カテゴリー
45 AB AMMA ISAO MAX MMA MMAPLANET o ONE PANCRASE Pancrase358 Pancrase359 RIZIN ROAD FC UFC YouTube   アクバル・アブデュラエフ エルデュカルディ・ドゥイシェフ サラ パンクラス ムルタザリ・マゴメドフ ラジャブアリ・シェイドゥラエフ ラファエル・リベイロ 合島大樹 大塚智貴 宮澤雄大 山崎蒼空 平田直樹 栄養 氏原魁星 濱田巧 直樹 糸川義人 野田遼介

【Pancrase359】平田直樹選へ。カリベク・アルジクル・ウール「キルギスの漢は強くて、謙虚なんだ」

【写真】20時間の長旅とロストバゲージ。日本について8時間後に、この爽やかな笑み。そりゃあ強いだろう (C)MMAPLANET

明日9日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase359。ダブルヘッダー、夜の部のメインでカリベク・アルジクル・ウール平田直樹と戦う。
Text by Manabu Takashima

バンタム級でタイトル挑戦権を獲得も、体重を落とせずフェザー級に階級を上げた。その初戦となった7月のISAO戦で107秒KO勝ちという圧倒的な強さを見せつけた。

今回は来日当日にリモートインタビューを行うと、長旅の末のロストバゲージという事態に陥っても、笑顔で取材に応じる心穏やかなカリベクがいた。どれだけの修羅場を潜り抜けてきたのか。何があっても動じることがなさそうなカリベクに、平田戦とキルギス人ファイターの強さについて尋ねた。


――ロストバゲージで、カリベクの荷物は中国に行ってしまったそうですね(※取材は6日に行われた)。

「そうなんだよ。なぜか、そんなことになってしまった。着替えもないよ(笑)。でもパンクラスの人がしっかりと対応してくれて、明日には荷物はホテルまで届けてもらえることになった」

――なぜ中国なのでしょうね……。

「アルマトイから中国の広州、そして日本というフライトだったからだと思う」

――今、サラリとアルマトイと言われましたが、アルマトイはキルギスでなくカザフスタンですよね?

「そうだよ。ビシュケクから車で5時間ぐらいかけて、アルマトイまで移動して飛行機に乗るんだ」

――!!!! なんと。そして荷物が1日遅れでやってくる。気が狂いそうにならないでしょうか。何より、ホームの日本人選手の方がコンディションを整えやすいのは絶対ですね。

「ハハハハ、起こってしまったことだからしょうがない。体調面に関しては10時間や時には15時間も飛行機に乗っているから、ちょっと厳しいというのはある。ただ試合は試合だ。キルギスで戦おうが、東京で戦おうが変わりはない。少し休めば試合当日は、しっかりと仕上がっている。全ては気の持ちようだよ」

――その心構えがあるからこそ、日本での2試合の合計試合タイムは、3分02秒なのですね。ところで7月のISAO戦ではフェザー級で戦いました。バンタム級時代と比較して、自らの動きをどのように感じましたか。

「減量が少なくなって、凄く体調が良かった。フェザー級の方がバンタム級時代よりも、動きは良かったよ」

――そのISAO戦に勝利しタイトル挑戦をアピールしましたが、今回は王座挑戦となりませんでした。

「そうだね、タイトルに挑戦したかった。でも、試合のオファーを貰えたしタイトル戦でなくても問題ない。今回の試合に勝って、次はタイトルに挑戦できればね」

――では対戦相手の平田直樹選手の印象を教えてください。

「ウェルラウンダーで手強い相手だ。試合を見る限り、レスリングが強くて打撃もできる。ただ、どのような局面でも、対応できるよ」

――パンクラスの過去2試合では、しっかりと組み技を見る機会がなかったです。グラップラーの平田選手と、組み技でやり合える自信は?

「ヒラタが優れたグラップラーだからといって、特に試合前の練習内容を変えることはなかった。いつも打撃だけでなく、レスリングやグラップリングでもハードな練習を課しているからね。打撃、グラップリング、レスリング、穴のないように鍛えるために毎日2部練をこなしている。

立って打撃で戦うことになっても、レスリング、寝技になっても自信を持って戦える。僕の方が、背が高くてリーチも長い。つまり打撃でもレスリングでも僕にアドバンテージがある。まぁ、試合を楽しみにしてほしい」

――平田選手は「無事で終われるとは思っていない」、「翌週に妹の試合があるけど、セコンドには就けないと伝えた」と言っていました。

「プロとして、素晴らしい心意気だ。そして正しい。試合があるんだ。勝ちたいなら、試合以外のことを考える必要はない。例え妹の試合があってもね。僕もそうだし、試合のことだけを考えるからファンに試合を楽しんでもらえる。僕にとっても、イージーファイトにはならないだろう。ただ、勝つのは僕だよ。

メインイベンターとして、ファンのために最高にエキサイティングな戦いをする。ケージの中で、全てを出し切って戦うつもりだ」

――素晴らしい心がけですね。ところでアリベクもバンタム級からフェザー級に階級を上げて、世界中のMMAイベントでキルギスの65キロのファイターが活躍しています。カリベク以外のトップファイター4人の強さをどのように認識していますか。

■キルギスMMAフェザー級五将
一.RIZINフェザー級チャンピオン ラジャブアリ・シェイドゥラエフ
二.ONEフェザー級タイトルコンテンダー アクバル・アブデュラエフ。
三.パンクラス・バンタム級タイトルコンテンダー カリベク・アルジクル・ウール。
四.UFCフェザー級ファイター ムルタザリ・マゴメドフ。
五 Road FCフェザー級タイトルコンテンダー エルデュカルディ・ドゥイシェフ。

「基本的に皆、良い関係だよ。特にラジャブアリはタイ時代からとても近いし仲で、ビシュケクでも寝食を共にして練習も一緒にしてきた。アクバルも仲の良い友人の1人だ。彼は他のメンバーより、少し年上なんだ。練習をしていたし、グッドガイだよ。

エルデュカルディに関しては、名前は知っていたけど個人的に言葉を交わすような仲になったのは最近なんだ。ムルタザリとの関係は、もう少し長い。練習パートナーだったこともある。彼とは所属ジムは違うけど、同じビシュケクにあるジムだから交流があったんだよ」

――他の4人とカリベク、1位から5位までランキングを創るならカリベクは何位になりますか。

「アハハハハ。酷い質問だ。皆、強いから順番なんてつけることはできないよ(笑)」

――プロとして、自分が一番だという風にはならないのですすね(笑)。

「キルギスの人間は、謙虚なんだよ。特に強い漢ほど。どの国にも強いファイターはいるよ。でも、キルギスのファイターは強くて控えめなんだ(笑)。

ラジャブアリはRIZINのチャンピオンで、アクバルはONEのチャンピオンに勝っている。エルデュカルディもRoad FCでタイトルに挑戦する。ヒラタをISAOのように倒して、僕もパンクラスのベルトに挑戦する。神がその機会を与えてくれれば、僕もチャンピオンになる。ただ、今はヒラタとの戦いに集中している」

――押忍。ここまでキルギス人ファイターが世界中で活躍できるのは、なぜでしょうか。

「う~ん、分からないけど……厳しい練習をしているからじゃないかな。とにかくハードトレーニングを毎日している。秘密なんてない。ただ、ひたすらトレーニングをしているからだよ」

――実は日本のMMA界では羊肉を食べて、幼少期から馬に乗っている人間は強いといわれています。

「僕も自分の馬に、毎日のように乗っているよ。それにキルギス人ファイターがパワフルな要因の一つに、羊と馬の肉を食べているというのはあると思う。僕は大きなファミリーで生活しているから、自分たちの羊をファームで飼っているんだ。だから店で肉を買うことがない。

家にいる羊を捌いて、それを3、4日で食べきることもある。1週間に1頭の時もあるし、2頭の時もある(笑)。加工肉じゃなくて、自然で育った羊だからね。栄養価が高く、体に良いんだよ」

――プロセスフードにまみれている我々とは根本が違うのですね。

「キルギスに来てくれ。家でタップリの羊肉をご馳走するよ」


■視聴方法(予定)
11月9日(日)
Pancrase358=午後0時15分~U-NEXT
Pancrase359=午後4時55分~U-NEXT

■Pancrase359対戦カード

<フェザー級/5分3R>
平田直樹(日本)
カリベク・アルジクル ウール(キルギス)

<ストロー級/5分3R>
飯野タテオ(日本)
宮澤雄大(日本)

<フライ級/5分3R>
萩原幸太郎(日本)
小林了平(日本)

<ストロー級/5分3R>
野田遼介(日本)
佐々木瞬真(日本)

<フライ級/5分3R>
織部修也(日本)
稲垣祐司(日本)

<フライ級/5分3R>
天坂匡孝(日本)
平野洋太郎(日本)

<バンタム級/5分3R>
小間駿史(日本)
近藤悠真(日本)

<ミドル級/5分3R>
岡村寿紀(日本)
北英将(日本)

■Pancrase359対戦カード

<フライ級KOP決定戦/5分5R>
濱田巧(日本)
大塚智貴(日本)

<フライ級/5分3R>
ラファエル・リベイロ(ブラジル)
山崎蒼空(日本)

<バンタム級/5分3R>
合島大樹(日本)
神部篤坊(日本)

<フェザー級/5分3R>
糸川義人(日本)
清水博人(日本)

<2025年ネオブラッドTバンタム級決勝/5分3R>
佐藤ゆうじ(日本)
白井誠司(日本)

<2025年ネオブラッドTフライ級決勝/5分3R>
柴山鷹成(日本)
本川ハルアキ(日本)

<2025年ネオブラッドTストロー級決勝/5分3R>
渋井宏行(日本)
氏原魁星(日本)

<フライ級/5分3R>
平賀丈一郎(日本)
大鹿烈毅(日本)

The post 【Pancrase359】平田直樹選へ。カリベク・アルジクル・ウール「キルギスの漢は強くて、謙虚なんだ」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB ABEMA F1 MAX MMA MMAPLANET o RIZIN RIZIN51 アリベク・ガジャマトフ ライカ 征矢貴 扇久保博正 栄養

【RIZIN51】ガジャマトフに快勝。扇久保博正から事前取材で掲載を控えて欲しいと伝えられていた勝負の肝

【写真】扇久保、快勝。MMAの奥深さを再確認させてくれた一戦だった(C)RIZIN FF

昨日28日(日)に名古屋市北区のIGアリーナで開催されたRIZIN51で、アリベク・ガジャマトフを判定3-0で下した扇久保博正。
text by Manabu Takashima

