【修斗】SASUKEが椿飛鳥を絞め落として世界フェザー級王座3度目防衛「実力をつけてから俺の前に立て」、永井が藤井に競り勝つ、杉野、中野が判定勝ち。ボヒョンがソルト撃破で藤野と王座戦へ、宇藤が齋藤を14秒KO! フライ級・中池が復活のギロチン一本勝ち #shooto0316 https://t.co/fnYZaiSchX
— ゴング格闘技 (@GONG_KAKUTOGI) March 16, 2025
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【修斗】SASUKEが椿飛鳥を絞め落として世界フェザー級王座3度目防衛「実力をつけてから俺の前に立て」、永井が藤井に競り勝つ、杉野、中野が判定勝ち。ボヒョンがソルト撃破で藤野と王座戦へ、宇藤が齋藤を14秒KO! フライ級・中池が復活のギロチン一本勝ち #shooto0316 https://t.co/fnYZaiSchX
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【写真】最後はパームトゥパームで絞め落とした(C)MMAPLANET
<修斗世界フェザー級選手権試合/5分5R>
SASUKE(日本)
2R2分54秒 by RNC
椿飛鳥(日本)
ゆっくりとケージ中央へ向かったSASUKEに、椿が右カーフを当てる。椿の左前蹴りをキャッチしたSASUKEがドライブしながら、軸足を刈って椿をマットに叩きつけた。左へパスしたSASUKEがサイドから左ヒジで削っていく。半身になった椿の左腕を取り、キムラを狙いながらバックへ。シングルバックから左腕を椿の首に回す。ワンハンドRNCの体勢になったSASUKEが椿の体を伸ばすも、椿も耐えた。
うつ伏せになった椿に対し、ボディトライアングルの状態からパンチを連打するSASUKE。再び左腕を首に回し、ワンハンドで絞め上げると、椿が苦悶の表情を浮かべる。椿がSASUKEの腕を外して凌ぎ、立ち上がろうと試みる。ボディトライアングルのまま逃さないSASUKEを、前に振り落とした。
スクランブルから立ち上がったSASUKEは、ダブルレッグで組んできた椿のボディにヒザを突き刺す。椿はリフトアップから尻もちを着かせ、立ち上がるSASUKEのバックに回る。背中に乗ってボディトライアングルで組んだ椿はRNCへ。グラウンドに戻してパンチで削っていった。
2R、椿の左ジャブがSASUKEの顔面を捉える。SASUKEは右カーフを返したが、椿の連打をもらってグラついた。右スピニングバックエルボーを繰り出すも、当たりは浅い。左ボディを突き上げた椿を大内刈りでこかしたSASUKE。ハーフガードの椿に背中を着かせ、肩固めの形に移行する。左側に回ったSASUKEが絞め上げるも、ハーフガードの椿がスイープに成功する。
SASUKEがケージに背中を着けて立ち上がると、椿がバックに回って左足を差し入れた。しかりSASUKEが正対しながら左腕を差し上げ、そのままグラウンドに持ち込む。左腕を首に回しながらバックマウントを奪取し、ボディトライアングルで固めたSASUKEがRNCで椿を絞め落とした。
3度目の王座防衛を果たしたSASUKEは、マイクを握って次のように語った。
「まずはじめに――この試合に向けて散々バカにされてきて、頭にきていたので清々しています。チャンピオンとして、いち人間として頭にきていたので、しっかり埋めてやろうと思っていたんですけど。彼も意地を出して頑張ったじゃないですか。『怒りの感情を押し殺して、淡々と冷静に青く燃える』と言っていたのですが、堅くなってしまったので……。まだまだ直すべきところもあるし、強くなれるんじゃないかと思います。
(椿に対して)一体どれだけの選手が、どれだけの想いでこのベルトを巻いてきたか全く理解していないだろう? このベルトは俺だけじゃなくて、歴代のチャンピオンの格闘技に懸ける強い想いが籠もったベルトなんだよ。盛り上げるためにやるなら、しっかりと実力をつけて周りに文句を言われないように、自分の力を示してから俺の前に立て。――と、そっちの陣営は伝えておいてください。
あと『SASUKE対策で椿とスパーリングしています』と言っているヤツが、俺がいない間にウチのジムで勝手に練習していたらしいけど、どういう教育してんの? そんなスパイみたいな姑息なことをしているヤツが、ベルトを獲れるわけないだろう。数々の愚行を反省し、お前らは修斗から出て行け。以上」
両者オーソドックス。蹴りを放つ椿だが、キャッチしたSASUKEが豪快に抱えあげてテイクダウン。サイドにつくとキムラを狙う。クラッチして耐える椿に対しマウントへ。反転しようとした椿のバックに回る。左腕を喉元に入れてワンハンドチョークの体勢。腕を掴んで引き剥がした椿だが、SASUKEはバックからパンチを打ち込んでいく。またチョークを狙うSASUKE。右腕を掴んでディフェンスした椿だが、なおも四の字ロックのままバックについているSASUKE。椿が足のフックを解除して反転。立ち上がったSASUKEが腹にヒザを入れるが、今度は椿がダブルレッグから持ち上げてテイクダウン。SASUKEの立ち際に背中に乗る。チョークを狙う椿。ディフェンスしているSASUKEに対しバックからパンチを入れる椿。1R終了。
2R。ジャブを突く椿。さらにワンツーがヒットし一瞬ぐらついたSASUKE。バックヒジを狙ったSASUKEだがブロックした椿がなおもパンチで出る。しかしSASUKE小内刈でテイクダウン。ハーフで押さえ込むと肩固めに。耐えている椿。ブリッジ返しで反転して上を取り返した。椿がボディロックからスタンドバックに回るが、投げて下に落としたSASUKE。バックに回るとパームトゥパームチョーク!喉元に入り椿落ちた!レフェリーストップ!
