笑)。

「そうですね。ここはしっかりと勝たせてもらいます。僕は本気でBMFのベルトが欲しいんです。そのために絶対にUFCに行く……。そのために生きています。でも、トミーってそこまでじゃないだろうって。

インタビューを読んだけど、スターになりたいとか言っている。スターになりたいなら、別にMMAじゃなくて良いだろうと思います。柔術をずってやってきて、ちょっとMMAにヌルッと入り過ぎたんじゃないかと。

MMAでスターになりたいけど、なれなくても柔術が残るんだろうし。僕はMMAしかない。彼には柔術という逃げ道がある。僕には、逃げ道はない。MMAだけで、人生を生きていくんです。お世話になった人に、MMAで恩返しをする。そういう俺と戦って、『お前、大丈夫か?』という気持ちはありますよ。気持ちの問題ですよ、そことは別に技術は存在しているので。ただ俺とは、覚悟が違うだろうって。

接戦になった時、その差は出ます。そういう覚悟がPOUND STORMで狩野(優)選手に負けた時に無かったから、僕には凄く分かるんです。今のように腹が括れていなかったから、ラスト30秒でタップした……」

──POUND STORMにおけるDREAMERS勢で、その覚悟があったのは中村倫也選手だけだったと思います。

「記者会見で……高島さんが狩野選手と岩﨑(大河)選手に『リスクしかない、やる意味のない試合をなぜ、受けたのですか』みたいな質問をしたんですよ」

──中村選手と、ヘンリー(三上大智)選手にとっては失礼極まりない質問ですね(笑)。

「ホント、あの時は『あんた、俺と話したこともないだろう?』ってムカついていたんです」

──スミマセン(苦笑)。

「でも今なら、ああいう風に思われていてもしょうがないと分かります。あの時の僕はヌルッとMMAをやっていた。倫也さんを筆頭に、格闘技で実績がある選手や(鈴木)崇矢みたいにやる気に満ちている連中が周囲にいて。それで自分が強くなっている気でいたんです。同じ電車に乗っているだけで、自分の荷物は違うのに、同じ風景を倫也さんと見ていると勘違いしていました」

──……。

「だから狩野選手に言っていたことは、もうその通りで。そりゃあ、そうだし。あの時の自分は、それだけ分かっていなかったんです。腹の括りようも甘くて、本当にヌルッとしていました」

──……。

「トミーは柔術が本当に強い。尊敬しています。さっきも言ったように試合で競い合って来た歴史も凄く長いし。でも、KIDさんやアーセンがいたからMMAをやっている気分になっている。あの時の自分と同じじゃないかなって。この試合で腹の括り方の違いが出ます。あの時の僕の経験を、今回の試合でトミーにしてもらいます。

逆にこの試合で負ければ柔術も辞める─ぐらいの覚悟だと、怖いですよね。でも、そんなこと思っていないから。そこは今の僕とは違いがあります」

──押忍。では今後に関してですが、どのようなプランを考えていますか。なんといっても、まだ2024年は7カ月も残っています。

「まずトミーと戦うことでKRAZY BEEに行くことができていなかったので、また練習環境を整えたいです。この間、本当にそれは感じました。まだ知らないので、米国で練習もしてみたいですし。

米国に行ったからって、強くなれるとは思ってはいないです。だいたい、言葉も通じない。食べるモノ、水も変わる。よほどの適応能力がないと、食べるって強さの根源ですよ。それが変わって、簡単に強くなれるなんて僕は思っていなくて」

──それは鈴木崇矢選手と、意見がぶつかりますね(笑)。

「アハハハ。だからこそ、行ってみたいんです。僕は行っていないから、分かっていないので。格闘代理戦争の間、試合間隔が短いからスパーリングでバカバカやることを減らして、調整もできました。凄く良い期間になっていて、自分の日本での練習環境は最高です。だから、経験として米国に行く必要があると思います。

実際、崇矢も強くなって帰ってきましたらね。何かあるのだろうし、それは経験したいです。強くなることに正解はないので、何でもトライしたいと思っています」

──では試合に関しては?