MMAPLANETでは試合前に扇久保のインタビューを行い、技術的な局面も尋ねていたが、一点だけ本人から活字にしない欲しいという要望を受けた。

弱小専門サイトといえども、相手陣営に伝わる可能性もある――からか。それだけ扇久保が今回の試合の核としていた攻防がある。昨夜の勝利を受けて、本人の了承を得たうえで記事化を控えたインタビュー部分を紹介したい。


――如何に右腕を差すことができるのか。逆をいえば右ワキを差されずに戦えるのか。ここに凄く注目しています。

「良いところをついていますね(笑)」

――組み技、寝技は番狂わせが少ない。打撃のバリアーを気持ちで乗り越えた先に、根性の組みを制した方が勝つ。

「そういう試合になるんじゃないですか。おそらく。ホセ・トーレスも左のワキを絶対に差させないように戦ってきました。でも俺、めちゃくちゃ差せたんで大丈夫です。俺、誰でも差せると思っているので。そんなこと言って、させないかもしれないけど(笑)。そこは自信を持っていくしかないです」』

ガジャマトフは7月の征矢貴戦を含め、クリンチの攻防になった時のテイクダウンは左腕を差してのモノ。つまり相手の右ワキを差してからだ。ストライカーのガジャマトフが、自分の試合をするには、第一にテイクダウンをされないこと。そればかりか、自らもテイクダウン力があることを既に示してきた。

扇久保としては、まさに生命線。そして上の言葉にあるように一度も右ワキを差されることなく、自身は右ワキを差し続けた。試合後の会見で「右腕を差して(ワキを潜り)バックに回ること」を想定していたと話していた扇久保。ただしガジャマトフのウィザー(小手)が強く、そうはできなかった。ならばとばかりに彼は左腕も差して、ダブルアンダーからの小外刈りでダゲスタンの強豪を削っていった。

もちろんシングルレッグ、あるいはダブルレッグという導火線がクリンチの前に存在しているわけだが、扇久保は自らも打撃を見せ、何よりもガマジャトフの打撃を被弾しにくい場所に立ち、頭を置いていた。そして、何度も組みついていった。

その勇気が、今回の勝利の第一要因だ。ガジャマトフは殺傷能力のある武器が多い。それを無効化した、アンダーフック。本当にMMAは奥深い。それでもホセ・トーレスを下した時と同様に、ガジャマトフにある意味完勝しても「塩」とう表現をして、軽んじる反応が見られる。

奥が深いMMAという戦いは、本当に多くの材料が揃っており、多くの道具と香辛料がある料理のようなものだ。調理方法はそれこそ十人十色、千差万別――シェフ次第だ。ただし、どの料理でも塩加減が大切なことは言うまでもない。塩が上手く使えないファイターは、栄養のある美味しい料理を創ることはできないだろう。

素晴らしい調理方法で、最高の料理を創った扇久保は一晩が過ぎ、上のインタビュー未使用部分の掲載を了承してくれたメッセージをこのような一言で締めくくっていた。

「僕の右差しは世界中の誰も防げません(笑)」

The post 【RIZIN51】ガジャマトフに快勝。扇久保博正から事前取材で掲載を控えて欲しいと伝えられていた勝負の肝 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB ABEMA MAX MMA MMAPLANET o Shooto Shooto2025#07 Shooto2025#08 UFC   たてお ザヒド・アフメド チャンネル マッチョ・ザ・バタフライ マモル ヨシ・イノウエ ライカ 上原平 中村未来 修斗 倉本一真 大城匡史 大成 宮口龍鳳 山上幹臣 岩﨑大河 嶋屋澪 旭那拳 杉野光星 村上彩 栄養 永井奏多 田上こゆる 田口恵大 轟轟 青野ひかる 食事 高本千代 齋藤奨司

【Shooto2025#07】12年前に返上したベルトに挑戦、山上幹臣「前に獲った時は通過点」&「今回は集大成」

【写真】戦闘モード5パーセントほどの山上幹臣(C)MMAPLANET

21日(日)、東京都港区のニューピアホールで行われる修斗の昼夜二部興行。昼の部=Shooto2025#07のメインで山上幹臣が修斗世界ストロー級チャンピオン田上こゆるに挑戦する。
Text by Manabu Takashima

14年前に腰に巻き、12年前に返上したベルトに再び挑む。階級を上げ世界の最高峰に挑む決意をし、1階級上のレジェンド=マモル超えを果たした。しかし世界への夢はアジアで潰え、1人の男として守るべき者を第一とした人生を選択。

昨年5月に9年5カ月振りに復帰しフライ級で、MMAの現実を見た。それでも、天才と呼ばれた男は9月に修斗、そしてストロー級に戻ると2連勝しタイトル挑戦権を手にした。そんな山上に、タイトル挑戦について話を訊いた(※取材は17日に行われた)。


今回の試合でハッキリすると思います。試合勘なのか、老いなのか

――ファイトウィークになって水曜日の正午過ぎ。ZOOMインタビューのタイミングとして、この時間を指定されたのは?

「午後2時から練習で、この時間帯が一番声が出るかなっていう(笑)。もう疲労は抜けているのですが、体重を落としているので。あと4キロなんですが、水抜きは2.5キロから3キロにしたいのでもう少し落とさないといけないですね」

――引退前と復帰後では体重の落ち方も違いますか。

「前はもう減量方法が分かっていなかったので、今の方が落としやすいですね。昔はガムシャラに落とすだけだったのが、今は栄養を摂りながら落とせていますし」

――12年前に返上したベルトに挑戦します。改めてどのような気持ちでしょうか。

「前に獲った時は通過点でしかなかったです。その先にUFCを見据えていて。今はもうUFCとか、さすがに見ていないですし。だから今回は集大成、ここで全てを出しきりたいです」

――昨年5月の復帰戦はフライ級でした。今からすると、あの判断は間違っていた?

「正直、フライ級の体ではなかったです。あの時は計量を終えて、ご飯を食べても体重が1キロも戻らなかった。そもそも食欲がなくて。何か食わないといけないと思って食事は摂ったのですが、試合前に体重を測ると計量の時と同じでした。調整の仕方が悪かったのか。56キロの体が合っていなかったのか……。ホント、なんでか分からなかったです」

――まず食べることができないということで、絶対的に違っていたのでしょうね。ちなみにストロー級まで落とした時は、どれくらい試合までにリカバリーしているのですか。

「60キロ前ぐらいですね。だから、フライ級で試合をした時の方がストロー級で戦っている時より体が小さいという状態でした。もともと20代でフライ級で戦おうとしたのは、UFCにストロー級がなかったからで。あの時も無理やりのフライ級でしたし、体はできていなかったです。

今やフライ級でも70キロぐらいから落とす選手もいますし、やっぱりストロー級が適正階級なんだろうなと思います」

――技術レベルはMMAの進化に伴い進んでいます。そのなかで競い合い、凌ぎ合いという部分でベルトを巻いていた当時と、今の修斗ストロー級は違いがあるのかと。

「実は僕もあの頃の方が厳しかったという気持ちはありました。でも、前回の試合で当真(佳直)選手と戦った時に『甘くねぇな』って。すんなり勝てると思っていたけど、全然そんなことなかったです。そう思うと、今は今で若い選手が頑張っていると思います」

超えている部分があったり、落ちた部分もあります

――そもそも10年近く退いていて、今懸命にやっている選手にすんなり勝てるという自信を持っていたことが意外です(笑)。

「アハハハハ。当真選手の試合映像を見て、調子が上がっている自分と比較して過信していましたね(笑)。まぁ、勝てたけど思ったような試合ではなかったです」

――山上選手の中で現状の能力は、引退前の時点と比較してどのように捉えていますか。

「超えている部分があったり、落ちた部分もあります。打撃に関しては昔の方がキレがあったかと感じる部分もありますが、それは試合勘がまだ戻せていないからパンチを貰ったりしているのか。そうでなくて、年を食って反応が落ちているからかもしれない。でも試合勘だと思う自分がいます。

いずれにせよ、以前と違うという意識があることで前回の試合とは違う戦い方ができると思います。あの試合の反省すべき点から、自分のスタイルを見直してきたので。そこがしっくりきているので、試合で試す。今回の試合でハッキリすると思います。試合勘なのか、老いなのか」

――組みに関してはいかがですか。

「組み技と寝技に関しては、前にチャンピオンになった時より上です。かなり上がっています。フィジカルも今はやり込んでいるので」

――そんななかチャンピオンの田上選手の印象を教えてください。立ち技出身で、一時はテイクダウンに苦しめられた時代がありましたが乗り越えてベルトを手にしました。

「打撃に関してはスピードもあるし、勢いもあります。ただしMMAとして考えると、穴はいっぱいあると思います。まだつながっていない部分があります」

――同じストライカーでも、違うと?

「彼の打撃と自分の違いは試合で出ると思います。彼はテイクダウンを切って振り回してくる打撃で、自分は散らす打撃。テイクダウンを取れる距離を把握しています。その差が出ると思います。

ただ、それは技術的なことであって、ファイターとして田上選手のことは絶対にリスペクトして戦います。戦えることも光栄だと思っているので。自分はチャレンジャーだという気持ちを忘れずに戦います」

――どのような戦いをしたいと思っていますか。

「やっぱり当真選手との試合では出し切れなかったので、勝ちに拘りつつしっかりと動きたいですね。田上選手をどんどん混乱させて倒したいですね」

――そのようななかでも、特に気を付けているところはありますか。

「気持ちの上下が激しくて、試合中にも上がったり下がったりして動きに影響が出ることがあったので、そこは一定の強い気持ちを持ち続けることを意識して練習してきました。

修斗に戻ってからは、そういう部分はあまり出ていなくて。落ち着いて戦えていますけど、引退前は明らかにそうでしたし。復帰後も……復帰戦はそうでした」

――引退前も、そういう風には感じたことはなかったです。ピンチになって、心が折れるようなことも見たことが無かったので。観念したという表情を見せたことはあっても。

「まぁ、危ないところで腕は折れても、心が折れるというのはないですよね。でも気持ちはブレていました。強い選手って、そういうことがないじゃないですか。平良(達郎)選手にしても、堀口(恭司)選手にしても。だから、今回も気持ちの上下がないように心がけています」

妻とは復帰する前に『ベルトを獲ったらおしまいね』ということで話していた

――精神的な部分でいれば、ゼロから社会人生活を送ってきて強くなるということはなかったですか。

「社会に出て、精神的には相当に削られました(笑)。だってパソコンも使えないし、コピーの仕方すら分からないような人間だったので。逆に社会に出て揉まれている時に、自分が格闘技をやってきたことを考えたらなんでもない。格闘技をやっていると、もっとしんどいことがあるというメンタルでやっていました。やっぱり頭を使うけど、体力を使うことはなかったですから」