2R2分54秒、スリーパーホールドでSASUKEが一本勝ち。王座防衛に成功。
試合後のマイクでは「この試合に向けて散々馬鹿にされてきて、頭に来ていたのでせいせいしています。まあ、彼も意地を出して頑張ったんじゃないですか。まだまだ自分も直すべきところがあるし、強くなれると思いました。(椿は)副業でチャンピオンになるとか言っていたけど、このベルトは歴代のチャンピオンたちの格闘技に対する思いがこもった、歴史あるベルトなんだよ。サラリーマンの副業で遊びみたいな格闘技をやってるやつが取れるわけないだろ。勘違いすんなよ。『リスペクトを忘れるな』ってことを、陣営は伝えておいてください」とコメント。
さらに、SASUKEのジムに椿陣営の選手が勝手に来ていたことに対して苦言のコメントを述べると、「数々の愚行を反省し、お前ら修斗から出ていけ。以上」と言い残してマイクを置いた。
大会MVPも受賞したSASUKEは、受賞後のインタビューでは幾分表情をやわらげると、「良かったなっていうのが半分、残りの半分は、熱くなる自分を押さえきれなかったので、反省したい」とコメントした。
【写真】距離を潰し、組み負けず、右を突き刺すパク・ボヒョン。日本女子トップ選手を喰い続けている(C)MMAPLANET
<女子ストロー級/5分3R>
パク・ボヒョン(韓国)
Def.3-0:30-27.29-28.29-28.
ソルト(日本)
サウスポーに構えたソルトが距離を詰める。オーソドックスにスイッチすると、パク・ボヒョンが右カーフを当てた。左ジャブの突き合いから右ロー、右クロスに繋げるパク・ボヒョン。組んだパク・ボヒョンはドライブし、左腕を差し上げてソルトをケージに押し込む。しかし、ここはブレイクが欠けられた。再開すると、距離を詰めて来るパク・ボヒョンに対し、ソルトが右ヒザを突き上げる。右前蹴りから右ストレートに繋げるソルトだが、打ち合いからパク・ボヒョンに距離を取られてしまう。ソルトは左右前蹴りでパク・ボヒョンにケージを背負わせた。パク・ボヒョンは左フックから右ストレートを伸ばし、距離が近くなると組んでソルトをケージに押し込む。パク・ボヒョンがボディロックで組んで崩していくも、ソルトが差し返すと離れた。打撃の交換から両者は再びケージ際の差し合いへ。パク・ボヒョンがソルトを押し込み続けて初回を終えた。
2R、前後のステップを踏むパク・ボヒョンが、ソルトの右ローをキャッチする。至近距離では打ち合いから組んだパク・ボヒョンがソルトをケージに押し込む。左腕を差し上げたパク・ボヒョンの顔面を、ソルトが左ヒジで削る。ボディロックで組んだパク・ボヒョンはソルトの足をヒザ蹴りで削るが、ブレイクが掛かった。打ち合いではパク・ボヒョンの右がソルトの顔面を捉える。ソルトにケージを背負わせ、左腕を差し上げて押し込むパク・ボヒョン。ソルトは左前腕でパク・ボヒョンの顔面を引きはがし、切り返そうとするがパク・ボヒョンが離れた。ソルトが左前蹴りでパク・ボヒョンに尻もちを着かせ、立ち上がってきた相手と打ち合いを展開する。ソルトの左インローに、パク・ボヒョンが右ストレートを合わせた。パク・ボヒョンは左に回って左ジャブを伸ばす。右前蹴りから右ストレートに繋げるソルト。左目に腫れが見られるソルトは、右前蹴りからパク・ボヒョンにケージを背負わせる。パク・ボヒョンも距離を詰めて右ストレートを放っていたが、ソルトがプレスをかけていった。
最終回、ソルトが左前蹴りをパク・ボヒョンのボディに突き刺す。パク・ボヒョンもワンツーを打ち込んだ。右に回って一気に距離を詰めてワンツーを放つパク・ボヒョン。ソルトの右前蹴りをキャッチし、左腕を差し上げてケージに押し込んだ。ソルトは右オーバーフックから右ヒザを打ち込むが、パク・ボヒョンがしっかりと頭をおっつけ、胸を合わせて押し込み続ける。右ヒジでパク・ボヒョンの顔面を引きはがし、押し返すソルト。パク・ボヒョンをケージに押し込んだが、首相撲からヒザを突き上げられる。
レフェリーがブレイクをかけ、ケージ中央で再開。ソルトが左右の前蹴りを見せるが、右ミドルをキャッチされてしまう。そして再びケージへ押し込まれるソルト。体勢を入れ替えきることはできず、ブレイクに。残り1分で前に出てくるソルトを、パク・ボヒョンが右ストレートで迎え撃つ。右に回り続けるパク・ボヒョンに対し、ソルトの右スピニングバックフィストは不発に終わった。
ソルトの距離を潰して右を打ち込み続けたパク・ボヒョンがユナニマス判定勝ち。修斗女子世界アトム級王者の渡辺彩華に続き、現役パンクラスQOPのソルトを下したパク・ボヒョンは日本語で「こんにちは、パク・ボヒョンです!」と挨拶したあと、「私はチャンピオンになりたい」とアピールすると、修斗世界ストロー級王者の藤野恵実がベルトを持ってケージイン。藤野も「私も試合したいと思ってケージに入ってきました」と、パク・ボヒョンと会握手を交わした。タイトルマッチの正式決定を待ちたい。
【写真】穏やかな表情を取り戻したSASUKE。しかし、怒りは全く収まっていない。怒りをコントロールできるようになっただけだ(C)MMAPLANET
16日(日)東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2025#02で修斗世界フェザー級王者SASUKEが、椿飛鳥の挑戦を受ける。
Text by Manabu Takashima