「優勝したら超RIZINという話が途中で出てきて……。まぁ、対戦相手にもよるんだけど……。ただ、スーパーアリーナのでっかいバージョンなんですよね。そこは倫也さんから、『そういう大観衆の前で試合をすることは、絶対に今後に生きる。RIZINに関しては好き嫌いはあっても、そこはあるよ。京ちゃんはUFCの雰囲気を知ったけど、試合をするのとセコンドは絶対に違うから』と言われて……。

あれだけMMAに掛けている倫也さんの言葉は、やはり重みが違って。それに、どアウェイ。そこを乗り切る練習になるかなと思っています」

──超RIZIN後も、まだ半年残っています。

「ハイ。来年のRoad to UFCに出るなら、国内のタイトルも必要で。Grachanでフェザー級タイトルを狙うというのもありますけど、チャンピオンの小島勝志さんは僕が山梨でMMAを始めた時のジムの会長なんです……。あとGLADIATORのチャンピオンは(河名)マストさんで練習仲間で。パンクラスは(新居)すぐるさんで、先輩だし(笑)。そうなると、戦う場所もしぼられてくるかなと思っています。

とにかく、僕はMMAファイターとしてまだまだです。だからRoad to UFC云々でなく、UFCで勝つためにBMFのベルトを取るためにグラップリングもレスリングも、打撃だってもっともっと強くなる必要があります。だから、まずは本当に自分がどう強くなれるのかを考えていきたいです」

──いやぁ、代理戦争のキャラ潰しになるかもしれないですが、全然傍若無人の若者でなく、口の聞き方も礼儀作法も心得ていますよね。ケージの中でカメラマンを手で払うとは、思えないです(笑)。

「いや、あれは……レフェリーも、カメラマさんに外に出てって言っているのに、ずっといるから(笑)。レフェリーの声が聞こえていたから、早く外に出てくださいって伝えたんですよ。でも代理戦争はカメラさんが下りてからも長い。そこは何とかしてほしいです(爆)」

──アハハハハ。

■視聴方法(予定)
5月17日(金)
午後7時~ABEMA格闘チャンネル

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45 AB ABEMA MMA MMAPLANET o YouTube エフェヴィガ雄志 チャンネル 北野一声 岩﨑大河 平田樹 木下憂朔 本野美樹 海外 澤田千優 田上こゆる 鈴木崇矢

【ABEMA】海外武者修行プロジェクト第9期生=鈴木崇矢はキルクリフ、第10期生=岩﨑大河はCMMAへ

【写真】ヘンリー・ホーフトのお眼鏡にかなった鈴木 (C)MATSUNAO KOKUBO

12日(金)、ABEMAより海外武者修行プロジェクト第9期生=鈴木崇矢、第10期生=岩﨑大河が米国にMMA留学を行い、その模様が5月にABEMA格闘技チャンネルの公式YouTubeのFighter’s Diaryで配信されるという発表があった。
Text by Manabu Takashima

海外武者修行プロジェクトは過去に平田樹&直樹、田上こゆる&北野一声、本野美樹、木下憂朔、澤田千優、エフェヴィガ雄志ら11名のMMAファイターを米国のジムに送り出し、澤田とエフェは現地でのトレーニングでの総決算としてCombat Globalで試合を行い、その模様もABEMAで中継されている。


今回のプロジェクトでは、鈴木はキルクリフFC、岩﨑はカリフォルニアMMA&フィットネスで練習を行うことになった。鈴木の武者修行先がキルクリフFCになったのは、昨年末に日本でセミナーを行ったヘンリー・ホーフトがいたく鈴木の動きを気に入ったという背景があるという。岩﨑は澤田とエフェと同様に、現地のMMA大会に出場するというプランもあるようだが、続報を待ちたい。

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45 DEEP DEEP JEWELS DEEP Tokyo Impact DREAM K-1 MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase341 PRIDE TATSUMI   キック パンクラス ボクシング 五明宏人 修斗 大沢ケンジ 天弥 松本光史 極真会館 海飛 鈴木崇矢

【DEEP Tokyo Impact2024#01&Pancrase341】極真空手出身、海飛&天弥「打撃の回転力と威力が違う」

【写真】性格や考え方は違うが、自信は同じの極真空手出身ブラザーズ(C)SHOJIRO KAMEIKE

和術慧舟會HEARTS所属の兄弟ファイター、海飛&天弥が共に試合を迎える。海飛は24日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP Tokyo Impact2024#01でTASUMIと、天弥は31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで行われるPancrase341で松本光史と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

