


フライ級。ザキロフ5位、マスンヤネはストロー級の3位。ザキロフはストロー級でも5位に入っている。
ウズベキスタンのザキロフはONE本戦2勝0敗、キャリアでも12戦全勝の21歳。昨年3月のFriday Fightsでは本田良介にストロー級で2RKO勝ち。今年1月のONEデビュー戦では、フライ級から落としてきた和田と対戦し判定勝ち。前戦は140ポンドのキャッチウェイトでインドネシアのサプトラに2RKO勝ち。
南アフリカのマスンヤネはONE4勝2敗の30歳。マスンヤネもずっとストロー級の選手で、この試合からフライに上げている。ONEでは澤田龍人、箕輪ひろば、山北渓人に勝利。しかし前戦ではロシアのマンスール・マラチエフに敗れている。
オーソのザキロフにマスンヤネはサウスポー。左右のミドルを入れたザキロフ。マスンヤネ左右にステップ。お互いスイッチを見せる。ザキロフ首相撲からヒザを一発入れた。マスンヤネの飛び込みにカウンターの左をヒット。バランスを崩したマスンヤネ。ザキロフは間合いに入ると首相撲からヒザを入れる。マスンヤネ左ハイ。タックル。マスンヤネは両足を後方に投げ出しスプロール。足がリング外に出てブレイク。今度はマスンヤネタックル。テイクダウン。ザキロフスクランブルで脱出。スタンドに。詰めてミドルを入れるザキロフ。ジャブ。ボディブロー。マスンヤネカーフキック。ザキロフのアッパーがヒット。サウスポーからの左ストレートも入れる。組んできたマスンヤネに首相撲ヒザ。さらにスタンドバックについてテイクダウンを狙う。しかしマスンヤネバランス良く倒れない。スタンドバックでコーナーに頭を付けたマスンヤネ。ザキロフはバッククリンチのままヒザを太ももに入れていく。放してハイキック。さらにパンチのラッシュ。マスンヤネブロッキングで凌いだ。マスンヤネ詰めていく。ザキロフジャブ。飛び込むマスンヤネ。ゴング。
2R。パンチを打ち込むザキロフ。飛びヒザ。さらに首相撲ヒザ。バックスピンキックはマスンヤネがかいくぐってかわした。ハイキックから首相撲ヒザ連打。ジャブ。ワンツーがヒット。マスンヤネ間合いに入れない。入ろうとしたところにザキロフのアッパーをもらう。ザキロフの手数が多いが、マスンヤネもクリーンヒットはもらっていない。ザキロフ右ボディ。マスンヤネのカーフキックでザキロフスリップダウンしたが、すぐ立った。またカーフを入れたザキロフ。ザキロフタックル。ロープの間から体を外に出し防いだマスンヤネのボディにヒザを入れる。離れた。マスンヤネシングルレッグ。そこからスタンドバックにつなげようとしたが引き剥がしたザキロフ。左右のパンチを入れるおまた首相撲からのヒザ連打。ボディを入れたザキロフ。マスンヤネ効いたか。動きが落ちた。ザキロフ高速タックル。一気にスタンドバックに回る。正対したマスンヤネ。離れる。またボディを入れるザキロフ。ボディアッパーからアッパー。しかしマスンヤネのカーフで足が流れる。マスンヤネ飛びヒザからカーフキック。足払いのように倒した。ゴング。
3R。アッパーを入れるザキロフだが、マスンヤネまたカーフキック。マスンヤネが詰めてくるがステップでかわすザキロフ。ザキロフタックル。切ったマスンヤネ。またカーフキック。ザキロフワンツー。さらにタックル。切ったマスンヤネ。左右のパンチを打ち込むザキロフ。マスンヤネタックル。切った。右をヒットさせるザキロフ。ジャブからワンツー。ザキロフかなりパンチの手数を出しているが、さすがに疲れが見えてきた。ザキロフタックルへ。受け止めたマスンヤネ。ザキロフ離れ際に左フック。そこからタックルへ。テイクダウン。完全に寝かせた。マスンヤネも消耗しているのか、背中を付けている。ザキロフハーフからパウンド・ヒジ。バックに回った。四の字バック。残り1分。バックから殴るザキロフ。マスンヤネもはやグロッキーか。バックからヒジの連打を頭部に入れる。逃れられないまま打たれ続けているマスンヤネ。タイムアップ。
判定3-0でザキロフ勝利。
2Rまで両者ノンストップで攻め続けたが、3Rはマスンヤネがボディを効かされたのか、動きが落ちてテイクダウンを許すと動けなくなりバックを制されて判定負け。ザキロフは打撃・タックルともにハイレベル。次にランカー相手に勝ったらタイトルマッチか
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
山北渓人(日本)
Def.3-0
リト・アディワン(フィリピン)
山北がステップから距離を詰める、ワンツーで迎え撃つアディワン。右ストレートから左を返し、山北を下がらせる。山北はシングルレッグからドライブし、ダブルレッグに切り替えてグラウンドに持ち込んだ。ディープハーフからスクランブルを狙うアディワンを押さえ込む山北。首と足を畳んで丸め込み、アディワンの頭部に鉄槌とヒジを落とす。さらにパスを狙う山北の顔面に、アディワンは鉄槌を打ち込むも勢いは止められず。山北が右側へパスを狙うと、アディワンもハーフで守るが山北は相手の足を抱えてリバーサルを許さない。
さらにアディワンの顔面にパウンドとヒザを連打。アディワンの左腕を一度捉えたが、ディフェンスされるとアディワンの首を抱えるなど山北の動きが止まらない。スクランブルに持ち込むアディワンの首を取った山北がニンジャを狙うも、腕を差し込めず。首を抜いたアディワンが立ち上がると、山北もスタンドに戻った。リング中央でパンチからシングルレッグに繋げた山北が、アディワンに背中を着かせて即パスを狙う。サイドに回った山北がヒザを叩き込み、アディワンが立ち上がるとギロチンへーーと動きが止まらず初回を終えた。
2R、距離を詰める山北を、アディワンが右前蹴りで迎え撃つ。しかし続く跳び蹴りで足を滑らせ、山北にバックを奪われてしまう。山北はバックマウントを狙いながら、アディワンが反転するとブルドッグチョークへ。これは極まらずも仰向けになったアディワンの顔面にパンチを落とし、再びバックに回った。アディワンも反転して立ち上がり、今度は山北のバックに回った。山北はアディワンの左足を抑え、亀からアディワンに背中を着かせてトップへ。
ハーフガードのアディワンの頭をダースチョークで捕らえる。頭部にヒザを打ち込みながらノースサウスに回る山北。立ち上がったアディワンをロープに押し込む。アディワンは山北を抑えてヒザ蹴りを狙うも、ここは山北がかわして立ち上がる。山北はアディワンのパンチを受けながらもシングルレッグでグラウンドに持ち込んだ。アディワンも右腕を首に回しながら、バックを狙ったところでラウンドが終了した。
最終回、山北が距離をつくって左右にステップを踏む。徐々に距離を詰めた山北に対し、アディワンが左ボディから右ストレートを直撃させた。山北もパンチを食らいながらシングルレッグへ。これは切られてヒザを狙われるも、スタンドに戻った山北が再びシングルレッグで飛び込み、クリーンテイクダウンを奪う。
ハーフガードのアディワンの顔面にパンチとヒジ、ヒザを打ち込み削っていく山北。アディワンが体を起こすと、山北がギロチンに捕らえる。アディワンがスクランブルを狙うとダースチョーク、さらにシングルレッグで制する山北。アディワンもヒジを叩きつけるが山北の動きを止めることはできない。アディワンの体がロープの外に出たため、ドントムーブが掛かる。再開後に即アディワンに背中を着かせ、ノースサウスからヒザを連打して試合を終えた。
裁定は文句なく、山北のユナニマス判定勝ち。アディワンも攻め続けたが、さらに上回った山北と笑顔で握手を交わした。