――MMAはどっちも使うと。そういえば対戦カード発表ということでケージの中に入った時、他の選手と比較して山上選手からまるで戦うオーラが感じられなくて。まるっきり、オフ状態でした(笑)。

「アハハハハ。やっぱりオラオラ感っていうのは、抜けちゃっていますね。それが良いことかは分からないですけど。集中力の高め方が、変わったと思います。以前のように意気込んでいると、それはもう普段の精神状態ではないということなので。試合が始まるまで、気持ちは抑えています」

――6月で38歳になりました。この後は、どのように考えていますか。

「まぁ……今、妻がここにいないので話せますけど……。調子がマジで良いので、続けたいという気持ちがあります。ただ妻とは復帰する前に『ベルトを獲ったらおしまいね』ということで話していたので……」

――そうなのですか。

「だから今回も『獲ったら辞めるよね』とは言われています……。復帰は絶対的に自分のための決断でした。だから獲った後は、やっぱり何が家族にとってベストなのかを考えないといけないです。格闘技は五体満足で終われる保証がないモノなので。何かあると、家族に苦労を掛けます。

そこはベルトを獲ってから、ちゃんと向き合っていかないといけない。でも、自分は続けたいです(苦笑)。やっぱりまだ強くなれているので……まぁ、年齢のことも考えないといけないですし」

――とりあえず、それは試合が終わってから考えることとして。まずは日曜日の試合に集中をしてください。

「そうですね。本当に今、調子が戻ってきている感覚があります。チャンピオンだった時と同じか、それ以上になっていると思います。なので、絶対に倒します」


■視聴方法(予定)
9月21日(日)
Shooto2025#07 午後12時30分~~ ABEMA格闘チャンネル
Shooto2025#08 午後5時30分~~ ABEMA格闘チャンネル

■Shooto2025#07 対戦カード

<修斗世界ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]田上こゆる(日本)
[挑戦者]山上幹臣(日本)

<ミドル級/5分3R>
岩﨑大河(日本)
ジャン・ボムソク(韓国)

<女子アトム級/5分2R>
中村未来(日本)
青野ひかる(日本)

<女子スーパーアトム級インフィニティリーグ/5分2R>
高本千代(日本)
片山智絵(日本)

<女子スーパーアトム級インフィニティリーグ/5分2R>
村上彩(日本)
嶋屋澪(日本)

<フェザー級/5分2R>
轟轟(日本)
ヨシ・イノウエ(日本)

<バンタム級/5分2R>
関根累(日本)
勝呂駿(日本)

<2025年度ウェルター級新人王決定T1回戦/5分2R>
六郷海南人(日本)
デソウザ・マルセル(ブラジル)

■Shooto2025#08 対戦カード

<修斗世界バンタム級王座統一戦/5分5R>
[王者]齋藤奨司(日本)
[暫定王者]永井奏多(日本)

<環太平洋フェザー級選手権試合/5分3R>
上原平(日本)
たてお(日本)

<バンタム級/5分3R>
宮口龍鳳(日本)
倉本一真(日本)

<バンタム級/5分3R>
杉野光星(日本)
ザヒド・アフメドフ(インドネシア)

<ストロー級インフィニティリーグ/5分2R>
旭那拳(日本)
友利琉偉(日本)

<ストロー級インフィニティリーグ/5分2R>
マッチョ・ザ・バタフライ(日本)
田口恵大(日本)

<2025年度バンタム級新人王決定T二回戦/5分2R>
飯野雄斗(日本)
齋藤優(日本)

<ストロー級/5分2R>
大城匡史(日本)
漆田直輝(日本)

The post 【Shooto2025#07】12年前に返上したベルトに挑戦、山上幹臣「前に獲った時は通過点」&「今回は集大成」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB ABEMA MAX MMA MMAPLANET o RIZIN SUPER RIZIN04 UFC YouTube ヒロヤ 中村優作 伊藤裕樹 元谷友貴 山本アーセン 所英男 新井丈 栄養 榊原信行 高木凌

【SUPER RIZIN04】元谷友貴とフライ級GP1回戦、ヒロヤ「諦めなかったからこそ今のこの立場がある」

【写真】元谷を下せば人生の大逆転となるヒロヤ (C)MMAPLANET

27日(日)、さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催される超RIZIN04。9月の準決勝、大晦日の決勝とスケジューリングされたRIZIN WORLD GP2025フライ級トーナメントの1回戦で、ヒロヤが元谷友貴と相対する。
Text by Manabu Takashima

MMA戦績11勝13敗1分は、13の敗北は対戦相手=元谷が50戦で喫した数と同じ。勝率の低さは山本アーセンに次いで、10人中9位。そのアーセンが勝利している伊藤裕樹に、ヒロヤは敗れている。

一方でインスタ、X、YouTube公式チェンネルのフォロワー数は27万人越えで、2位の伊藤の2倍以上を誇る。それ故に着実に力をつけているなかでエンタメ枠、数字で得た出場権という声は絶えない。J-MMAだからこそ見られる人生の大逆転劇の可能性があるヒロヤの出場は、UFCで絶対に見られない。

RIZINスペシャルといえるヒロヤは、このトーナメントで優勝するために試合の1週間前までラスベガスでトレーニングを積んできた。そして、彼は外野の声に「そういう声が僕の格闘家人生で一番大事なんです」と言い切った。負けても諦めなかったから今がある。無謀と言われた挑戦をしてきたから、ここにいる。そんなヒロヤのトーナメントに掛ける気持ち、ファンへの想いを伝えたい。


自分に負けないっていうことが、僕の人生のなかで一番大切にしている部分

――飛行機のゲート変更に気づかず、帰国が1日遅れたということですが……。ただでさえ体に優しくない長旅、気持ちが疲れることはなかったですか。

「日本時間に合わせて頑張って起きていたので、1日ズレることで2日連続で睡眠時間が3時間ぐらいになってしまって眠いッスね(苦笑)。でもフィジカルとかメンタル的な影響は全然ないです」

――今日も湿気を含んだ日本独特の容赦のない暑さに襲われていますが。

「ベガスも同じような感じでした。まぁ暑いですけど、夏なんで。僕は好きですね、どちらかというと湿度がある方が」

――ベガスはドライですよね。

「最初、喉をやられますね。膚とか喉も、2週間ぐらいで適応し始める感じで」

――試合まで1週間というタイミングで帰国することを決めたのは、なぜでしょうか。来日外国人選手とそれほど変わらないスケジューリングになっています。

「2週間前、10日前、1週間前。どのタイミングで帰国するのか考えていて、6月の半ばには1週間前に決めました。日本に戻って、そこからトレーニングバートナーを見つけたりするなら、ラスベガスにそのままいた方が良い練習ができると思って」

――体重の調整も、このタイミングで問題はなく?

「結構ギリギリで最後は落としているんですけど、2カ月前から向うで落とし始めていたので。どんどん体も大きくなってきて、きついと言えばきついんですけど、食にも気を使っていて。栄養分をどれだけ摂っているのか。ドライな環境でどれだけ水が抜けているのか、自分のなかで把握はしていました。だから、上手く体重のコントロールはできていたと思います」

――今回のGPですが、当初の予定は16人制でした。男祭り後に8人制になった時、ヒロヤ選手自身は出場権が与えられるという自信はありましたか。

「もう出るつもりでしたよ」

――つもりということは、確定ではなかった?

「オファーとか関係なく、出るつもりでした。(榊原信行)社長は試合前日のルールミーティングの時も、皆に『負ける覚悟を持って勝ちに行け』って話していて。プロとして試合内容も伴っていないといけないと。本当にその通りで、自分も勝ちっていう結果を手に入れたいけど、如何にファンの皆が求めているものを見せることができるか。皆が『見たい』と思っている内容で勝つことが、グランプリ参戦に向けて自分がアピールできるポイントでもあったんで。そこはしっかりとアピールできたとは思っていました」

――現実的にGP出場選手のなかでアーセン選手とヒロヤ選手は戦績的に明らかに見劣りしている。そのなかで出場選手にインタビューするとタレント枠という言葉が聞かれ、肯定的な意見も「注目されているので」というモノでした。このような声に対して、ヒロヤ選手はどのような想いでいますか。

「う~ん……まぁ、どこまで行っても戦績はついてまわります。でも自分の戦績に対する価値観っていうのは、他のプロの選手とは全然違うモノで。俺は負けてた数は多いけど、諦めなかったからこそ今のこの立場があると思っているので。それが自分の良さだと思っているし、勝ち負けでいえば勝ちがないと生き残れない世界ではあるからこそ、そういう声が僕の格闘家人生で一番大事なんです。

その声があるからこそ、皆は『ヒロヤ、どこまでやれんの?』って試合を見たくなるので。そういう声に対して、腹が立つとかっていうのは別にないですね。そこも含めて自分の仕事だと思っているので」

――その諦めないという部分ですが、負けても負けても続けられたのは敗北から学んで、次につなげてきたからなのではないかと。その経験があって、今、力をつけてきているという想いはありますか。

「僕のなかで格闘技は、人生なんで。戦績が綺麗、綺麗でないというのは正直関係なくて。これが人生で、自分の負けた数が多ければ多いほど濃いモノになっている。それに自分に負けないっていうことが、僕の人生のなかで一番大切にしている部分で。

相手に勝つか負けるかというのは、誰と戦っているのかっていうのと当日の運もあるじゃないですか。RIZINのトップで戦っていると、そういう運は正直なくなってきます。でも昔とか、若い時って格上と当てられると負ける確率が上がるのは当たり前で。自分より格下と戦えば、勝てる。

そのなかで皆が支持してくれたのは、僕は『勝てるわけないじゃん』という人と戦ってきたからで。負けたけど、そういうところを評価してもらったんだと思っています。他の綺麗な戦績を持っている選手でなくて、負けが多くても僕のことを応援してくれる人たちがいてくれて。その人達の期待に応えるために、人生を賭けて戦います。そうやって戦ってきたことが成長につながったし、それをやっていることが楽しいです」

――戦績括りの話になってしまうのですが、伊藤裕樹戦、中村優作戦と負けても力をつけていることは見せていたと思います。対して新井丈選手に勝った後の所英男戦の敗北はさすがに痛くなかったですか。

「あれだけを見ると凄く痛かったんですけど、あの右ストレートを一発貰うまで流れ的にも悪くなかったし。あの一発は俺の人生のなかで絶対に必要だったんですよ。

というのも次に柴田モンキー(有哉)という、僕がRIZINで戦ったなかでかなりの強敵と戦いました。そして攻め急ぎすぎない、自分が優位な立場になっても急がないで絶対に勝ち切るというマインドで戦えました。所戦の負けがあったからこそ、あのマインドを手に入れることができて。あの負けがあったから柴田モンキーから、判定勝ちすることができたと思っています。

米国で3カ月練習をして本当に強くなって、自信もあるところでちゃんとああいう試合で負けた。あれは必要な負けでした。だから元谷選手との試合で、有利な展開になった時に攻め急ぎ過ぎないと思うんですよね」

相手に負けるのより自分に負けるのが嫌いやからこそ多分、相手に負けることはない

――その元谷選手との試合ですが、アリベク・カジャマトフとヒロヤ選手の隣が空いていて。元谷選手の次は征矢選手。あの時点で、どちらに「来いっ!」と思っていましたか。

「余裕で元谷、来いって感じでしたね」

――その真意は?