地元の山口県で極真空手を学んだ2人は、MMAファイターとなるため上京した。しっかり者の兄・海飛と、ヤンチャな弟・天弥というイメージが強い。なぜ二人が極真空手を始め、そしてMMAに辿り着いたのか。いろいろと異なる両者の考え方から、それぞれの個性が浮き彫りになる。


――お二人は極真会館山口支部の出身とのことですが、極真空手は一緒に始めたのですか。

天弥 年齢が6歳ぐらい離れているので、僕のほうがだいぶ後ですね。

海飛 まず僕が4歳の時に極真空手を始めました。もう20年前になります。

天弥 ということは、自分が生まれる前の話ですね。すげぇ(笑)。

海飛 アハハハ。僕は母に道場へ連れていかれたことがキッカケでした。当時は気持ちが弱い感じの子だったらしいんですよ。もっと強い気持ちを持てるようにと、極真空手の道場に入会させたと聞いています。

天弥 母ちゃんは伝統派空手の道場にも行って、「当てないのは意味ない」とか言っていましたよ(笑)。格闘技だから当てるべき、と思っていたんでしょうね。父ちゃんも不良だし。

海飛 その世代だと、地域で誰でも知っている3兄弟だったらしいです(苦笑)。

天弥 その父ちゃんがPRIDEとかK-1が大好きで、ずっとテレビで格闘技を視ていました。もしかしたら子供を格闘家にさせたいと思っていたかもしれないけど、最初は父ちゃんのほうが空手をやることに乗り気じゃなかったんですよ。

海飛 自分が成績を残し始めてから、子供の格闘技に力を入れ始めたっていう記憶がありますね。僕たちは4人兄弟で自分が長男、天弥が三男で。次男と四男は、それほど長くは空手を続けませんでした。

――幼少期に空手を始めた頃の記憶はあるのですか。

海飛 あります。まず見学に行った時、道場にいる人がみんな優しくて。それで自分も楽しくなって入会しました。

天弥 自分もそうですね。最初に戦隊ヒーローの変身グッズを身につけて道場に行ったんですよ。みんながそれで可愛がってくれたのが嬉しくて入会しました。

――皆さん、地元では小学生の時から有名な空手兄弟だったのでしょうか。

天弥 地元の新聞では何度も紹介されていましたね。自分は中四国大会を6連覇していて、全国大会や国際大会でも3位になりました。

海飛 僕は小学校の時に弱くて、中国地方大会で3位とか、全国大会でも入賞できないぐらいでした。次男も天弥も、めちゃくちゃセンスがあるんですよ。ずっと自分よりも結果を残していて、同じ空手をやっている身としては歯がゆかったです。でも弟たちだから嬉しいし、自分も早く追いつきたいと思っていましたね。

――極真空手の世界大会や全日本大会を取材していた頃に、一つ印象に残ったことがあります。極真空手の大会はセコンドにつく人数が多いのですが、服装がバラバラの道場よりも、チームTシャツなどで揃えている道場の選手が勝ち上がるケースが多くて。

天弥 あぁ! 確かに。

海飛 ウチの道場もそうでした。山口県支部全体で土日は集まり、合同稽古や合宿をしたりとか。そういうのって大切だと思います。ウチはまた四男が強くて、小学生なのに下段蹴りが強くて県大会も優勝していました。

天弥 全然かわいくない小学生だ(笑)。

海飛 僕たちでも食らったら痛いぐらいで、周りの子たちも練習を嫌がるレベルでした。

――お二人は空手時代、何の技が得意だったのですか。

天弥 自分は左ディですね。

海飛 天弥は子供の頃から当て勘が良くて、空手の試合でもバンバン左ボディを当てるんです。

――子供の試合であればボディでも真っ直ぐの突きを胸元に当てることが多いと思いますが、そうではなく完全に左ボディブローだったのですね。

海飛 子供の試合もボディのプロテクターはなくて。それなのにバンバン左ボディを打つんですよ。

天弥 めちゃくちゃ得意で、それはMMAをやっている今でも同じですね。

海飛 僕は昔から蹴りが得意でした。左上段蹴りや顔面ヒザが好きで。なぜか兄弟全員でファイトスタイルが違うんです。

天弥 あれ、なぜなんだろうね?