【写真】ONEで戦うことに邁進。葛藤もない。一番良い精神状態を保つことができるかと(C)TAKUMI NAKAMURA
8日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムでONE Fight Night28「Prajanchai vs. Barboza on Prime Video」が開催され、山北渓人がリト・ アディワンと戦う。
Text Takumi Nakamura
昨年8月、山北は自らが「ストロー級日本最強を決める戦い」と位置付ける猿田洋祐との一戦にスプリット判定ながら勝利を収めた。この試合で山北は持ち味のレスリング力に加え、スタンドやグラウンドの際での打撃を有効に使い、MMAファイターとしての成長を見せる内容だったといえる。
アディワン戦の2週間後=ONE171ではジョシュア・パシオ×ジャレッド・ブルックスの王座統一戦が組まれており、山北にとってはアディワン戦の結果と内容をタイトル挑戦につなげるものにしたいはずだ。
打撃を学ぶことで広がるMMAファイターとしての可能性とONEストロー級王座にかける想いを山北に訊いた。
――昨年8月のONE Fight Night24で山北選手は猿田洋祐選手との日本人対決にスプリット判定で勝利しました。あの試合を振り返ってもらえますか。
「猿田さんはONEの元チャンピオンで、自分の中では日本人で1番強い相手だと思っていたんで、タイトルはかかっていなかったですけど、タイトルマッチぐらいの意気込みでやりました。試合ではやられた部分もありましたが、勝ち切ることができて自信には繋がりましたね」
――山北選手にとっては大一番だったわけですね。
「意気込む感じというよりは『ここで勝ったらでかいぞ!』と自分に言い聞かせて、かなりいい状態で戦えたと思います」
――試合前にも「ストロー級日本最強を決める戦い」と言われていましたが、山北選手にとって猿田選手は越えなければいけない壁だったのでしょうか。
「まさにそんな感じです。僕が大学生ぐらいの時、ちょうど猿田さんがONEに出るか出ないかの時で、自分は身体が小さかったので、MMAをやるならストロー級だと思っていたんです。当時はMMAに詳しくなかったですが、猿田さんの試合を見て、この人が(ストロー級の)日本のトップなんだろうなと思っていました。実際に猿田さんはONEでもチャンピオンにもなっているし、猿田さんは北方(大地)選手に勝っていて、僕も北方選手に勝ってパンクラスのタイトルを獲ったので、猿田さんに勝つことは一つの目標でした」
――猿田選手と肌を合わせて通用したこと、通用しなかったこと、それぞれどのような部分で感じましたか。
「自分はレスリング出身で、少し打撃が苦手だったんですけど、自分の打撃を当てることができて、打撃では優勢に戦えたと思います。ただ組みの部分では、テイクダウンも取れてレスリングは対応できたんですけど、猿田さんは寝技の柔術的な動きやスイープの動きが上手かったし、トップキープも上手くて、なかなか逃げづらかったんです。そこはやられてしまったな、と。柔術的な動きでは負けましたが、際の打撃だったりスクランブルの中でヒジを当てることができたのが勝因になったと思います」
――打撃はずっとリバーサルジム新宿Me,Weで練習しているのですか。
「そうですね。基本的には山﨑(剛)さんと打撃コーチの大野(崇)さんに指導してもらっています。あとは(藤田)大和さんにも直接ミットを持ってもらってアドバイスをいただいたり、弟の(藤田)健児さん(現プロボクシングWBOアジアパシフィックフェザー級王者)にも週1でMe,Weでミットを持ってもらっているんですよ。健児さんは経験豊富で、あまり打ち合わずに打たれずに打つみたいな、長い距離で戦うスタイルで、それが今すごく自分にハマっているんですよね。試合でも大きい打撃をもらうことがなくなりました」
――今お話を訊いているとMe,Weにはキック出身の大野さん、プロボクサーの藤田健児選手が指導していて、打撃のトレーナー陣もものすごく充実していますね。
「イメージ的に組み技・寝技が強いチームと言われがちですが、打撃でもトップのコーチが揃っていると思います。所属選手でも空手の子がいたり、テコンドーの子がいたり、色んな打撃のバックボーンを持った選手がいるので、それぞれの技のことを聞いたり、実際にやってみたりして、いい部分は取り入れています。逆に自分に合わなそうな技でも、それを知っておくだけでも対応はできるので、そういう意味でも学ぶことは多いです」
――組み技ベースの選手が打撃の練習に力を入れて、ファイトスタイルが崩れてしまうパターンもありますが、そうならないように意識はしていますか。
「アマチュア時からそうなんですけど、打撃をしっかりやるつもりで試合をすると、スタンドでいい距離に入れるので、結果的にテイクダウンにも入りやすいんですよね。スタンドの距離や立ち位置が良くないと、打撃もらってしまうし、組みにもいけない。結局、打撃ができる距離・位置は、テイクダウンに入りやすい距離・位置だったりするし、アングルの取り合いも上手くなっていると思います」
――打撃の距離ではなくスタンドの距離という考えたなんですね。打撃が当たればタックルにも入れるという。
「まさにそこは健児さんに教えてもらっていることですし、あと過去にヘンリー・フーフトさんのセミナーにも参加させてもらったことがあって、そこでも距離とアングルをすごく徹底していたんですよね。そのために色んな動きを入れるんですけど、 僕はその2つがスタンドの基本だと思っています」
――打撃専門のトレーナーに距離やアングルなど細かい部分を指導されることで、曖昧だったところがより明確になっていますか。
「はい。変に組もう、組もうとはならなくなりましたし、打撃が見えているという自信も持てて、気持ち的にも落ち着けます」
――では打撃の練習を重ねてストライキングが上達したというよりも、MMA全体のレベルが上がっているのですね。
「あくまでも自分はグラップラーですし、猿田戦は猿田さんの方が組みや柔術的な部分で僕より上回っていたから打撃で勝負しようという試合になっただけで。 逆に相手の打撃が強いなと思っていたらテイクダウン狙いに切り替えていたと思います。それがやっぱり自分のMMAにおける勝ち方だと思いました」
――キャリア的にも自分のMMAのファイトスタイル的にも猿田戦の勝利は大きかったのですね。
「そうですね。経験的にもいろんな攻防が生まれたし、打撃に自信を持てた反面、猿田さんの組みの対応にはやられたところもありましたが、自分が練習でやってきたことが試合に出て、それを再確認できたと思います」
――さて今回のリト・ アディワン戦はどのくらいのタイミングでオファーがあったのですか。
「昨年末くらいに話をもらった感じですね。ちょうど大和さんも1月に試合が決まるか決まらないかのタイミングだったので、一緒に年末年始にいい練習できました」
――猿田戦が8月だったので、年内もう一試合やりたかったのか。それともそこは相手次第でしたか。
「そうですね。スケジュール的にはあと1試合できるかなと思っていたんですけど、試合の時期さえ決まっていれば安心できるので。相手のアディワンも実は何度かオファーがあって、いつかやるだろうと思っていた相手だし、やりたかった相手です」
――対戦相手としてリト・ アディワンの印象は?
