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【Grachan Herios】徹底的にレスリングを強化中、荒東“怪獣キラー”英貴「晩年の幕開けを飾ります!」

【写真】打撃+レスリング漬けの日々を送る荒東。総合格闘技スタジオSTYLEでは、福井裕士コーチの指導を受けている(C)Kaiju Killer

22日(日)、東京都江東区のTFTホール1000で開催されるGrachan Heriosで、同無差別級王者の荒東“怪獣キラー”英貴が、ノンタイトル戦で大場慎之助と戦う。
Text by Shojiro Kameike

2023年2月にGrachan無差別級トーナメントを制してベルトを巻いた荒東は、続いて10月にRIZINで貴賢神に逆転KO勝ち。プロデビュー以来無敗街道を走っていた怪獣キラーだが、今年7月にはフランスでプリンス・アウナラの持つヘキサゴンMMAヘビー級王座に挑み、1RでKO負けを喫した。そんなMMA初黒星と、フランスでの戦いから考え抜いた自身のスタイルについて語る。


自分のスタイルーー打撃とレスリングにこだわろうと思っているんです

――フランスの試合から5カ月振りの試合となります。Grachanで戦うのは昨年2月以来です。昨年2月にGrachanのベルトを獲得し、RIZINに出場したあとフランスで戦うというのは、どのようなキャリアを考えていたのでしょうか。

「もともと海外志向が強いので、UFCに行けたら面白いとは思っていました。もちろん行くのは難しいけど、とにかくトライしてみたい。RTUで試合を組んでもらったりとか――そのあたりがダメだった時、4月にシュートボクシングのお話を頂いたんですよ(6月にSBで坂本優起に判定負け)。SBのあとは、以前から話があったフランスの試合のオファーを受けた、という流れですね」

――フランスでは1Rにアウナラの右を食らいダウン。その直後に右ヒジを連打され、レフェリーストップとなりました。

「あの試合はレベルの差を感じました。アイツは触らせてくれなかったです。殴りなら行けるやろうと思っていた自分が甘かったですね。殴るまでの緻密さが足りなくて」

――アウナラは中長距離を保ち、左右ストレートをコツコツと当て続けてきました。

「そこに凄く実力差を感じたので、もう喧嘩をするしかないと思いました。それも甘い――僕のアカンところですね。蹴り方も、手を出して蹴るのが当たり前やし、もうちょっと組んでから……。コレ、もうメチャクチャ言い訳してもいいですか」

――はい。

「試合前にチームで『相手に触るのは難しい』という話をしていて。だから真っ直ぐ入って追いかけることを考えすぎてしまったんですよ。そのために左右に動きながら、いろんなアングルから攻めるという――今までやってきたことを忘れてしまいました。新しくできることも増えたのは良かったけど、今までやってきたこととミックスさせるところまで頭が回っていなかったんです」

――荒東選手の場合、これまではローから試合を組み立てて、パンチも右から左を返すといった組み立てが多かったです。しかしアウナラ戦は「ローを蹴る気がないのか?」と思ってしまうような展開でした。

「出入りを考えていたから、重心が違うのでローを蹴ることができなかったです。もうあれは二度とやりません(苦笑)。前回の試合は僕がカスでした。メチャクチャ、カスでしたね」

――カスかどうかはともかく、今の発言を「言い訳」と捉えることができている。反省点を明確に話すことができることで、次につながるのではないでしょうか。もう一つ不思議なのは、荒東選手の場合は自分より大きな相手との対戦が初めてではなかったです。にも関わらず、これまでと戦略が変わるのは……。

「アウナラは運動量が多かったです。日本にいるヘビー級は、ドシドシ歩いて動く選手が多くて。それなら僕も楽に触ることができますから」

――アウナラ戦のフィニッシュについても、相手のほうを見ずに頭を下げて、右ショートをテンプルに食らう。今までの試合であれば、まずあの体勢になかっただろうと思います。

「そうですね。ジリ貧になって、スイッチしてパンチを打つ――なんてことはなかったです。実力差が凄くて『アカン展開やな』という、嫌な気持ちが強くなっていました」

――加えて、荒東選手に限らず日本人選手が海外で戦う場合、とにかく研究しつくされている感は毎回あります。相手は「これをやれば勝てる」というところまで落とし込んでいて。

「それで言うと、グラップリングを教わっている岩﨑正寛(カルペディエム芦屋代表)さんに『関西のファイターは対策しすぎ』と言われました」

――対策しすぎ、ですか。

「対策なんかより、まず自分の芯を強くすること。『相手がどう対策してきても、自分の得意なところに持ち込んだら勝てる――そんな自分のスタイルを磨け』って岩﨑さんに言われて、今は打撃とレスリングにこだわろうと思っているんです」

