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【UFC ESPN71】米国移住を決めた?! フレッチャー戦前の中村倫也―03―「行きたい場所には行けそう」

【写真】中村は136ポンド、フレッチャーは135.5ポンドで計量を終えている(C)Zuffa/UFC

2日(土・現地時間)、ネヴァダ州エンタープライズのUFC APEXで開催されるUFC on ESPN71に出場し、ネイサン・フレッチャーと対戦する中村倫也インタビュー最終回。
Text by Manabu Takashima

ネイサン・フレッチャー戦に向け、改めてATTでの練習で得られたこと。さらに、ここまでのインタビューで聞かれた中村の言葉で、気になった点を改めて尋ねた。

そこで返ってきた言葉から中村倫也という人間は、気が注入される器自体が変化したことが伝わってきた……。

<中村倫也インタビューPart.01はコチラから>
<中村倫也インタビューPart.02はコチラから>


コンスタントに積み重ねられたモノに対して、かなり手応えを感じています

――アマMMAを戦った時の絶対に腕十字で取るという感じで、仕掛けまくって取った。そんな我儘を通せる戦いが懐かしいですね。

「ハハハハ。本当にそうですね。勝てるという空気を持つことすら、良くない。そういう戦いになってきました」

――改めてフレッチャーですが、ハマれば強い。バックコントロールに掛ける執念は凄まじいです。

「そこを大切にしているので、セットアップも慎重です。ストライカーと戦っても、相手が組みに来るのを待つぐらい。だからこそ、前回の試合とは違う自分を見せないといけないです。あのままじゃ変われないと思って、ATTに来て創り込んできたので。そのなかで大きなケガも全くなく、コンスタントに積み重ねられたモノに対して、かなり手応えを感じています。それが勝手にでるかなと、思っています」

――その積み重ね、ダニー・サバテロやジャビッド・バシャラットなどえげつない選手とやってきたわけですよね。

「ハイ。バシャラットは兄弟できていますね。ジャビットは頭が良いです。それになんでも吸収しようとしていますね。同じフロアで生活をしていると、僕のストレッチを見て『その伸ばし方を教えて欲しい』って部屋まできます。8時以降になるとブルーライトをカットするサングラスをつけて歩いていますし」

――う~ん、倫也選手に負けない徹底的に取り組み選手が集まってきているわけですね。色々な新しい経験ができそうです。

「ダニー・サバテロのしつこさとかも、ちょっと経験したことがなかったです。本当にしつこいですね。自分も同じぐらいしつこいはずだけど、手の長さがある分、最初はやり辛かったです。アジャストするまで、めちゃくちゃ苦戦しましたね。

あとサルバルジョン・ハミドフ。タジキスタン人選手なんですが、こないだマゴメド・マゴメドフに負けて16勝1敗になった。ハミドフもレスリングが凄く強くて、良い練習になりましたね。

それと(カルシャガ)ダウトベックのボクシングは、めちゃくちゃ上手いですね。スタンドゲーム、前手が凄く上手い。前手が上手い人は、足を蹴るのも上手いです。そこで距離を把握しています」

――どんどん名前が出てきますね。「なぜ、リンヤは日本に帰った」と前回言っていたパントージャとは?

「パントージャはタイトル戦を控えていて、相手がカイ・カラフランスだから僕とはタイプが違うので。今回はほとんど一緒にやっていなかったです。ただ試合が終わって練習に戻ってきてからは、グラップリングはやっています。『こっちに住め』って言われますね(笑)。でも今回、こっちで積み上げた方が手応えを感じて、自分に対する疑いも少なくて済みます。自分のなかでは今ところ、こっちで創っていきたいという気持ちが強いです」

――そんななか、話を訊いていて疑問に思ったことを改めて尋ねさせて下さい。

「ハイ」

――堀口選手のアドバイスが、凄く為になっているということですが、前回のATT滞在時に左の蹴り方のアドバイスがあり、そこを気にする余りバランスを崩したということがありました。あまりにの影響を受けてしまうという恐れはないでしょうか。

「勿論、耳を傾けて自分に生きる部分とそうでない部分があるとかは考えています。それは恭司さんに限らず、なんでも全て聞いた通りにしていると、自分がアドバイスをしてくれた人になってしまうだけなので。

前はその言葉だけを聞いて、自分で考えてしまっていました。考えて消化しようとしていたのですが、その言葉に含まれている真意や改善方法を僕が聞きだせば、掘り出せたかもしれない。それなのにそのまま咀嚼して、自分なりの解釈で創ってしまった。まさに未熟だったんです」

