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【UFC292】極めるか、倒すか。間合いと減量&睡眠=ステーリング✖オマリー戦展望─02─

【写真】さぁ、いよいよ3日後に両者の競演が見られる(C)MMAPLANET

19日(土・現地時間)、ボストンのTDガーデンにてUFC 292「Sterling vs O’Malley」が開催される。メインのUFC世界バンタム級選手権試合展望後編。
Text by Isamu Horiuchi

絶対的なバック奪取能力と、コントール力を誇る王者ステーリングと、卓越した打撃の当て勘を有する挑戦者オマリー。当然のように事前の挑発の試合を行うなかには、ステーリングの減量とオマリーの睡眠というエレメントにも言及は及んでいた。

<アルジャメイン・ステーリング✖ショーン・オマリー考察Part.01はコチラから>


ステーリングの卓越した打撃回避の能力、多少不格好でも組みついてしまえばケージに押し込んで強引にテイクダウンやバックを奪ってしまう無類の組み力、そして一度有利な体勢を取ったら決して相手を逃さない圧倒的なコントロール力こそが、王者優位説の強力な根拠だ。

さらに注目したいのは、試合開始直後の攻防だ。というのも以前ステーリングは、オマリー同様に長いリーチを誇るストライカーのコリー・サンドハーゲンと対戦した際に、スタートと同時に──絶妙な間合いを保ちつつも──プレッシャーをかけて下がらせ、蹴り足を掴むとあっという間にテイクダウンからバックを奪取、そのままチョークを極めて驚愕の圧勝劇をみせているのだ。

今回の試合に向けても王者は「サンドハーゲン戦と同じように極めてやるよ。前に出てプレッシャーをかけてやる。奴はフットワークを使うだろうけどこっちは逃げ道を遮断する。すると奴は苦し紛れに蹴ってくるだろうから、それを掴んで奴の体を二つ折りにしてやるさ。1ラウンド半分で極めるよ」と宣言している。

王者が予告通り試合開始と同時に圧力をかけてゆく可能性は高いと思われる。対するオマリーがそれに屈せず、逆に王者を下がらせる、あるいは出鼻の打撃を当てることはできるのか。試合開始直後から、まったく目が離せない一戦だ。

また、オマリーとしては序盤から組み伏せられてしまったとしても、極められさえしなければ次のラウンドはスタンドから再開となる。2019年のクインテッド・ウルトラにて五味隆典をギロチンチョークで仕留める等、以前からグランプリング大会にも精力的に出場して実績を出しているオマリーは、前戦から1年間、さらなるグラップリングの強化に多くの時間を割いてきたという。

何度ポジションを奪われようが極めさせず、試合を長引かせれば長引かせるだけ王者の集中力は下がり、必殺の左右のストレートが当たる可能性が上がるだろう。

またオマリーは、ステーリングがキャリア唯一のKO負けを喫した2017年のマルロン・モラエス戦についても言及し「モラエスがやったように、俺が奴を眠らせる姿をいつも頭に浮かべているよ」と語ってもいる。

スタンドでオマリーのプレッシャーを感じた王者が不用意にテイクダウンに行くようなことがあれば、モラエス戦のようにカウンターのハイキック、あるいはヒザを当てるチャンスが広がる。

昨年10月のTJディラショー戦の時のステーリングの公式計量時の様子

さらに──。

「アルジョは俺よりはるかにキツい減量をしているはずだ。だから脳から水分が抜けて一発で倒れるよ」とも語るオマリー。

王者に対してSNS上で「俺は今日すげえカロリーの高い美味い晩飯を食ったぜ。アンタはなにを食ったんだい?」、「俺は今日もたっぷり質の高い睡眠を摂ったぜ。アンタの睡眠はどうだい?」(※最近オマリーは、睡眠の専門家を雇ってその向上に努めている)とユーモラスな挑発を繰り出してもいる。

対するチャンピオンも、その投稿に対して「お前は寝ているんだな。俺は練習するんだ。違いが分かるか?」と気の利いたリプをしている。とまれ、当代最高のグラップラー✖ストライカー、クラシカルにして最先端の攻防を、心ゆくまで堪能したい。

■視聴方法(予定)
8月20日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前7時00分~U-NEXT

■UFC292対戦カード

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]アルジャメイン・ステーリング(米国)
[挑戦者]ショーン・オマリー(米国)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]ジャン・ウェイリ(中国)
[挑戦者]アマンダ・レモス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ニール・マグニー(米国)
イアン・ギャリー(アイルランド)

<バンタム級/5分3R>
マーロン・ヴェラ(エクアドル)
ペドロ・ムニョス(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
マリオ・バウティスタ(米国)
デモン・ブラックシアー(米国)

<ミドル級/5分3R>
クリス・ワイドマン(米国)
ブラッド・タヴァレス(米国)

<ミドル級/5分5R>
グレゴリー・ホドリゲス(ブラジル)
デニス・チュルリン(ロシア)

<TUF31ライト級決勝/5分3R>
カート・ホロボウ(米国)
オースティン・ホバート(米国)

<TUF31バンタム級決勝/5分3R>
コディ・ギブソン(豪州)
ブラッド・カトーナ(カナダ)

<ミドル級/5分3R>
ジェラルド・マーシャート(米国)
アンドレ・ペトロスキー(米国)

<女子フライ級/5分3R>
アンドレア・リー(米国)
ナタリア・シウバ(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
マリーナ・モロズ(ウクライナ)
カリーニ・シウバ(ブラジル)

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BELLATOR MMA MMAPLANET o PFL UFC UFC ESPN50 アドリアーノ・モライシュ クリス・ダンカン ファーニー・ガルシア ペドロ・ムニョス ヤーソラフ・アモソフ 中村倫也 元谷友貴 堀口恭司 海外 牛久絢太郎

【UFC ESPN50】中村倫也 に1カ月間のATT滞在を訊く─01─「アドリアーノ・モライシュ。リズムが……」

【写真】牛久絢太郎、元谷友貴、堀口恭司ら日本勢、アモソフ、ペドロ・ムニョス、モライシュらとラストトレーニングセッション後に (C)RINYA NAKAMURA

8月26日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるUFC on ESPN50「Holloway vs The Korean Zombie」で、ファーニー・ガルシアとUFC初陣を戦う中村倫也。

まさに今、帰国の途に途中である中村は1カ月間、フロリダのATTで出稽古を行った。米国の最先端メガジムを経験して、中村は何を想ったのか。帰国直前に話を訊いた。


――6月5日から7月5日まで1カ月間、ATTでの出稽古もほぼ終わり、明明後日に帰国する中村選手です(※取材は2日に行われた)。

「ハイ。4日まで練習をして、5日に出国して帰国は6日です」

──つまり、練習としては残すところは2日間だけですね。練習の話を聞かせてもらう前ですが、今いる場所はファイターズハウスですか。

「ハイ」

──ベッドが2つということはルームメイトも一緒で?