本来は昨年11月に対戦予定だった両者だが、SASUKEの負傷でこのタイトル戦は延期されていた。4カ月前、海外での試合がハマらなかった状況で、度重なる椿の挑発に堪忍袋の緒が切れるような状態で挑戦を受けることを了承したSASUKEは、その怒りに支配されたような精神状態でハードな練習を自ら、そして信頼のできるトレーニングパートナーに強いていた。
一見してやり過ぎに感じられた練習をカメラが追っていた。そして、椿への怒りが留めなく漏れていたSASUKEの様子が収録されたTHE 1 STORYが制作されたが、タイトル戦の延期とともにお蔵入りとなりかけていた。
両者の一戦が実現することとなった3月某日、SASUKEのあの日々が映し出された動画をチェックしてもらい――当時の心境と今を語ってもらった。怒りは収まっていない。ばかりか増している。ただし、冷静さを取り戻したSASUKEの怖さは11月以上といっても過言でない。
――今、本来は11月にアップロードされる予定だったザワンTV動画であるSASUKE選手のTHE1 STORYをチェックしていただいたのですが、素直にどのような感想を持ちましたか。
「狂っていますよね(笑)。あんなんだったんだって。自分らしくないって思いましたね。あんまり熱くならないタイプだから。あのメンタルで試合をしていたら、何からアクシデントが自分にあったんじゃないかなって思います。まぁ、あったんですけどね」
――結果論ですが、あの練習を見させてらって負傷欠場の報を聞いた時は入れ込み過ぎだったからと思わずにはいられなかったです。
「ハイ。そうですね。まぁ、良くなかったですね。チームメイトに対して、特に申し訳ない気持ちがあります。僕に殴られ続けた人達が報われない形になってしまったので、しっかりと1人ひとりに謝罪をしました。それでは、まだ足らないと改めて思いました」
――動けるようになってから、あの時と違う心境になっているのでしょうか。
「自分の気持ち的には苛立ちとか、腹が立っているというのは全然変わっていないです。そのあとも色々とあって、増してはいるんですけど練習は冷静に……本当に冷静にやっています。あんな風に暴れることは、今はないです」
――青く燃えると話していましたが、全くそうではなかったです(笑)。
「真っ赤でしたね(笑)」
――いや、もうどす黒くすら感じました。
「確かに、どす黒かったな(笑)」
――11月に試合があれば、それはもう私闘のような形で制裁を加えるような気持ちだったかと。それがケガで、MMAをSASUKE選手が戦えるようになったのではないかと。
「う~ん(苦笑)。あのケガとチームメイトの言葉、色々なことが入り混じっていて。今は青く燃えることがちゃんとできています。そこも含めて、このチームに強くしてもらっているなというのがありますね。
ただ、あの殺気あるスパーリングも、勝負事のなかで行く時には必要だと思います。今後のキャリアや試合のなかで絶対に必要な場面は出てくる。それを全面に出して創り上げた期間でしたが、行き過ぎるとダメになる。薬も使いすぎると毒になる。そういうことが、身をもって学べたから。アレはアレでプラスにしていくしかないと、今は思っています。
だからというわけじゃないですが、綺麗に終わることはできない。そこは難しいですね。どのような結果に終わろうが、綺麗には終わらない。きっと試合中にマウントとか取ったら、赤くなりますよ(笑)」
――怖いです(笑)。仮に椿選手がリセットできる時があるとすれば、試合が流れた時。でも、彼もいつまでも続けました。そうするしかなかったのかもしれないですが。
「正直、そこでしか勝てるところがない。まともに勝てると思っていないから、アレを続けていたんじゃないですか」
――赤く燃えていた11月の練習は怖かったです。ただし1月のケージで見せた眼中にない感じ、あの冷たさがより恐怖を感じました。
「アハハハハ。そうですか。言っていいか……裏で殴りかかってやろうと思っていたぐらいですからね。変な奴をケージに上げるなって、修斗のスタッフに言って。そのスタッフは止めに言ってくれたんですけど、アイツは『坂本代表にOKを貰っているから絶対に上げさせろ』って引かなかったそうです。で、ああなった。
でも彼の心理は僕には勝てないと思っているんじゃないですか。だからあんなふうにおちゃらけて、負けた時の保険をかけている。ボディガードのようなのを連れてきたけど、何も面と向かってはいえなかった。椿がチャンピオンになりますとかきれいごとだけ言って。で、後になってSNSでビビったんだろうとか後出しじゃんけんみたいなことをしてきた。多分、心の中ではビビりちらかしているんじゃないですか」
――そもそものミスマッチと言われることもあるタイトル戦。その因縁がケガで長引いた。SASUKE選手はここで、この試合をしている場合じゃないと思われることが今後につながってくるかと思います。
「多分、自分の力を出して普段通りにやればおのずとそういう結果になる。青く燃えて、刺しに行く。時には赤く燃えるところもチラッと見せて『こいつ、外国人にも喧嘩負けしないぞ』というところも見せながら、フィニッシュする。で、皆の期待感を煽りたいですね。そういう試合にしようと思います。とにかくチームの皆に申し訳ないという気持ちでいるので……結果とパフォーマンスで返すことができれば。それで全部、取り返そうと思います」
――取り返したあと、進路としてどこか意中とするプロモーションはありますか。
「Eternal MMAが、やはり良いなって。フェザー級チャンピオンのセバスチャン・スーライとは戦えなかったけど、あのベルトを取りに行きたいと思います。それができたら良いなって思っています」
