3月14日に横浜武道館で開催されるPANCRASE 361。タイトルマッチが多数組まれる中、今回は杉山しずか(リバーサルジム新宿Me,We)× 和田綾音(ALIVE)のクイーン・オブ・パンクラス チャンピオンシップ フライ級に注目しました。
杉山は日本の女子格の黎明期から支えてきたベテラン。女子フライ級の元王者でありながら、ベストボディジャパンで優勝するなど今だに独自の存在感を見せています。
一方の和田はなんとまだプロ実績は2戦という新星。ライカ、オノダマンに連勝して僅か3試合目でタイトルショットを手にしました。ベテラン×ニューフェイスというわかりやすい対立軸。和田のポテンシャルがどれだけのものか。シンプルに楽しみにしています。
でも、個人的に気になるのタイトルマッチまでの道のり。たった3試合目でタイトル挑戦っていかがなものか。しかも、今回の和田だけでなく、前王者の渡邉史佳は4試合目、3代前の王者・重田ホノカも4試合目と総じてタイトルまでに要する試合数や期間は短くなっています。
理由はやはり選手層の薄さ。比較的選手が多いアトム級やスーパーアトム級に比べると、規定体重の重いフライ級はどうしても選手層は薄くなります。それをパンクラス、修斗、DEEP JEWELSで分割するから、一団体毎に契約している選手は少なくなり、数試合しただけでタイトルマッチにならざるを得ないというのが実情です。
昨年末に開催された修斗の女子部門CLORSの感想でも書きましたが、純粋なプロMMAの試合数は全体の半分以下で、キッズ、キック、グラップリングの試合を組んで「水増し」した感は否めず、女子だけで大会を行う難しさが滲み出ています。満足に大会を定期的に運営出来ているのはDEEP JEWELSくらいでしょうか。
この状況を踏まえると、DEEP JEWELSを中心に修斗、パンクラスで女子部門を統合して1つの大会、1つの塊にしたくらいが、選手層的にもイベントや競技の質としても適正という考え方は少し乱暴でしょうか?そうすれば女子のMMAだけでも大会を組めるし、タイトル戦線もまだ厚みを帯びてくるんじゃないかなと。それがRIZIN女子部門としてRIZINの冠をつけるのが一番しっくりきます。
でも、これはあくまで小手先の話。長い目で見れば女子の競技人口を増やして裾野を広げる必要がどうしても出てきます。男子でいうと、朝倉未来やブレイキングダウン、平本蓮に憧れて格闘技を始める層が増えた事は体感値ベースですが確実に実感していますが、その一方で女子はどうなのか。
もちろん朝倉、平本のファンとして会場に足を運ぶ事は増えていますが、いざ競技を始めるには憧れやシンボルになる女性ファイターは必要不可欠です。一番近距離にいるのが実力的には無双状態の伊澤星花だと思いますが、RENAに対する執拗なトラッシュトークを見て、ああいう選手になりたい女子がどれだけいるかいささか。オラオラしたアウトローな世界観に惹かれる男子はいても、同じ路線で女子が憧れるかというとちょっと違う気がします。
むしろ女性ならではのしなやかさや美しさ、かっこよさや強さに憧れや理想を感じて、惹かれるのではないかなと。今の時代こんな事を書くとジェンダーギャップとか言われてしまうかもしれませんが、男子にはない、女子格闘技ならではの魅力は間違いなくあると思うんですよね。
実力的には伊澤には遠く及ばないかもしれませんが、浅倉カンナやRENA、山本美憂を中心に回っていた頃のRIZIN女子はキラキラして見えたのは私だけでしょうか?そして、何と言っても私にとって女子格闘技の原風景は2007年にDEEPで行われたMIKU×瀧本美咲の試合。
何回も書いてるので耳タコかもしれませんが、グラウンドで激しく上下が入れ替わる回転体。互いに極めを狙って攻め続けるシーソーゲーム。最終的にMIKUが一本取りましたが、試合後に屈託のない自然な笑顔で抱擁して認め合う2人の姿を見て、男子にはない美しさ、清々しさ、そしてスリルを味わい、女子格闘技ブレイク前夜の雰囲気を感じました。
SNSでバズらせるためにけしかけるのもたまには見たいし、因縁めいたストーリーもゾクゾクします。でも、等身大の選手が繰り広げる試合に自己投影して、共感して、実際にトライしてみたいと思うんじゃないかと、女子でもないのに考えてみました。日本の女子格闘技にご武運がありますように。