海飛 天弥は4歳の時に空手を始めた時から、バンバン左ボディを入れていたよ(笑)。年長さんのクラスで優勝した時も左ボディで技ありを取っていて。

天弥 何だろうなぁ……。当時から殴るのが好きだったんだよ(笑)。

――お二人はヤンチャな道には進まなかったのでしょうか。

海飛 それは天弥だけですね。地元の公立校は荒れていて、僕は私立に入りました(笑)。

天弥 アハハハ。でもピークは小6ぐらいでしたよ。それが中2~3ぐらいに落ち着いて。

海飛 グレるのも落ち着くのも早すぎるよ!

天弥 単にやることがなかったんですよね。みんなテレビゲームが好きだったけど、自分はそうでもなくて。家にいても楽しいことはないし、外に出て○○の方法を覚えて××をやるようになったりとか。

――……書けない話はやめましょうか(苦笑)。

海飛 兄としては心配でしたよ。とにかく親や他の人に迷惑をかけることはないように、と注意していて。

――すごい世界観です。格闘技の話に戻しますが、空手をやっている頃からプロのMMAファイターになりたいと思っていたのですか。

海飛 僕はずっとプロになりたいと思っていました。

天弥 自分は何も考えていなかったですね。ただ強いヤツとやり合うのが好きで。

海飛 MMAをやるために僕が先に東京に来ていて。当時は天弥が高校に進むかどうか、という話になっていたんですよ。でも天弥は本当に空手の才能が凄くて――正直、それほど練習していないのに強かったので(笑)。

天弥 アハハハ!

海飛 それなら格闘技をやったほうが良いと思い、天弥を東京に来るように誘いました。「本人がやりたいと思うなら、東京に来れば良い。東京では自分が一緒に住むから」と。

――弟想いのお兄さんですね……。海飛選手はなぜ上京したのですか。

海飛 MMAをやるなら東京が最先端だと思ったからです。それでジムを見学しようと思って、最初にこのHEARTSに来ました。もともと大沢ケンジさんのことはテレビ解説とかで知っていて。実際に来てみて話をしているうちに、大沢さんの選手との距離感が好きになったんです。それでHEARTSに入ろうと決めました。

――天弥選手は、海飛選手が上京してMMAファイターになっていくのを、どのように見ていたのですか。

天弥 特に――何も(笑)。

海飛 弟たちは3人とも、僕には全く興味がないです。

天弥 MMAやるには線が細いんじゃないか、っていうぐらいですね。アハハハ。

―ちなみに四人兄弟で、他のお二人は……。

実は四人兄弟。他の2人にも期待したいところだが……(C)SHOJIRO KAMEIKE

海飛 次男は空手を辞めてバスケットボールを始めたのですが、今は山口県の有永道場Team ResolveでMMAをやっています。

天弥 去年、MMAを始めて2~3カ月ぐらいでアマチュア修斗の山口トーナメントで優勝していましたよ(※注)。今年は全日本選手権に出るかもしれないです。

海飛 四男はMMAをやっていなくて。全日本選手権は呼んだら見に来るかな……。

注:次男は吉村大地。有永道場Team Resolve所属で、昨年12月に山口県で開催されたアマ修斗オープントーナメントでウェルター級を制し、取材後の3月17日にも同トーナメントで優勝している。

――上京した時期は1年も違わないお二人ですが、プロのキャリアは海飛選手が10戦で天弥選手が3戦という試合数の差は何か理由があるのでしょうか。

海飛 僕のプロデビューが早すぎました。MMAを始めて半年ぐらいでアマチュアパンクラスやDEEPのフューチャーキングも優勝して、さらに格闘DREAMERSの相手役に選ばれて勝ったじゃないですか。それでプロデビューしなきゃいけない、という流れになり……。

やっぱりMMAを始めた当初は、レスリングや寝技が大変で。最初は『殴れば勝てるでしょ』と思っていたし、実際にアマチュアで勝っていました。でもそれは打撃貯金で勝っていただけでしたね。だからプロデビューしてからは苦しかったです。2連勝して2連敗、また2連勝したあとに3連敗で――最後は減量にも失敗してしまったので。もうメンタル的には地の底にいるような感じでした。