――その可能性は十分にあると思います。現状のEternalと日本の関係を考えると。
「セバスチャンがOKを出せば、ですね。それこそ、前チャンピオンのジャスティン・ヴァンヘーデンは、HEX FSに行っちゃってライト級に転向したのですが、戦いたいと言ってくれていたし。僕とジャスティンをブッキングする動きがあったかは分からないですけど、戦いたかったです。だから誰か1試合を挟んで、王座挑戦でも全然やりたいです。とにかく強い外国人選手と戦いたいので。
平川(智也)さんがEternalで戦って、負けてしまったのでウチにとってリベンジになる。あの時、僕はタイにいたんですけど。猿飛流もEternalで負けているし……豪州、行きたいですね」
――タイというのは?今後を見据えてですか。
「まぁ、この試合用にという練習はないので(笑)。タイミングが良く、バンタオMMAに練習をしに行くという形で。2週間ほど、(風間)敏臣と行ってきました」
――バンタオといえば、レスリングというイメージです。
「そうなんですよ。ヒックマン兄弟の弟のフランク。修斗のベルトを取った後、2022年の3月と4月――ラスベガスのシンジゲートMMAで2カ月練習をした時に、最初の1カ月はフランクが指導していたんです。久しぶりにフランクに会えるかなって思ってバンタオに行ったんですけど、イスラエル・アデサニャのサポート、そのあともジャン・ウェイリについていて留守でした。でも、兄貴のジョージも凄く指導が上手いので。
レスリングがMMAのなかで、一番肉体的にキツイ。だから皆、そこから逃げたくなるんですけど、そこから逃げないヤツは皆強くなりますよね。まぁ、やっぱり日本のジムと海外のジムの違いで敷地が広い。圧倒的に人数が多い。一つの技術を指導するのも、コーチは皆のことを見るから圧倒的に長い。そこで休まずに続けてやっていれば、強くなれます」
――しかも、色々なタイプの選手が世界各国から集まっていますし。
「中央アジア系が多かったですね。ロシアもそうで。キルギス……ウズベキスタン、カザフはどちらかというとタイガームエタイに多くて。中国人選手、韓国のイ・ジョンヒョンもいましたね。ただ、なんといってもピョートル・ヤンと一緒にいることができたのがデカかったです」
――おお、ピョートル・ヤンと!! 触れてみて、いかがでしたか。
「そりゃあ、強いッスよ(笑)。ピョートル・ヤンって、大きくないんですよ。でもMMAのスパーリングをやると強いです。それこそ喧嘩じゃないですけど、引かない。純粋なグラップリングの練習ならどうにでもなる。でも、MMAになると3倍ぐらい強くなりますね。殺気をはらんでいるし、下がらされてしまいます。プレッシャーの掛け合いで、あまり引くことはないんですけどね。階級が下なのにピョートル・ヤンとやると、下がらされる。
殺気をはらんだ赤い強さと要所でテクニックを駆使する深みがあって。一番怖いタイプです。その怖さを肌で感じられたことが凄く大きかった。それだけでなく、スパーリングが終わると色々と局面ごとの技術を振り返って教えてくれて。土曜日の午前中とか敏臣と僕と、ピョートル・ヤンと3人で練習をすることもありました(笑)。そういう時もテクニック指導をしてくれて。グローブもせずに対人シャドー、普通に素手で殴るみたいになるんですけど(笑)」
――アハハハハ。
「でも、技術的にも奥が深かったです。これが世界のトップにある選手なんだという強さと怖さを感じました。それもあってピョートル・ヤンの試合を見直すと、プレッシャーを掛けて距離を潰す。近くなると、足払いとか柔道の技を使う。そこって僕にも通じている部分で。だから、教わった技術がハマったところがあります」
――ピョートル・ヤン譲りの戦い方。いやぁ、楽しみです。
「次の試合で出す必要はないですけどね。そこまで、必要じゃない。客観的に見て。ただし、今後を考えると凄く役に立ちます。今も実際にスパーリングで使うと、そこでリードできますし。バンタオの2週間は凄く学びが多かったです。
ピョートル・ヤン、それと(イルホム)ノジモフ。ノジモフは強かったです。殺気があって怖かった。練習が終わったらケロってしているけど(笑)。久しぶりにフェザー級で、こんなに強いヤツがいるのかと思いましたね。RIZINに頻繁に来日するなら、日本人を全部食っちゃうんじゃないのかっていうぐらい強かったです。そんなノジモフと練習をすることができて良かったです。
2週間、生きるか死ぬかっていう練習をしてきて、日本に戻ってきて試合の準備だっていう段階になった時、『なんで、あんな奴と次の試合をするんだよ』って逆にモチベーションが下がりました。そもそも格闘技に向き合う気持ちが違うし。やっていることが違う。強度も違えば、中身も全然違う。『勝てる』と言っていることが不思議です」
――とはいっても、ファイトはファイトで100パーセントはありえないです。
「だからいつも通りにやるというのが、今回のテーマです。バンタオに来て、2週間死ぬ気で殴り合って見ろよって。バンタオのスパーリングって、人数が多いから75キロで重い方と軽い方と分けられるんですよ。僕はギリギリ重い方になってしまって。中村京一郎君もバンタオに来ていたのですが、京一郎君はギリギリ軽い方で(笑)。ジョージに『俺も、こっちで良いか』って聞いたら、『ダメだ』って言われて(笑)。まぁ、しょうがないですよね。
ノジモフも身長が180センチほどあって、僕と同じでフェザー級でも重い方でやっていました。ノジモフって、本来はタイガームエタイでやっている選手だけど、バンタオにも来ていたって感じで。ダウトベックも確かタイガーですよね」