「やっぱどうせやるなら、強い方とやりたいし。元谷選手はずっとバンタム級で戦っていて、年末まででベルトが狙えるから出たいとか言っていて。もしかしたら、今回が最後のフライ級かもしれないので。だったらタイミング的にも、元谷選手とやれるのは今回しかないのかって思って。それに挑戦したい相手じゃないですか。だから『来いっ!来いっ!! 来いっ!!!』って思っていましたね。しかも、その声が放送事故で入ってしまっていましたからね(笑)」

――アハハハハ。

「それからも『元谷選手になりましたね』って電話がかかってきて。『あぁ、元谷になって最高ッスね。伊藤裕樹とやりたかったッスけどねぇ』ってボソッと言って(笑)」

――伊藤選手ですか!!

「このトーナメントでしか、当たることがないんじゃないかなって。やっぱ僕は一回負けているんで、リベンジ戦ですね。ワンマッチで組まれるかっていったら、それは巡り合わせなんで。もう1回戦は元谷選手になったので、伊藤も俺も勝ち上がってやれれば盛り上がるやろうなと。どうせ、最後は強いヤツが上がってくるやろうと思うし」

――GP制覇という目標があるなかで、元谷戦に対する自信のほどは?

「メチャクチャありますね。メチャクチャあるからこそ、所戦の時と同じで。あの時も自信があって、僕は試合中にプレッシャーとかで感情が変わるタイプじゃないんです。だから試合当日の自分を信じて、気負い過ぎず。かつ自信を持ちすぎてワイルドにならないようにして、自分の実力を出せれば絶対に勝てると思っています」

――元谷選手の動きで、何を警戒していますか。

「組みがどこまで強いのかなっていうところですね。気持ちも強いと思うので、ホントに気持ちの勝負になるかなって」

――打撃に関しては、いかがですか。元谷選手は色々な距離で、複数の攻撃手段を持っていますが。

「でもMMAなんで。別に打撃だけでコレ、グラップリングだけでコレっていう風には見ていなくて。MMAを戦おうと思っています」

――ではベガスの練習で一番得られたモノは何でしょうか。

「米国と日本の戦い方、スタイルが違うと思います。そういうところですかね」

――それは、どういう部分で?

「それはちょっと……言いたくないなっていう(笑)。でも、戦い方が違います。新しい戦い方ができるなって思っています。やっぱりチームで練習しているので、よく指摘してもらえますよね。日本人特有のリズム感が、染みついているので。そこをちょっとずつ直している段階です」

――コディ・ガーブラントにリモートインタビューをさせてもらった時に、後部シートにヒロヤ選手と高木凌選手が座っていて。本当に楽しそうで。遠足にいく小学生かって(笑)。

「アレ、練習に行く途中です。あの10分後から練習だったんですよ(笑)。ハイっていうか、普通ッスよ」

――ベガスでやってきたことで、このGPメンバーに混ざっても気後れなどしなさそうですね。

「気後れっていうか、マジでリングで死ぬ覚悟はできていますし。ホンマにクソっほどしんどい試合をして。メチャクチャしんどい試合ができる覚悟があるんで。でも、それは米国に行く前からありました。自分に負けるのがメチャクチャ嫌いなんで。相手に負けるのでなく、自分に負けるのが。相手に負けるのより自分に負けるのが嫌いやからこそ多分、相手に負けることはないッスね。

だから気負う、気負わないは全くなくて。試合当日に自分を信じて。米国で経験してきて、自分は世界で通用するって分かってるんで。あとは本当にやるだけですね。UFCファイターもたくさんいて、『自信を持て』と言ってもらえたので」

――下馬評があるからこそ、トーナメントを一番面白くできるのはヒロヤ選手になります。

「僕もそう思っていますね。自分のグランプリだとホント、思っているんで。自分がチャンピオンになれたら、色々な人に勇気や希望を与えることができると俺、絶対に思うんで。俺は格闘技がないと、夢を持てなくて空回りしている人生だったんで。そういう俺みたいな奴らに、元気を与えられたらなって。そのためにも、自分がチャンピオンになる人生を生きないといけないと思って、米国に行ったので。

ただなんといっても元谷選手は優勝候補で、凄くリスペクトしている選手なので。次とかでなく、この試合しか頭にないです」

■視聴方法(予定)
7月27日(日)
午後1時00分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

The post 【SUPER RIZIN04】元谷友貴とフライ級GP1回戦、ヒロヤ「諦めなかったからこそ今のこの立場がある」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB Fight&Life MAX MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN71 YouTube ネイサン・フレッチャー 中村倫也 八卦掌 意拳 摔跤 栄養 羅徳修

【UFC ESPN71】Fight&Life#108より。中村倫也が手ほどきを受けた八卦掌、羅徳修(ロ・ドォショウ)老子

【写真】 中村倫也は学びに行き、学びになった。武の理念が、如何に競技に生きるか(C)MMAPLANET

8月2日(土・現地時間)、ネヴァダ州エンタープライズのUFC Apexで開催されるUFC on ESPN71「Albazi vs Taira」でネイサン・フレッチャーと対戦する中村倫也。
Text by Manabu Takashima

その中村が3月に武術の叡智をMMAに生かせるのかを確認するために台湾を訪れていた。摔跤に続き、八卦掌の大老師を尋ねた模様が、THE 1 STORY 「UFCファイター中村倫也が行く! 台湾武術&MMA探訪」#02八卦掌編を配信中が、THE1TVで配信中だ。

そして同動画の骨幹となった羅徳修(ロ・ドォショウ)老子のインタビューが、FIGHT&LLIFE#108に掲載されている。ここでは――競技を否定せず、武術の理念を語ったロ老師のインタビューを完全再掲載――武の神髄、その入り口に触れてみてほしい。


スポーツはより効果的、より速くというマインドになります

──羅徳修(ロ・ドォショウ。以下ロ老子)老子、MMAファイターである中村倫也選手の稽古と同行取材をありがとうございます。

「大歓迎ですよ」

──本来は八卦掌の歴史について尋ねたいところなのですが、台湾武術を生半可な気持ちで触れることはできないという想いがあり、今日は武術と競技の交流について話をお聞かせください。1949年、中国大陸から国民党政府とともに多くの武術家が台湾に移り住んだことが、台湾武術の始まりだと伺っています。

「その通りです。それ以前に台湾にも武術もありましたが、それらは力を全面に出したものでした。1947年、日本が台湾から去った後、中国大陸から多くの兵士が台湾に送られてきました。そして1949年には皆が大陸から逃げてきたのです。中国北部で行われていた武術は台湾に。南部で行われていた武術は香港に流れました。少林拳、蟷螂拳、太極拳は台湾に国民党員らとともに、やってきたのです。

ただ私のグランドマスター、張峻峰(チャン・ジュンフォン)先生は大陸の政局の変化を受けて、1948年にビジネスで台湾にやってきていました。しかし、大陸からやってきた彼は上手くビジネスはできませんでした。そして圓山の麓で武術の指導を始めたんです。次第に教え子が増え、指導を生業にするようになり1950年に易宗國術館(イイゾングオシュカン)を創設しました。彼から習ったのが、若き日の私の師匠ホン・イーシャンでした。

──チャン・ジュンフォン先生は、どのような武術の指導を行っていたのですか。

「形意拳、白鶴拳、太極拳を組み合わせたスタイルを創り上げました。易宗(イイゾン)、変化を意味する易という字を用いたのです。私の先生はこのアイデアが凄く気に入ったんです。そして唐手道(ハンショウタオ※韓国のタンスドとは別)をクリエイトしたんです。ホン・イーシャン先生が亡くなられた後、ご子息が唐手道を易宗唐手道(イイゾン・ハンショウタオ)という名称に変更されました。

──易宗はロ老子の流派、易宗八卦門(イイゾン・バオグアメン)に通じているのですね。

「ハイ。先生は大きなおなかをしていて技術はありましたが、それほど動きはなかったです。私は形意拳、八卦掌、太極拳を長年修練・研究したのち、八卦掌により興味をもつようになりました。1990年から指導を始め米国と欧州へ行き、指導する時間も生徒も増えました。ただコロナになってから、半分は隠居生活です。十分に指導はました。もう疲れましたよ(笑)」

──八卦掌は台湾で、どれぐらいの人が学んでいるのでしょうか。

「伝統的な武術が理解されることは、難しいです。人々はパワフルな動きを求めます。気がパワーを創ると思っているのです。体力と手数、倒せば良い。そういうモノだと思われています。リアルな戦いは、そうではないです。力だけではないですし、防御が大切ですが人々は理解できないのです」

──八卦掌も、ですか。

「理解されないです。退屈で、すぐにやめてしまいます」

──……。八卦掌の稽古を初めて見させていただきましたが、動き云々だけでなく原理原則、哲学が重視されていると感じました。

「武術とは、自分自身で稽古するものです。そして自身の能力を上げるものです。それは決して、ファイティングスキルを磨くだけのモノではありません。若い頃は私も戦いました。1年目は怖かったです。2年目には勝つようになった。優勝もしましたが、『だからなんだ』と思うようになりました。そして武術をより深く知るために、稽古に没頭しました。体の内側のパワーが必要だという人も多いです。内側のパワーとは何でしょうか。

技術を知っていても、生かすための動きが必要です。相手との距離があり、持続力が要ります。体の内側の力を使って、何をするのでしょうか。何もできないでしょう。それなのに人々はエネルギー、エネルギーと口にします。日本の人達も同じです。多くの人が、日本の古流武術を知りません」

──ネガティブな点が同じだということは、ポジティブな点でも日本と台湾の武術は共通点があるということですか。

「日本と台湾は似ています。全てが備わっているんです(笑)。構造、骨組み、哲学、忍耐力。西洋のスポーツは、集中力。そして、戦意。力のぶつかり合いです。大昔から我々には套路がありました。套路を知るための修練があります。最初はパワーのぶつかり合いになるでしょうが、それからは変わります」

──それは競技と武術の違いとも捉えることができそうです。

「西洋のスポーツはより効果的、より速くというマインドになります。それが西洋のスポーツ競技です。我々の道とは違います。伝統的な武術は、自分自身を創り上げること。そして、伝えること。完全に対局にあります。一方で武術を指導するといっても、威厳をまき散らす指導者もいます」

──武術側にも問題があると?