「いえ、1人で使っています。Airbnbやホテルに泊まる選手もいますし。今いるのはBellator世界ウェルター級王者のヤーソラフ・アモソフ、PFLのマゴメド・ウマラトフ、それとUFCのクリス・ダンカンの4人っていう感じですね」

──とんでもないメンバーですね。Fight&Lifeの「韓国&モンゴル格闘紀行」のレポートなかで、今はATTにいるという紹介で使わせてもらったツーショットの写真を送ってもらいましたが、彼女がファイターズハウスの清掃などをしてくれるのですね。

「あの写真、鬼木(貴典マネージャー)さんから『選手でなく、何か米国にいるっていう感じの写真をリクエストされたから、掃除をしてくれるおばちゃんの写真はどうですかって伝えると、ぜひそれでって言われたよ』って言われて。写真をクリス・ダンカンに撮ってもらったスけど、実はそんなにおばちゃんでなくて……」

──ハイ、確かに。想像していたラテン系の丸いお母さんという感じではなかったです。

「だからクリスが『お前、狙っているのか』という感じになって……(苦笑)」

──あれを機に、何か進展はありましたか。

「ないッスよ、ない(笑)。それよりもクリスがそういうことをすぐに言うから、アレから話もできなくなってしまって」

──アハハハハ。今回はATTの練習を通して、倫也選手が何を感じたのか。そこを話してもらいたいのですが、まずはヒアリ事件からお願いできますか。

「アハハハハ。そこからっスか」

──アハハハ。体調ですね。せっかくフロリダまできたけど、体調を崩して練習できないと勿体ないですから。そんな日々があったのかどうか、まず教えてください。

「そうですね、時差がようやくなくなったぐらいの時に……ガッと体調を崩しました。部屋の空調から埃っぽい空気が出ているなっていうのは、最初から気になっていたんです。朝起きると喉がカラカラで、痰が絡んでいるような感じで。喉がイガイガして血が出るようになると、一気に体調が悪くなりました。でも空気が汚いというよりも、乾燥が一番原因だと思います。

熱も結構出ましたけど、ちょうど週末だったので金曜日の練習を休んで土日と3日寝ていると、全く大丈夫になりました。それから夜は空調を止めるようにして。でも、今はエアコンをつけていても平気です。体がフロリダに適応しましたね」

──最初は張り切って、飛ばし過ぎたということはないですか。

「多分、あります(笑)。時差があって。疲労が溜まっているのに、思い切り練習したことも体調を悪くした原因になっていると思います。練習量も増えていましたし。鬼木さんからも『慎重に』とは言われていたのですが、最初の頃は嬉しくてしょうがなくて(笑)」

──ケガのないようにと申し合わせていた韓国とモンゴルでも、あれだけ一生懸命になっていたのでそりゃあATTだと止まらないというのは、ある意味想定内ですね(笑)。

「ただ韓国とモンゴルで練習できたことで、海外での練習というものに慣れることができて本当に良かったと思っています。ATTにきても積極的にお願いして、良い練習ができました」

──そんななかヒアリ事件が勃発したわけですね。

「体調が戻って1週間しっかりと練習して、次の週の火曜日ですかね。ATTの裏にはちょっとした自然が残っていて大きめのリザード……トカゲとかいるんですよ。そういうなかで1日の初めに瞑想をしていたんです。その時に〇〇玉の毛をむしり取られるような痛みが走って……」

──〇〇玉に毛は生えていないから、それは分からないですね(笑)。

「アハハハ。それでどれだけ痛いのか分かってくれると思ったのに……(笑)」

──アハハハ。しかし、ヒアリは日本でも要緊急対処特定外来生物に指定されていますし、アナフィラキシーショックを引き起こすこともあり本当に危険です。

「神経に来るようなピリピリした強烈な痛みを感じました。僕自身、噛まれたらもうそれで終わりかと思っていて。でも『ちゃんと薬を塗らないと2、3日後にリンパが腫れてガッツリと熱が出ますよ』と恭司さんが、すぐに薬局に連れて行ってくれました。そこでヒアリの薬を買って塗ることができて、ただUFCの検査でひっかかる成分がないか、それだけはチェックしてから塗りました」

──薬を塗ると問題なかったですか。

「ハイ、その日の夕方はちょっとだるいなぁとは思ったのですが、患部にも塗りたくっていたので大丈夫でした」

──おばちゃんが塗ってくれましたか(笑)。

「下品(笑)。それは頼めなかったです(笑)。大体、おばちゃんの名前も知らないままですから。でも、あの教わったスペイン語で日本に来てねっていう言葉は伝わって、『Thank you』って言ってもらえましたけど」

──Espero que vengas a Japonですね(笑)。いずれにせよ、ヒアリに刺された影響が最低限で良かったです。

「ハイ、練習も休まなかったです。ただアレ以来、瞑想も室内でするようになりました(笑)」

──ではATTの練習についてですが、想像以上、想像通り、色々と感じたか思います。

「ハイ。想像と違っていたのは、打撃において外国人選手特有のリズムの違いですね。実際は想像をしていたのですが、想っていた以上に違いました。テンポの取り方がグニャァとしている人や、正確なリズムでなく気持ち悪くされてしまう。そういう打ち方の選手が、いますね。日本では一緒に練習をしているということもありますが、リズムを創るとやりやすいです。

それがこっちに来てからは、崩しにいってもまるで動じない。凄く我を押し付けてくる。主張の強さを感じました。性格的なモノだと思います。絶対に譲らないです」

──特にそういうリズムだった選手というのは?

「アドリアーノ・モライシュですね。リズムが気持ち悪かったです。ヌルッと来たり、それすら来たり、来なかったり。そうしていたら、来る。途中から掴めるようにはなったのですが、体が先に入ってきて手が後から遅れて出てくる。あれは日本ではあまり経験してこなかったです。キレーに来ないので、そのモーションを見てしまうと、そこから速くて貰ってしまう。良い経験ができました。

それと外国人選手は歩きながら打つ技術が、平均して高いです。ステップオーバーして打つ。追い足がありますね。最初は真っ直ぐ下がる癖があったので、そこで被弾して練習後は頭が痛かったです。下がりながら、左右に外していく。その位置も安全圏と危ないところがあるのも、掴めるようになりました」

<この項、続く>

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MMA MMAPLANET o ONE UFC UFC288 アルジャメイン・ステーリング ドミニク・クルーズ ヘンリー・セフード ペドロ・ムニョス

【UFC288】フォークスタイル=ステーリング✖フリースタイル=セフード戦展望─02─、間と圧

【写真】凄まじいフィジカルの持ち主同士、戦い方&思考はセフード=剛✖アルジャメイン=柔 という見方も成り立たないわけではない(C)Zuffa/UFC & MMAPLANET

6日(土・現地時間)、ニュージャージー州ニューアークにあるプルデンシャル・センターにてUFC 288「Sterling vs Cejudo」が開催され、メインでUFC世界バンタム級王者アルジャメイン・ステーリングにトリプルCこと元UFCフライ&バンタム級王者のヘンリー・セフードが挑む。
Text by Isamu Horiuchi

両者の1年に渡る伏線から、試合直前の舌戦を経て世界最高峰の座を争うのに相応しい技術的な側面を考察したい。

<アルジャメイン・ステーリング✖ヘンリー・セフード考察Part.01はコチラから>


ESPNでのZOOM共同インタビューはセフードとステーリングが自らのファイトを論題とし、ディベートと化し熱を帯びていった。

セフードが「お前の戦い方など分かる。前に出てきて前蹴りを放ち、えらい遠くからテイクダウンを狙ってくるんだろ。ラテラルムーブメント(横の動き)も使いながらな。俺はお見通しだ。お前など及びもつかない高いファイトIQがあるからな!」と先陣を切る。

(C)Zuffa/UFC

対してチャンピオンも「俺に別のプランがないと思っているのか?