「柔らかい感じがあって、ガンガン打撃を振り回す。組みもできないわけじゃなくて、柔術的な動きというよりも、 パワーが強くて極めができる選手という印象です。寝ても立っても危険な相手だと思います」
――アディワンは元チームラカイで、洗練されていない部分もありますが、逆に荒々しさが武器になっている選手だと思います。
「試合を見ていると荒々しさがいい方向に出ていると思います。例えば同じ元チームラカイでもジョシュア・パシオは洗練されているというか綺麗なスタイルですが、アディワンは破壊力がある感じですよね。ただそういうガンガン出てくる相手の方が僕はやりやすいので、相性はいいと思っています」
――アディワンの一発の打撃には気をつけつつ、丁寧に戦えば攻略できるという考えですか。
「そうですね。一発をもらわないというのはアマチュア時代から気をつけてやってきたことなので、今回もそこが大事だと思いますし、もちろん楽な相手ではないと思っています」
――まさに打撃という部分で言えば、これまでの積み重ねが試合で出れば戦いやすいですよね。
「やっぱり打撃は組むためのものなんですけど、そこはしっかり効かせた方がテイクダウンに入りやすいと思うので、スタンドではしっかりダメージも取りつつ、相手には打撃を当てさせない。そういう距離・アングルをしっかり作って戦いたいです。無理して強引にテイクダウンを狙うみたいな試合はしたくないですね」
――猿田戦も大きなポイントだったと思いますが、昨年1月の日本大会でボカン・マスンヤネに敗れてからは2連勝していて、マスンヤネ戦の敗北も糧になっていますか。
「そうですね。あの試合は調子が良すぎて、下からでも(一本を)取る自信があったんです。それでいざ試合になると、逆に下からに取ることにこだわってしまって、自分の1番強いところで勝負できていなかった。悔しいですけど自分の強いところを出さないと勝てないということを再認識できました」
――自分が勝つために何をすべきかを思い出しましたか。
「はい。もう一度そこに戻って来ることが出来たし、もしあそこで勝っていたとしても、どこかで同じような試合で負けていたと思います。だから早いうちにそれを経験できたことは良かったかもしれません」
――山北選手の試合の約2週間後にはジョシュア・パシオ×ジャレッド・ブルックスのストロー級王座統一戦が組まれています。そこは意識していますか。
「ONEはランキングに入っていれば上位じゃなくてもタイトル戦を組んでくれるので、今回の勝ち方は大事になってくると思います。ジャレッドはアディワンを極めて勝っているので、自分もフィニッシュして勝って、そこと並ぶ選手なんだというところを見せたいです」
――ストロー級もランキングこそ存在しますが、どの選手も実力伯仲だと思います。
「中央アジアやロシア系のレスリングが強い選手たちが参戦して、和田竜光選手も階級を落としてきて、ストロー級そのものが盛り上がってきて、注目されるようになったと思います。僕も色んな選手と戦えたらいいなと思います」
――前回和田選手のインタビューした際、和田選手は「ストロー級という階級においてONEが世界一」とコメントしていました。山北選手も同じ考えですか。
「もちろん、僕も同じ気持ちです。MMAを始めた時、ストロー級で国内タイトルを獲って海外に行こうと思ったら、階級を上げないといけないと思っていたんです。でもONEにはストロー級があって、ストロー級にどんどん選手が集まっている。ONEのベルトはそれだけ目指す価値があるものだと思いますし、今はONEでチャンピオンになることが大きな目標です」
――具体的には2025年内にはタイトル挑戦したいという気持ちもありますか。
「あまり焦らないようにはしつつも、そろそろ挑戦してもいいんじゃないかなという話が出るようにはしたいです。今回良い勝ち方をして、次は上位ランカーとの対戦を経験して、そこで挑戦待ちが理想かなと思います」
――3月にONE日本大会も開催されますが、この試合を楽しみにしているファンもたくさんいます。そういった方たちにメッセージをいただけますか。
「今回相手もすごくアグレッシブなファイターで、自分もどんどんフィニッシュを狙うファイトスタイルなので、絶対に面白い試合になると思います。ぜひ日本から応援よろしくお願いします」
■視聴方法(予定)
2月8日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
山北渓人(日本)
Def.2-1
猿田洋祐(日本)
猿田が距離を詰める。山北にロープを背負わせて、左ジャブをボディに伸ばした。山北はシングルレッグで飛び込みながら脱する。リング中央で山北が左ハイを見せた。サークリングする山北に左ジャブを突く猿田。山北はシングルレッグで飛び込み、猿田に右ヒザを着かせた。左足を抱えられた猿田は立ち上がり、切り返してトップに回し、山北に背中を着かせる。山北はハーフガードへ。
リバーサルを狙った山北を猿田が抑え込む。山北が三角からオモプラッタへ。左腕を巻き込み、さらに腰を抱える山北。猿田はリフトアップして左腕を抜き、再びトップを奪った。立ち上がった猿田にダブルレッグで組んだ山北。猿田がこれを切ってパンチを打ち込みながらバックを狙う。サイドバックからパンチを打ち込む猿田は、ラウンド終了間際、山北に背中を着かせた。猿田が立ち上がると、山北も立ち上がりラウンドを終えた。
2R、山北の右クロスが猿田の顔面を捉えた。下がる猿田に山北が右を当て続ける。パンチを放ちながらダブルレッグで飛び込んだ山北が、両足をすくって背中を着かせた。山北がバックに回るも猿田が切り返してトップを奪う。ハーフガードの山北に右ヒジを落とす猿田。山北はスクランブルからシングルレッグで組み、起き上がるも猿田は右足を差し入れ、パンチで削って潰していく。再び山北に背中を着かせた猿田は、スクランブルに持ち込もうとする山北をクルスフィックスで制し、トップからパンチで削りテイクダウンを許さない。
一度立ち上がった猿田が、シングルバックからパンチで削る。山北は猿田の足をすくってトップを奪うが、すぐに猿田もスクランブルに。ガブった山北は、猿田の頭部にヒザを突き刺す。なおも押し込んでくる猿田の首を山北が抱えるが、そのまま猿田が首を抜き、上からパウンドと右ヒジを落としていった。
最終回、リング中央で打ち合う両者。猿田の右ストレートを受けた山北が一瞬下がった。しかし山北も左ジャブから右を振るい、盛り返す。山北が距離を詰めると、猿田がダブルレッグで飛び込んだ。山北はスプロールするも、猿田が組み直してグラウンドに持ち込む。ガブり続ける山北を押し込む猿田。山北の両足がロープから出て、ブレイクが掛かる。スタンドで再開後、山北が右ストレートを当てる。猿田の動きが落ちたか、パンチにスピードがなくなる。
猿田の右に対し、山北がインサイドから左ジャブを突く。リング中央から猿田がダブルレッグでドライブした。山北はガブり、ここも両足が外に出たためブレイクに。前に出る猿田に山北がカウンターの左フックを合わせた。残り30秒で、猿田が右跳びヒザからバックに回った。これを切り返してバックを狙う山北。さらに猿田がトップを奪うなど、試合終了までノンストップのポジション争いが展開された。
裁定はスプリットで山北の勝利に。
【写真】長女、彩雪(いぶき)ちゃんと。ママがお迎えにくるまで、FIGHT BEAT WORKOUTで一緒に過ごす(C)MMAPLANET
明日3日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムでONE Fight Night24「Brooks vs Balart」が開催され、猿田洋祐が山北渓人と日本人対決を行う。
Text by Manabu Takashima
修斗とONEの世界王座を巻いたベテランが、パンクラス王者から世界最高峰ONEストロー級王座を目指す山北と戦う。世代、日本でのホームが違う山北との一戦はジム経営&指導をしながら、限られた時間をやりくりして現役ファイター生活を送る猿田にとって自分の戦いであり、自己肯定するためのファイトとなる。
――2月のマンスール・マラチェフ戦、ジム経営者として初めて挑んだ試合に敗れ、今回の山北選手との試合はそれ以来となるファイトです。
「1年半以上、試合期間が空いての復帰戦でしたが、もちろん勝つつもりで戦っていました。準備期間は3週間しかなくても、ベストは尽くしました。その結果の敗北ということで、納得はしています。強かったです、あの押し込みとか。ケージだったら、もっと何もさせてもらえなかったかもしれないです。押し込みの力強さは、過去に感じたことがないモノでした。
でも3週間の準備で、あのレベルの選手とある程度戦えた。そこは把握できたので、それと同時に時間をかけないといけないということが分かりました」
──以前とは違いベルトを意識せず、強い相手と戦っていきたい。そのように話していた猿田選手ですが、復帰戦に負けても同じ気持ちで今回の試合に臨んでいるのでしょうか。
「年齢もあるので、どういうモノが残せるのか。ジムに関しても今はセミパーソナルのフィットネスジムですが、将来的には選手育成のジムを創りたいという目標を持っています。その時になって今の自分のように35歳を越えた選手が、どのような練習をして、どういうメンタルで試合に臨めば良いのか──。
もしくは遅くに格闘技を始めた人が、30代後半で結果を残すためにどういうトレーニングをすれば良いのか。それを自分の体を使って、実験しているような感覚で創っています」
──今の猿田選手にフィットしたMMAファイター人生を送ると。
「20代の後半、30代の前半のように長い時間の練習とか、3部練習とかは体の面、仕事の面で厳しくなっています。限られた時間で、試合に勝つために工夫をした練習をやっています。それで結果を残せるのか、それこそ今の自分がやっていることです。だから結果が欲しいです。
今できる最大限の練習をしているので、結果が伴わないと続けることができなくなるということですね」
──その限られた時間で工夫した練習というのは、どういうものなのですか。
「ジムでの指導が昼からある日は、朝早くにHEARTSに今年のネオブラTのストロー級で優勝した船田侃志に来てもらって練習して。今日のように夕方からの日は、小野島(恒太)さんと午前中に、CBW東中野でマンツーマンでスパーリングをしてもらっています。
HEARTSで皆が集まってやるプロ練習にも出たいのですが、ジムの都合で出られないのが現実で。だから自分のジムに選手に来てもらったりしています。それとマンツーマンの練習は効率が良いというのもあります」
──というと?