「例えば競技に向かうとすると、武術家はどのような稽古をするのでしょうか。エネルギーのぶつかり合いのなかで気の流れを教わって『平穏』を指導されている人は。武術も全てを継承できていない。長い年月の間に、失われていっています」

──ロ老子の言葉を聞いていると、試合に勝つためのスポーツ、自身の能力を上げるための武術といえどもリンクしている部分は多くあるように感じられます。

「武術家は西洋のスタイルに異議を唱えるべきではないです」

──ロ老子は、違いは指摘しても異議を唱えるわけではない?

「西洋風のエクササイズ、栄養学、動きなどは全て武術で生み出されてきたものです。ただし、それらの要素を我々は失って来たのです。それも武術の問題点です」

──競技者は武術を否定し。武術家は競技を否定する。そのようななかで、ロ老子は非常に稀な存在です。そんなロ老師はリアルな武術を如何に、普及させてきたのでしょうか。コンバットスポーツは試合があることで、人々の理解を促せます。そして、武術はアクロバチックな演武を売りにしてビジネスとしていることも多くあります。両方を持たないリアルな武術は、どう広めることができるのでしょうか。

「指導者も変わらないといけないです。若い人々は『僕はマーシャルアーツが好きなんだ』といっても、それはスポーツです。我々のような動きを学びたいわけではありません。ただし中高年の年代層は、この動きを好みます(笑)。逆に若い世代は、我々のやっていることは退屈に感じるでしょう。私はファイターにも指導をしたいと思っています」

技術は技術でしかないです。メンタルとテクニックがしっかりとリンクしないといけません

──おお。ロ老子は実際に過去、MMAファイターのコーナーに就いたことがあります。

「武術の基礎知識をもって、ファイターを指導しました。ファイトはファイトです。スキルは、武術と同じす。ただし、伝統武術を知ることで戦術が変化します」

──もの凄く興味深いです。

「パンチ一つをとっても、私はその腕を叩いてから次の動きのスタンスが取れます。すると、相手はその方向を殴ってくるでしょう。この点において、私たちの選択肢は多いです。ただし、若い人達は最速で勝ちたい。であれば、我々も変化する必要があります。例えば喉を突く、鼻の穴を攻撃する。それを見せても、彼らは『冗談だろう。これで済む』と一発殴りますよ。ただし拳を握るのか、握らないのか。拳の握り方、腕の捻り方に武術は生きます。いくらでも新しい発見はあるはずです」

──ハイ。

「それは体の使い方の全てにいえることです。パワーが十分でなくても、私たちは体全体を使って戦えます。そして、すぐに姿勢を変えることで適切な間合いを取れます。相手の攻めるラインを切っています。ラインを切って、適切な間合いを取る。この動きがサークルとなり、続けられることが八卦掌の戦術の基盤となります。

ただし、戦ううえで基礎となるパンチ、ガード、ステップイン、バックステップというセットアップも欠かせないです。先ほども言いましたが、加えて八卦掌は継続性のある戦術を可能にします」

──まさか八卦掌のマスターから、そのような言葉を聞くとは思ってもいませんでした。

「ファイターを指導するには、指導者が考え方を変える必要があります。ただし、多くの伝統武術の指導者にはそれができないのです。結果、力に頼ることになります。八卦掌は違います。八卦掌の動きが理解できれば、なぜ自分は打たれるのに、打つことができないのか分からないということはなくなります。相手の周囲をそのように動くことが可能だと理解できるようになります。

八卦掌とは、理念を変えることです。一つの考えがあって、それを如何に変化させていくのか。MMAでパンチを使うときも、理念を変えることができると、一つの種類のパンチでもいくらでも変化させて使えます。上下に打ちわけ、左右に体を振ることもできます。自分の体は、どう動くのかが分かるわけです」

──日本でも競技から武術に行きついた指導者の方から同じような話を聞くことはありました。それが武術畑、しかも台湾でそのような話を耳にできたことが本当に驚きです。

「パンチということではなく、動きなのです。ただ殴るだけでは、一方通行です。その次に何が必要か。殴る、そして次の動きに移る。この動きを止めずに、次のパンチを出すことができる人もいます」

──ハイ。それこそ試合で見ることができる動きです。

「その次のパンチを出して防がれプレッシャー受けた時、その姿勢は乱れています。皆、腕は2本、足も2本です。角度を少し変化させるだけで、同じ動きができます。パンチもそうです。いつも、自分のサークルは見えています。そして、カットインするのです」

──その動きの目的、目指すところは何なのでしょうか。

「リスクは低く、チャンスを増やす動きを心がけるのです。相手が何をしてくるのか分かっていれば、対応できます。でも、時にはとても速くて分からない攻撃をしかけられます。その攻撃を切るか、捕まえる。そうやって攻撃を遮断します。例えば、タン・タン・タン・タ・タ・タ・タンというリズムを刻むのです。多くの人はワン・ツー・スリーと同じリズムで動きます。八卦掌が最初に注意しているのは時に速く、時にはゆっくり。ショートで、ロング。これこそが八卦掌の考え方です」

──考え方を理解するのに欠かせないことは何になりますか。

「動きを学ぶことです。八卦掌において、私の動きを創るのは相手の動きです。これは西洋のファイティングとは違った考えだと思います。ファイティングは殴ることを目的としているのですが、私はパワーとスピードで攻撃してくる相手のラインをカットする。それこそが、私たちのタイミングです。このサークルを感じるのです。そのために必要なバランスを掴む。ステップインとステップバック、そしてリズムを変える。この動きを身に着けると、自然に再現できるようになります」

──中村倫也選手の練習でも、まずは歩法を行い、それからは腕の使い方を指導していただけました。

「円を描くように動きます。私が動けば、相手はついてきます。決してやりあわず、円を描いて動いているにすぎない。この動きに、腕の動作を素早く合わせます」

──いやぁ、もっと多くの人に八卦掌の理念を知ってほしいです。もちろんロ老子の考えは、教え子に伝承されているのですよね。

「ハイ。でも全員が全員、良い教え子ではない(笑)。どれだけ稽古をやってきたのか、どれだけ積んできたのか。私の頃は、もっと稽古をする時間があった。でも、今の若者たちは違います。稽古時間が短いです。ずっとスマホばかり見て。ただし、今の人はスピードがあり、パワフルで、良いエネルギーを持っています。そして、不確かな状況に慣れています。武術はソフトだと思われがちですが、そうではないです。ハードにもできます。強弱をつけているのです。ただし、短期間で教えることは難しいです」

──武術は生き方であり、一生続けることができます。中村倫也選手のようにコンバットスポーツの選手は、次の試合に勝たないといけないです。結果ファイターは効率的なトレーニングを必要としますが、その彼は八卦掌のどの部分をMMAに取り入れるべきでしょうか。

「一つは基本。皆が知っていることです。我々も同じようにどうやって近づき、どのように離れるのか。そして手の動かし方。パンチの出し方は内回しと外回しがあります。それとバランスです。これは最も重要なポイントです。身に着ける練習が必要ですが、八卦掌には多くの型は存在しません。

操作性、手のエントリー、ステップの定義を身に着けることです。武術らしい動きの手の振り方をしても、何も体から伝わってくるものではないのです。『2年間、修行しなさい』なんてことも言わないです。すぐに使えば良い。何も気にすることはないです。戦いたいなら、戦う。凄く良くはならなくても、めちゃくちゃダメだということもないのです(笑)。戦わないといけないなら、戦うのです」

──押忍。

「技術は技術でしかないです。メンタルとテクニックがしっかりとリンクしないといけません。短期間だろうが、長い年月を積み重ねようが、どのような指導を受けてきたのか。そこが大切です」

──それこそ短時間でしたが、ロ老子から数々の学びをいただけました。ありがとうございした。

「こちらこそ台湾まで尋ねてきていただき、ありがとうございます」

The post 【UFC ESPN71】Fight&Life#108より。中村倫也が手ほどきを受けた八卦掌、羅徳修(ロ・ドォショウ)老子 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AJ・マッキー DEEP MAX MMA MMAPLANET o PFL PFL CS02 RIZIN YouTube アクメド・マゴメドフ コーリー・アンダーソン ジョニー・エブレン スパイク・カーライル スミコ・イナバ ダコタ・ディチェバ デニス・ゴルソフ ベラトール マカシャリプ・ゼニュコフ ルイス・グスタボ 上田貴央 太田忍 栄養 森戸新士 泉武志 海外 渡辺華奈 野村駿太

【PFL CS02】南アフリカでゼニュコフと対戦、泉武志「もう二度と、あの時と同じ想いはしたくない」

【写真】苦悩、葛藤—―オリンピックを目指していたからこそ、気づけることがある。まだまだ、これから(C)SHOJIRO KAMEIKE

19日(土)、南アフリカはケープタウンのグランドウェスト・アリーナで開催されるPFL Champion Series02で、泉武志がロシアのマカシャリプ・ゼニュコフと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

昨年はMMAで野村駿太、プログレスルールで森戸新士を相手に2連敗を喫した泉。しかし今年3月にはRIZINでスパイク・カーライルに判定勝ちを収め、再起を果たしている。その泉に、南アフリカで開催されるPFL初出場のオファーが届いた。MMAでは初の海外試合となる泉が、昨年からの苦悩とカーライル戦の勝利に至る道程を語ってくれた。


レスリング時代に経験していることを、また繰り返すのか。また目の前のことから逃げるのか

――今回、PFL出場が決まった経緯を教えていただけますか。

「僕も驚きましたね(笑)。上田貴央さんから『試合が決まったよ』と言われて、RIZINかと思ったらPFLという話でした」

――やはり試合が決まったと聞くと、最初に思い浮かぶのはRIZINだったのですね。前回の試合は3月、RIZINでスパイク・カーライルに勝利していました。

「そうですね。流れ的にはもう一度RIZINに出たいと思っていました」

――カーライル戦後、どのようなキャリアを考えていたのでしょうか。

「僕の中で最高のプランとしては――ルイス・グスタボに良い勝ち方をして、あと1戦必要であれば試合をし、王者のサトシに挑戦させてもらいたいと考えていました」

――その試合ペースでいうと、ベストは大晦日にサトシ挑戦と。

「それが僕にとっては今年最高の流れでした。ただPFLの話が来て……もちろんRIZINでも戦いたいです。だけどMMAに転向した時に決めていたのは、海外で活躍できる選手になることで。そのためにはPFLって最高の舞台だと思います」

