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【Road to UFC2024#01】フェザー級で再チャレンジ、原口伸「理想のMMA、シン・シン・ハラグチを」

【写真】予備計量直後の原口伸 (C)KEI MAEDA

明日18日(土・現地時間)に中国は上海のUFC PI上海で開催されるRoad to UFC2024Ep01で、原口伸がホン・ジュンヨンと対戦する。前回のRoad to UFCではライト級で準優勝、惜しくも契約を逃し──キャリア初黒星も喫した。
Text by Manabu Takashima

その原口、当初はRoad to UFCに出場せずにスキルアップと、本戦契約を狙うという選択をしてきた。階級を下げての連続参戦はないという風な話も聞かれていたが、一転フェザー級での再チャレンジへ。

とはいえ、この短期間で前回の参戦で見えた課題を克服し、MMAファイターとしての完成度は上がったのか。そして、初めてのフェザー級で戦うことで、以前とはどこかが違うのかを計量終了後の原口伸に尋ねた。


──2月にRoad to UFCライト級決勝戦に敗れ、その後に話を伺った時には今回のRoad to UFCには出場せず、本戦契約の機会を待つ。また前回のトーナメントであぶり出された課題を克服してMMAファイターとして完成度を上げることを今後の目標として掲げていました。それが一転、Road to UFCに出場することになったのは?

「絶対的にフェザー級でRoad to UFCに出場できる機会があったことにつきます。フェザーで戦いたい。それなら自分の力でRoad to UFCに再チャレンジして、契約を勝ち取ろうという気持ちになって決めました」

──ではフェザー級、1ポンド・オーバー規約で66.2キロの体は上手く創れましたか。

「そうですね。大学の1年と2年時は前日計量だったので、66キロ級でした。それが当日計量に変わったので70キロに上げただけで。MMAを始めて体は大きくなっているので、しっかりと上手く落とせました。自分が思っている通りの感じで落とせましたね。これまでの経験とタケさんに水抜きのアドバイスを頂いて。

今回1カ月前に決まったので、そのなかで照準を合わせて落とせました。Road to UFC以前に1カ月の準備期間があることはなかったので。ただ、もう少し時間的な猶予があった方がより創りやすいかと思います」

──この間のMMAファイターとして完成度を上げるという練習は一旦置いて、対策練習をしてきたことになるかと思います。

「そうですね、ホン・ジュンヨン対策を主な練習としてきました。ただすぐに成果が出るということではないですが、武田(光司)さんに紹介してもらってBrave世田谷でタケ(大宮司岳彦)さんにムーブメントの指導を受けるようになりました。

(中村)倫也さんとも情報をシェアして、アドバイスを貰ったりするようになったり。そこで得た知識や動きをBraveに持ち帰って、スパーリングで試しています。スパーリングはBraveだけですね。ここで出稽古を増やすと、整理できなくなってしまうので」

──前回大会はレスリング勝負でした。決勝の敗戦から3カ月で、この間採り入れたこともあり、何かファイトとして変わることは出てきますか。

「できることは増えたと思っています。テイクダウンしてからのコントロールも、体の使え方を変えてバリエーションが増えたという感覚でいます。立ちでの体の使い方はタケさんが創ってくれて、組みに関しては……自分は爆発力でなく筋持久力タイプなので、しっかりと時間をかけて倒す。テイクダウンにしても、そんな風に創ってきました」

──筋持久力タイプ……テイクダウンとパウンドの爆発力を考えると瞬発系だとばかり思っていました。

「レスリングの時もパワーや瞬発力でなく、MMAでは余裕がある時に瞬発力を出すという感じです。短距離走より、長距離走の方が全然得意だったので。そういう部分で、自分の強味を見直した時に、爆発力でなく時間をかけてテイクダウン、そしてパウンドという風になっています。

ただ練習でしか分かっていないことが多いので、答え合わせを明日するっていうことですね。自分ではどれぐらいできるのか、客観的に見ることはできないです。やっぱり新たに採り入れて来たことは期間がまだ短いので、やることを2、3と決めてそこを徹底してやります」