「自分の試合のためだけの練習ができるということですね。誰かに合わせたり、決められたことをするのではなくて。やりたいことだけを集中して短時間でできます。時間に追われているので、マンツーマンは良いと思います」
──つまり小野島選手とのマンツーマンの練習は、山北選手との試合のことを考えられたトレーニングで、小野島選手が強くなるとかということは考えていないことになるのですか。
「そこまで仮想・山北ということではないのですが、誰と戦っても最後は気持ちが大切になります。苦しい試合になるのは分かっているので、そういう練習を小野島さんの力を借りてやっています。
リバーサルジム川口リディプス時代に小野島さんが練習に来てくれて。小野島さんは打撃の選手で、僕は柔術がベース。互いにレスリング──つなぎの部分が足らないと感じていて。それこそ山北選手と同じMe.We所属でレスリングが得意な中村憲輔さんにパーソナル・レッスンをお願いして一緒にやるようになったのが12、13年前です。あれから週に1度、試合前は2度という感じでずっと一緒にやってきました」
──もうHEARTSのプロ練習には一切参加していないのですか。
「いえ、それでも金曜日にはHEARTSのレスリングとグラップリングのプロ練習に出させてもらっています」
──大沢ケンジさんと顔を合わせるのは、その日だけですか。
「ハイ。でも、ずっとLINEで連絡を取り合っています。自分が仕事でチェックできていない試合とか、『絶対に視ろ』ってメッセージが来て。視たら、その試合について話をしたり。ONEとかUFCでも、自分に合った攻撃や山北選手対策になるような動きがあると、その試合を視るように連絡が来ます。そして自分もチェックして、動いて答え合わせをする。大沢さんは格闘技の試合を見ている数が違っていて。本当に色々な試合を見ているので、たくさんアドバイスを貰っています。ここまでずっとやってきたので、毎日のように顔を合わせていなくても、大沢さんへの信頼は変わらないです」
──そんななか、山北選手のオファーを貰った時はどのような気持ちでしたか。
「今回、3カ月の準備期間があって。オファーが来た時は、ジムを任せられる人に確認を取って即答で受けました」
──国際戦の方が良かったという気持ちは?
「全然なかったです。基本的に誰とでも戦います」
──山北選手としては、世代が上の元世界王者を踏み台にする。そういう位置づけの試合かと思います。
「向うは元チャンピオンとか思っているかもしれないけど、そういう意識は自分のなかにはなくて。ジムにベルトを飾るのも本当は嫌なんですけど、ビジネスのために置いています(笑)。ベルトは1回取ったものなので。それより、今の自分がどうなのかっていうところに興味があります」
──マラチェフの押し込みの強さを経験したことで、山北選手とはどのような戦いをしたいと考えていますか。
「山北選手との試合は、自分と戦うイメージです(笑)。ONEと契約したころの自分と戦うような。勢いがありますよね。だから、自分もあるだろうし。自分は競技としてレスリングはやっていないのですが、レスリングと柔術を合わせた自分とよく似た戦い方をしています。似ている部分がたくさんあります。だからこそ、より勝ちたいという気持ちが大きいです。経験が違うということを見せたいですし……。」
──サクッと勝てる相手ではないですし、疲れる試合が予想されます。
「楽に勝ちたいとは思わないです。サーキットトレーニングとかで追い込んでいるのに、1Rで勝つと勿体ない。これだけ練習をしてきたのに。5分3R、全て戦いたいです」
──そういうモノなのですね……。
「試合が終わると、色々な感情があって。厳しいことを乗り越えて、反省会じゃないけど試合を振り返る。その時、厳しかった試合を振り返るのが、一番楽しいです。アハハハハ」
──マゾでナルじゃないですか(笑)。
「アハハハハ、確かに。自分に負けなかった。そこなんですよね。なんか普通じゃないことをやりたいんです。子供の頃から、ずっと普通って言われてきて。体操時代もそう。身体能力は決して高くなかったし、体力テストも平均的で。そんな感じだったから普通でないことに憧れていました」
──ならばタイトルには興味はなくても、ここで勝ってさらに上の相手と戦いという気持ちになりませんか。その方が、とことんしんどい試合ができます。そのために、山北選手とどのような試合をしないといけないと考えていますか。
「毎試合、気持ち的には変わらないですけど……自分から逃げないこと。楽な道とキツイ道があれば、常にキツイ道を選択していけるのか。そして、キツイ方に山北選手も引きずり込む。ただ、山北選手もそういうつもりで戦っていると思います。そこで競り勝てるのかどうかですね」
──個人的には山北選手がボカン戦の最終ラウンドで下になった時、彼の試合で初めて気持ちが途切れるような表情になったように見えました。
「マシーンになり切れていないのかも知れないですね。試合で感情を出さない。それも僕のテーマです。一生懸命になることも、なるべく出さないように戦っています。練って来た戦略通りに動いて、セコンドの声に従う。そこでスイッチを入れるという感覚でいて、それをまたやりたいですね」
──それこそマシーンになりきれた試合はありましたか。それが猿田選手の満足感に繋がると思うのですが。
「1度目のパシオとの試合ですね。あの時は途中から、疲れも感じていなかったです。ラウンドも分からない。ただ、大沢さんの指示通りに動く。マシーンになれましたね」
──つまり無心ということですからね。
「あの時も、準備期間がなかったんですよ。それこそ、普通じゃない。でもHEARTSに移籍してから、大沢さんは常に『普通じゃないことをやれ』って言っていて。だから試合スパンとか、修斗のチャンピオンになってからも、すぐに2階級制覇を目指して試合をしたり。大沢さんとやってきたから、僕もこうなったんだと思います」
──HEARTSから1分や2分の所に住んでいた時と変わらず、同じ気持ちで戦えるのか。本当に勝負ですね。
「まぁ『デキるのかな?』って不安に感じることはあります。普通の人なら諦めるなって思えるから、やり切れます」
──追い込みも指導が終わって、マシーンで一人でやっていると聞きました。ケツを叩く人がいなくても、それができるというのも……。
「正確にいうと、指導中にも同じ時間に自分を追い込んでいます(笑)。そこしか時間がないので。絶対にやると決めていることで、あとは夜にやるか朝にやるか。それだけです。スケジュールに書いたことをやらないと、自分は満足できないので」
──やはりマゾですね(笑)。
「アハハハ。本当にできるのかなっていう不安は、付きまとっています」
──この生活を続けるには、この努力に相応な相手を求めることかと思いますが、山北選手との試合後はどのような相手と戦っていきたいと思っていますか。
「戦ったことがない選手と、やりたいです。リト・アディワン、こないだ負けてしまったけどジェレミー・ミヤド。上の方だとボカン。そしてジャレット・ブルックス。あと5試合、契約が残っているので試合をするなら触れたことがない相手と戦いたいです」
──ストロー級転向を宣言した和田竜光選手とは?