――昨年DEEPで野村駿太選手に敗れたあと、カーライルに勝利して1~2戦後にサトシへ挑戦するというプランを立てることができるのは、それだけ今年に入って自信が生まれてきたということですか。

「正直……今考えると野村戦の時は、MMAと向き合う気持ちがかなり低かったです。今はずっとMMAのことを考えていて、練習量も1.5倍ぐらい増やしています。かなり成長してきていると思いますね」

――これは柔道やレスリングからMMAに転向したファイターあるあるなのですが、泉選手ほどレスリングの実績があれば、MMAでも序盤はレスリング時代の貯金で勝つことができてしまいますよね。泉選手の場合はプロデビューから2連敗しているものの、その後は5連勝していて。

「……そうなんですよ。だから驕っていました。一番はプライベートの時間から変わったと思います。格闘技のことを考えていない、という時間は少なくなっています」

――MMAとの向き合い方に変化が生まれたのは、どのようなタイミングだったのでしょうか。

「まさに野村戦の負けがそうでした。このままじゃ普通の選手で終わるぞ、と思って。僕はレスリングでオリンピックに行けず――レスリング時代に経験していることを、また繰り返すのか。また目の前のことから逃げるのか」

――……。

「レスリング時代は、いろんなことに逃げていました。飲みに行ったり、いろんなところへ遊びに行ったりとか。野村戦で負けた時、その頃とまた同じことが起きると思ったんですよ。ここでちゃんとMMAと向き合わないと、同じことを繰り返すだけで。レスリングでオリンピックに行けなかったように、MMAでも上に行くことはできない。これは本気でやらないとマズイと思って、取り組み方を変えました」

カーライル戦では、組めば誰でも倒せるし、寝技でも勝負できることが分かったのは一番の収穫でした

――これも柔道やレスリング出身のMMAファイターあるあるかもしれませんが、ずっとオリンピックに行けなかったことを引きずっている自分がいるのでしょうか。

「メッチャあることですし、僕自身もそうですね。これは『たられば』になってしまいますけど、レスリング時代に上田さんと出会っていればオリンピックに行っていたんじゃないかと思っていて」

――というと?

「打ち込みの大切さ、栄養や体づくりなど全てMMAを始めてから知ったことが多かったんですよ。レスリング時代はとにかくスパーリングばかりで。毎日、練習メニューがスパーリングだけ。打ち込みや技の練習もありましたけど、その時間は少なかったですね。MMAを始めてから、スパーリングよりも打ち込みのほうが大切なことに気づきました(苦笑)」

――なるほど。

「でもこのことを太田忍(泉にとっては日本体育大学の後輩にあたる)に話をしたら、『いやいや先輩、ダメでしょ。僕はあの練習の中でも自分でシチュエーションを考えてやっていましたよ』と言われて。『マジかっ!?』と思いましたね。レスリングでも何でも、強くなる選手はどんな環境でも自分で考えて創り始める。自分で課題を設定し、自身で克服していく。そりゃ俺はオリンピックに行けねぇわ、と思いましたね。アハハハ、自分はただただ毎日頑張っていただけで」

――自分で課題を設定し、自身で克服していく。そこにオリンピックへ行く選手と、行けなかった選手の境目があったわけですね。

「日体大のレスリング部って、部員が80人ぐらいいるんです。大人数の中で、その点に気づいているヤツらだけが突出していくんだなって思いました。

もう二度と、あの時と同じ想いはしたくない。短い競技生活の中で、楽なほうに逃げたらまた同じことになってしまう。だから必死で向き合おうと思ったんです」

――本気でMMAと向き合った結果は、カーライル戦で出すことはできたのでしょうか。

「一番は、組んでも負けないという点が一番の自信になっています。カーライル戦ではテイクダウンできなかった場合のプランもありましたけど、組めば誰でも倒せるし、寝技でも勝負できることが分かったのは一番の収穫でした。

カーライルってRIZINライト級の中でもグラップリングが強い選手だし、体もデカい。そのカーライルをテイクダウンできれば、他の選手も全員倒せると思うんですよね。ただ、アイツは計量に失敗していて――勝っても素直に喜べないところではありますね。ちゃんとした形で勝ちたかったです」

――同じ大会に、前回敗れている野村選手も出場していました。野村選手がグスタボを下した試合については、どのような印象を持っていますか。

「あの時は現地で試合を観ていたけど、『グスタボはどうしたんだろう?』という印象を受けました。いつもより元気がない、覇気がないという表情で。2Rは完全に漬けられていて、『野村選手が相手でコレなら、俺はもっと漬けるぞ。テイクダウンも寝技も俺のほうが強いのに大丈夫か』と」

――それだけ自信が増しているということですね。野村戦の前であれば、そうは感じなかったかもしれない。

「それはそうですね。当時はまだ不安だったと思います。最近はグラップリングが一番伸びてきたので」

――グラップリングの面でいえば、昨年10月にプログレスルールで森戸新士選手と対戦した時は……。

「あぁ~(苦笑)。やっぱりグラップリングルールとなると、勝手が違いました。森戸選手もグラップリングで日本のトップクラスと思うんです。だからもっとスタンド勝負をやりたかった。もっとヘトヘトになって、泥沼でグチャグチャになってから勝とうと考えていました。でも最初に僕が崩していくと、森戸選手が引き込んで――そのまま極められる。『このパターンか』と思いましたよね(苦笑)」

――正直なところ、森戸戦の時はまだレスリングだけで戦っているような印象がありました。しかしカーライル戦では、言われたとおりレスリングではなくグラップリングを見せています。森戸戦とカーライル戦を比較すると、その違いがより分かるはずです。

「ありがとうございます。森戸選手とは、もう一度対戦したいですね。あの時よりも今はもっとグラップリングに自信があるので。森戸選手もMMAファイター狩りを続けているじゃないですか。MMAファイターにしてみれば、あのスタイルは嫌ですよ。だから次はプログレスのパウンド有りルールにしてほしいです(笑)」

――アハハハ、それはMMAです。

「でも海外に行けば、MMAをあのスタイルで戦うファイターもいますからね。そこで勝てるようにならないと」

相手が強ければ強いほど燃える。僕が日本人の可能性を切り開いてきます

――次に対戦するマカシャリプ・ゼニュコフは、まさにダゲスタンスタイルですね。

「いやぁ、メッチャ楽しみですよ。試合映像が少ないから分からない部分もありますけど、まずテイクダウンからパウンドを落とす。相手が嫌がったらRNCに行く。でも基本はグラウンド&パウンドという印象です」

――ゼニュコフに限らず、ダゲスタン系のレスリングMMAはどのように見ていますか。

「全然問題ないですよ。レスリングなら、僕のほうが強いです。彼らもピュアなレスラーじゃないけど、レスリングをやりこんでいるから強い。ただ、僕は五輪クラスのレスラーが相手じゃないと、レスリング勝負なら負ける気はしませんね。でもゼニュコフの場合、最近の試合を視ると打撃の割合が高くなっていないですか」

――確かに。結果、打撃にシフトチェンジしきれていない印象はあります。

「それならそれで、一番ありがたいですね。今回、相手との印象は良いと思っています」

――一方、チームメイトの渡辺華奈選手も勝つのが難しいPFLです。その様子は身近で感じていると思います。

「だからこそ僕はPFLでも戦いたいです。相手が強ければ強いほど燃えるので。華奈さんは僕がMMAを始めた時には、もうベラトールに出場していました。その華奈さんの背中を見て、自分も世界で戦いたいと思ってきましたから。RIZINにも出たいけど、やっぱり世界で戦いたいです」

――PFLとの契約状況は分かりませんが単発契約の場合、快勝すればPFLはもちろんRIZINも放っておかなくなるでしょう。ライト級の中で立ち位置がグッと上がるかもしれません。

「自分にとっては本当に、人生が懸かっている一戦です。まだまだ僕を知らない人も多いと思いますけど、ここでしっかりと勝ち、世界に通用する日本人がいるということを示していきたい。僕が日本人の可能性を切り開いてきます」

■視聴方法
7月19日(土・日本時間)
午後10時45分~ U-NEXT

■対戦カード

<PFL世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者] ジョニー・エブレン(米国)
[挑戦者] カステロ・ヴァン・スティーニス(スペイン)

<女子フライ級/5分3R>
ダコタ・ディチェバ(英国)
スミコ・イナバ(米国)

<フェザー級/5分3R>
AJ・マッキー(米国)
アクメド・マゴメドフ(ロシア)

<ライト級/5分3R>
マカシャリプ・ゼニュコフ(ロシア)
泉武志(日本)

<ヘビー級/5分3R>
コーリー・アンダーソン(米国)
デニス・ゴルソフ(ロシア)

The post 【PFL CS02】南アフリカでゼニュコフと対戦、泉武志「もう二度と、あの時と同じ想いはしたくない」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB DEEP DEEP JEWELS DEEP JEWELS49 DEEP Tokyo Impact HIME MAX MMA MMAPLANET o RYO RYOGA YouTube   あきぴ エレナ キック チャンネル マサト・ナカムラ 奥富夕夏 安永吏成 山田聖真 彩綺 栄養 栗山葵 泰斗 窪田泰斗 重田ホノカ 雅駿介 食事

【DEEP TOKYO Impact2025#03】計量終了 窪田戦へ、雅駿介「練習以外の20時間、22時間の使い方」

【写真】胃腸系の調子が良いと、肌艶も良い? コンディションの良さが伝わってきた雅だった (C)MMAPLANET

25日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP JEWELS49とDEEP TOKYO IMPACT2025#03の計量が、24日(土)に新宿区のSAP新大久保で行われた。
text by Manabu Takashima

DEEP JEWESL49のメインでHIMEと戦う重田ホノカが、1.75キロのオーバーで涙の計量を済ませ、キャッチウェイト&減点3 & HIMEが勝利した場合のみ公式記録となる変則ファイトを戦うことに。

計量失敗に涙を見せ、計量会場から離れるときも傷心しきって表情を浮かべていた重田だが、もう済んだことは取り戻せない。レコードに黒星を増やすよりも、NCにするために全力で挑むしかない。

ここではDEEP TOKYO IMPACT2025#03のメインで窪田泰斗と戦う雅駿介の計量直後の声をお届けしたい。

ムエタイ国内王者からMMAに転向、組みを防ぐファイトから自ら組みで攻めるスタイルを経て、持ち味の打撃をMMAで生かせるようになった雅だが、過去3試合は1勝1敗1NCと能力に相応しいモノではない。その要因を練習時間以外の過ごし方にあると理解した雅の生活向上と練習の充実について、話を訊いた。


──計量を終え、明日に向けてどのような気持ちでしょうか。

「体調もバッチリで、精神的にも良い感じできたので本当に早く試合がしたいっていう感じですかね」

──雅選手はムエタイの強さを持ったMMAファイターに成長したのですが、ここ3戦の戦績をどのように捉えられてきましたか。

「色々と苦い思いはしてきました(苦笑)。福田(龍彌)選手との試合の負けは大きかったです。その後もコンディションが上手く作れなくてノーコンテストとか、去年は良くなかったです。ケガもあり、階級を変えようかとも考えました。それで日常生活から改めてるようになったんです」

──というと?