──では答え合わせの相手、ホン・ジュンヨンの印象を教えてください。

「典型的な韓国人ファイターですね。

頑丈でタフ、最後まで諦めない」

──どう諦めさせないといけなと考えていますか。

「相手が僕のレスリング力を甘く見ていれば、勝手に折れてくれます。そうでなくても、打撃を織り交ぜて戦えば、削って行けると思っています」

──伸選手のレスリング能力を軽視する相手はいないと思いますが(笑)。

「アハハハ。確かに、そうなりますよね。ただロン・チュウ戦を参考にしてくるようなら、あんな風にはならないです。あれだけテイクダウンを警戒しているなかで、突っ込んで行って僕の方が削られてしまったので。今回は良い意味で焦らす。焦らして相手からすると、『まだ来ないのか』という感じにさせたいですね。

15分を通したファイトを考えられるようになりました。それが昨年の敗北を通して、技術だけでなくMMAの完成度を高める要因になっていると思っています」

──ところで大宮司トレーナーも、倫也選手も同じトーナメントで出ている河名マスト選手の盟友といえる間柄ですが。

「そうですね。まず試合をすることになると、戦略的な指導を受けないことは予め話をしました。だから、そこに関しては深く考えていないです。試合が決まれば、戦う。そして強い方が勝つ。

レスリングでは対戦相手とも練習するものですし。大学3年の時のインカレの決勝の相手は、国士館大の1年後輩でした。同門対決も3度はやっていますね。なので強くなることが大切で、そういうことは気にしないです。戦略だけで勝てるなら、全員が勝つわけですし」

──その通りですね。日本人が潰し合おうが、勝てるだけ勝って日本人選手に契約を勝ち取って欲しいです。ではフェザー級の原口伸、どこがライト級と違うか教えていただけますか。

「今の感覚だと、足を使って自分のやりたいMMAが表現できるように思います。スクランブルをどんどんする。体も軽くなっているので、どんどん動いてスクランブルを創っていきます。シン・シン・ハラグチを見せます」

──なぜ、そこは英語の順番に(笑)。

■視聴方法(予定)
5月18日(土)
Ep01午後7時~ UFC Fight Pass
Ep02午後9時~UFC Fight Pass
Ep01&02午後6時45分~U-NEXT

■Road to UFC2024 Ep02対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準々決勝/5分3R>
シェ・ビン(中国)
イープークールー(中国)

<Road to UFC女子ストロー級準々決勝/5分3R>
シー・ミン(中国)
ソ・ユダン(韓国)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
河名マスト(日本)
ソン・ヨンジェ(韓国)

<Road to UFC女子ストロー級準々決勝/5分3R>
プリヤ・シャルマ(インド)
ドン・フアシャン(中国)

<女子フライ級/5分3R>
ワン・ソン(中国)
パウラ・ルナ(ペルー)

■Road to UFC2024 Ep01対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準々決勝/5分3R>
チュウ・カンチエ(中国)
安藤達也(日本)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
原口伸(日本)
ホン・ジュンヨン(韓国)

<Road to UFC女子ストロー級準々決勝/5分3R>
フン・シャオカン(中国)
キラン・シン(インド)

<Road to UFC女子ストロー級準々決勝/5分3R>
本野美樹(日本)
フォン・フェイアール(中国)

<ウェルター級/5分3R>
バーハートゥブールゥ・アトゥボラティ(中国)
キム・ハンソル(韓国)

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【Road to UFC2024Ep01】打倒、中国MMA。本野美樹「タイでは打撃より組みを学んできました」

【写真】締まって見える。その通りの本野、シャオカンとの対戦から確かな自信を持っているように感じた(C)SHOJIRO KAMEIKE

18日(土・現地時間)&19日(日・同)に中国は上海のUFC PIで開催されるRoad to UFC2024。2日間で4エピソードが実施されるアジア発、世界最高峰への道──その初日、エピソード01で本野美樹が中国のフォン・フェイアールと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