「和田選手……やりたいですね。強いことは分かっているし、試合を見て勉強もさせてもらっています。練習でも触れたことがないから戦ってみたいです。それにストロー級、甘くないぞっていう気持ちもあります。階級を落としたからって、勝てるわけじゃない。ストロー級にはストロー級の厳しさがありますから、そんな楽じゃないぞと教えたいです。
自分も元々は修斗フライ級から、ストロー級に落としました。今は勝てていないので大きなことは言えないのですが、日本のストロー級を背負って来た自負はあります。そこの強さを見せたいし、まだ終わっていないということも証明したいです」
──UFCにストロー級がない限り、計量方法の違いでリミットも違いますが、ONEのストロー級は世界最高峰ですよね。
「ハイ。ONEのストロー級は世界一なんで。世界中のストロー級のトップがONEにやってきます。そこで強さを証明したいという気持ちは普通にあります。
だからこそONEのストロー級で6年、7年間やってきました。試合はどうなるか分からないですけど、自分のなかでは山北選手を圧倒する自信はあります」
■放送予定
8月3日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT
■ ONE FN24対戦カード
<ONE暫定世界ストロー級(※56.7キロ)王座決定戦/5分5R>
ジャレッド・ブルックス(米国)
グスタボ・バラルト(キューバ)
<ONEサブミッショングラップリング世界女子アトム級(※52.2キロ)選手権試合/10分1R>
[王者]ダニエル・ケリー(米国)
[挑戦者]マイッサ・バストス(ブラジル)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
フィリッピ・ロボ(ブラジル)
ナビル・アナン(アルジェリア)
<ムエタイ・フライ級/3分3R>
デッドゥアンレック・ティーデ99(タイ)
ナックロップ・フェアテックス(タイ)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シャミル・ガサノフ(ロシア)
アーロン・カナルテ(エクアドル)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ドミトリー・コフトゥン(ロシア)
フェラーリ・フェアテックス(タイ)
<キック・フライ級/3分3R>
内藤大樹(日本)
エリアス・マムーディ(アルジェリア)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
山北渓人(日本)
猿田洋祐(日本)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ランボーレック・チョーアッジャラブーン(タイ)
クレイグ・コークレイ(アイルランド)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
エンフオルギル・バートルフー(モンゴル)
カルロ・ブーミナアン(フィリピン)
<ムエタイ128ポンド契約/3分3R>
アリーフ・ソー・デチャパン(ロシア)
ザガリア・ジャマリ(モロッコ)
<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
ユー・ヨーペイ(香港)
エイミー・ピルニー(英国)
【写真】山北がブルドックチョークを極めた場合は「パグチョーク」表記でお願いします(C)NAKAMURA TAKUMI
3日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムでONE Fight Night24「Brooks vs Balart」が開催され、山北渓人が猿田洋祐と対戦する。
Text by Takumi Nakamura
1月のONE日本大会でボカン・マスンヤネにプロ初黒星を喫した山北だったが、3月のONEカタール大会ではジェレミー・ミアドに隠れた必殺技=山北式ブルドックチョーク=パグチョークで一本勝ち。今大会で早くも今年3戦目を迎え、猿田との日本人対決に臨む。
山北にとって猿田はMMAを始める前から見てきた選手で「猿田選手がストロー級の日本人で一番強いと思っている」という存在。「自分の中でタイトルマッチと同じぐらい意味のある試合だと思う」と位置づけている。
――計量を控えているなかでのインタビューありがとうございます。体調やコンディションはいかがですか。
「もともと減量は楽なんですけど、今回は体重が勝手に落ちていって、すごく楽ですね。特に食事を減らさなくても大丈夫くらいの感じだったんで」
――今年すでに3試合目ということで、グッドシェイプが続いているようですね。
「そうですね。試合が終わっても、すぐに練習を続けてやっていたので、あまり体重がガッと増えることはなかったです」
――2022年と2023年は年1試合ペースでしたが、今年は一気に試合数が増えてポジティブな変化があるようですね。
「僕の試合が続いてるのもあるし、同じチームの(藤田)大和さんや倉本(一真)さん…階級が近い選手たちの試合もどんどん決まっていて、先輩たちのスパーリング相手に使ってもらっていたので、それでずっと仕上がっていたというのもありますね」
――誰かしら試合前の追い込みの相手を常に務めている感じだったんですね。それプラス試合も続いているので、動きそのものもよくなっていますか。
「はい。自分でも動きがいいなと思いますし、山﨑(剛)さんからも『今回すごくいいね』と言ってもらえているので、コンディションは最高だと思います」
――前回の(ジェレミー・)ミアド戦ではブルドックチョークによる一本勝ちでしたが、あれは得意技だそうですね。
「はい。あれは僕の必殺技です。僕はバックを取ることが得意なんですけど、そこから色々と技を研究していくうちにブルドックチョークが極まるようになって、そこからパターンが増えた感じですね」
――ではミアド戦で極めた以外にも入り方・極め方はあるのですか。
「あれは一番シンプルな形ですね。あの時はケージを蹴って極めましたけど、ケージを蹴らなくても極められます」
――どうしてもブルドックチョークは飛び道具というイメージがありますが、山北選手の中ではちゃんと技術体系として入り方や極め方があるんですね。
「練習していくうちに、極めるシチュエーションもたくさん出てきたし、ジムのみんなも『あれで極めたんだね』という反応でした」
――まさに山北式ブルドックチョークですね。
「僕の中ではパグチョークという名前をつけているので、これからはパグチョークでお願いします(笑)」
――かしこまりました(笑)。先ほど練習仲間の話もありましたが(リバーサルジム新宿)Me,Weは軽量級の練習相手が豊富なので、スパーリングを重ねる中で技が磨かれて行きそうですね。
「はい。ブルドックチョークも練習仲間はどんどん対応してくるので、そこからバリエーションも増えるし、今回は新しい技も用意しています」
――さて今大会では猿田洋祐選手と日本人対決が決まりました。最初にオファーを聞いた時は驚いたのか、それともいよいよ来たかと思ったのか。どちらでしたか。
「どちらかというと、いつかやるかなと思っていました。ポジション的にも、猿田選手は連敗中で、僕は前々回負けて前回勝って、そろそろ当たるかもなと思っていました。ただそうは思っていながらも、オファーが来たら『ここできたか!』って感じですね」
――猿田選手のことはどのような目で見ていたのですか。
「僕が格闘技を始める前から見ていて、ずっと強い選手だなと思っていました。自分より上の階級の選手だったら憧れの目で見るんですけど、同じ階級だったのでライバル視というか。いつかやらなきゃいけないのかと思っていたし、僕は今でも猿田選手がストロー級の日本人では一番強いと思っています」