――ノジモフとダウトベックは、マネージャーが同じではないでしょうか。
「ダウトベックがどれだけなのか分からないですけど、ノジモフは知られていないだけで相当に強いですよ。ケラモフとの試合だって見たい。それぐらい強いですね」
――その猛者たちとの練習の成果を発揮するのは、次の試合でないと明言したSASUKE選手ですが、改めてタイトル防衛戦に向けて、一言お願いします。
「盛り上げようとしてやっていることが、盛り上がっていない。青木(真也)さんのように『もめごとはリングに持ち込めば金になる』ということを継承せずに、ケージのなかに入ってマイクで発言するチャンスがあっても、おちゃらけて誤魔化す。裏でコソコソと、スパイみたいなことをするヤツと一緒にやっている。アレでよく会社員としてやれていますね。何よりも、裏でビビっている。それはこっちも知っているですよ」
――できれば意気込みを……。
「そうですね。ハハハハ。とにかく今回はケガもなくて、大丈夫なので。期待してください(笑)」
【写真】口調も穏やかで物腰が柔らかい永井だが「1発ぶち込んで壊してやる」発言など、キラーな一面も垣間見えた(C)TAKUMI NAKAMURA
16日(日)東京都文京区の後楽園ホールで開催されるプロフェッショナル修斗公式戦にて、永井奏多が藤井伸樹と対戦する。
永井はTRIBE TOKYO M.M.Aに所属する19歳。空手を経て中学卒業直前にTRIBEの門を叩き、軽量級のトップ選手たちと鎬を削り、ここまでMMA戦績7戦6勝(2KO)1分と無敗を誇っている。
今大会ではバンタム級屈指のスタミナとタフネスを誇る、元修斗環太平洋バンタム級王者の藤井と対戦。永井にとっては真価が問われる、そして更なる飛躍につながるためのターニングポイントになる一戦だ。
──永井選手はMMAPLANET初登場ということで、格闘技を始めたキッカケから教えてもらえますか。
「家の目の前に空手道場、月心会の支部があって、家族みんなで空手を始めました。それが3歳くらいの時です。ただ空手自体はガチガチにやっていた感じではなく、地元で和気あいあいとやるような環境で楽しく続けていました。空手は中学生に入るまで続けていて、中学ではテニス部に入ったんですけど、あまりテニスは楽しくないなと思いながらやっていて(笑)。それでやっぱり格闘技の方が楽しいなと思って、TRIBEでMMAを始めたのが中学3年生の冬ですね」
──中学で空手からテニスに移ったのは、空手や格闘技以外のことをやりたかったからなのですか。
「当時は自分も空手があまり好きではなくて、空手には型と組手があるじゃないですか。組手は対人練習で楽しいんですけど、1人で黙々とやる型がどうしても苦手で(苦笑)。ただ親も一緒に空手をやっていたから簡単には辞められず、中学に入ったタイミングでちゃんと部活に入って空手から離れようと思いました」
──色んなスポーツがある中でテニスを選んだ理由はなんですか。
「自分の兄が中学でテニス部に入っていたんで、それに影響されました。たださっき話した通りテニスも好きで始めたわけではなかったし、嫌々だったけど空手を長くやっていて、それを無駄にするのももったいない、ずっとやってきたことを活かしたいと思って、もう一度格闘技をやろうと思いました」
──MMAには昔から興味があったのですか。
「そうですね。家族でRIZINを見に行ったこともありますし、友達と見に行ったりもしていて、さいたまスーパーアリーナのデカい会場でド派手な入場をして、派手な試合をするのはカッコいいなと思っていました」
──MMAを始めるうえでTRIBEを選んだ理由はなんですか。
「色んなジムに体験に行こうと思って、都内のジムを幾つか回ったんです。当時TRIBEでは青木真也さんが指導していて、それでTRIBEのことは知っていて、いざ体験に行ってみたら、凄くいいところで丁寧に教えてくれて。所属選手もたくさんいるし、直感でここだ!と思って決めました」
──永井選手が入会した頃、同世代の会員はどのくらいいたのですか。
「3つ上の高校3年生の先輩がいたのですが、中学生からすると高校3年生ってすごく歳上じゃないですか。だから同世代の選手はあまりいなかったと思います」
──ジムに入会した時からプロ志望だったのですか。
「はい。ジムに入った時からプロ志望でした。中3でプロ志望の選手は珍しかったみたいで、先輩たちからはすごく良くしてもらって、何か質問しても丁寧に教えてくれるし、それでここまで続けてこられたというのもあります」
──長南亮代表は永井選手にとってどんな存在ですか。
「本当にボスって感じですね。細かい技術はそれぞれ打撃が上手い先輩、寝技が上手い先輩に聞いたりするんですけど、総合的なMMAとしての技術や考え方、試合に向けての準備…そういうところはボスの長南さんが教えてくれた感じですね」
──そして2023年4月に修斗でプロデビューし、デビュー戦はドローでしたが、それ以降は無傷の6連勝中です。ご自身ではここまでのキャリアや戦績を振り返って、どう捉えていますか。
「無敗で来れたのはいいことだと思っているんですけど、フィニッシュした試合は2回しかないんですよ。これからはどんどんフィニッシュして勝って、いずれはUFCや海外の団体で試合をしたいので、そこに向けて勝ち続けて、フィニッシュ率も上げていきたいと思っています。今まで対戦してきた相手も修斗の中でレベルが高い選手や上位陣というわけではないので、これからは上位陣でこの人に勝ったんだぞと、胸を張れる相手とやっていきたいです」