本野は一時ストロー級からアトム級へ転向を考えていたが、ABEMA TVの海外武者修行プロジェクトを経てUFCを目指すことを決意する。そんな本野に大きなチャンスが訪れた。RTUで女子ストロー級トーナメントを開催――日本人からただ一人のエントリーとなった本野が、昨年11月に敗れているフン・シャオカンへのリベンジとともに、オクタゴンを目指す決意を語る。


――試合まで1週間のインタビューとなりますが、すでに体も絞れているようですね。アトム級で試合をした時よりも絞れているような印象を受けます。

「え、そうですか。その時よりも体重は上ですね。でも最近、周りからも『以前より絞れたね』と言われることが多くて」

――筋肉の質が変わったのでしょうか。

「実はABEMA TVさんの企画で海外修行に行かせていただいたあと、パーソナルでウェイトトレーニングの指導を受けるようになりました。筋量を測ったことはないけど、フィジカルづくりの成果が出ているのであれば嬉しいです」

――なるほど。ABEMA TVの海外武者修行プロジェクトに参加したあと、本野選手はUFC出場を目標に掲げました。同時期にRoad to UFCがスタートするなか、女子でも行われると思っていましたか。

「過去2大会は女子がなくて、それでも『女子も開催する』という噂だけは聞いていたので一応、準備だけはしておきました。自分でエントリーして、あと今はイリディウムと契約しているので、イリディウム側からもUFCにアクションはあったんだと思います」

――昨年も女子ストロー級が開催されていれば、エントリーしたかったですか。

「はい。去年も4月ぐらいまで『女子のトーナメントが行われる』という話があったので、ギリギリのオファーでもRTUに出られるのなら――と国内のオファーを断っていました。そうして待っていたら女子の開催はなく、試合間隔も空いてしまったんです」

――そんななか、昨年11月には中国のハッピー・エレファントMMAチャンピオンズ・リーグという大会で、同女子ストロー級王者のフン・シャオカンとのタイトルマッチに臨んでいます。

「RTUがなくても海外で試合をしたくて、いろいろ相談している中で中国での試合の話が来ました。しかも相手はチャンピオンで――ということで試合をやらせてもらったんです。もちろん負けてしまったことは悔しいけど、反省点や自分が成長できていることや、やるべきことも見えた試合だったと思います。だから気持ちもそこまで落ちることはなくて」

――シャオカン戦では1R、2Rと本野選手がテイクダウンを奪い続けていましたが、3Rにグラウンドへ持ち込んだ直後に下から三角絞めから腕十字を極められました。

「2R終盤にパンチを効かされてしまって、3Rに入った時すぐ組みに行ったんです。その組み方、倒し方が良くなくて相手の三角に入ってしまいました。アウェイの大会だから取り切らないといけない、という気持ちのほうが強くて。判定になったら負けることもあるし、と思ってとり急いでこともありました。そこは自分のミスですね」

――今回のRTUにはシャオカンも出場します。シャオカンは女子ストロー級の中でも体格が大きいでしょう。本野選手としてはアトム級転向を考えていたなかで、UFCを目指すために改めてストロー級で戦うことを選択しました。そのなかで体格差は気になりますか。

「次の相手(フェイアール)もプロフィール上は体格が大きいですよね。でも自分としては減量の面も含めて、ストロー級がベストだと思っています。だから体格差は気にしていません。

シャオカン戦も身長差があるなかで、私のほうから組みに行くこともできました。それほど入りづらく感じることもなかったし、次回の相手は前回よりも体格が大きいわけではないので、それほど気にしなくて良いかなと思っています。その点では、中国の試合を経験しておいて良かったですね」