――その状態から、いかに立ち直ったのですか。

海飛 前回の五明戦は、とにかくメンタルを安定させようって考えました。やっぱり気持ちがフワフワしていると勝てないですよね。打撃は国内でもトップクラスだと思っています。組技はそこまでではないけど、自分はできると信じる。ちゃんと自信を持って試合に臨めば勝てるという気持ちで戦いました。要は自分自身に勝てるかどうか、ですよね。

――その五明戦は、とにかく相手が嫌がることをやり通したという印象です。

海飛 はい。相手がやりたいだろうと思っていることを全部潰しました。五明選手は伝統派空手のチャンピオンで、踏み込みの幅もスピードも凄いじゃないですか。その踏み込みから来る左ストレートが強くて。だからまず相手の踏み込みを、カーフキックで潰したんです。

――そうだったのですね。では次に対戦するTASUMI選手の印象を教えてください。

海飛 RNCが得意な選手ですよね。それさえ警戒しておけばKOできると思っています。絶対に勝たないといけない試合です。

――2022年4月に鈴木崇矢選手をKOした時は、どうしても我々も「鈴木崇矢をKOした選手」という見方をしていたと思います。そして今回「五明宏人に勝った男」と見られるかもしれません。そういった注目のされ方については、どう考えますか。

海飛 別に僕は何とも思っていないですね。そもそも五明選手が特別強いと考えていなかったので。あの打撃が見えないだけで、別に組み技は強くなかったですし。もちろん五明選手のほうが注目されていたことは分かっていました。でも最初に左ストレートをもらった時も、『このパンチでは倒れないな』と思いましたし。

天弥 まぁ、TATSUMIって誰だよって感じですよ。僕としては『そんな相手に負けるなよ』としか思っていませんね。

海飛 アハハハ(苦笑)。

――一方、天弥選手はデビュー戦で芳賀ビラル海選手にKO勝ちしたものの、2戦目で反則負けを喫しました。

天弥 結果は結果なので悔しかったです。でも特に何とも思っていないというか、そこまで気にはしていないですね。それで3戦目もKO勝ちして、大沢さんからパンクラスの坂本靖さんに『次は松本光史選手と試合したい』と言ってもらいました。松本選手も僕の映像を視て、試合を受けてくれたという流れですね。

――自分から元チャンピオンとの対戦をアピールしたのですか。

天弥 僕は自信満々なので。大沢さんから『次は誰と対戦したい?』と聞かれて、僕が『松本選手です』と答えました。松本選手に勝ったら、次はタイトルマッチだと思いますし。

――松本選手に対しては、どのような印象を持っていますか。

天弥 まぁ……試合は面白くないですよね。

海飛 いや、あの――(苦笑いしながら顔を背ける)。

天弥 本当にちゃんとしたMMAファイターだと思うんです。トップキープが得意で、テイクダウンして漬け込んでくる。さらにボクシングの練習をして、パンチにも自信がついてKOも増えたっていうイメージです。

――松本選手はキャリアを重ねるごとにカウンターが向上している印象があります。

天弥 そうですね。でもカウンターを合わせられるものなら合わせてみろ、って思いますよ。絶対に倒されないです。

海飛 まず天弥とはスピードが違うと思うんですよね。僕たちは回転力、パンチと蹴りの威力が違うし、そして切り返しが強い。特に天弥は自分の空間を作る能力が高いというか、距離の取り方が巧いので。なかなか相手は触ることもできないと思います。

天弥 今年からベルトを狙って動き出したので、まずは松本選手を倒します!

