【写真】RTUを経て、改めてUFCを目指す決意を固めた本野(C)SHOJIRO KAMEIKE
9日(日)に横浜市中区の横浜武道館でPancrase352が開催される。今大会では元DEEPジュエルス暫定ストロー級王者の本野美樹がパンクラスに初参戦、元QOPであり現在も修斗世界女子同級のベルトを巻く藤野恵実と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
日本女子MMAの中でも、初対決となるトップ同士のマッチアップとなった。本野にとっては昨年のRoad to UFCの女子ストロー級トーナメント準決勝で、中国のフン・シャオカンに敗れて以来の復帰戦となる。藤野にとっても昨年9月、ソルトに敗れてストロー級QOPのベルトを失って以来のMMAだ。初対決であり、かつ生き残りを賭けた一戦を前に、本野がRTU以降の心境を語ってくれた。
――今回はジムを移籍し、パンクラスに初参戦します。RTU以降、本野選手にどのような心境の変化があったのでしょうか。
「RTUの準決勝が終わったあと、どうすれば最短で自分が強くなれるのかを考えました。私が目指しているのはUFCであり、UFCと契約するためには――RTUで負けた自分がどうすれば良いのか。まず環境を変えて、もう一度しっかりMMAと向き合いたいと思ったんです」
――それだけ本野選手のなかで、RTUの敗戦が大きかったということですか。
「はい。特に同じ相手に2回も負けてしまったのは……」
――フン・シャオカンとは2023年11月に中国のハッピー・エレファントMMAチャンピオンズ・リーグで初めて対戦し、腕十字で敗退。さらにRTU準決勝で再戦となりましたが、ここでも判定で敗れました。
「同じ相手に2回負けたことで、試合直後『あぁ、もうMMAは……辞めよう』とも思いました。だけど時間が経つにつれて『もう一度戦いたい』『やっぱりUFCを目指したい』という気持ちが戻ってきたんです。RTUは準決勝で負けたけど、戦った実感としては『まだやれる』という気持ちがあって」
――初戦は一本負けを喫したものの、序盤から本野選手が攻め立てていました。一方でRTU準決勝では、序盤にテイクダウンを奪いながら攻め込むことができませんでした。
「相手にとって、私と一度対戦していたことが大きかったんだと思います。初戦は私がガンガン、テイクダウンに行って倒して――という流れでした。だから再戦では、その点は警戒してくるとは思っていましたけど、私が思っていたよりも距離を取られて、自分から入っていくことができなかったです」
――2R以降は完全にフン・シャオカンに距離を支配されていました。
「前回よりも距離が遠く感じられました。私が遠い距離から入っても、相手のほうがリーチは長いので殴られるか、さらに距離を取られる。――なんて考えると、自分から入っていくことができませんでした」
――そのRTUを経て、移籍先としてグランドスラムを選んだ理由を教えてください。
「コロナ禍の頃、AACCが入っているゴールドジムが使えない時期があったんですよ。その時に私はDEEPジュエルスでタイトルマッチが決まっていて、ちょくちょくグランドスラムへ練習に行かせてもらっていました。コロナ禍のあとも週2~3回ぐらい出稽古に行っていて、自分にも合っていると思ったし、今回移籍するならグランドスラムだなと決めていました」
――なるほど。
「本当はRTUが終わってから、米国に行きたい気持ちがありました」
――えっ!? それは米国に拠点を移すということですか。
「そうです。UFCを目指すなら米国の大会に出たほうが、試合を観てもらいやすいんじゃないかと思って。そのためには米国にいたほうが試合も組まれやすい。プロモーターからすれば、日本から選手を呼ぶのはお金もかかるし、そのお金をつかってまで呼ぶぐらいの選手は、なかなかいないでしょうし」
――……。
「だから私が米国に住んじゃったほうが良い、と思ったんですよ。だけど、そのためにはクリアしなきゃいけない問題も多くて、現実的には厳しい。それなら日本で環境を変えようと決断しました」
――結果、日本国内でグランドスラムへの移籍とパンクラス参戦に繋がるのですね。
「パンクラス出場は、私から勝村(周一朗グランドスラム代表)にお願いしました。私はずっとDEEPジュエルスに出ていましたけど、DEEPジュエルスからはRIZINに出ている選手が多いという印象があって。自分が目指すのはUFCであって、パンクラスからRTUやDWCSに出場している選手が多いと思っていました。そこで日本であればパンクラスのベルトを獲りたいと思って、勝村さんにお願いしたんです」
――そのパンクラス初戦の相手が、藤野選手となったことも驚きでした。
「一発目でこのカードを組んでくれたことは、自分からすれば良いことしかないです。凄くありがたいですし、試合を受けてくれた藤野選手にも感謝の気持ちしかありません。ここで藤野選手にしっかり勝つことができれば、ベルトに最短距離で近づけると思っています」
――藤野選手にはどのような印象を持っていますか。
「長年ずっと日本のトップにいるベテランで、体も強いし突進力が凄い。でも自分はUFCを目指しています。ずっと日本の女子MMAを引っ張っている藤野選手に圧倒的に勝つことで、自分の未来を切り開きたいです」
――久々となる日本での試合に向け、意気込みをお願いします。
「今回はパンクラス初戦で、日本では2年振りの試合となります。そんな自分の試合を会場や中継で、ライブで観てもらいたいです。強い藤野選手と戦って『本野は強いな』という印象を残せる試合をしたいと思っています。必ず一本かKOでフィニッシュします」
■視聴方法(予定)
3月9日(日)
午前11時45分~U-NEXT
■Pancrase352 対戦カード
<フライ級QOP選手権試合/5分5R>
杉山しずか(日本)
渡邉史佳(日本)
<ストロー級KOP選手権試合/5分5R>
黒澤亮平(日本)
植松洋貴(日本)
<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
松井斗輝(日本)
<ライト級/5分3R>
粕谷優介(日本)
ラファエル・バルボーザ(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
Ryo(日本)
山本歩夢(日本)
<女子ストロー級/5分3R>
藤野恵実(日本)
本野美樹(日本)
<バンタム級/5分3R>
合島大樹(日本)
後藤丈治(日本)
<バンタム級/5分3R>
矢澤諒(日本)
山木麻弥(日本)
<ウェルター級/5分3R>
村山暁洋(日本)
長岡弘樹(日本)
<フェザー級/5分3R>
遠藤来生(日本)
木下尚祐(日本)
<フライ級/5分3R>
山﨑聖哉(日本)
時田隆成(日本)
<バンタム級/5分3R>
前田浩平(日本)
梅原規祥(日本)
<バンタム級/5分3R>
千種純平(日本)
松井涼(日本)
<フライ級/5分3R>
今井洋希(日本)
稲垣祐司(日本)