「食事や睡眠、練習以外のところに拘るようになりました。練習の1時間、2時間って誰でも一生懸命にやれます。でも本当に強いヤツって、それ以外の20時間、22時間と1日の使い方が違う。そこで選手として差がでる。以前の僕はそこが足らなかったと反省しました。なので食事の摂り方、睡眠の取り方、休息の取り方。練習がない日の過ごし方を見直してきました」

──まず食事面では、どのような変化を?

「特別なことではないのですが、栄養士さんの知識を入れたり、自分で勉強をして栄養のバランスを考えるようになりました。ジャンキーなモノや好きなモノを好きなだけ食うというのを止めました。以前もデキていると思っていた部分があったんですよね。でも、もっと改善できるところがある。それが見つかりました。次の日の体調を考えるために。

ただ極端なことはやらないです。バランス良く食べる。痩せるために糖質を急激にオフするとか、そういうのは良くないです。日本人は米を食べないと。逆に米はしっかりと食べていますね。ほんと程よく食べるというか、ストレスを溜めないことも大切で。とにかく普段から体の動きに敏感になり、体のシグナルをキャッチしながら食事をしています」

──効果を動きで感じることはできますか。

「ハイ。それに花粉症とかも良くなりました」

──それはもう、練習だけでなく生活が向上しますね。睡眠の方はどのような工夫をされているのでしょうか。

「早寝早起きはやっていたんです。ただ睡眠の質を高めるために直前にお風呂に入ることを止めて、体を温め過ぎないようにしています。お風呂って、実が疲れるので寝る前は良くないです。疲れた時はリラックスした状態を創って、眠るようにしています。あと内臓を休ませてから、寝る。寝る前に何か胃に入れるようなことはなくしました。

体を動かすことが仕事なので。そういうことに意識し、日中でも20分、30分ほど仮眠をとるようにしています。そうすることで精神的に良くなり、集中力も増しました。結果、ケガがなくなったんです」

──まさにブランニュー雅駿介になったと。

「ハイ、それで前回の試合はケガが一切なくて、凄く良い結果が出て。今日も計量後なのに、全然元気です」

──練習の時の体調が良くて、計量後も元気。それはパフォーマンスが上がりますね。

「技術的にも寝かされて何もできないなんてことはなくったので、打撃も踏み込んで使えます。MMA全体のバランスが良くなってきたことに加えて、自分の武器……前回の試合でヒザでKOできたように、ヒザ、ヒジが使えるようになったと手応えを感じています。今後の自分に期待してほしいし、自分でも期待しています」

──そういうなかで今回の対戦相手となる窪田選手とは福田戦の前に戦い、判定勝ちを収めた相手です。

「そこからの自分の戦績が良くなくて、向こうは逆に調子を上げてきている。この間にやってきたことの答え合わせになります。前は判定勝ちだったから、ここで差を見せて勝てば……。この間の過ごし方の答が、結果に表れます。

なので今回は内容にも拘ります。もう『戦いたい』と試合後に言わせない試合、フィニッシュして勝ちます。フィニッシュの仕方は特に考えていないですが、打撃で倒すかもしれないし、ヒジで切るかもしれない。首を絞めて勝つかもしれない。MMAなんだから、何でも使って戦ってやるよという感じです」

──今回はメインで戦いますが、コメインまでは対抗戦が組まれています。そこに関して、思うところはありますか。

「そこは本物と偽物の違いを見せることができるので、逆に良い機会かなって思っています」

──押忍。この試合を終えると、2025年ももうほぼ半分を残すのみになります。これからの半年間はどこにターゲットを置いていますか。

「やっぱりDEEPバンタム級のタイトルを取りたいです。日本のバンタム級で福田選手が一番強いんじゃないですかね。だからDEEPのタイトルが欲しいです」


■DEEP TOKYO IMPACT2025#03視聴方法(予定)
5月25日(日)
午後5時10分~U-NEXT、DEEP/DEEP JEWELS YouTubeチャンネル メンバーシップ

■DEEP TOKYO IMPACT2025#03計量結果

<バンタム級/5分3R>
雅駿介: 61.7キロ
窪田泰斗: 61.65キロ

<60キロ契約/5分2R>
RYOGA: 59.65キロ
咲季: 60.0キロ

<68キロ契約/5分2R>
太田将吾: 67.75キロ
カンジ: 67.85キロ

<ライト級/5分2R>
ケンシロウ: 70.65キロ
川島悠汰: 71.15キロ

<フライ級/5分2R>
マサト・ナカムラ: 57.1キロ
松井優磨: 57.15キロ

<59キロ契約/5分2R>
安永吏成: 59.0キロ
竹見浩史郎: 58.85キロ

<ライト級/5分2R>
山田聖真: 70.75キロ
宇良拳: 70.15キロ

<フライ級/5分2R>
武利侑都: 56.95キロ
平井聡一朗: 56.85キロ

<バンタム級/5分2R>
石坂空志: 66.05キロ
時任流架: 66.25キロ

<OPアマチュア ライト級/3分2R>
中尾響: 70.05キロ
三好順一朗: 70.1キロ

<アマチュア バンタム級/3分2R>
丈太: 61.55キロ
寉岡樹記: 61.65キロ

■DEEP JEWELS49視聴方法(予定)
5月25日(日)午後12時25分~
U-NEXT、サムライTV、DEEP/DEEP JEWELS YouTubeチャンネル メンバーシップ

■DEEP JEWELS49 計量結果

<50.75キロ契約/5分3R>
HIME : 48.95キロ
重田ホノカ: 50.75キロ

<58キロ契約/5分3R>
栗山葵: 57.7キロ
奥富夕夏: 57.6キロ

<49キロ契約/5分2R>
彩綺: 48.95キロ
SAAYA: 49.0キロ

<54キロ契約/5分2R>
横瀬友愛: 53.75キロ
成本優良: 53.6キロ

<キック 60キロ契約/3分2R>
エレナ: 59.05キロ
ちゃんりな: 57.9キロ

<アマチュア ストロー級/3分2R>
あきぴ: 50.5キロ
堀内美沙紀: 52.65キロ

<アマチュア 50キロ契約/3分2R>
大井すず: 49.1キロ
渡辺真央: 49.7キロ

<アマチュア ストロー級/3分2R>
和智美音: 51.7キロ
山吹マリン: 51.85キロ

The post 【DEEP TOKYO Impact2025#03】計量終了 窪田戦へ、雅駿介「練習以外の20時間、22時間の使い方」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB BELLATOR LFA MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase353 PFL UFC YouTube アテバ・グーティエ ゴイチ・ヤマウチ 内藤由良 岩﨑大河 栄養 海外 食事

【Pancrase353】ウェルター級転向初戦、内藤由良「ゴイチはUFC首脳が、喜ぶ土産になる」

【写真】アイアンクローの形が、ちょっと違う由良版アイアンクローを披露してくれました(C)MMAPLANET

27日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE 353で、内藤由良が初めてウェルター級に階級を落としゴイチ・ヤマウチと戦う。
Text by Manabu Takashima

昨年9月にUFCへの切符を賭けて出場したコンテンダーシリーズでキャリア初黒星を喫し、ミドル級からウェルター級転向を決めた。しかも、対戦相手はBellatorとPFLで活躍してきた元メジャーリーガーのゴイチ・ヤマウチだ。サークルケージで14勝5敗の戦績を残すゴイチは、ウェルター級試し斬りの相手としてタフ過ぎるのではないか。

目標がUFCというMMAファイター人生の軸はブレない。勝てば大きなゲインのゴイチ戦だからこそ、リスクは高い。そんな未確定要素が多すぎるウェルター級転向初戦に向け内藤は「楽しみの方が多い」と言い切った。


──昨年9月コンテンダーシリーズでのアテバ・グーティエ戦の敗北以来、半年ぶりの再起戦となります。会場で立ち話はしても、あれから取材は初めてでもあり、改めてあの敗北について話してもらえますか。

「試合前にも話させてもらったのですが、やられるとしたらこのパターンだと。まぁ、その通りになってしまいましたね」

──初の海外で、あのフィジカルを持つ相手と肌を合わす。あの場に立つまでに、経験しておきたい経験が国内でできない。その表れのようにも感じました。敗れて、まずはどのようなことを考えましたか。

「まずはフィジカル差ですよね。それは試合中もそうなのですが。相手は計量の時、めちゃくちゃ厳しそうだったんですよ。でもケージに入ると別人でしたね。それが第一印象、『デケェなぁ』と。もう、そこにつきました。

減量に関して自分なんかは、UFCから水抜きに提供されるもの以外だとサウナスーツ一枚しか持って行っていなかったです。相手は簡易サウナとか色々と一式を用意していたので、かなり落とすことは分かっていました。組んだ時も、普段は倒せる状態でも、全然倒せない。GENでやっているのとは全然違う。現実を突きつけられたということはありました」

──その現実が、予想されたことでもあった。日本の現状がその対処ができない状況にある。突き付けられたのは、その現実でもあるように感じました。

「寝技に関しては自分の方が上回っていると思っていましたし、テイクダウンをしっかりと取ることができれば自分が描いたペースで戦える。日本のなかで、やれることはやってきたと思うんです。レスリングの練習も頻繁にやってきましたし。足を取ってからの展開を練習したりだとか。倒してからの寝技の展開もたくさんやってきました。日本でやれることはやった。そのうえでの負けでした。

だから、しょうがないとは言わないけど、やりかたとしては最善だったと思うんです。そのなかで当日の体重差、10キロ以上はあったと思います。自分は小さいと、やっと感じた……。それまでは減量をせずに動けていることが、良いことだと思って戦ってきました。試合まで元気でいられる。試合の直前までファイトキャンプができることが自分の強みだと。それが通用しなかったです」

──それをあの場で始めて経験した。その前に海外に直接出向くことを省いたところで、経験できる環境が日本にないまま来ている。そういうことを再確認させられたということなんです。ただ、そういう国内の状況があるから無傷で、あの場まで進むことができるという一面もあるのですが。