■DEEP Tokyo Impact2024#01 視聴方法(予定)
3月24日(日)
12時25分~DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ

■Pancrase341 視聴方法(予定)
3月31日(日)
13時~U-NEXT

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【Grachan68 x Brave Fgith31】J-MMA Rookies CUP優勝=黒井海成、高橋孝徳戦へ「若手代表として」

【写真】Gladiatorを挟んで、Grachan凱旋のベテランに挑む黒井 (C)TAKUMI NAKAMURA

10日(日)に東京都大田区にある大田区産業プラザPIOで開催されるGRACHAN68 × BRAVE Fight31。GRACHANフェザー級3位の黒井海成が同級1位の高橋孝徳と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

硬式空手からK-1甲子園で活躍し、MMAファイターの道を選んだ黒井。昨年は様々な団体の若手ファイターが集まったJ-MMA Rookies CUPフェザー級で優勝を果たし、ランキング入りと共に今回の高橋戦が決まった。更なる飛躍となる2024年へ――。その初陣を前にした黒井に話を訊いた。


──試合まで一週間を切りました。ここまでの調整はいかがですか(※取材は4日に行われた)。

「すごくいい感じで、今回は気合いが入っていますね」

──今回気合いが入っている理由はなんでしょう。

「相手がランキング1位ですし、今回はGrachan68 × Brave Fight31なので、BRAVEの選手が活躍しなきゃいけないというところもある。今回は怪我で欠場してしまった選手もいるので、自分が絶対盛り上げてやると思って気合いが入っています」

──BRAVE一丸となって一致団結して、士気高く練習できていますか。

「みんなで勝とう、みんなで流れよく勝ちたいねと話しながら練習しています」

──黒井選手は昨年のJ-MMA Rookies CUPで優勝しました。あのトーナメントを振り返ってもらえますか。

「自分はトーナメントで優勝することを目標の一つに置いていて、その中で自分に足りないものを補ったり、自分が得意なところをドンドン出していこうと思っていました。あのトーナメントで成長できた1年だったなと思います」

──具体的にはどのようなことを意識して練習してきたのですか。

「僕は空手出身でK-1甲子園にも出ているので“打撃は強いけど組みができない”というイメージを持たれていたと思うんですよ。打撃だけで勝つ試合だったりとか、組みを混ぜて勝つ試合をしたり、そういう目標を立てて練習と試合を続けていました」

──弱点を補うという部分で、純粋な組み技やレスリングの練習に割く時間も長いのですか。

「そうですね。レスリングとグラップリングは特に長くやっています。ストライキングは昔の貯金もあるので、今は組みの練習に力を入れています」

──立ち技からMMAに転向する選手は打撃と組みのミックスだったり、立ち技とMMAの距離感の違いに戸惑うと思うのですが、黒井選手の場合はそこをどう消化しているのですか。

「基本的にストライカーの選手は相手のテイクダウン狙いを切る・組まれないことを第一に考えて、離れた距離で戦うイメージでやっていると思うんですよ。もちろんそれも大事だと思うんですけど、僕は自分がテイクダウンに行くならどの距離がいいのか。そこもすごく大事だと思っていて、組みに関してはディフェンスだけでなく、オフェンスも意識した距離設定を意識しています」

──黒井選手の立ち技のバックボーンがクローズアップされますが、若くしてMMAを始めたので、MMAファイターとして完成度を高くしたいという考えがあるのですか。

「はい。日本人だったら堀口恭司選手のように全ての局面で戦えて、打撃でも寝技でもフィニッシュできる選手になりたいです」

──そういった意味でBRAVEはレスリング出身の選手を中心に色んなバックボーンを持った選手が多いので、結果的に黒井選手が一番強くなれる環境のような気がします。

「今、考えてみると自分の足りないものを全て教えてくれる先生やコーチたちがいるので、すごく成長できているなと思います」

──また各団体の選手が集まるJ-MMA Rookies CUPで優勝して、日本人ファイターのルーキーでNo.1という称号も得たと思います。

「確かに自信はついたのですが、僕が目指しているところはもっと上だという想いもあります。なので僕が日本の若手代表として、ドンドン日本のトップや世界に行きたいという気持ちがありますね」

──今回対戦する高橋選手はランキング1位、勝てばタイトルマッチに直結する試合です。

「本当はすぐタイトルマッチをやりたいと思っていました。でもランキング的には僕が3位なので、ここで1位の選手を倒せば問題なくタイトルマッチができると思います。だから今回も僕はフィニッシュを目標にしてやりたいと思います」