俺は試合中に戦い方を変えることができるんだ。あんた自分を過大評価しすぎなんだよ。一人でイージー・ファイトだと思っているがいい。あんたは試合が始まった瞬間、自分はバカだったと気づくんだ。マイティマウス(DJ)があんたにやったのと同じことをやってやるからな。柔術で極めるのではなく、ぶっ倒してやる」と言葉を返す。

このような舌戦を展開し試合を盛り上げつつも、両者とも試合に向けての準備は抜かりない。セフードは復帰に向けて地元アリゾナでフィジカルから栄養、そして打倒ステーリングに必要な各能力を段階的に築き上げる綿密なファイトキャンプを計画&実行。

さらにかつての宿敵DJ(以前セフードは、ONE にてアドリアーノ・モラエシュ戦を控えたDJの練習を手伝った)もアリゾナに招き、さらなる技術の習得にも余念がないようだ。

(C)Zuffa/UFC

対するステーリングも、地元ロングアイランドで順調に調整を進めている。

セフードがDJと練習していると聞くと「俺はマイティ・マウス(DJ)の何倍も力が強いぜ」一笑に付した現王者は、こちらも軽量級のレジェンドであるドミニク・クルーズと練習。自分の戦いに役立つアドバイスを得ることができたと満足げだ。

さらにコロンビア大学のレスリング部(NCAA D1)に出向き、ヘッドコーチにして、かつてセフードと一緒にオリンピック・トレーニングセンターで一緒だったザック・タネーリ氏とも練習するなど、着々とセフード対策を進めている。トレーニングパートナーとして、セフードと似た体格のトップランカーのドゥヴァリシビリがいることも大きな利点だろう。

最後に、この両者の攻防における注目点をいくつか挙げてみたい。

まずはなんと言っても、スタンドの主導権をどちらが取るか。レスリングをバックグラウンドに持つ両者だが、MMAの最高峰に上り詰めることができたのは、高度な打撃技術を併せ持つからこそ。そして二人の打撃スタイルはきわめて対照的だ。

(C)Zuffa/UFC

殺傷力で大きく勝るのはセフードだ。

リーチは163センチと短いものの、松濤館空手を取り入れた遠い間合いのコントロールに長け、そこから素早くステップインしての右は一撃必殺の威力を持つ。踏み込んでのローも強烈だ。クルーズ戦では変幻自在のステップに幻惑されることもなく、ローを当て立ちの攻防を制していった。

(C)Zuffa/UFC

が、ステーリングはセフードの攻めを無効化するのに適した戦い方を持つ。

180センチという長いリーチを活かし、蹴りを多用して距離を取ることに巧みな現王者。左右の立ち方を自在に使い分け、テイクダウンのフェイントも交えながら、相手が距離を詰めようとするその出鼻にノーモーションの左右ジャブ、前手でのヒジ、スピニングエルボー等多彩な打撃を先に当てては横に動く。「ファンクマスター」の異名の通り、まさにファンキーにして変則的なスタイルだ。

「そんなお前の戦い方などお見通しだ」と語ったセフードは、いかにステーリングの手数を突破して間合いを詰め、強打を打ち込むつもりなのか。逆にステーリングはセフードの侵攻を止め続けることができるのか。

両者とも弱点らしきものがないわけではない。ステーリングはペドロ・ムニョス戦後に「俺の足はクソ細いから奴のローは効いたぜ」と認めたことがあった。逆にセフードはDJとの第1戦ではボディへのヒザで倒されており、今回ステーリングは「腹が奴を攻略する鍵になる。酒ばかり飲んでいた肝臓をテストしてやるよ」と語っている。いかに自分の弱点を守りつつ相手のそれを突くか、ともに自負するファイトIQの高さが問われるところだ。

この立ち技の攻防に加わる重要なピースが、テイクダウンを起点とするレスリングの攻防だ。寝技に絶対の自信を持つステーリングは「奴は俺とレッスルしたがらず、打撃で戦いたがるだろう」と予測するが、同時に「奴が(強打を狙って)間合いを詰めてきた時は、俺が組み付ける距離になるってことだよ」と、試合を組みに持ち込む自信を覗かせている。が、セフードは言わずと知れた金メダリスト。これまでMMAの試合でテイクダウンされたことはない。「あんたの体を浮かせてやる」というステーリングの予言は本当に成就するのか。

そのステーリングの最大の武器はバックコントロール&チョーク。別にセフードを倒して背中を付けさせる必要はなく、流れの中でバックを奪えば目的達成だ。「奴はフリースタイルレスラー。俺はフォークスタイルレスラー。この違いは大きいよ」と語るステーリングのレスリングが、MMAにおいて金メダリストを凌駕する場面は見られるか。

またステーリングが認めていたように、セフードが得意の大内刈りを決めて上になる場面も想像できる。もしそうなれば、寝技においても異なるスタイルによる興味深いせめぎ合いが見られるだろう。

(C)Zuffa/UFC

セフードのグラウンド&トップでの武器は圧とパウンドだ。

カレッジに進まず、フリースタイルに特化し五輪センターでの日々を送って金メダリストとなったセフードは、このレスリングをDJとの第2戦で駆使して僅差の判定をものにした。今回の練習メニューでもグラウンド&パウンドを重点的に組み込んでいる模様だ。

一方ステーリングの寝技は、フォークスタイル独特のボディクラッチのないコントールに最先端のノーギ・グラップリングの影響をより強く受けたもの。ジョン・ダナハーの弟子にして世界最高峰のテクニシャンの一人として呼び声高いジェイソン・ラウの指導を受けるステーリングは、「もし俺をテイクダウンしても、俺のガードの中で苦労するのは奴の方だ」と語る。

(C)Zuffa/UFC

予告した三角絞めの他にも、足関節やさまざまな下から崩し、スクランブルに持ち込む形を持っているだろう。

それがセフードの強力きわまるトップコントロールに通用するのか。

そしてステーリングは、一度上になれば無類の強さを誇る。相手のガードの中にステイすることなく、まず腰を制してから上半身のコントロールに移行してポジションを進めるきわめて現代的なパスガードの使い手であり、スクランブルを試みた相手からバックを奪いチョークにつなげる流れは天下一品だ。もし下になった時、驚異のフィジカルを持つセフードがどう対処するかも興味深い。

打撃、レスリング、グラップリングとどの局面においても、全く異なるスタイルをきわめて高いレベルで実践する両者の頂上決戦。3年間不在だったセフードに人気と知名度で遅れを取り、試合前の舌戦でも押され気味の印象が否めないステーリングは、ハードワークを重ね戦績を積み上げてきた現役王者の意地を見せることはできるのか。それとも傲慢不遜なるセフードが、ブランクをものともせずに現王者を凌駕し、改めてその天才ぶりとファイトIQの高さを見せつけ、前人未到の3階級制覇&4冠王に王手をかけるのか。

世界最高峰のMMAの攻防を、心ゆくまで堪能したい。

■視聴方法(予定)
5月7日(日)
午前7時00分~UFC Fight Pass
午前11時00分~PPV
午前6時30分~U-NEXT

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MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN44 キック クリス・グティエレス ペドロ・ムニョス

【UFC ESPN44】攻撃が届かなかったムニョス、一発の左で間が変わりグティエレスから3-0判定勝ち

<バンタム級/5分3R>
ペドロ・ムニョス(ブラジル)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27
クリス・グティエレス(米国)

ムニョスがローを2度空振りする。グティエレスは逆に右カーフを極め、右前蹴りからジャブを当てる。スイッチを交えるグティエレスに、なかなか攻撃が届かないムニョスは飛び込むように左フックを放つと、この一発が見事にアゴを捕えてダウンを奪う。

グラウンドに移行したムニョスは、ガードの中でエルボーを落とす。グティエレスはクローズドガードを取って回復に努めると一瞬のハイガードも、すぐにクローズドに戻る。起き上ってパンチからトーホールド、ヒザ十字狙いのムニョスが、スクランブルでバックを取る。さらに自ら下になったムニョスの足関節狙いは不発に終わり、試合はスタンドへ戻る。ムニョスは圧を掛け、グティエレスがスピニングバックフィストとスピニングバックキックを入れた。

2R、ムニョスは左ローを蹴り、右ハイを狙う。すっかり足の攻撃が当たる距離で戦うようになったムニョスは、ジャブを受けてもローを蹴り合い、右を伸ばす。グティエレスはムニョスの左に右を合わせるが、左右のローを蹴られる。チェックをすることも多く、ダメージはないグティエレスだが、自ら攻撃も完全に減ってしてまっている。

ムニョスは右ローを蹴り、左を振って前に。かわしたグティエレスが左ローから、ジャブを当てる。決定打がなく、この回は終わった。

最終回、「何もしてない」とセコンドに奮起を促されたグティエレスが左ミドルを入れる。ムニョスはここも前に出てプレッシャーを掛け、右をヒットさせる。グティエレスは左の相打ち前蹴り、左ハイを放つ。そしてローからジャブを当てるなど、グティエレスの手数は確実に増えている。