──自分ではどこがMMAファイターとしての武器だと思っていますか。
「空手をずっとやってきて、顔面ありに慣れるのに時間はかかりましたが、打撃への恐怖心には慣れている方だと思います。そこは自分の強みというか、試合になっても怖がらずにドンドン打撃を出していけますね。寝技と組み技もTRIBEで組みの強い選手たちとたくさん練習させてもらっているんで、国内だったら組みでも負ける気がしないです」
──普段の練習ではどんな選手と組むことが多いのですか。
「色んな人と組むのですが、TRIBEだと若松佑弥さん、後藤丈治さん、石井逸人さん、あとは同じ時期にプロデビューした黒部和沙さんですね。黒部さんは年齢的には先輩なんですけど、TRIBEに入ったのが同時期なんで、よく一緒に練習しています」
──まさに日本の軽量級のトップ選手たちと普段から練習しているわけですね。
「そうですね。対戦相手はTRIBEの先輩たちよりは絶対に強くないだろうと思って試合ができています(笑)」
──先ほどはまだトップ選手と対戦したことがないと言われていましたが、今大会では元修斗環太平洋バンタム級王者の藤井選手との一戦になります。最初にオファーを受けた時はどんな心境でしたか。
「急にバン!と相手のレベルが上がったので、少し驚きはしましたけど、ずっとやりたいと思っていた選手だったし、自分にとっては相性がいい相手なので、絶対に勝てるだろうと思いました。だからもうヨッシャー!って感じで、ここを喰って、すぐにチャンピオンになってやろうと思います」
──永井選手としても今年はランキング上位の選手と戦って、自分のポジションや地位を上げていきたいと思っていますか。
「はい。その気持ちは去年ぐらいからあったんですけど、去年一年はしっかり経験を積む期間だと思ってやっていて、今年からいい選手といきなり当ててもらえて嬉しいです」
――対戦相手としての藤井選手の印象はいかがでしょうか。
「すごくスタミナもあるし、打たれ強さもあるんですけど、スタミナの面では自分もしんどい練習をしているので負ける気はないです。またあの打たれ強さもそろそろ崩れてくると思うし、過去に藤井選手と対戦した石井さんと後藤さんがダメージを蓄積させてくれていると思うので、最後に自分が1発ぶち込んで壊してやろうと思っています。なかなかフィニッシュされない選手だからこそ、KO・一本で勝ちたいです」
──藤井選手に勝利すれば、修斗でのタイトル挑戦が見えてくると思います。今年はどんな目標を立てていますか。
「今年の目標はまず藤井選手に勝って、年間3試合やるにしても、残り2試合ではもっと上位のランカーたちを倒して、来年のはじめにはタイトルマッチをするという目標でいますね。最終的に目指しているものはUFCチャンピオンなので、毎日UFCチャンピオンになってやるぞという気持ちでやっています」
──今回永井選手が藤井選手と対戦するということでたくさんの人がこの試合を楽しみにしていると思います。改めてどんな試合を見せたいですか。
「藤井選手は今までKO負け・一本負けがない選手だと思うんで、その藤井選手を自分がフィニッシュして勝って、これからチャンピオンになるのは自分なんだぞと分からせる試合をします」
The post 【Shooto2025#02】7戦無敗の19歳、永井奏多「タフな藤井選手に1発ぶち込んで壊してやります」 first appeared on MMAPLANET.【写真】焦らず、確実に――野瀬にとっては成長が試される一戦だ(C)MMAPLANET
9日(日)、5月11日(日)に福岡県福岡市中央区のアクロス福岡イベントホールで開催されるTORAO35の対戦カードが発表された。昨年12月、環太平洋バンタム級王者決定トーナメント決勝でダイキ・ライトイヤーに敗れた野瀬翔平が、ホームタウンで加藤ケンジと復帰戦を行う。
Text by Shojiro Kameike
すでに野尻定由×宮口龍鳳のバンタム級など、九州在住ファイターを中心としたカードが発表されていた今大会。さらに野瀬×加藤、結城大樹×安海健人のライト級戦が追加されている。
野瀬は3年連続でRoad to UFCも挑戦するも、いずれもトーナメント優勝はならず。昨年9月に、キャリア初のベルトを目指して修斗環太平洋バンタム級王者決定トーナメントで再起した。初戦では人見礼王と対戦してキムラで勝利。しかし12月の決勝ではダイキ・ライトイヤーに判定負けを喫し、戴冠には至らなかった。
人見戦の前にはMMAPLANETのインタビューで「今まで以上に組みを強化している」と語っていた野瀬。確かに試合では相変わらずのテイクダウン&コントロールの強さを見せているが、打撃の被弾も目立ち、結果的に自分の形でポジションを奪うことが難しくなるというトーナメント2試合の内容であった。
対する加藤ケンジは現在5連敗中ではあるが、テイクダウンディフェンス&相手の隙を突く打撃を得意としている。まさに環太平洋トーナメントで明らかになった、野瀬にとっては課題ともいえる武器を持つファイターだ。ここで野瀬が強引な攻めを見せるようであれば、加藤のTD防御&打撃で削られる可能性もあるだけに、野瀬の試合運びにも注目したい。
また、結城は1年振りとなる修斗の試合で、2022年修斗ライト級新人王の安海を迎え撃つ。昨年3月は後楽園ホール大会で椿飛鳥に敗れ、ランキングを明け渡してしまった。その結果、ランク1位となった椿が3月16日にSASUKEが持つ修斗世界フェザー級王座に挑むこととなっている。