──ずばりタイトルマッチにつなげるための試合ですか。

「そうですね。今の僕が目指しているところはチャンピオンベルトです。今は高橋選手を倒すことだけを考えているんですけど、ゆくゆくはそこを狙っていきます」

──対戦相手としての高橋選手はどういう印象を持っていますか。

「全部できる選手だなと思っていますが、その中でも特に組み、ケージレスリング、グラップリングが上手な選手だと思います。ただ高橋選手の試合動画も結構見させてもらって、相手の攻撃パターンは分かっているし、穴は見つけています。もし新しいことをやられたとしてもそこに対応するつもりです」

──高橋選手はGRACHANや修斗で30戦以上のキャリアがある選手ですが、ここからはそういった相手と戦って勝っていきたいですか。

「そうですね。僕はプロ2戦目で村田俊選手に負けていて、村田選手はその時点で10戦くらいやっている選手だったんですよ。当時は打撃だけでいけるだろうと思って戦って、スプリット判定で負けて。組みや寝技ができないとMMAでは勝てないんだなということを痛感しました。あの負けがあったらレスリングや寝技を重視して練習するようになったので、あの試合は僕にとってターニングポイントになりました。高橋選手はその村田選手に勝っているので、そういう意味でも気合いが入っています」

──2024年はどのような一年にしたいですか。

「もう今年はベルトを絶対に獲るという気持ちでやっているし、ベルトを獲ってからがスタートだと思っています」

──BRAVEにはGRACHANを経て海外で戦っている選手も多いですが、黒井選手も最終的に目指しているのは海外で戦うことですか。

「そうですね。やはりUFCという団体は自分の中で目標、憧れにしているところなので、僕もいずれRoad to UFCに出てみたいなという気持ちがあります。他にもRIZINで戦っている先輩たちもいますし、そういう舞台に出ていきたいです」

──黒井選手は2021年9月にBreakingDownに出場していますが、注目されるBreakingDownに継続参戦する選手もいると思いますが、黒井選手がプロとして活躍する道を選んだのはなぜですか。

「僕が出たのはBreakingDownの第2回大会で、いわゆる今みたいな大会じゃなかったんですよ。朝倉未来選手がやる1分間のアマチュア大会という感じで。当時の僕は色んなアマチュア大会にチャレンジしようと思っていた時期で、その選択肢の中の一つだったんです」

――なるほど。BreakingDownも今と昔では大会の色が違ったのですね。今でも「BreakingDownに出ていた~」と書かれることもありますが…。

「もうそろそろ書かなくていいじゃないのかなと思います(苦笑)」

──同じJ-MMA Rookies CUP優勝者の鈴木崇矢選手は1月のプロ修斗で衝撃的なKO勝利を収めました。黒井選手の試合も注目されると思うので、どんな試合をお客さんに見せたいですか。

「何でもできるところを見せたいと思いつつ、僕もストライカーなのでKOかフィニッシュして終わらせて、お客さんに『黒井凄いな』、『また黒井を見たいな』と思わせる試合をしたいです!」

■放送予定
3月10日(日・日本時間)
午後1時00分~GRACHAN放送局

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【UFC298】中村倫也のMMA学概論─03─「何があっても自分を信じる心と、やりたいことができる体」

【写真】しんどいことを真面目に楽しむ──のが、中村倫也だ(C)MMAPLANET

17日(土・現地時間)、カリフォルニア州アナハイムのホンダ・センターで開催されるUFC298「Volkanovki vs Topuria」でカルロス・ヴェラ対戦する中村倫也インタビュー第3弾。
Text by Manabu Takashima

自身の意識と実際の体の位置の修正──日常生活から、心身ともにコーディネイトする中村だが、その精神世界にも通じるMMAの取り組み方は万人に理解されるモノではない。

結果、気がつけば彼の周囲にはあの頃の光景が戻っていた。

<中村倫也インタビューPart.02はコチラから>


──それは稽古の時ですか、それとも試合の時もそのように意識するということでしょうか。

「試合の時は意識をしてはダメです。無心にならないと。日常でそういう風に意識をするようにしていても」

──日常生活において、どのように意識しているのですか。

「例えば歩いて移動している時も、重心がどうなっているのかを意識します。そして『左肩が固まっているな』、『連動していない』と感じると、『ここから剥がして……アッ、連動した』、『つながった』という風に。普段から体の位置、力が出る場所を気にして動かしています」

──それだけ意識しているとしんどくないですか。

「そうッスね。しんどい……と捉えてしまうと、そうなるだろうなっていうのはありますね。でも全部の体の堅さが取れて心が平穏な時って、動きたくなる。超良い状態なんですよね。体の調和がとれている状態で動けていると、気持ちが良くて疲れもどんどん抜けていきます」

──日常から、そこまで突き詰めていてちょっと気を抜きたいと思う時は?