ムニョスの飛び込みをかわしたグティエレスが、右ロー。さらに後ろ回し蹴りもかわして、右をう打っていく。スピニングバックフィストはブロックしたムニョスは構えを変えてパンチを放つ。残り90秒、グティエレスは右ハイも顔面を捕えることはできない。間合いを外し回るグティエレスがブーイングが送られる。ステップインから右を当てたムニョスは、シングルをかわされる。グティエレスは踏み込んでエルボー、最後にトルネードキックを見せたが届かずクローズドガードを取った。

結果、3-0の判定勝ちをしたムニョスは「若くて強い相手と戦えた。だから、僕は過去6年間トップ15にランクされているんだ」と勝者は話した。


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MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN44   アレッシャンドリ・パントージャ アーノルド・アレン イオン・クテレバ エジソン・バルボーサ クリス・グティエレス クレイ・グイダ ジリアン・ロバートソン ダスティン・ジャコビー ティム・エリオット ビリー・クゥアンティロ ビル・アレジオ ピエラ・ロドリゲス ブランドン・モレノ ブランドン・ロイヴァル ペドロ・ムニョス マックス・ホロウェイ マット・シュネル マテウス・ニコラウ マネル・ケイプ ラファ・ガルシア ランド・バンナータ

【UFC ESPN44】ロイヴァルとフライ級トップ対決、マテウス・ニコラウ「今回もシャベ・ジ・オーロだ」

【写真】この試合がプレリミって……どういうこと(C)Zuffa/UFC

15日(土・現地時間)、ミズーリ州カンザスシティのTモバイル・センターで開催されるUFC ESPN44「Holloway vs Allen」でブランドン・ロイヴァルと戦うマテウス・ニコラウ。

マネル・ケイプ、ティム・エリオット、デヴィッド・ドヴォルザーク、マット・シュネルと勝利を重ね、確実にランクを上げてきた。「過去最高にタフな試合になる覚悟はできている」という一方で、確かな自信を持っていた。

勝てば確実にタイトル挑戦が見えてくる一戦を前にして、ニコラウの心境とは。


――マテウス、前回のマット・シュネル戦の前のインタビューでは全ての局面で優っていると話していましたが、右フックでKO勝ちしました。

「言った通りになったよね。全てのエリア、全ての要素で僕が上だった。練習してきたことの全てを出せたわけじゃないけど、練習をしてきたことで勝てた。だから凄くハッピーだったよ。

でも満足はしていない。ただ思ったように練習の成果を見せて勝つことができたので、今回の試合も同じメンタルで臨むことができる。しっかりと準備してきたから、ブランドン・ロイヴァルがミスをすると、そこにつけこんでしっかりと勝利を手にするよ」

──そのロイヴァル戦、今週土曜日の試合に向けて精神的に良い状態のようですね。

「メンタルもフィジカルも最高さ。ケガなく、予定していた練習メニューを全てやり切ることができた。過去最高のシェイプだし、技術力も上がっている。より強くなり、より成熟した。その姿を土曜日に見てもらうよ。

全てをやってきた。これ以上の準備はない。今回もシャベ・ジ・オーロだよ。黄金の鍵を掛けて、キャンプを終えることができた」

──ではブランドン・ロイヴァルの印象を教えてください。

「タフなファイターだ。背が高くて、サウスポー、良いペースで戦うことができる。スタンドでも積極的に攻めるけど、グラウンドでのサブミッション・ゲームを好んでいる。きっと良い試合になるよ」

──サブミッションを狙う。そこに付け入る隙があるという見方は、正しいでしょうか。

「だいたい長所は短所になるもんだよ。良いペースで戦うと言ったけど、やり過ぎる面がある。だから、隙を与えてしまうんだ。僕としてはブランドンがアグレッシブに攻めてくる方が、距離を取ってくるより戦いやすい。

ブランドンはスタンドでもそうだけど、グラウンドでもミスをする。もちろんデンジャラスだし、一気呵成に攻める強さを持っている。でも、彼が攻撃を仕掛けてくる時こそ、僕が攻撃を仕掛ける時でもあるんだ。今回はキャリアで一番タフな試合になる覚悟ができているけど、精神的にはこれまでと何も変わりない」

──ここで勝てばブランドン・モレノ✖アレッシャンドリ・パントージャ戦の勝者への挑戦権を得ることができると思っていますか。

「そう信じている。ブランドンを一方的に破ることができればね。フライ級は世界戦で戦う選手が固定されてきた。新しいチャレンジャーの誕生をファンも待っているはずだ。この試合でブランドンに勝ち、その場に進むことができると信じている。準備はできているよ。

そのために今回の試合で圧勝する。KO勝ちか一本勝ちかは、どうでも良い。とにかく圧倒して、良い試合にしたい。一方的に勝つ、それだけだよ。ベストを尽くすから、日本の皆のサポートを期待しているよ。アリガト」

■視聴方法(予定)
4月16日(日・日本時間)
午前6時30分~UFC FIGHT PASS
午前6時~U-NEXT

■ UFC ESPN44計量結果

<フェザー級/5分5R>
マックス・ホロウェイ: 146ポンド(66.22キロ)
アーノルド・アレン: 146ポンド(66.22キロ)

<フェザー級/5分3R>
エジソン・バルボーサ: 146ポンド(66.22キロ)
ビリー・クゥアンティロ: 146ポンド(66.22キロ)

<ライトヘビー級/5分5R>
ダスティン・ジャコビー: 206ポンド(93.44キロ)
アザマット・ムルザハノフ: 205ポンド(92.99キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
イオン・クテレバ: 206ポンド(93.44キロ)
タナー・ボザー: 203ポンド(92.07キロ)

<バンタム級/5分3R>
ペドロ・ムニョス: 136ポンド(61.69キロ)
クリス・グティエレス: 136ポンド(61.69キロ)

<ライト級/5分3R>
クレイ・グイダ: 155.5ポンド(70.53キロ)
ラファ・ガルシア: 154.5ポンド(70.08キロ)

<フェザー級/5分3R>
TJ・ブラウン: 146ポンド(66.22キロ)
ビル・アレジオ: 146ポンド(66.22キロ)

<フライ級/5分3R>
ブランドン・ロイヴァル: 126ポンド(57.15キロ)
マテウス・ニコラウ: 126ポンド(57.15キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
エド・ハーマン: 206ポンド(93.44キロ)
ザク・カミングス: 206ポンド(93.44キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
ピエラ・ロドリゲス: 116ポンド(52.62キロ)
ジリアン・ロバートソン: 116ポンド(52.62キロ)

<ライト級/5分3R>
ランド・バンナータ: 156ポンド(70.76キロ)
ダニエル・セジューベル: 156ポンド(70.76キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
ブルナ・ブラジル: 116ポンド(52.62キロ)
デニース・ゴミス: 115ポンド(52.16キロ)

<バンタム級/5分3R>
ガストン・ボラノス: 136ポンド(61.69キロ)
アーロン・フィリップス: 136ポンド(61.69キロ)

<女子バンタム級/5分3R>
ホセリン・エドワルツ: 136.5ポンド(61.91キロ)
ルシエ・プシオワ: 136ポンド(61.69キロ)

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『UFC on ESPN 44: Holloway vs. Allen』前日計量動画


MAIN CARD (ESPN+, 8:30 p.m. ET)

・Max Holloway (146) vs. Arnold Allen (146)
・Edson Barboza (146) vs. Billy Quarantillo (146)
・Dustin Jacoby (206) vs. Azamat Murzakanov (205)
・Tanner Boser (203) vs. Ion Cutelaba (206)
・Chris Gutierrez (136) vs. Pedro Munhoz (136)
・Rafa Garcia (155) vs. Clay Guida (154,5)

PRELIMINARY CARD (ESPN+, 5:30 p.m. ET)