結城は10月のBloom FCからライト級に転向し、ソ・ジェファンをRNCで下した。そのソ・へファン戦では移動と減量苦から解放されたおかげか、テイクダウンからバックテイク、フィニッシュまで力強い動きを見せていた。現在はフェザー級でランクされている結城は、キャプテン☆アフリカがベルトを巻く修斗ライト級で新たにランキング入りなるか。
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5日(木)にROMANより、4月27日(日)に東京都新宿区のGNEスポーツパレスで開催されるROMAN02の追加カードが発表されている。
Text Manabu Takashima
時間無制限、無差別、素手というMMAの原型=ルーツに立ち返るROMANバーリトゥードで関根シュレック秀樹が、公開で対戦相手の募っている同大会。関根以外に大浦マイケ、松本大輔、中里謙太、門脇英基の参戦が明らかになっていたが、うち3選手はROMAN Combat=道着MMAルールで挑むこととなり、松本は門脇教祖との対戦が決まった。
中里は田馬場貴と相対する他、ROMAN Combatでは清水俊一が連続参戦し、大村智成と。江木伸成✕江崎壽、高橋孝徳✕押木英慶、瓜田幸造✕中山賢一裕と道着所縁、そしてMMA経験者たちが集い、さながらMMA梁山泊の様相を呈している。
そんなROMAN Combatに修斗、SRCフェザー級の頂点に立ち、UFCで活躍した日沖発の出場が決定している。
今年で42歳になる──日沖がケージの中で戦う姿を披露するのは2023年3月のFinish10の土屋大喜戦以来となる。それ以前には2021年8月のGrachanでのタクミ戦、全日本マスターオープンで柔術のトーナメントで戦ったのは2019年だった。タクミと土屋のいわばOBマッチはグラップリング戦で、日沖が打撃有りの戦いに挑むのは2018年8月のRIZIN12における朝倉未来戦以来、実に6年8カ月ぶりとなる。
とはいえ自らの城stArt では常にプロ連にも参加しており、久米鷹介や透暉鷹らは常にその強さを口にしている。日沖の対戦相手は誰になるのか発表はこれらかになるが、今回のROMAN出場に向けMMAPLANETの以下のようなコメントを寄せてくれた。
日沖発
「今回、ROMANに出場しようと思ったのは、ナオさん(渡辺直由CEO)に口説かれたからです(笑)。同時に、衰えに抗いながらも戦いに挑戦できる機会がもうないかもしれないという想いもありました。ROMANがやろうとしていることは新しい試みでもあり、原点回帰でもあると考えています。
MMAとBJJ が完全に別物、異種競技になった近年において、その両方の良さ、総合格闘家と柔術家がリンクした楽しさを味わえるはROMANやPROGRESSのような試みであり、だからこそ世間に伝わるものだと思います。
これから大会が続き、選手や競技が進化するとROMAN独特の技術やスタイルも生まれてくると思うので楽しみです」
相手を仕留める総合格闘技。テイクダウン&スクランブル時代全盛期に世界の最高峰でMMAを戦ってきた歴戦の勇者らしい言葉だ。そんな日沖参戦のROMAN三本の支柱のうち一つ、ヒール解禁、外掛け、スラム有りのUnlimited柔術といえる柔術オリジン=ROMAN JIUJITSUで無差別級4人制トーナメントも実施される。
白木アマゾン大輔✕ランジェル‧ロドリゲス、森戸新士✕柳井夢翔という準決勝の顔合わせも決まった同トーナメント。森戸と柳井は旗揚げ大会で対戦し、痛み分け──決着戦となる。
なおROMAN Combatの階級はユニファイドに即した階級で、当日計量(道着無し)。試合タイムは10分✕1Rもしくは、15分✕1R。ROMAN JiuJitsuは7分✕1Rとなっている。格闘温故知新であり、斜め上を進む前衛的格闘イベントROMANの第2回大会──日沖、マイケ、関根の対戦相手の発表も待たれる。
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9日(日)に横浜市中区の横浜武道館でPancrase352が開催される。今大会では元DEEPジュエルス暫定ストロー級王者の本野美樹がパンクラスに初参戦、元QOPであり現在も修斗世界女子同級のベルトを巻く藤野恵実と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
日本女子MMAの中でも、初対決となるトップ同士のマッチアップとなった。本野にとっては昨年のRoad to UFCの女子ストロー級トーナメント準決勝で、中国のフン・シャオカンに敗れて以来の復帰戦となる。藤野にとっても昨年9月、ソルトに敗れてストロー級QOPのベルトを失って以来のMMAだ。初対決であり、かつ生き残りを賭けた一戦を前に、本野がRTU以降の心境を語ってくれた。
――今回はジムを移籍し、パンクラスに初参戦します。RTU以降、本野選手にどのような心境の変化があったのでしょうか。
「RTUの準決勝が終わったあと、どうすれば最短で自分が強くなれるのかを考えました。私が目指しているのはUFCであり、UFCと契約するためには――RTUで負けた自分がどうすれば良いのか。まず環境を変えて、もう一度しっかりMMAと向き合いたいと思ったんです」
――それだけ本野選手のなかで、RTUの敗戦が大きかったということですか。
「はい。特に同じ相手に2回も負けてしまったのは……」