「目標がUFCで、そこがブレることはない。そのために骨のある相手、自分の力を試すためにLFAで試合ができれば、そういう経験ができたかもしれないです」

──まさに昨年6月に予定されていたディラン・オサリバンがそういう相手だったかと思います。

「そうなんです。ただ、そういう経験がないからといって、コンテンダーシリーズというチャンスを断ることはできない」

──もちろんです。ならMMAを続ける必要はないですよね。

「ハイ。なら、辞めろよ──です。結果論ではあるのですが、ミドルで海外勢と戦うことで何が大切なのかを早く気付くべきだった。いや気付いていたけど、上手く進めることができなかったです」

──だからこそ、業界全体……は無理でも、突き詰める集団が経済的な力をつけることが絶対的に必要かと思います。コンテンダーシリーズの敗北を経て、すぐにウェルター級に体重を落とすことを考えたのでしょうか。

「直後は余り考えられなかったですけど、過去の海外での練習なんかも含めて年末まで考えて、これまでと同じことをやってもしょうがない。変化して、先に進まないといけない。ここは階級を変えてやっていこうと決めました」

──水抜きでパフォーマンスが落ちる。その疑念を持ち続けてきたのですね。

「レスリング時代でも、そういう減量はしてこなかったので。それが当たり前だったから、決断を下すまで時間がかかりましたね。でも、これから後悔するよりも行動を起こそうと。相手がどうこうよりも、自分がウェルターでどれだけ動けるのかっていう方が大切になってきます」

──現状、試合まで2週間という状態で今回とミドル級時代では体重は違いますか(※取材は11日に行われた)。

「全然違います。ミドルのときは90キロを切るぐらいでしたけど現時点で、練習終わりで84キロぐらいになっています。ミドルならクリアできていますよね。でも全然元気で、スパーリングでも動けています。ウェイトも同じ数値ぐらい挙げることができていて、走りも変わりないです。

栄養士の方とはファイトウィークに入って、84キロから落としていくということで話してやっています。現時点では食事のみで、体重調整をしてきました。ここから最後の水抜きをお願いしています」

──これまで一度、試しで77キロまで落とすなどしたのでしょうか。

「いえ。そもそも70キロ台は高校の時から、経験していないです(笑)。まぁ不安はあります。でも、楽しみの方が大きいです。減量の知識が加わることでも、強くなることに通じる。そのための勉強だと思っています。現時点では自分の体が77キロになった時に、どういう心境になるのかも分からない状態ですし。本当に勉強不足なので……。新しい経験です」

──ミドル級と同じ動きができると絶対的な強さは同じでも、対戦相手は小さくなるので相対的には強くなると。それでもゴイチ・ヤマウチという相手は初めてのウェルター級の試合で、リスクが高くないでしょうか。

「相手のことは気にしていないです。ゴイチ選手以外にも、最初は韓国やキルギスの選手の名前も挙がっていました。そこからゴイチ選手もという風に聞いて、どうせ戦うならゴイチ選手と戦いたいと思いました。名前のある選手なので」

──今回は安パイのファイトをするのも、間違いではないかと思います。減量も初めてだし。

「単純に自分はゴイチ・ヤマウチに勝てると思っています。一つの試合としか考えていないです。もともと相性とか相手の強さとか、いうと試合結果もそれほど気にしていないんです。格闘家として、戦っていかないといけないわけですし。

強い相手とやっていかないと。相手を選んだりすると、自分が後悔することになります。あとから後悔するのは嫌なので、UFCに近づける道としてゴイチ選手が一番妥当だと思ったので、それで選んだ。それだけの話です」

──勝てる、その自信の根拠は?

「彼はとにかく寝技に自信を持っています。だから打撃でもタフファイトができる。そういう熱くなる選手を客観視して、いくつか癖はあるのでそこを見抜いて……。ダウンをもしているし、パンチがあたる場面というのがあります。自分の方がリーチも長いですし、そこを生かして。仕留めるのが目標ですよね」

──「もう1度、コンテンダーシリーズで見たい」とファンが思うファイトが必要になります。

「理想はKO。判定でも完封。寝技に特化した選手なので、あまり一本を取ろうとは思っていないです。総合力で上回る。それがMMAで。自分の長所を生かして、しっかりと仕留めてUFC首脳陣へ土産を持って行きたいです。ゴイチ・ヤマウチは喜んでもらえると土産だと思います」

──ところでコンテンダーシリーズ前に同じぐらいの体格の若い選手で集まって練習をしたいということですか。その辺りは進んでいますか。

「一緒に集まってということはやっていないのですが、僕がクロスポイント吉祥寺に行って岩﨑大河選手と練習したり、Never Quitの菊入(正行)選手がGENに来るようになって一緒にやったりしています。本当に申し分ない練習相手だと言えます。自分から率先して、彼らのような選手とトレーニングをするようになると、自然と求めるモノが同じ選手は集まってくるような気がします。目指しているモノは世界で。同じぐらい階級の選手が、同じ志をもって日本人としてチームでやっていく。それも大事だと思います。自分がそこを繋げていければ良いかと」

■視聴方法(予定)
3月27日(日)
午後1時00分~U-NEXT

The post 【Pancrase353】ウェルター級転向初戦、内藤由良「ゴイチはUFC首脳が、喜ぶ土産になる」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 MMA MMAPLANET o PFL PFL WT2025#02 イララ・ジョアニ エローラ・ダナ リズ・カモーシェ 栄養

【PFL WT2025#02】過去最高の減量──リズ・カモーシェが、ジョアニに何もさせずTKO勝ち

【写真】他のトーナメント3試合と比較して、圧倒的に強かった(C)PFL

<女子フライ級T1回戦/5分3R>
リズ・カモーシェ(米国)
Def.1R1分25秒by TKO
イララ・ジョアニ(ブラジル)

開始直後にジョアニの左にカウンターの右フックでダウンを奪ったカモーシェ。すぐに立ち上がったジョアニにラッシュを掛ける。クリンチに持ち込んだジョアニだが、体を入れ替えたカモーシェが左でボディを殴り、左ヒザを連続で入れる。崩れたジョアニを殴るカモーシェはキムラを防いで、鉄槌を連打。あっという前に勝利を手にした。

「栄養士を雇い、ストレングスコンディショニングコーチの指導をうけた。こんなにスムーズに減量ができたことはなかった。宣言していたようにレバーショットで勝てた(笑)。いつだって若い、これからの選手と戦うことを楽しみしている」と話し、非常に険しい上場のエローラ・ダナと向き合った。


The post 【PFL WT2025#02】過去最高の減量──リズ・カモーシェが、ジョアニに何もさせずTKO勝ち first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
GFL o ONE YouTube その他 チャンネル 体組成 栄養 筋トレ

格闘家のための減量と栄養。食事方法・流れ。ボクシング、柔道、レスリングなど

あくまでもベースなので、競技や自信の環境に合わせてアレンジしてください。
00:49 格闘技の概要
02:44 格闘技ごとに必要な栄養
03:42 フェーズごとの栄養戦略
04:30 フィジカル準備期
05:57 試合準備期
07:26 テーパリング
09:41 計量後の回復
10:33 まとめ

【関連動画】
クレアチンの効果と摂取方法

筋力アップのトレーニング方法

ケツの筋トレ

【参考文献】
国際スポーツ栄養協会ポジションスタンド:総合格闘技やその他の戦闘スポーツのための栄養と減量戦略
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/15502783.2025.2467909#d1e515
エリートアスリートの2つの異なる減量率が体組成と筋力とパワー関連のパフォーマンスに及ぼす影響
https://journals.humankinetics.com/view/journals/ijsnem/21/2/article-p97.xml
コンバットスポーツにおける減量戦略と総合格闘技における習慣
https://journals.humankinetics.com/view/journals/ijspp/13/7/article-p933.xml

☆★☆★☆★☆★☆★
監督:井上大輔
企画・撮影・編集:井上大輔
語り:VOICEVOX:ずんだもん、VOICEVOX:四国めたん
BGM:shimtone様
ご不明な点やこんな動画が見たい!というようなリクエストはお気軽にコメントください!
ポジティブなコメントをくださる方、ニュートラルに意見を下さる方、大好きです。いつもありがとうございます!
この動画が良い!と思う方は高評価&チャンネル登録よろしくお願いします^^

【主な情報仕入れ先】
PubMed/論文検索サイト
NSCA/全米ストレングス&コンディショニング協会
ACSM/アメリカスポーツ医学会
BMJ sport medicine/ブリティッシュメディカルジャーナル
Harvard Health Publishing/ハーバード・ヘルス・パブリッシング
ほか

このチャンネルの運営監督者の井上のプロフィールはコチラ↓
https://inoue-gym.com/blog/自己紹介~創業の想い~/
胃を切った人に対しての情報発信をアルファクラブ会報誌にて連載しています。
https://alpha-club.jp/category/weightgain/

ここから下はパーソナルトレーニングジムIGFのSNSとジムの紹介です!
【〜Instagramアカウント〜】
株式会社IGF-Training Gym-
(ID @privategym_igf)
https://www.instagram.com/privategym_igf

【運動・栄養・遊び】を通じて皆さんと健康と楽しさを追求していきます!

コンテンツは1週間に3本を目標に更新しています。

どんどん皆様の役に立つコンテンツを上げていきますので是非チャンネル登録お願いします!

⚠️コメントやHP経由などで誹謗中傷ほか揚げ足取りなど迷惑行為と判断した方は非表示および記録をもって、顧問弁護士への提出並びに開示請求を積極的に行います。
私としては、こちらから火種を撒いたりせず、研究で言われていること・問われていることをニュートラルに発信したい(ただ平和に運営をしたい)だけです。
稀に、シンプルに相手の気分を害するような人がいますが、めちゃくちゃ嫌いです。

〜おわりに〜
日本橋駅周辺でパーソナルトレーニングジム、プライベートジムをお探しの方は是非一度カウンセリングにいらしてください。
マンツーマンのトレーニングは運動が初めてでフィットネスクラブを検討している方にもオススメです。

ダイエットはもちろん、肥満や脂質異常症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の改善からバルクアップ(筋肉をつけて身体を大きくする)、スポーツパフォーマンスアップまで行えます。

程度にもよりますが腰痛や五十肩、変形性膝関節症、脊柱管狭窄症といった慢性的な痛みを抱えている方でも、身体をチェックし運動が出来るプログラムをご提供させていただいております。

是非お悩みを一度ご相談いただければと思います。
皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。

パーソナルトレーニングジムIGFのページはこちら
https://inoue-gym.com

カウンセリングのご予約はこちらから
https://inoue-gym.com/contact/