・Bill Algeo (146) vs. TJ Brown (146)
・Matheus Nicolau (126) vs. Brandon Royval (126)
・Zak Cummings (206) vs. Ed Herman (206)
・Gillian Robertson (116) vs. Piera Rodriguez (116)
・Lando Vannata (156) vs. Daniel Zellhuber (156)
・Bruna Brasil (116) vs. Denise Gomes (115)
・Gaston Bolanos (136) vs. Aaron Phillips (136)
・Joselyn Edwards (136,5)* vs. Lucie Pudilova (136)

 『UFC on ESPN 44: Holloway vs. Allen』前日計量結果。ルーシー・パディロヴァと対戦するジョセリン・エドワーズが136.5ポンドと0.5ポンドオーバー。出場給の一部を譲渡し試合は行われます。その他の選手はパスしています。




 前日計量動画。


UFC on ESPN 44 predictions: Who's taking Arnold Allen over ex-champ Max Holloway in mighty K.C.?(MMAJunkie)

 MMAJunkieスタッフによるメインカード勝敗予想。

・マックス・ホロウェイ vs. アーノルド・アレンはホロウェイ支持9人、アレン支持2人。

・エジソン・バルボーサ vs. ビリー・クアランティーロはバルボーザ支持6人、クアランティーロ支持5人。

・ダスティン・ジャコビー vs. アザマット・ムルザカノフはジャコビー支持1人、ムルザカノフ支持10人。

・イオン・クテラバ vs. タナー・ボザーはクテラバ支持2人、ボザー支持9人。

・ペドロ・ムニョス vs. クリス・グティエレスは11人全員グティエレス支持。

・クレイ・グイダ vs. ハファ・ガルシアはグイダ支持7人、ガルシア支持4人。続きを読む・・・
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【UFC ESPN44】上位対決、ニコラウ戦。ブランドン・ロイヴァル「最後の練習で平良が相手をしてくれた」

【写真】ロイヴァルから練習をしたいと思って実現した。平良とのセッションの成果は(C)TATSURO TAIRA

15日(土・現地時間)、ミズーリ州カンザスシティのTモバイル・センターで開催されるUFC ESPN44「Holloway vs Allen」でブランドン・ロイヴァルが、マテウス・ニコラウとフライ級5位✖6位対決を行う。

これが11カ月売りの試合、積極的な組みの仕掛けと同時に、打撃にも力を入れてきたロイヴァルは、我慢することを覚えてという。そして自制がきく、アグレッシブファイタ・ファイターはコロラドに滞在中の平良達郎とも練習をしているという。


――マテウス・ニコラウと今週末に戦います。実に11カ月振りの実戦復帰ですね。

「ようやくオクタゴンに戻ることができて嬉しいよ。とにかく、そこが一番嬉しいね」

──昨年12月に予定されていたアミール・アルバジ戦は、手首の負傷で欠場となりました。

「もう問題ないよ。2、3カ月経ったしね。試合を戦ううえで、問題はない。OKだよ」

──ところで平良達郎選手とコロラドの10thPlanetで練習しているそうですね。

「タイラはナイス・キッドだよ。彼がコロラドに来ていると聞いて、一緒に練習したち思ったんだ。この試合に向けて、最後のトレーニングセッションでもグラップリングで相手をしてくれた。控え目な性格だけど、凄く良い選手だ」

──同じフライ級の選手ですが、問題なくトレーニングがデキるものなのですね。

「そんなこと気にしていると、良い練習ができないよ。タイラはUFCで素晴らしい試合をしているから、僕の方から練習したいと思ったんだ。彼が練習しているジムと、僕のジムは別で。だから、そのどちらでもない場所で練習をするようになった。最高の練習ができたよ。

タイラは本当にまだ若いけど、練習を一緒にするとその良さを多く見つけることができた。最初は試合を見て、技術的に優れているからトレーニングをしてみたいと思っただけだった。でも、一緒に練習をするとタイラのことを人として好きになった。ホントに礼儀正しくて良いヤツだから。今じゃタイラのビッグファンだよ。凄く良い練習もできたしね」

──そして迎えるニコラウ戦です。彼の印象を教えてください。

「マテウスは我慢強い。そこが彼の良さだ。危険な相手だ、本当に粘り強いからね」

──ブランドンの持ち味は、常にアグレッシブに攻撃してフィニッシュを狙うことです。ただMMAでは極めに行ってエネルギーを使い過ぎることを嫌い、組みの攻防ではブランドンのようにサブミッションを相当な頻度で仕掛ける選手は決して多くないかと思います。

「僕は積極的に極めを狙うファイターだけど、一番の武器はスタミナだと思っている。仕掛けても疲れないから、一本を狙い続けることができるんだ。スタミナ面で大きく崩れることがない。そのおかげでハイペースをキープして戦える。きっと標高の高い街で生活していることも関係しているだろうけど、そのなかでも僕のガスタンクの容量の大きさは皆が認めるところだからね(笑)」

──なるほどぉ(笑)。

「だから、今回のように平地に近いところで戦うと、本当にいつまでも体が動く。スタミナ面で誰かに劣るとは一切思っていないよ」

──とはいえ、積極的なアタックを続けることは時に自らを窮地に追い込むこともあるかと思います。

「正直に言えば、僕にはこのサイズでマテウスのような黒帯の練習仲間はいない。茶帯ぐらいが多いんだ。だから、自分と同じ階級で黒帯柔術家がどれぐらいの力があるかを知ることができるから、凄く楽しみなんだ。きっと、僕の方が色々なことを見せることができると思う。だからこそ、どういう戦いになるのか凄く期待しているよ」

──ニコラウは前回の試合、パンチで勝利しています。

「う~ん、僕からすれば彼のパンチは非常に質が悪い。仮にマテウスが打撃勝負を挑んでくるなら、よりスマートに戦うよ。いつも、そこに応じるわけじゃない。しっかりと何をするか見極める。ただね、試合がなかった11カ月の間で僕が一番強化してきたのは打撃なんだよ。

我慢して戦うことができるようになった。これまではエキサイトして、行き過ぎることがあったけど自分をコントロールできるようになったんだ。今回のファイトキャンプでも、そこに重点を置いてきた。我慢を覚え、MMA IQの高い戦いができるようになった。でもね、やる時はやるよ。攻める時は攻める」

──それでこそ、ブランドン・ロイヴァルです。ところでブランドン・モレノとアレッシャンドリ・パントージャの世界戦が決まりました。ここでタイトルコンテンダーになる権利を得るために、どのような試合が必要だと考えていますか。

「少しでもランクを上げること。そして、今週の試合で勝てば僕も挑戦者候補のリストに名前を加えることができるに違いない。今回の試合でも今までと変わらず、フライ級で僕が一番エキサイティングなファイターだと証明する。11カ月もブランクが空いたから、皆が僕のことを思い出すような試合をするよ。僕こそがタイトル挑戦に相応しいと思われるようにね」

──ブランドン。ありがとうございました。では最後に日本のファンにメッセ―ジをお願いします。

「アリガト!! いつまでも僕にとって、シンヤ・アオキは最高のファイターだ。彼がこのスポーツに貢献しれくれたことを、ずっと感謝している」

■視聴方法(予定)
4月16日(日・日本時間)
午前6時30分~UFC FIGHT PASS
午前6時~U-NEXT

■ UFC ESPN44対戦カード

<フェザー級/5分5R>
マックス・ホロウェイ(米国)
アーノルド・アレン(英国)

<フェザー級/5分3R>
エジソン・バルボーサ(ブラジル)
ビリー・クゥアンティロ(米国)

<ライトヘビー級/5分5R>
ダスティン・ジャコビー(米国)
アザマット・ムルザハノフ(ロシア)

<ライトヘビー級/5分3R>
イオン・クテレバ(モルドバ)
タナー・ボザー(カナダ)

<バンタム級/5分3R>
ペドロ・ムニョス(ブラジル)
クリス・グティエレス(米国)

<ライト級/5分3R>
クレイ・グイダ(米国)
ラファ・ガルシア(メキシコ)