――なるほど……です。その気付きは内面の変化で、それが外側の変化に通じているのでしょうか。

「ハイ。この情報を入れたら、間違った方に行ってしまうなという風なこともありますし。そうしたら、体はそっちの方にはいかないです」

崇矢が近くにいるのは、孤独感をちょっと薄れさせてくれます

――今後はよりATTで過ごす時間が増えそうな倫也選手ですが、日本の必要性はどういう部分にあるのでしょうか。

「抽象的になりますけど、気を注入できるところ。本当に息を抜くことができる場所ですね。それぐらいになってくるような気がします。現役の間は、日本はそういうところになるかと。こっちに引っ越すことも考えています」

――押忍、いよいよ固まったて来た倫也選手ですが、あまり意識してはいけないことかもしれないなか、どのような試合をしたいと思っていますか。

「オートでハードに行きつつも、そのなかに動きとしてソフトを内包しているような。そんな動きを表現できたらなと思っています」

――その「オート」という言葉が共有できるのは、日本の仲間ではないのでしょうか。

「それこそATTにいて恭司さんとも、そういう話をしているのですが……そうですね、自分の格闘技が好きという炎を灯し続けてくれるような。勢いをつけてくれる存在ですかね、日本に住んでいる仲間は。それに(鈴木)崇矢はジムは違いますけど、こっちにいる時は休日に会ったりもしています。

それこそDREAMERSの時から崇矢や京ちゃん(中村京一郎)と、ずっとそんな話をし続けてきたので。崇矢が近くにいるのは、孤独感をちょっと薄れさせてくれます。会おうと思えば会える仲間が近くにいるのは嬉しいですね。崇矢のハッピーな性格は才能です」

――ではソフトを内包したハードな動きが、オートで出ることを期待しています。

「これまでコンペティション、試合、試合、試合っていう人生だったんですけど、こういう時の自分って爆発するって分かるんです。今回、その爆発する予感がしています。なので自分自身で凄く楽しみなんです。このまま行けば、自分が行きたい場所には行けそうので」




■視聴方法(予定)
8月3日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前6時45分~U-NEXT

■UFC ESPN71対戦カード

<フライ級/5分5R>
平良達郎(日本)
パク・ヒョンソン(韓国)

<ライト級/5分3R>
クリス・ダンカン(英国)
マテウス・レベンツキ(ポーランド)

<ライト級/5分3R>
エステバン・リボビチ(アルゼンチン)
エルヴィス・ブレネウ(ブラジル)

<女子バンタム級/5分3R>
カロル・ホサ(ブラジル)
ノハ・コホノール(フランス)

<ウェルター級/5分3R>
ニール・マグニー(米国)
エリゼウ・カポエイラ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ダニー・シウバ(ブラジル)
ケヴィン・バジェホス(アルゼンチン)

<バンタム級/5分3R>
中村倫也(日本)
ジェイソン・フレッチャー(英国)

<ミドル級/5分3R>
ホドウフォ・ヴィエイラ(ブラジル)
トレシャン・ゴア(米国)

<ミドル級/5分3R>
ニック・クレイン(米国)
アンドレイ・プリエフ(ロシア)

<フェザー級/5分3R>
オースティン・バシ(米国)
ジョン・ヤニス(米国)

<フライ級/5分3R>
フィリッピ・ブネス(ブラジル)
ハファエル・エステヴァン(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
ピエラ・ロドリゲス(ベネズエラ)
ケトレン・ソウザ(ブラジル)

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45 MMA MMAPLANET o UFN UFN252 キック ジャビッド・バシャラット リッキー・シモン

【UFN252】開催地ワシントン州を拠点とするシモン。ワンツーでバシャラットのアゴを打ち抜き連敗脱出

<バンタム級/5分3R>
リッキー・シモン(米国)
Def.3分58秒 by KO
ジャビッド・バシャラット(アフガニスタン)

シモンが飛び出すと、バシャラットは左ジャブを突いて左に回る。シモンは右フックからボディロックで組みにいくも、バシャラットが離れる。頭を下げたシモンに、バシャラットが右を打ち下す。シモンは右カーフキックから、バシャラットが右サイドキックを放ったところに組みついた。ボディロックからリフトしてグラウンドに持ち込むシモン。すぐに立ち上がったバシャラットに対し、バックコントロールへ。ケージ際で正対したバシャラットが右に離れた。

左ジャブ、右カーフの打ち合いからシモンが飛び込んだ。右腕を差し上げてバシャラットをケージに押し込む。しかしバシャラットは離れながらパンチを伸ばす。シモンが頭を下げてしまうためバッティングが発生し、両者出血が見られるように。

残り2分近くでシモンがニータップで飛び込んだが、テイクダウンを奪うことはできない。離れてサウスポーにスイッチしたバシャラットが左ミドル、左テンカオを繰り出す。左ジャブでバシャラットの顔面を跳ね上げたシモンは、続けてワンツーでバシャラットのアゴを打ち抜いた。この一撃で失神したバシャラットは背中から倒れ、シモンが追撃の鉄槌を浴びせるとレフェリーが割って入る。オレゴン州出身だが現在はワシントン州のチーム・オーヤマを拠点としているシモンが、その地元ともいえるワシントン州で連敗を脱した。


