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【POLARIS SQUADS02】チーム対抗戦大会で、ヘルピンを破ったアッシュ・ウィリアムスがフェザー級王者に

【写真】英国ナンバーワン・グラップラー=アッシュ・ウィリアムスが3本目のベルトを巻く (C)POLARIS

7日(土・現地時間)に判定有りのノーポイント&サブオンリー大会=Polarisのチーム対抗戦=Squadの第2回大会が英国サウザンプトンで無観客大会として開催された。

95キロと75キロの選手が1チーム8名集まり、英国&アイルランド✖ヨーロッパという形式、そして道着で行われた今大会(結果は欧州チームの勝利)で、Polarisノーギ・フェザー級王座決定戦がアシュリー・ウィリアムスとトム・ヘルピンの間で組まれた。

ウェールズのウィリアムスは今成正和に勝利したこともあり、過去ライトフェザー級、バンタム級のベルトを巻いている。3本目のベルトを賭けて、コンバット柔術世界フェザー級王者ヘルピンと相対した一番をここでは振り返りたい。


<Polarisノーギ・フェザー級王座決定戦/10分1R>
アッシュ・ウィリアムス(英国)
Def.3-0
トム・ヘルピン(アイルランド)

まず座ったヘルピンがデラヒーバへ。ウィリアムスがニースライス、ヘルピンはバタフライガードを取る。即左足をすくってウィリアムスを浮かせたヘルピンが左足を取っていく。ウィリアムスは内ヒール狙いをロールし尻を押してエスケープへ。そのまま場外になりヘルピンのシン・トゥ・シンから再開も、即座にウィリアムスが足を引き抜く。

ニースライスのウィリアムスに対し、足を取って立ち上がろうとしたヘルピンは座り直す。ウィリアムスはパス狙い、ジャンプして足を越えようとする。足を絡ませ、左足を抱えたヘルピンだが、ウィリアムスが足首を取り防御。徹底してパス狙いのウィリアムスに対し、足を取りつつベリンボロを見せるヘルピンがカウンターアタックで下からコントロールする。

スイープしても座り直すヘルピンは、上攻めをする気は一切ないようだ。試合は終盤を迎え上からキムラをとりつつパスを仕掛けたウィリアムスが足を一本抜いていく。ヘルピンは守りのガードワークとなり、首を固めたウィリアムスがパスを狙う。ポイントはないが、パスガードを決めたウィリアムスは右足でヘルピンの左腕を制して抑える。

ウィリアムスが肩固めを伺いつつマウントを取ると、時間をかけて肩固めへ。残り1分15秒、フィニッシュから抑えに転じたように見えたウィリアムスは腕を取ってアメリカーナ。ここから三角絞クラッチを取り、下になりつつ右腕を伸ばしに掛かったところでタイムアップに。

ポジション奪取から極めを狙ったウィリアムスが、3-0の判定勝ちでフェザー級チャンピオンベルトを腰に巻いた。「トムはこの階級で欧州のベスト。UKやヨーロッパでなく、世界のトップになりたいんだ。ADCCの66キロ級を目指し、ポラリスでは61キロでも勝ち続ける」とポラリス3階級制覇したウィリアムスは話した。

一方、ヘルピンは裁定に不満があるようで「僕は2/3は攻めていたけど、ジャッジは最後の1/3を評価したみたいね。色々なことがあったけど、素晴らしいイベントで試合ができた。いつかポラリスのベルトを巻くよ。次は成長した姿を見せたい」と語った。

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Interview Special トム・ヘルピン ブログ 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:3月─その参─コンバット柔術ワールド「足関節が極まらなくなって」

Combat JJ【写真】エディ・ブラボーが主催するコンバット柔術は、突っ込みどころ満載でありながら魅力に満ちている。写真は昨年5月のバンタム級Tのモノ(C)DAVE MANDEL

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ3月の一番、第3弾は8日に開催されたCJJW2020、コンバット柔術ワールド2020を語らおう。


──3月の青木真也が選ぶ、この一番。3試合目はどの試合になるのでしょうか。

「これは試合ではなく、コンバット柔術世界大会全体にしたいと思います」

──おおコンバット柔術ですか。グラウンドで掌底ありのノーポイント&サブオンリー、加えてタイムアップになるとシートベルト・ポジションとスパイダーウェブからのオーバータイム制が用いられるグラップリング大会です。

「技術の流れを語るうえで、今回のコンバット柔術は重要だと思います」

──どういうことでしょうか。

「足関節がやっぱり減ってくるんです」

──最終的に?