<フェザー級/5分3R>
TJ・ブラウン(米国)
ビル・アレジオ(米国)

<フライ級/5分3R>
ブランドン・ロイヴァル(米国)
マテウス・ニコラウ(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
エド・ハーマン(米国)
ザク・カミングス(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ピエラ・ロドリゲス(コロンビア)
ジリアン・ロバートソン(カナダ)

<ライト級/5分3R>
ランド・バンナータ(米国)
ダニエル・セジューベル(メキシコ)

<女子ストロー級/5分3R>
ブルナ・ブラジル(ブラジル)
デニース・ゴミス(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
ガストン・ボラノス(ペルー)
アーロン・フィリップス(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ホセリン・エドワルツ(パナマ)
ルシエ・プシオワ(チェコ)

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【UFC ESPN44】オクタゴン35戦目、クレイ・グイダ「今も旅の途中で、その道のりをエンジョイしている」

【写真】わざわざWi-Fiがよく入る場所、しかも星条旗が背景ある場所を選び──椅子を移動させてインタビューを受けれくれた(C)MMAPLANET

15日(土・現地時間)、ミズーリ州カンザスシティのTモバイル・センターで開催されるUFC ESPN44「Holloway vs Allen」にクレイ・グイダが出場、オクタゴン35戦目をラファ・ガルシアと戦う。

41歳になっても一向に衰えることがない戦闘意欲。MMAラブの固まりクレイ・グイダは日々、懸命に生きる人々にとって活力になるであろう話をしてくれた。


――クレイ、上半身裸で見たところワークアウトを終えたところでしょうか。

「そうなんだ。空気の綺麗なカンザスシティを走ってきたよ。ちょっと待って、Wi-Fiが入りやすいところで……静かなところは……。どうだろう? ここで」

――星条旗がバックでバッチリです。しかし、まだ汗びっしょりですね。

「ホテルの近くにある、川のほとりを走ってきて。凄く気持ち良かった。日差しも強くて、最高の天気だったよ。ファイトウィークのランニングにはもってこいだ」

――今週末、35回目のUFCでの試合になり歴代3位の試合数となります。

「おお、それは知らなかったよ(笑)。土曜日の夜にオクタゴンに足を踏み入れることは、家に戻るようなモノだからね。家族、コーチ、練習仲間、友人たち、ファンの皆のサポートがあって戦い続けることができている。どれだけ長い間戦っても、オクタゴンで戦うことは特別さ。ほんと聖域みたいなモノなんだけど、あの中に入るたびに新しい経験ができる。それがあるから、よりハードに練習をして試合に備えようという気になるんだ」

――しかし、本当にエネルギッシュですね。このところホルヘ・マスヴィダル、ハファエル・アスンソン、ベンソン・ヘンダーソン、ドナルド・セラーニという同世代のファイター達の引退が続いていますが、何がクレイと彼らの違いなのでしょうか。

「ファイターズライフとファミリーライフは、それぞれの判断によるものだ。一人ひとりで違いがあって然り。ただ、僕としては引退するファイターたちの次にクレイ・グイダの名前を並べるのはやめてほしい(笑)。達成感を得られるには、まだまだやり残したことがあるからね。僕にはまだ証明することが残っているんだ。

年齢やネームバリューは関係ない。今もベストファイターと戦うことができる。世界のトップ・フェザー級ファイター、トップ・ライト級ファイターとやり合えることを楽しめている間は、引退しない。今も旅の途中で、その道のりをエンジョイしているんだ。でも、自分のことは分かっている。この旅の行き先はオクタゴンから、そしてファイトから離れることだ。その時に自分のキャリアを振りかえって、絶対に後悔するようなわけにはいかない。対戦相手、そしてファンの皆から最高のギフトを贈られてきた人生を後々、悔いるようなことは絶対にしたくないんだ」

――ケガや体調不良で身を引くファイターも当然います。同時に戦えるフィジカルがあっても、ハングリーさを維持してハードな練習に向きえない。成功を収めると、そういう風になるのも分かります。対してクレイは今もハングリーなのですね。

「そういう面でいえば、さっき名前が挙がった選手たちはUFCでタイトル戦を経験し、最高の瞬間をキャリアで手にしている。その点、僕はタイトル挑戦に近づいたけど……。ベン・ヘンダーソンに敗れフランキー・エドガーに挑戦することができなかった。

ディエゴ・サンチェスとの試合も、勝てばタイトル挑戦が約束されていた。ディエゴがBJ・ペンに挑戦したようにね。だから、僕は彼らのようにやり遂げたという気持ちにはなれないんだ。今も朝、目が覚めると強くなりたいという想いを感じる。だから厳しいトレーニングに向かうことができる。若くて、僕よりずっと才能のあるチームメイトと練習したいと思うんだ。

ジムの全てのコーチ、ストレングスコンディショニング・コーチ、皆が成長するためにプッシュしてくれる。僕の限界値を引き上げてくれる。そういうチームで皆と過ごすことで、僕らはMMAというスポーツから多くのことを与えてもらっているんだよ」

――そういう気持ちがあり続けるので、クレイは昨年12月の勝利後に1カ月もしないうちにグラップリングの試合で出てしまうのですね。

「40歳を過ぎて、もっと活発に活動したくなったんだよ。ずっとUFCで戦ってきて柔術の試合に出たことがなかった。2019年にQuintet Ultraでグレゴー・グレイシーと戦ったのが、初めてのグラップリングの試合だった。初めての組み技の試合の相手がグレイシーだったなんて、最高だろ(笑)。

それからFury Pro Grapplingで4度ほど戦った。40代になってから20代や30代の選手たちと組み技で戦うのも最高だよ。まさか、これだけMMAを戦い続けてきて頻繁にグラップリングを戦うことになるとは思ってもみなかったけどね。でも、凄く楽しんでいるよ」

──MMAとグラップリングでも戦う時は、クレイは同じようなテンションですね。

「思い切りレスリングしているけどね。グラップリングはパンチ、キック、ヒザが飛んでくることを考えないで済むから、バチバチのレッスルできる。確かにグラップリングの試合と比較するとUFCは煌びやかな世界で、より強度の高い戦いが繰り広げられている。拍手の数、声援も凄まじくて、何よりブルース・バッファーがいる。ジョー・ローガン、マイケル・ビスピン、ダニエル・コーミエーがケージサイドに陣取っている。この経験は、特別だよ。

と同時に1万、2万、数千人の前で戦い続けてきたのとはまた違って、グラップリングの小さな会場で、ファンの顔が確認できるような状態で戦うことも本当に楽しい。グラップリング会場のファンは、試合をしっかり見ているんだよ」

──クレイの話を聞いていると、MMAやグラップリングが好きでいることが幸せに感じられて、嬉しくなってしまいます。それにクレイの目は、まるで10代の少年のように輝いていますよ。

「アハハハ。レスリング、ランニング、フィッシング、ファイティングには今も目がない。ひたすら楽しいんだ。僕の人生を奏でてくれるのが、この4つなんだよ。そして、毎日のようにこれらを続けている」

──子供が生まれて落ち着いたということは、よく言われることです。でも、子供の頃から好きなモノの前ではあまり変わらないのかもしれないです。

「その通りだ。子供のおかげで大人になれるし、自分をしっかりと見つめることができるようになる。特別な存在で、娘は僕のプリンセスだ。でも、レスリング、ランニング、フィッシング、ファイティングに夢中なままなんだ(笑)」

──そのなかのファイティング、今週末にラファ・ガルシアと対戦します。ガルシアの印象を教えてください。

「ラファエル・ガルシアは本当にタフなファイターだ。アゴが強くて、パンチ力がある。バトルを好んで懐深くに入り込んでくる。右オーバーハンドを振るいながらね。ファンが喜ぶ試合になるだろう。ガルシアのスタイルは、ファイト・オブ・ザ・ナイト系だから。火花が散るような激闘を期待してもらって構わないよ」