――そのシャオカンが同じRTUに出場することは、自身のRTUが確定する時に知っていましたか。

「最初は自分の対戦相手だけ聞かされていて、そのあとにシャオカンも出場するという話を耳にしました」

――目の前の対戦相手であるフェイアールのことはもちろん、その向こうにいるシャオカンのことは考えませんでしたか。

「最初に聞いた時は『あぁ、いるのか……』と思いました。でも今は対戦相手が違うので。多少は意識してしまうけど、そこは何も考えず次の相手の対策だけを考えています」

――フェイアール過去にシャオカンに敗れています(本野戦の前がフェイアール戦で、2ラウンドTKO勝ち)。開催地も含めてRTUは中国勢が中心になっている印象があり、そのなかでもカードの組み方を考えると、女子ストロー級はシャオカン中心なのかと……。

「アハハハ。私としては、そういう考えをしていなくて。逆に優勝候補と対戦経験があって、しかも次やれば勝てると思っています。もし準決勝でも決勝でもシャオカンに勝てば、リベンジできて、さらに一気にUFCへ近づくことができるという気持ちでいます」

――それでこそプロのファイターだと思います。普通なら、イライラしても仕方ない状況が揃っているにも関わらず。

「あの試合でシャオカンにボコボコにされていたら、また気持ちも違うとは思うんですよ。でも対戦しているからこそ、次はしっかりやれば勝てる相手なので」

――なるほど。RTU初戦では、そのシャオカンに敗れているフェイアールと対戦します。勝敗が示すとおり、シャオカンよりもレベルは劣る相手だと思いますか。

「試合映像を視る限りは、距離感はシャオカンのほうが巧いなって思います。でも今回の相手は今回の相手で、ガンガン前に攻めてきます。あとは体が強そうで、どれだけ自分が組んでみてフィジカルの強さを感じるか。油断はできないですし、前回とは違う戦い方をしないといけないなと思っています。

今回はトーナメントだから、どんな勝ち方でもとにかく勝ちに徹することが一番ですよね。逆に、この3試合をしっかり勝ち切ってこそUFC本戦に挑めるというか。RTUで勝ち切れないと、たとえUFCと契約しても厳しいと思います。そのためにもトーナメント3試合はしっかりと勝ち切らないといけないですね」

(C)MIKI MOTONO

――今年2月にはRENA選手とともに、プーケットのタイガームエタイで練習していますね。これはRTU出場を意識したものだったのでしょうか。

「いえ、以前からタイで打撃の練習をしてみたかったんですよ。たまたまRENAさんのタイ修行があって、タイミング良く一緒に行くことができました。

米国修行の翌年には、『また海外で修行できたらなぁ』と思っていました。でも米国はかなり費用が掛かるので……タイだったら頑張って行けるかな、と(笑)。実際に行ってみると打撃の技術以上に、テイクダウンしたあとのコントロールやレスリングの技術のほうを教えてもらって。正直、タイでは打撃より組みのほうが学んできました」

(C)MIKI MOTONO

――本野選手の場合、米国修行で打撃面は大きく変化したと思います。その上にタイガームエタイで積み上げてきたものは何なのだろうと思っていました。

「米国修行のあと――去年のシャオカン戦の前から、日本でバンゲリングベイの白川裕規さんにミットを持ってもらっているんですよ」

――白川トレーナーですか。キックボクサーはもちろん、MMAファイターの指導経験も豊富ですね。

「はい。白川さんの場合はスパー風のミットというか。そのなかでカウンターの取り方もそうだし、打撃戦の中で自分がテイクダウンに入るタイミングとか――打撃の距離感も身についてきたと思います」

――次のフェイアール戦で、その成果が見られることを期待しています。

「女子ストロー級は日本人が私一人なので、せっかく頂いたチャンスをしっかり掴みたいです。そしてトーナメントを勝ち抜き、UFCと契約して新たなスタートを切ります。たくさんの方にその戦いを視ていただきたいので、よろしくお願いします!」

■視聴方法(予定)
5月18日(土)
午後7時~UFC Fight Pass
午後6時45分~U-NEXT

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