「ハイ、最終的には(笑)。僕も岩本(健汰)選手とスパーリングをさせてもらっていて、フィニッシュとしてお互いに減ってくるんです。コンバット柔術にしても、他のグラップリングにしても足関節でフィニッシュは減っていると思います」

──ただ優勝したトム・ヘルピンは初戦、準決勝の今成正和選手との試合、そして決勝と内ヒールで一本勝ちしています。

昨年のADCC66キロ級に出場していたヘルピン。パブロ・モントバーニに0-13で敗れている(C)SATOSHI NARITA

昨年のADCC66キロ級に出場していたヘルピン。パブロ・モントバーニに0-13で敗れている(C)SATOSHI NARITA

「あの選手のことは知らなかったですねぇ、全く。

岩本選手はADCC世界大会に出ていたり、その前の欧州予選で勝っている同階級の選手だからしっていたみたいですけど。

アイルランドですよ。あんな奴、いるんだっ──みたいな。しっかりと柔術が強くて、足関節とバック。柔術がちゃんとできるところが、ヘルピンが足関節で勝てた理由だと思います。足関節とバックという組み合わせが多くなって、そういう強いヤツがいるんだなって」

──まさにヘルピンは2回戦で所英男選手をRNCで破っています。それにしても本家・今成ロールにカウンターのヒールを合わせたのは驚きでした。

「切ってバックにいくのが主流で、彼も出来るはずだけと取りに行った。相当、自信あるんだと思います。多分、今成型の瞬発力的にパンと取るヒールフックは、彼らからすると一昔前の技で怖くないと思います。今成さんも今の足関節を凄く研究してレベルアップしたけど、僕と同じでいつの間にか後追いになっているんです」

──あぁあ……。ノーギに関しては、日本では90年代終盤ADCCがあり、こぞってMMAファイターが出場していました。そこから柔術家の時代になりましたが、日本はグラップリングが一度、途絶えた感があります。対して、米国は今の隆盛を迎える前に15年以上に渡り、ずっとノーギ文化が育まれてきた。

「確かに、そうですね。米国にはヒールフックは普通にある。日本にはグラップリングというジャンルがなくなり、ヒールフックも途絶えた」

──ヒールに関しては、佐藤ルミナ選手がMMAで仕掛けて殴られる。だから、MMAで選手が足関節を使わなくなった。そうすると練習でも試さないという流れではないかと。ルミナ選手が足関節の象徴だったので。もともと競技柔術にはヒールはないですし、ヒールを伝えるのはMMAの人、それが日本だったと。

「あぁ、その発想はチョットなかったです。要は日本でヒールフックが使われなくなったのは、ルミナ✖ハンセン戦からだと。その史観、面白いっ!! それは衝撃的、面白いですよ!! ルミナさんは特異なタイプだから。ルミナさんはMMAを戦っている間、柔術が入らなかったです。引退されて、柔術を取り入れられているようだけど。

今成さんは柔術が入った。僕もセコンドに就いていた時に『引き込んでヒールフックして上を取りましょう』とか作戦としてやっていたんです。ルミナさんも体を捻って逃げる相手の背中に飛び乗るとか、あの運動神経があるとできていたと思います。でも周囲にも柔術の発想がなかったかもしれないですよね。

そして植松さん、今成さん、戸井田さん、ルミナさん以降は足関節は職人の技になりましたね」

──DREAMと戦極で、青木&北岡コンビが現代足関節時代になる前に、一度脚光を浴びさせました。青木選手がエディ・アルバレス、北岡選手が五味選手に勝って。

「でも、僕は足関節のフィニッシュは2試合しかないんです。エディと川尻さんとの試合しか。北岡さんの方が、足関節で勝っている試合は多いです」

──と同時に青木選手が足関節を逃げられて殴られたという記憶はないです。

「僕は怖いから、それだけ使っていないので。上に居続けないといけないという発想に代わりましたからね。足関節は出ちゃった時は仕方ないけど、自分の作戦として採り入れないようにしていました」

──そんななか掌底有りのコンバット柔術における足関節とはどういう位置づけでしょうか。

「う~ん、コンバット柔術はジャンルとしてメインストリームには来ないと思います。アレがUFCみたいになることはほぼない。ルールの穴が多すぎて、メジャーになるには禁止される部分が増えたり、戦いもグラップリングでなく掌底の殴り合いみたいになっていくでしょうし。

でも現時点のコンバット柔術は逆張りする上で面白い。岩本選手とか出れば良いのに……アレはグラップリングなので。日本でもMMAファイターの人材育成ルールとか、逆に柔術家がMMAをやる前に経験しておく要素──そういうルールかと思います」