──打ち合い、テイクダウン&スクランブルの削り合い。そのどちらも見られそうです。

「最高にタフな試合になるだろう。ガルシアには最高の状態でオクタゴンに上がってきてほしい。41歳の男が、何ができるか体で知ってほしい(笑)。とにかくドッグファイトになることは間違いない。

最高の試合になるだろう。チケットを買ってくれたファンが、会場にやってきて良かったと思われる試合がしたい。もちろん、世界中で視聴してくれるファンが大興奮する試合だ。MMAの歴史上、最高にエキサイティングだったと言われるファイターに僕はなりたいんだ」

──クレイ、日本のファンにとっても、日々の活力になるようなインタビューをありがとうございました。

「こちらこそ。アリガトウ。また日本に行きたいね。で、東京ドームホテルに泊まるんだ。修斗、後楽園ホールで戦ったあの日のようにね」

■視聴方法(予定)
4月16日(日・日本時間)
午前6時30分~UFC FIGHT PASS
午前6時~U-NEXT

■ ESPN44対戦カード

<フェザー級/5分5R>
マックス・ホロウェイ(米国)
アーノルド・アレン(英国)

<フェザー級/5分3R>
エジソン・バルボーサ(ブラジル)
ビリー・クゥアンティロ(米国)

<ライトヘビー級/5分5R>
ダスティン・ジャコビー(米国)
アザマット・ムルザハノフ(ロシア)

<ライトヘビー級/5分3R>
イオン・クテレバ(モルドバ)
タナー・ボザー(カナダ)

<バンタム級/5分3R>
ペドロ・ムニョス(ブラジル)
クリス・グティエレス(米国)

<ライト級/5分3R>
クレイ・グイダ(米国)
ラファ・ガルシア(メキシコ)

<フェザー級/5分3R>
TJ・ブラウン(米国)
ビル・アレジオ(米国)

<フライ級/5分3R>
ブランドン・ロイヴァル(米国)
マテウス・ニコラウ(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
エド・ハーマン(米国)
ザク・カミングス(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ピエラ・ロドリゲス(コロンビア)
ジリアン・ロバートソン(カナダ)

<ライト級/5分3R>
ランド・バンナータ(米国)
ダニエル・セジューベル(メキシコ)

<女子ストロー級/5分3R>
ブルナ・ブラジル(ブラジル)
デニース・ゴミス(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
ガストン・ボラノス(ペルー)
アーロン・フィリップス(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ホセリン・エドワルツ(パナマ)
ルシエ・プシオワ(チェコ)

The post 【UFC ESPN44】オクタゴン35戦目、クレイ・グイダ「今も旅の途中で、その道のりをエンジョイしている」 first appeared on MMAPLANET.
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BELLATOR MMA o UFC アーノルド・アレン カルヴィン・ケイター キック クレイ・グイダ ジリアン・ロバートソン ダスティン・ジャコビー ダン・フッカー ペドロ・ムニョス マックス・ホロウェイ ラファ・ガルシア ランド・バンナータ

UFC on ESPN44:オッズ/予想と展望

マックス・ホロウェイ 1.56
アーノルド・アレン 2.55
エドソン・バルボーザ 2.50
ビリー・クアランティー1.57
ダスティン・ジャコビー 1.61
アザマト・ムルザカノフ 2.40
タナー・ボーザー 2.05
イオン・クテラバ 1.80
ペドロ・ムニョス 2.85
クリス・グティエレス 1.47
クレイ・グイダ 3.10
ラファ・ガルシア 1.40
ビル・アルジオ 1.48
T.J.ブラウン 2.80
ブランドン・ロイバル 2.80
マテウス・ニコラウ 1.48
ザック・カミングス 1.44
エド・ハーマン 2.90
ジリアン・ロバートソン 1.80
ピエラ・ホドリゲス 2.05
ランド・バンナータ 2.00
ダニエル・ゼルフーバー 1.83
ブルーナ・ブラジル 1.59
デニーシ・ゴメス 2.45
アロン・フィリップス 2.60
ガストン・ボラニョス 1.53
ジョセリン・エドワーズ 2.15
ルーシー・プディロヴァ 1.74

メインはフェザー級No.2のホロウェイに、無敗でフェザー級史上2位タイの10連勝中のアレンが挑む。なお、1位はホロウェイの15連勝。また、現王者ヴォルカノフスキーもフェザー級では10連勝中(他にライト級とキャッチウェイトでの試合で2勝1敗)。

ミドル級のウィテカーと並び、「王者には勝てないが、他の相手には負けない」という不動のランキング1位のホロウェイ。ただし、フェザー級はヤイール・ロドリゲスが暫定王者となり、暫定王者はランキング1位となるため、現在は2位に落ちている。ヴォルカノフスキーとは3度対戦し全敗しているが、最初の2戦が僅差だったのに対し、昨年7月の3度目の対戦は、スタンドの打撃で押され続ける展開でフルマーク判定負けして完敗。正直、ヴォルカノフスキーが王者の間はもう返り咲きは難しいという印象だった。

ホロウェイに挑戦するアレンはイギリスの29歳。当初は勝ってもなかなかチャンスが与えられず、ランカーへの挑戦権を得られないまま、7連勝でランキング入り。ランカーになっても、相手は下位ランカーとばかりだったが、ライト級ランカーのダン・フッカーを1RKOしてようやく評価されるようになった。前戦で初のメインとなったが、相手のカルヴィン・ケイターが飛び膝を放った後の着地で膝を負傷するというアクシデント的な勝利となってしまった。ストライカーだが、組まれることを恐れない思い切りのいい攻めと、組まれてもスクランブルで動き続けて、運動量で上回るスタイル。

フェザー級は王者ヴォルカノフスキーと暫定王者ロドリゲスの統一戦が行われるが、アレンが勝てば次の王座挑戦の有力候補となる。またしても下からの突き上げをホロウェイが潰してしまうのか、勢いでアレンが上回るか。

ホロウェイ判定勝ちと予想。

第2試合でUFCデビューするガストン・ボラニョスはキックからMMAに転向し、MMAのキャリア9戦すべてがBellatorでのもの。Bellatorキックと平行して出場していたが、ほぼプレリムのみの出場で、最後の試合は昨年4月に1R残り1秒でKO勝ち。6勝3敗で、6勝はすべてKO勝利。Bellatorが育成した選手がUFCに流れてくるのは珍しい。

今回の開催地はミズーリ州カンザスシティで、第1試合開始は日本時間朝6時半から。メインカードは9時半開始予定。速報します。

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ABEMA JJ・オルドリッチ MMA MMAPLANET o UFC UFN221   アレキサンダー・ヴォルコフ アントン・トゥルキャリ カールストン・ハリス カール・ウィリアムス グイド・カネッティ サイド・ヌルマゴメドフ ジャビッド・バシャラット ジャレッド・グッデン ジョナサン・マルチネス タイソン・ナム デイヴィー・グラント トニー・グレーブリー ニキータ・クリロフ ハオーニ・バルセロス ハファエル・アスンソン ビクター・ヘンリー ピョートル・ヤン ブルーノ・シウバ ペドロ・ムニョス マラブ・デヴァリシビリ マリオ・バウティスタ ヴィトー・ペトリーノ 巌流島

【UFN221】脱プレリミ、トニー・グレーブリー戦前のビクター・ヘンリー「何も失っていない」

【写真】とにかく何かをしてくれようとするビクター・ヘンリー、35歳(C)MMAPLANET

11日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのザ・シアター・アット・ヴァージンホテルで開催されるUFN221:UFN on ESPN+79「Yan vs Dvalishvili」でビクター・ヘンリーが、トニー・グレーブリーと戦う。

ハオーニ・バルセロス戦の勝利から、ハファエル・アスンソンでの判定負けと、UFCの厳しさを実感したビクターは、年末には師ジョシュ・バーネットの巌流島での試合に帯同し、約3年振りの来日を果たした。