――それは日沖発stArt代表が、透暉鷹選手がRTU準決勝で敗退した時に「まずは自分を見ないといけない」と仰っていたことに通じますね。

「うん、うん。分かります。僕も自分自身がもっと打撃とレスリングを混ぜていかないといけないと思ったんですよ。だから最近は11月にプーケットのバンタオMMAに行っていました。強いのがいて、一人は僕のパンチをガードで受けながら、どんどん距離を詰めてくる。あるいは背が高くて、足を使われて僕のパンチがあまり当たらなかった。改めて『殴りだけじゃ勝負でけへんな』と思いました」

『誰とやってんねん』とか言っているヤツを黙らせる試合をする

――レスリングは、国内でどのような練習を?

「まず一つは、総合格闘技スタジオSTYLEに福井裕士さんという方がいます。レスリングではフリースタイル125キロ級で全日本クラスの表彰台に立っていた方で。

今まで関西でレスリングを教わるとすれば、有元伸吾さんやったんですよ。でも有元さんは軽量級で、クラスに参加するのも中軽量級の人が多い。その中で重量級の僕やとできることと、できないことがあって……。それは有元さんの指導がどう、ということではなくて。マンツーマンじゃなくてクラスで有元さんに教わっている時も、その点は凄く気を遣わせていたと思います。一方で福井さんは重量級やから合うところも多いです」

――軽量級と重量級では動きも違いますし、さらに指導となると難しい面はあります。

「そのやり方で成功したのは、木下憂朔やと思うんです。軽量級の北方大地が教えて、ウェルター級でもその動きができるという。自分の練習でいうと、あとは金曜日に稲垣組で梶雅晴さんという方にもレスリングを教わっています。

梶さんは天理大の出身で、僕も天理大の練習に参加させもらったりしています。チーム吉鷹で打撃の練習をした翌日に天理大でレスリングやったら、もう歩けないぐらいヒザが痛くなって(苦笑)。10月から、そういう感じでレスリング漬けです」

――レスリングを重点的に練習し始めて、どのように変化してきましたか。

「たとえば、僕は壁レスで押し込むのは得意やったんです。受けて、体勢を入れ替えて反対に押し込むという展開は得意で。だけど、そこから倒すまでには至っていなかったです。でも今は壁レスでテイクダウンを奪うこともできるようになりました」

――なるほど。そのレスリング漬けの日々を経て、次の試合に臨みます。

「グラップリングか打撃か、っていえばグラップリングが得意なのかなっていう相手ですよね。SNSで『お前、誰と試合すんねん?』とか言われましたけど、国内でヘビー級の日本人選手を見つけるのは、なかなか難しいと思うんです」

――そうですね。現状、多くの日本人ヘビー級ファイターはRIZINに集まっています。

「そうなっちゃいますよね。だからまず、試合があることはありがたいです。僕のキャリアも晩年なんでね……」

――えぇっ!?

「それはもう――フランスであんな負け方をしていて、長く続けることは難しいと思いました。試合後もダメージが無かったわけでもないので」

――……。

「フランスの試合で、世界とは実力差があることは分かりました。RTUやDWCS、UFCに挑戦できる機会があるなら嬉しいですよ。挑戦してみたいけど、UFCに行けるとは思っていません。そんな僕でも、国内の防衛戦はもちろん海外のベルトに挑めるなら――良いチャンスがあれば、すぐに飛びつこうと思っています(笑)。

そのためにもこの復帰戦が大事になる、と吉鷹(弘)先生にも言われました。だから今回は『誰とやってんねん』とか言っているヤツを黙らせる試合をして、晩年の幕開けを飾ります!」

■Grachan Herios 視聴方法(予定)
午後14時00分~
GRACHAN放送局
GRACHAN公式YouTubeメンバーシップ

■Grachan Herios 対戦カード
<Grachanバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] TSUNE(日本)
[挑戦者] 伊藤空也(日本)

<Grachanライト級選手権試合/5分3R>
[王者] 林RICE陽太(日本)
[挑戦者] ロクク・ダリ(コンゴ民主共和国)

<Grachanフライ級暫定王者決定戦/5分3R>
道端正司(日本)
小田魁斗(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
原口伸(日本)
高橋孝徳(日本)

<無差別級/5分2R+ExR>
荒東”怪獣キラー”英貴(日本)
大場慎之助(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
岸本篤史(日本)
大道翔貴(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
小谷直之(日本)
草訳駿介(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
宮内拓海(日本)
小林大介(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
金井一将(日本)
長野将大(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
長谷川卓也(日本)
徳弘拓馬(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
鈴木嵐士(日本)
二之宮徳昭(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
水谷健人(日本)
上田麟(日本)