――山北選手の中ではストロー級日本最強決定戦という位置づけですか。
「自分の中でタイトルマッチと同じぐらい意味のある試合だと思っていて。何か一つの到達点というか、日本編のラストみたいな感じで位置づけています」
――タイトルやベルトに挑戦するために超えなければいけない相手ですか。
「そうですね。ここが壁というか。タイトルにいくには当然倒さなきゃいけない相手だし、格闘技を始める前から見てきた相手なので、そこは超えなきゃいけないなって思います」
――そういう思いもありつつ、今の自分だったらしっかり勝てるところまで来たという自信もありますか。
「ここまで来ることが出来てうれしいという気持ちもあるし、自信はもちろんあります」
――山北選手にとって特別な思いがある試合だと思いますが、どんな試合を見せたいですか。
「猿田選手も気持ちがこもった、動く試合をする選手で、僕も動き続けることが持ち味だと思っています。絶対に噛み合うと思うし、それと同時に我慢比べにもなるかなって思いますね。ストロー級らしい速い展開で。ストロー級にしかできない試合をしたいです」
――ONEのストロー級は日本人も多いですし、もっと注目される舞台にしていきたいですか。
「ストロー級は他の階級に比べて注目度が少ない階級ですが、僕も猿田選手もストロー級ならではの面白い試合をできる力を持っていると思うので、ストロー級をアピールするいいチャンスだと思っています」
――和田竜光選手も次戦からストロー級に落とすという話をしているので、日本人絡みでも興味深いカードが増えていきそうです。
「和田選手のことはすごいなという目で見ていたんですけど、ストロー級に落としてくるとなると、戦って勝たなきゃいけない相手になるんで。キャリア的にいったら、和田選手と試合できるとなったらすごくうれしいことだし、和田選手に勝ったら……と思うと、どんどん自分の地位を上げるチャンスだと思うのでワクワクしています」
――今年は試合数も増えていますし、猿田選手との試合も決まって、山北選手のキャリアの中でもターニングポイントになる1年ですね。
「はい。1月のボカン・マスンヤネ戦で初めて負けたことも大きくて、あの負けでもう一段階、もう一皮むけたというのが絶対にあったと思います。日本大会でいい経験をできたと思うし、今は本当に大事な時期で、次の試合も大事な戦いだと思います」
――それでは最後に日本のファンに向けてメッセージをいただけますか。
「この試合は僕のキャリアの中ですごく大事な試合ですし、日本人最強を決める戦いだと思っています。またストロー級キングオブパンクラシストの第2代(北方大地)が猿田選手に負けているので、第3代の僕がやらないといけないという気持ちもあります。パンクラスを代表して猿田選手と戦いたいと思うので、そこも注目してもらいたいです」
■放送予定
8月3日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT
■ ONE FN24対戦カード
<ONE暫定世界ストロー級(※56.7キロ)王座決定戦/5分5R>
ジャレッド・ブルックス(米国)
グスタボ・バラルト(キューバ)
<ONEサブミッショングラップリング世界女子アトム級(※52.2キロ)選手権試合/10分1R>
[王者]ダニエル・ケリー(米国)
[挑戦者]マイッサ・バストス(ブラジル)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
フィリッピ・ロボ(ブラジル)
ナビル・アナン(アルジェリア)
<ムエタイ・フライ級/3分3R>
デッドゥアンレック・ティーデ99(タイ)
ナックロップ・フェアテックス(タイ)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シャミル・ガサノフ(ロシア)
アーロン・カナルテ(エクアドル)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ドミトリー・コフトゥン(ロシア)
フェラーリ・フェアテックス(タイ)
<キック・フライ級/3分3R>
内藤大樹(日本)
エリアス・マムーディ(アルジェリア)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
山北渓人(日本)
猿田洋祐(日本)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ランボーレック・チョーアッジャラブーン(タイ)
クレイグ・コークレイ(アイルランド)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
エンフオルギル・バートルフー(モンゴル)
カルロ・ブーミナアン(フィリピン)
<ムエタイ128ポンド契約/3分3R>
アリーフ・ソー・デチャパン(ロシア)
ザガリア・ジャマリ(モロッコ)
<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
ユー・ヨーペイ(香港)
エイミー・ピルニー(英国)
【写真】Are You Ready? ――と書かれているTシャツ。平田は仲間たちとともに準備してきた(C)MMAPLANET
8日(土・現地時間)、タイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE167で平田樹が、1月日本大会=三浦彩佳戦の敗北から再起を期してヴィクトリア・ソウザと対戦する。
Text by Manabu Takashima
その他に例のないMMAデビューとステップアップ方法で、浸透度は抜群の平田だったが、MMAファイターとしてハッキリと壁に当たっている。そこを打開すべき、和術慧舟會HEARTSで練習をするようになった平田は、「今は目立ちたくない」と数字や知名度でなく純粋は結果を求めるようになった。自分を支えてくれる人達への想いを乗せて、サークルケージに戻る平田樹の想いとは。
──1月の三浦彩佳戦以来の試合が、約10日後に迫ってきました(※取材は5月28日に行われた)。この試合が決まったのは、いつ頃ですか。
「試合自体は日本大会の直後、次の日かに3月のカタール大会でオファーがあったんです」
――カタール大会は山北渓人選手も出場していましたが、敗戦直後にオファーがあったのですね。
「日本人選手が毎大会出場するという事情があるのかもしれないですけど、選手としてはありがたいです。自分としても試合をどんどんやっていきたいと思っていますし。ただ3月がまとまらず、4月に希望を出していたのですが、対戦相手のことなんかもあって、結果6月になった形です」
――ヴィクトリア・ソウザはONEで1勝2敗、故ヴィクトリア・リーとノエル・グホンジョンに負けている選手です。
「勝たないといけない相手ですよね。内容的にも強さを見せないといけない。自分にプレッシャーを掛ける意味でも、ここで負けているようじゃ『終わりじゃね』って思っています」
――逆をいえば知名度とプッシュされるという部分で、底上げされてきたキャリアが本来の位置に戻ったように感じます。
「そうですね、私は飛び級中の飛び級で。他にはないケースだったと思っています。ただ、だからといってこの相手のレベルで戦っていて良いという風には捉えていないです。
組みも打撃も気が強くて、振ってくる相手で。気持ちが切れれば、持っていかれる相手だとしても。自分の欲次第、勝ちたいという欲求がないと。なんとしてでも勝たないといけない。振り返ると……『どうやって勝とう』とか考えると、インターバル中でも気持ちが切れるようなところがあるので。
試合になると、そういう練習では出ない部分が出てくることがあって」