――フン・シャオカンとは2023年11月に中国のハッピー・エレファントMMAチャンピオンズ・リーグで初めて対戦し、腕十字で敗退。さらにRTU準決勝で再戦となりましたが、ここでも判定で敗れました。
「同じ相手に2回負けたことで、試合直後『あぁ、もうMMAは……辞めよう』とも思いました。だけど時間が経つにつれて『もう一度戦いたい』『やっぱりUFCを目指したい』という気持ちが戻ってきたんです。RTUは準決勝で負けたけど、戦った実感としては『まだやれる』という気持ちがあって」
――初戦は一本負けを喫したものの、序盤から本野選手が攻め立てていました。一方でRTU準決勝では、序盤にテイクダウンを奪いながら攻め込むことができませんでした。
「相手にとって、私と一度対戦していたことが大きかったんだと思います。初戦は私がガンガン、テイクダウンに行って倒して――という流れでした。だから再戦では、その点は警戒してくるとは思っていましたけど、私が思っていたよりも距離を取られて、自分から入っていくことができなかったです」
――2R以降は完全にフン・シャオカンに距離を支配されていました。
「前回よりも距離が遠く感じられました。私が遠い距離から入っても、相手のほうがリーチは長いので殴られるか、さらに距離を取られる。――なんて考えると、自分から入っていくことができませんでした」
――そのRTUを経て、移籍先としてグランドスラムを選んだ理由を教えてください。
「コロナ禍の頃、AACCが入っているゴールドジムが使えない時期があったんですよ。その時に私はDEEPジュエルスでタイトルマッチが決まっていて、ちょくちょくグランドスラムへ練習に行かせてもらっていました。コロナ禍のあとも週2~3回ぐらい出稽古に行っていて、自分にも合っていると思ったし、今回移籍するならグランドスラムだなと決めていました」
――なるほど。
「本当はRTUが終わってから、米国に行きたい気持ちがありました」
――えっ!? それは米国に拠点を移すということですか。
「そうです。UFCを目指すなら米国の大会に出たほうが、試合を観てもらいやすいんじゃないかと思って。そのためには米国にいたほうが試合も組まれやすい。プロモーターからすれば、日本から選手を呼ぶのはお金もかかるし、そのお金をつかってまで呼ぶぐらいの選手は、なかなかいないでしょうし」
――……。
「だから私が米国に住んじゃったほうが良い、と思ったんですよ。だけど、そのためにはクリアしなきゃいけない問題も多くて、現実的には厳しい。それなら日本で環境を変えようと決断しました」
――結果、日本国内でグランドスラムへの移籍とパンクラス参戦に繋がるのですね。
「パンクラス出場は、私から勝村(周一朗グランドスラム代表)にお願いしました。私はずっとDEEPジュエルスに出ていましたけど、DEEPジュエルスからはRIZINに出ている選手が多いという印象があって。自分が目指すのはUFCであって、パンクラスからRTUやDWCSに出場している選手が多いと思っていました。そこで日本であればパンクラスのベルトを獲りたいと思って、勝村さんにお願いしたんです」
――そのパンクラス初戦の相手が、藤野選手となったことも驚きでした。
「一発目でこのカードを組んでくれたことは、自分からすれば良いことしかないです。凄くありがたいですし、試合を受けてくれた藤野選手にも感謝の気持ちしかありません。ここで藤野選手にしっかり勝つことができれば、ベルトに最短距離で近づけると思っています」
――藤野選手にはどのような印象を持っていますか。
「長年ずっと日本のトップにいるベテランで、体も強いし突進力が凄い。でも自分はUFCを目指しています。ずっと日本の女子MMAを引っ張っている藤野選手に圧倒的に勝つことで、自分の未来を切り開きたいです」
――久々となる日本での試合に向け、意気込みをお願いします。
「今回はパンクラス初戦で、日本では2年振りの試合となります。そんな自分の試合を会場や中継で、ライブで観てもらいたいです。強い藤野選手と戦って『本野は強いな』という印象を残せる試合をしたいと思っています。必ず一本かKOでフィニッシュします」
■視聴方法(予定)
3月9日(日)
午前11時45分~U-NEXT
■Pancrase352 対戦カード
<フライ級QOP選手権試合/5分5R>
杉山しずか(日本)
渡邉史佳(日本)
<ストロー級KOP選手権試合/5分5R>
黒澤亮平(日本)
植松洋貴(日本)
<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
松井斗輝(日本)
<ライト級/5分3R>
粕谷優介(日本)
ラファエル・バルボーザ(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
Ryo(日本)
山本歩夢(日本)
<女子ストロー級/5分3R>
藤野恵実(日本)
本野美樹(日本)
<バンタム級/5分3R>
合島大樹(日本)
後藤丈治(日本)
<バンタム級/5分3R>
矢澤諒(日本)
山木麻弥(日本)
<ウェルター級/5分3R>
村山暁洋(日本)
長岡弘樹(日本)
<フェザー級/5分3R>
遠藤来生(日本)
木下尚祐(日本)
<フライ級/5分3R>
山﨑聖哉(日本)
時田隆成(日本)
<バンタム級/5分3R>
前田浩平(日本)
梅原規祥(日本)
<バンタム級/5分3R>
千種純平(日本)
松井涼(日本)
<フライ級/5分3R>
今井洋希(日本)
稲垣祐司(日本)