「その時はもう、本当に太陽の下に寝転がって呼吸法で疲れを抜くようにします」

──それは呼吸でなくて、光合成では?

「ハハハハ。でも本気でUFCのベルトが欲しいですし、3年ぐらいこういう生活をしていても全然構わないです。そういう今の自分は、レスラー時代の自分が本当のレスラーだったのかと自答すると、レスリングの時間だけレスリングを頑張っていたに過ぎない。それに気づきました。

当時の僕は格闘家だったのかといえば、格闘技の時間は格闘技を頑張っていたけど、それ以外は楽しんでいた。そこまで没頭はしていなかった。ここにきて、僕の理想としていた格闘家像に近づけてきているなと思います。

日頃の姿勢、呼吸も全て格闘技のため。なかなか食事とかは難しい面もあって、妥協することもありますけど、日常を格闘技のために生きている──そういう生活が今は楽しいです」

──そんな風にMMAの話をしているのに、逆にMMA社会から浮くと感じたことはないですか。

「まぁ、『なんか言ってるよぉ』という風に思われているんだろうなとは(笑)」

──では倫也選手が、通じ合える選手というのは?

「アーセンは本当に理解してくれるし、ヘンリー(三上ヘンリー大智)もそういうところは凄く共通しています。ヘンリーはそれこそ容姿とかでも、それでお金を稼げるモノを持っていますが、敢えてそこには頼らずに力で上がっていきたいということなので、僕は凄くリスペクトしています。そうですね、この2人は凄く強く共感してくれています。

あとは後輩の鈴木崇矢と中村京一郎も、その辺りで日常が格闘技に繋がっているような生活になってきています」

──所属ではなくなりましたが、髙谷裕之さん、津田勝憲さん、練習仲間もコーチも倫也選手の周囲には格闘DREAMERSの面々、そしてEXFIGHTの面々がいます。

「自然と戻りましたね。なんか感じるのは、向かうところが一緒だということなんです。僕も彼らの成長の度合いを肌で感じ取りたいですし。格闘家って何だろう……って考えるような人間で。普段の生活から格闘家でないといけない……いけないというか、そうなりたいという人たちです。

もう一緒に練習することはないと思っていたのですが、不思議なモノですね。そこは本当に。やっぱりお互いに必要な存在なんだと思います」

──どの山を目指すかでやることは変わってくると思います。

「そうですね、こっちの山を登ろうとする人間は……UFCに上がる前に、精神面も含めて全てを整えておかないといけない。そこで精神的に追い込まれるようでは、話にならない。どんなことがあっても自分を信じる心と、やりたいことができる体。パッと見て『あの動きがやりたいです』と思ったら、すぐにできるようにする体の能力も必要だし。

そういうことを教えてくれる人のところに、結局、皆が集まっている。絶対に行ける、絶対に行けると、彼らはずっと口にしています」

──それこそが、中村倫也の居場所なのですね。では、まだ対戦相手が決まっていない状況ですが(※取材は1月12日に行われた)、昨年8月のデビュー戦と、恐らくは2月にそのまま戦うことになるオクタゴン2戦目で、違った面を見せることができれば、どのようなところになるか教えてもらえますか。

「相手が代わってしまって、それが出るのか……というところはありますが、離れた距離を追う時のパターンは凄く練習してきました。試合直後は近距離が怖くないように、近い距離ばかり練習していたのですが、MMAは距離が遠いところから始まる。なら、大切なのは追い足で。

その足を盗むところとか……二歩、三歩下がられた時の潰し方とか、細かいところを色々とやってきました。あとは首を取る技術、がぶりですね。がぶりからの上四方はずっとやってきて、フィニッシュ力も上がっています」

──がぶりから先はともかく、足の運びとなると、UFCのカメラ割でもどこまで映し出されるのか。その辺り、凄く楽しみですので試合が終わった後にまたインタビューを宜しくお願いします。

「ハイ。ぜひ、お願いします!!」

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