――相手があってのことで、思い通りにならない部分で競い合うのが格闘技ですし。
「そこは練習中にも考えるようになりました。疲れた時に、いく。大沢(ケンジ)さんからも『ここ、取られているぞ。行けッ!!』って言われています。絶対に取らないといけないラウンドだっていう気持ちのまま行け、って。それが出来たのって、ナイリン・クローリー戦かと思います」
――個人的に調子に乗りまくれたクローリー戦より、アリス・アンダーソン戦。ダウンを乗り越えた試合かと。
「あぁ、そっかぁ。でも、もう2年も前なんですよ。試合数も少ないけど、その後の試合ではスタートも遅いし、やり返す気持ちも出ていない。やってやれっていう……気持ちが入って戦えていないんですよ。負けを経験して……『このままだと負ける』って考えちゃうと、頭ばっかりで体が動かなくなっていました。
簡単じゃないことは分かっているんですけど、自分で思っている以上に動けない。立ち位置としても難しくなっていることは感じています。ここからやらないといけないという人もいれば、『平田樹の名前があって、この相手か』という人もいます」
――まぁMMAPLANETは一般の人向けのサイトというつもりは一切ないのですが、直樹選手のインタビューを樹選手が触れてくれるとXのリーチ数の桁が違ってくるんですよね。あれは今さらながら驚かされています。
「アハハハハ。直樹のためになるなら、いくらでも自分の名前は使います。でも、数字で評価されてもって……思うようになりました。私自身、勝っている間は数字とか知名度って考えていなかったです。でも勝っていないと、そこがあって良いのかって考えるようになってきて。それで良い人もいるんだろうけど、自分的はもう目立ちたくなくなってきました。
今は直樹の陰に隠れている感じで。何か発信していこうとも思えないですし。だから、試合に勝たないと。自信がないのに、そういうことはできないです。名前が売れているのに、結果がついていないのは格好悪い。試合内容も微妙だし、自信を持って自分が格闘家だと発信できない。そういう自信って、勝たないと補えないと思っています」
――そうなると結果もそうですが、試合で何ができるのかということも大切になりますね。ならば、それこそ今回の試合は現状に適した対戦相手かと。
「前回の試合が終わって、ONE FFでも良いから試合をたくさんしたいと伝えていて。ここで名前のある相手と戦いたいなんて思っていなかったですし。そういう状況で組まれた試合だし、とにかくこういう試合を積み重ねていきたいと思っています。直樹なんて。1年で4試合もしていて。アイツは連勝していて、ちょっと自分にもイラついています(笑)。
こういう試合で勝って行って、また名前のある選手、強い選手とやりたいと言えるようになりたいです。だからこそ今回の試合は、自分の精一杯をぶつけます」
――そもそも平田樹という選手は突然、スッとMMA界からいなくなるかもと思い続けてきました。でも、結局のところずっと残っている。
「辞めるのは簡単なことです。両親も『辞めたいなら、続けなくて良い』と言っていたので。だからハム・ソヒ戦のあとは、カフェをやりたいなとか思ったこともありました」
――まぁご両親としては、子供の意思を尊重する。見返りを求めないのが親なので、そう言いますよ。でも、本音は諦めるな。やり始めたことはとことんやれという想いもあったかと。それはなんのためでなく、平田樹という人間のために。
「柔道の時も、同じでした。で、自分はきっぱりと辞めて格闘技を始めた。あの時も『辞めるな』って言わないんだとは思いました。まぁ辞めるなといっても、辞めるんだし……。
でも、そうですね……『辞めて良い』って言っていても、絶対に辞めるなと思っていたんだろうなと……そういう気がします。特に母親の方は。私が負けて、一番悔しいのはママだと……。絶対、続けろとは言わないけど……。本当に親って、ありがたいなって……」
――頑張ってほしくても頑張れってあまり言わないのは、頑張らなくても付き合うのはご両親だけだからで。
「負けて、誰よりも悔しそうにしているのが両親で。勝った時に一番うれしそうなのが、やっぱり両親で……。絶対に次は喜んで欲しい。負けて支えてくれる人が、悔しそうにしていて……次の試合は絶対に勝って、皆の喜ぶ顔が見たいです」
――そのために次の試合で、出したい自分は?
「ここ(HEARTS)で練習してきたことを出したいです。さっきも言ったように思い通りになっていないときに、どう戦うか。大沢さんの声を信じて、戦います。1月の時と違って、大沢さんのアドバイスに反応できるようになっているはずです。ここでやっていると、自分1人で戦っているのでなく、頼ることができる人がいるって思えるんです。
皆を信じて練習して、大沢さんを信じて戦えます。勝ちたい欲と気持ち。泥臭くて、汚くても良いからとにかく勝ちたいです」
■放送予定
6月8日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT
【写真】7カ月の長女、波瑠花(はるか)ちゃんと (C)SHOJIRO KAMEIKE
30日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights65に野田遼介が出場し、本田良介との日本人対決に臨む。
Text by Shojiro Kameike
野田といえば、そのアグレッシブなスタイルからは想像できない高音ボイスの持ち主だ。今回ONE初参戦ということでインタビューしたところ、その高音ボイスの話なんて簡単に吹っ飛んでしまう衝撃的なエピソードが次々と出て来る――生粋のファイターだった。
――現地到着直後にインタビューを受けていただき、ありがとうございます(※取材は28日、夜に行われた)。リモート画面が繋がった瞬間、お子さんが映って驚きました。ご家族と一緒にタイ入りしているのですか。
「はい。妻がセコンドに就くので、子供も連れてきました。妻は悠花というリングネームで、パンクラスで1試合やっているファイターなんです」
――そうだったのですね! 今回はONE初参戦で本田良介選手と対戦することとなりました。試合が決まったあとにSNSで、ご自身が現地でタイ人に間違われないか心配されていましたね。タイ人っぽいルックスということで……。
「先ほどタイの空港に着いて飛行機から降りる時に、ゲートが二つあったんです。一つは外国人用のゲートで、もう一つはタイ人用ゲートと、妊婦さんや小さな子供連れの家族優先のゲートが一緒になったものでした。すると僕たちは真っ先に後者のゲートへ案内されて……。その理由が、僕たちが小さい赤ちゃんを連れていたからなのか、タイ人と思われたのかが今も分かりません(笑)」
――アハハハ! 小さいお子さんを連れて帰国したと思われたのかもしれません。いずれにせよ、のっけから最高のエピソードです。ところで野田選手は三重県出身なのですよね。
「三重県尾鷲市という、どちらかといえば和歌山や奈良に近い場所です」
――地元の尾鷲市で格闘技を始めたのですか。
「初めて触れた格闘技は少林寺拳法と柔道で、それが高校に入ってからでした」
――なぜ高校に入ってから少林寺拳法と柔道を始めようと思ったのでしょうか。
「中学3年生の時に受験勉強をしていた当時、テレビ番組の『アメトーーク!』が好きだったんですよ。そのなかで『グラップラー刃牙芸人』の回がメチャクチャ面白くて。一緒に視ていた姉が翌日に『グラップラー刃牙』を全巻買ってきて。受験勉強しながらチラチラ読んでいたら、世界最強の男になりたいと思い始めました」
――お姉さんも最高です! ただ、刃牙といえばシリーズ全体を考えても、当時かなりの巻数が出ていたと思いますが……。
「100巻ぐらいはあったと思います」
――凄い!!