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【Hexagon MMA19】7月25日。荒東”怪獣キラー”英貴が、フランスの古代ローマ劇場でヘビー級王座に挑む

【写真】海外進出を模索していた荒東だが、意外にもフランスでの試合に挑むこととなった(C)MMAPLANET

18日(木)、Grachan実行委員会より同ヘビー級王者の荒東”怪獣キラー”英貴が、25日(木・現地時間)にフランスのテアトル・アンティック・ドゥ・オランジュ(オランジュ古代ローマ劇場)で開催されるHexagone MMA19に出場することが発表された。荒東はプリンス・アウナラの持つ同ヘビー級王座に挑む。
Text by Shojiro Kameike

昨年2月にGrachanヘビー級王者決定トーナメントを制し、ベルトを獲得を獲得した荒東はRIZIN、シュートボクシングを経て、今回のアウナラ戦に臨むこととなった。タイのMMA大会でプロデビューしている荒東にとっては、日本に拠点を移した2021年以降では初の海外試合となる。


フランスでMMAが合法化されたのは2020年1月、わずか4年前のことだ。それまでも国内でMMAイベントが開催されていたものの、パウンドが禁止されたルールが採用されたり、スポーツ省としては非公式という形になっていた。やがて2019年になるとスポーツ担当大臣が、MMA情報サイトの取材に対し合法化を進める認めた。結果、2020年になって正式に認可されたという経緯がある。

MMAの認可後、UFCは2022年9月と翌2023年9月に、いずれもフランス最大の屋内競技場アコー・アレナ──かつて桜井マッハ速人、須田匡昇、小川秀樹らが出場したゴールデン・トロフィーもベルシーと呼ばれた時代だが、同会場が使用されている──でUFNシリーズを開催している(※2024年も9月28日に同じ会場で3年連続となる興行を予定している)。両大会ともメインにはフランス人ファイターの元世界ヘビー級王者シリル・ガンヌが出場していた。

そのガンヌもUFCフランス大会まで国内で戦った経験はムエタイの試合のみ。MMAデビューはカナダのTKOであり、他のフランス在住ファイターの多くも国外のイベントを経てUFCとの契約に至っている。また、同じく元世界ヘビー級王者のフランシス・ガヌーの場合は国内のパウンド禁止=100% Fightでキャリアを積んでおり、同国のMMAの複雑な歴史が分かるだろう。

そんなフランスのMMA界にあって、ドメスティックイベントとして最大規模なのは間違いなくARES FCだ。コロナ&フランスでMMAが合法化される以前に欧州とフランス、アフリカ、ブラジル、米国らのファイターを集め、セネガルで旗揚げされたARES FCはコロナ禍の2020年にベルギーでイベント開催も画策しキャンセルとなり、欧州進出を一旦は断念している。その後2021年12月にフランスに進出すると、この2年間半で22度のイベントを開き、UFC Fight Passでも視聴でき世界に浸透している。

対してヘキサゴンMMAはARES FCの同国進出を5カ月遡る7月にパリで第1回大会を開催。フランス勢はもちろんのこと欧州、中東、中央アジア、南米からの参戦も見られる。フランス国内選手でいえば、なんと2006年6月にPRIDE武士道でパウロ・フィリオと対戦したグレゴリー・ブーシェラゲムが、46歳になった今、主戦場としているのがこのヘキサゴンMMAだ。このヘキサゴンMMAからは、女子フライ級王者エルネスタ・カレクカイト(リトアニア)がDWCSを経てUFCと契約している。

今大会で荒東と対戦するプリンス・アウナラは2012年にフランス国内でプロデビュー。その後は海外に戦いの場を移しながら、2023年からヘキサゴンMMAに出場し、7月には同ヘビー級王座に就いている。キックボクシングをベースに、長距離のストレート系パンチが武器で、特に右ボディストレートを織り交ぜてくるパンチには注意すべきだろう。一方、アウナラは直近の試合=今年4月にKSWパリ大会で、DWCSに出場経験のあるミハウ・マルチネクにKO負けを喫している。テイクダウンや削り合いの勝負では下がる場面もあり、荒東にとっては突いていきたいポイントだ。

同大会には荒東のチームメイトでもある日本在住のフランス人ファイター、ステファン・スマッシュも出場し、ミキャエル・グログエと戦う。また、コメインに出場するミドル級のイリアン・ボアフィアには注目だ。シリル・ガンヌと同じMMAファクトリー所属で、戦績は4戦全KO勝ち。まだ粗い部分も見えるものの、サウスポースタンスから伸びる左ストレートを持つ。ヘキサゴンMMA初参戦となる今回は、剛腕タイプのフレデリコ・コムエニャと激突する。

■視聴方法(予定)
7月26日(金・日本時間)
午前3時00分~FIGHT NATION TV

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