念願のゴーゴーカレーを始め、日本の食事を堪能したビクターはアスンソン戦の敗北を経て、今回の試合にどのような心境で臨んでいるのかを尋ねた。


──ビクター、今週末にトニー・グレーブリーとの対戦が控えています。その前に前回のハファエル・アスンソン戦について振り返って頂けますか。フィジカル勝負でなく距離、間合いを自分のモノとしてアグレッシブに戦うビクターが、フィジカルが強いアスンソンの術中にハマったようにも感じました。

「フィジカルが要因でなく、攻め手が見つけられなかった。下がって戦うアスンソンの戦い方が、しっかりとハマったような感じで。何かが起きる──そんな試合にできなかった。彼は自分がどうすれば勝てるのか、しっかり理解していたようだ。以前はあんな風に戦うことはなかったけど、ああいう戦い方に活路を見出したんだろう。初回に拳をやってしまって右が使えなくなったのは確かだけど、それが敗因じゃない。言い訳にはならないよ。

なんせ、アスンソンは僕の攻撃が届かない遥か遠い場所に居続けていたからね。以前はあんな風に戦わず、もっと攻めてくるファイターだったから、ああいう戦い方をされて……ハメられてしまった。良い経験になったよ」

──格闘家として、ビクターは常にフィニッシュを狙いファイトをしてきました。そうしたくない相手に対しても、自分の戦い方ができていたのが前回はできなかった。それがUFCということでしょうか。

「そういう相手に勝つ解決策は、強くなることだけだからね。アスンソンは自分のゲームプランに僕をはめ込み、僕はできなかった。だから今週末の試合は、自分の戦いをして再び上を狙えるようになりたい。いつまでもプレリミに居座るのではなくて、トップを目指したいからね。アスンソンと戦い、僕も変化が必要だと教えてもらったよ」

──アスンソン戦の負けから、今回の試合の間にジョシュ・バーネットの巌流島での試合のために日本に滞在していましたが、リフレッシュはできましたか。

「もちろん。コロナ後、初めて日本に行くことができたんだから。ジョシュにも『日本で戦うなら、俺も行く』って伝えていたんだ。チケットが用意されなくても、自分で買っても行くつもりだった。

ホント、日本では食べまくったよ(笑)。まずはゴーゴーカレーに行ってね」

──アハハハ。ようやく念願が果たせましたか。来日が途絶えていた間、インタビューするたびにゴーゴーカレーの話題になっていましたからね(笑)。

「アハハハ。本当だ。ゴーゴーカレーだけじゃない、いきなりステーキも行ったよ。これまで試合に日本に行くと、ファイト後の1日しかそういう食事ができなかった。でもこないだは1週間、食べ続けることができたんだ(笑)」

──そんなことしたら太ってしまったのではないですか。

「その通りだよ(笑)。日本で4キロは太った」

──えぇっ!! ダメじゃないですか(笑)。

「ゴーゴーカレー、いきなりステーキ、ヤキニク、ファミマでチキンを食べた。アイスクリームもね。それに新年には初詣に行って日本のスタンドフードを食べまくったよ(笑)。タコヤキ、ヤキソバ、次から次へと食べた。

で、帰国して自分の体を見てスイッチが入った。さぁ、練習だって(笑)。減量が始まってからは日本のオイシイ食事のことばかり考えている(笑)。また食べたいってね。まぁ、あと5キロ(※取材は米国時間の8日に行われた)。問題ないよ」

──ではトニー・グレーブリーの印象を教えてください。

「手は合うと思う。でも、彼もアスンソンのような戦いをしてくるかもしれない。今回こそ、僕の戦いに彼を付き合わせないといけない。ひょっとしたら僕がアスンソンのような戦いをすることもあるだろう。

トニー・グレーブリーはATTという素晴らしいジムで、キョージ・ホリグチ、ペドロ・ムニョスらと準備をしてきた。それだけの練習をして、30戦以上の試合経験がある彼は僕と同様に経験不足ということは一切ない。そんな彼と戦うのだから、僕もしっかりとアジャストをして自分の試合をしなければならない」

(C)Zuffa/UFC

──トニー・グレーブリーも前回の試合で、ジャビッド・バシャラットに思うような試合ができず判定負けを喫しています。

「初回はトニー・グレーブリーがテイクダウンを奪ってモノにしたと思ったけどね。ただし、バシャラットのアジャストが良かった。長身とリーチを生かし、自分の距離で戦うようになった。バシャラットは180センチ近くて、バンタム級では背が高い。僕とは体形が違うけど、彼がやったようなこともできる。あんな風に自分の距離をキープし、相手の動きを封じ込むことを自分の戦い方でやり遂げることは可能だよ、でも彼のように足を使って戦うのではなく真っ向勝負でも、彼を封じ込める」

──バシャラットも上の相手と戦いたいと熱望していましたが、この層の厚いUFCバンタム級戦線ではなかなか上位と戦えない。そんな群雄割拠の状態から抜け出すために、今回の試合も含めどのような戦いをしてアピールしようと考えていますか。

「ハオーニ・バルセロスと戦った時のままだと証明したい。何も失っていないし、あの時と同じだけの技量があり……あの時以上に強くなっている。しっかりとバンタム級タイトル戦線に割って入るよ」

──ではビクターの復活を期待してやまないに日本のファンに一言お願いします。

「ハロー。日本の皆の応援に、いつも感謝している。日本に少しでも早く戻って、ゴーゴーカレーを食べるよ。もう、そのことで頭はいっぱいだ」

──それでもゴーゴーカレーですか。今度、スポンサーしてもらえるよう交渉してみてはどうですか(笑)。

「ゴーゴーカレーは、MMAじゃなくて野球を応援しているんだよ(※野球教室を開き、炊き出しを行っている)」

■視聴方法(予定)
3月12日(日・日本時間)
午前5時00~UFC FIGHT PASS

■UFN221計量結果

<バンタム級/5分5R>
ピョートル・ヤン: 136ポンド(61.69キロ)
マラブ・デヴァリシビリ: 134.5ポンド(61.0キロ)

<ヘビー級/5分3R>
アレキサンダー・ヴォルコフ: 258ポンド(117.02キロ)
アレクサンドル・ロマノフ: 264 ポンド(119.74キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ニキータ・クリロフ: 213ポンド(96.61キロ)
ライアン・スパーン: 213ポンド(96.61キロ)

<バンタム級/5分3R>
サイド・ヌルマゴメドフ: 136ポンド(61.69キロ)
ジョナサン・マルチネス: 135.5ポンド(61.46キロ)

<バンタム級/5分3R>
マリオ・バウティスタ: 136ポンド(61.69キロ)
グイド・カネッティ: 136ポンド(61.69キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴィトー・ペトリーノ: 204ポンド(92.53キロ)
アントン・トゥルキャリ: 205ポンド(92.99キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ウーカシュ・プジェスキ: 245ポンド(111.13キロ)
カール・ウィリアムス: 240.5ポンド(109.08キロ)

<バンタム級/5分3R>
ハファエル・アスンソン: 136ポンド(61.69キロ)
デイヴィー・グラント: 136ポンド(61.69キロ)

<ミドル級/5分3R>
セドリクス・デュマ: 184.5ポンド(83.68キロ)
ジョシュ・フレムド: 186ポンド(84.37キロ)

<バンタム級/5分3R>
トニー・グレーブリー: 136ポンド(61.69キロ)
ビクター・ヘンリー: 136ポンド(61.69キロ)

<女子フライ級/5分3R>
JJ・オルドリッチ: 125.5ポンド(56.92キロ))
アリアニ・リプスキ: 125.5ポンド(56.92キロ)

<フライ級/5分3R>
タイソン・ナム: 125.5ポンド(56.92キロ)
ブルーノ・シウバ: 125.5ポンド(56.92キロ)

<ウェルター級/5分3R>
カールストン・ハリス: 169.5ポンド(76.88キロ)
ジャレッド・グッデン: 177ポンド(80.28キロ)

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