「あと僕はもともとオタクというかアニメや漫画が好きで、長島☆自演乙☆雄一郎さんのことは知っていたんですね。ちょうど世界最強の男を目指し始めた年の大晦日に、自演乙さんと青木真也さんの試合があって。その試合から格闘技を見ていくうちに、青木さんの戦い方が好きになり、青木さんの影響で高校から柔道を始めました」
――もはや運命としか思えない展開です。MMAを始めたくても周囲にMMAをやる環境がなく、高校から少林寺拳法と柔道を始めたということなのでしょうか。
「正確に言うと、やっぱり刃牙の影響が強かったんです。まずは喧嘩に強くなりたくて……、結局は今まで一度も喧嘩をしたことがないんですけど」
――アハハハ、エピソード一つひとつが最高です。そもそも刃牙も喧嘩の話ではないですし。
「そうなんですよ。刃牙を読んでいると、目突きや金的がない戦いでは強さを証明することにはならないと感じました。そんな戦いに一番近いのは少林寺拳法だろうと」
――少林寺拳法には目突きと金的蹴りの攻防と練習がありますからね。
「たまたま町道場で少林寺拳法をやっている友人がいたんですよ。その友人と格闘技ごっこをしている時に、少林寺拳法の技で組み伏せられて。『これは強い!』と思って少林寺拳法を始めました。その少林寺拳法と並行して、高校は柔道部に入りました。
でも本当に格闘技が楽しすぎて、全然勉強しなくなってしまい――高校では赤点ばかりになりました(苦笑)。そこからいろんな格闘技を見ていくようになり、現代で一番強いのはMMAだと思って、MMAに移行していったんです」
――なるほど。ではMMAのために上京して、アライアンスに入門したのですか。
「はい。大学に入った年の夏休みに、プロ志望としてアライアンスに入門しました。表向きは大学進学のための上京ですが、実はMMAジムに通いやすい場所にある大学を探したんです。そんな不純な動機では、親に聞かれたら怒られるかもしれないですけど……。全ては『アメトーーク!』のせいです(笑)」
――野田選手の特徴といえば、綺麗な右ハイというか右の廻し蹴りと、現代グラップリングがマッチした試合ぶりです。あの右廻し蹴りは少林寺拳法で培ったものですか。
「特に少林寺拳法の蹴りというわけではないのですが、MMAを始める前に蹴りの基礎はあったとは思います」
――ではグラップリング技術はいかがですか。あまり柔道らしくない寝技といいますか。
「関係あるかどうかは分からないのですが、柔道時代は全く立ち技をやらない選手でした。柔道は小中高でルールが違います。小学校は絞技と関節技が反則で、中学校から絞技、高校から関節技が認められます。高校から始めた僕は、子供の頃から柔道をやっている選手に立ち技では勝てません。すると高校から認められる関節技で勝つしかない。だから高校で立ち関節とか狙っていました。体重を浴びせて極めなければ反則ではないので。
さらに抑え込みではなく関節技を極めるために寝技に引き込むスタイルを、柔道時代からつくり上げていたんです。柔道部では立ち技の練習がメインになっているなかで、僕はネットでエディ・ブラボーや柔術の動画を視てラバーガードやスパイラルガード、今でいうリバースデラヒーバを覚えていました」
――立ち技を重視しないスタイルでは、柔道部内で怒られませんか。
「怒られるというか、嫌われていました(苦笑)。合同合宿でも強豪校の選手に投げられまくるんですけど、寝技になると水を得た魚のように動きまくるので……。ただ、それはMMAのためだけではなくて。柔道をやるのは高校3年間だけだと決めていました。だからこそ、どうにか柔道で結果を残したい。柔道で勝つために自分のスタイルをつくっていました。
その面ではMMAをやるためにアライアンスに入ったことは良かったです。アライアンスって、選手によってスタイルが十人十色じゃないですか。ストライカーもいれば、藤井伸樹さんのようなグラップラーもいて。他のジムだと、それぞれジムのスタイルがありますよね。でもアライアンス代表の高阪剛さんは、選手の個性を尊重してくれるというイメージを持っていたので、アライアンスに入ろうと決めました。実際にジムでは高阪さんが個々のスタイルに合わせて戦術や戦略を考えてくださいます」
――他の選手とは違うスタイルを受け入れてくれるジムと出会うのもまた運命かもしれません。野田選手は2017年にパンクラスでプロデビューして4連勝後、ONEジャパンシリーズに出場しています(木内SKINNY ZOMBIE崇雅に1ラウンドKO負け)。当時からONE出場を目指していたのでしょうか。
「そうです。でもあの時に負けて、まずONE出場から後退してしまいました。さらにパンクラスでも山北渓人選手と八田亮選手に負けて——なのに今回ONEと契約することになるのは意外でした。ONEからオファーをもらえるとは思ってもみなかったです」
――そのONE初戦がまさか本田選手との日本人対決になるとは、こちらも想像もしなかったです。
「こういうことを試合前に言うと変かもしれませんが――本田選手のことがメチャクチャ好きなんです。相手に何もさせず制圧する。判定3-0で相手に1ポイントも与えない。そんな完全なドミネイトこそ一番強い勝ち方だと思っています。僕が目指すそんなMMAを完成させているのが本田選手ですよね。
昔、ジムの先輩から言われたことが今でも印象に残っているんですよ。『1ラウンドでKOされても、また次やってやろうと思う。でもフルラウンド塩漬けにされたら、もう一回戦いたいとは思わない』と。その言葉に影響を受けていて、完全に自分のほうが強いということを相手に見せつけたい。本田選手はそれができるファイターなんだろうと思います」
――確かにパンチを振り回す打ち合いの中でKO決着が生まれるよりも、15分もの間相手を抑え込み何もさせないほうが強さを感じる場合もあります。ただ、野田選手と本田選手では体型もファイトスタイルも異なりませんか。
「そこは僕なりのドミネイトというものがあります。ただ、理想のスタイルがあるわけじゃないんです。この○○の技、××の技というふうに技術で分かれていますね。……名前を出すと失礼かもしれないけど、あえて言えば佐藤将光さん。何でもできて、選手によってスタイルを変えることができるファイターが理想です。
たとえば山北選手と八田選手は、どちらも寝技が強いですよね。でもトップから強い山北選手に対してはボトムから勝負して、ボトムからが強い八田選手にはトップから勝負しました。どちらも結果は負けてしまいましたけど、それが僕の理想とするMMAなんですよ。自分の得意なものをぶつけるのではなく、相手の得意なものを潰すという考え方のほうが大きいですね」
――柔道時代と同じようにMMAでも対戦相手から一番嫌がられるタイプかもしれません。
「アハハハ! でも一番嫌がられるということは、一番強いということですよね。ONEでも、そんな強さを求めていきたいです」
■放送予定
5月31日(金・日本時間)
午後9時15分~U-NEXT
【写真】実績では本田が上。野田が挑むという形の試合だ。その野田、勝利者インタビューでの声、話し方、マイクの持ち方が印象深い(C)MMAPLANET
30日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights 65で本田良介×野田遼介という日本人ストロー級対戦が組まれている。
Text by Manabu Takashima
ムエタイ、MMA、そしてグラップリングと毎週のように日本人選手の試合が組まれているONE FFのMMAで、ついに同朋対決が組まれることとなった。
タイガームエタイ所属の本田は昨年12月にONE FFデビューを果たしデヴィッド・バンギギに判定勝ちも、3月に本戦級の力を十分持つサンザール・ザキロフにTKO負け。以来の再起戦となる。
パンクラス一筋、パンクラス代表としてONE Japan Seriesで修斗との対抗戦に出場経験のある野田は山北渓人、八田亮に敗れたのち昨年7月に植松洋貴を初回パウンドアウトして以降、初の実戦となる。
当初、野田は昨年12月と今年の3月にGladiatorに参戦したイ・スンチョルと対戦という話も伝わってきていた。イ・スンチョルはGladiatorフライ級トーナメント1回戦でツェルマー・オトゴンバヤルにマウントパンチでTKO勝ちも肩を負傷し、トーナメントから離脱していた。
聞くところによると、この試合でフライ級とのフィジカル差を痛感し、当初の予定通りONEストロー級を目指すことをイ・スンチョル陣営は決めたという。それでも負傷の回復待ちで、野田との試合は流れた。その結果、本田×野田のリョースケ対決in ルンピニーが組まれることに。
修斗ストロー級からDEEPフライ級でキャリアを積んできた本田と、パンクラス・ストロー級戦線を粘りの極め系ファイトでわかしてきた野田の顔合わせ。心情的にバンコクでの人材発掘&育成大会で日本人対決の必要性はあるのかと考えてしまうが、戦う当人とっては場所や国籍など関係ない。本戦契約に突き進むために、ただ星を落とすことができない従来通りの試合となる。