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45 AB K-1 MMA MMAPLANET o RIZIN UFC UFN UFN252 YouTube   アロンゾ・メニフィールド アンソニー・ヘルナンデス アンドレ・フィーリ イオン・クテレバ イボ・アスラン オースティン・ヴァンダーフォード キック ジアン・シウバ ジアン・マツモト ジャビッド・バシャラット ソン・ヤードン ドミニク・クルーズ ニコライ・ベレテンニコフ ニック・クレイン ヌルスルタン・ルジボエフ ハファエル・セルケイラ ブレンダン・アレン ヘンリー・セフード ボクシング メルシック・バダザリアン モデスタス・ブカウスカス ライカ リッキー・シモン ロブ・フォント 久保優太 食事

【UFN252】元K-1タイトル挑戦者メルシック・バダザリアン「スマートに、バカになって戦うのがMMA」

【写真】全く緊張感はない。非常に面白い感性の後主だった(C)MMAPLANET

22日(土・現地時間)、ワシントン州シアトルのクライメット・プレッジ・アリーナでUFN252:UFN on ESPN+110「Cejudo vs Son」が開催される。
Text Manabu Takashima

(C)Zuffa/UFC

ヘンリー・セフードとソン・ヤードンのバンタム級戦がメインの同大会。

ドミニク・クルーズが引退試合でロブ・フォントと戦う予定だったが、肩の負傷で最後の舞台に上がることを諦めた。

(C)Zuffa/UFC

プレリミでバンタム級の実力者対決=リッキー・シモン×ジャビッド・バシャラットが組まれているが、この興味深い試合がバラされることはなかった。

結果、16勝0敗のジアン・マツモトがドミニクの代役に抜擢されフォントと対戦することに。日系3世のマツモトは父方の祖父が日本人で、ブラジル人に移住してブラジル人の祖母を結婚。

(C)Zuffa/UFC

祖父が亡くなったあとも、祖母は白米とみそ汁の食事を続けていたという。

その日本の血が騒いだのか、計量には日の丸&必勝の鉢巻きを巻いて登壇している。

そんなか、メインカードに組まれたフェザー級戦=ジアン・シウバ×メルシック・バダザリアンも注目したい。バダザリアンはK-1で久保優太の持つベルトに挑戦したこともある、元キックボクサーだ。トップキックボクサーからMMAへの転向――コンテンダーシリーズを経てUFCまでステップアップを果たしたバダザリアンに、負傷からの復帰とキックとMMAの違い、そしてマツモト戦について尋ねると、ジョークなのか真剣に答えているのか分からなくなるような迷返答が続いた。

どうみても頭が切れるが、感性がやや逸脱している感のあるバダザリアン。非常に興味深いファイターだ。


――約1年半ぶりの試合となりますが、今の気持ちを教えてください。

「イイ感じだよ。ただ、いつもと変わらない。すぐにケージに戻っていたとしても、長い間待たないといけなかったとしても僕は変わらない。ただ、もう30歳を過ぎて2年間も試合がなかったから、20年代前半とは違ってキツいと感じることあった。でも、大丈夫だ。何があろうとも、大丈夫なように準備はできている」

――この間、ケガで試合も流れていますが、回復に時間が掛ったということでしょうか。

「まず拳を折った。それも指でなく中手骨の骨幹部だったから、なかなか大変で。拳が治ったと思ったら、次は肩だ。肩関節唇損傷で試合をキャンセルするしかなかった。その後も1カ月間も体調が悪くて、最初の数日は記憶がない。あんな風に長い間、病に臥せたことはなかった。そんなことが理由で3度も試合に出ることができなくて、これだけ実戦から遠ざかっていたんだ。

ここまで色々なことが重なるって、他のUFCファイターでも例がないんじゃないかな。3度も試合をキャンセルしないといけないなんてね(笑)。まぁ、調べれば他にもいるかもしれないけど、僕の身にはそういうことが起こっていたんだ。僕のキャリアを振り返ると、以前からハードなことが多かった。肩もそうだし、とにかくケガを繰り返してきた。もっと試合期間も短く、どんどん試合をしたかったけど、結局は正反対のキャリアの積み方だった」

――今週末に試合がある(※取材は18日に行われた)ということで、もう全快と思って問題ないでしょうか。準備の方はいかがですか。

「僕に準備は要らない。常にトレーニングを続けてきたから、試合のために特別なことをする必要はない。試合前で何が問題かといえばトレーニングでなく、減量だ。アスリートだから、常にグッドシェイプを保っている。だから2カ月や3カ月でなく、さらに長い時間を掛けて体重を落とす。試合に向けて、減量と少し良いスパーリングを増やせば、何も問題なく戦うことができる」

――その辺りの調整方法も試合数が多いキックを経験してきたことが関係していそうですね。そもそもキックからMMAに転じた理由を教えていただけますか。

「キックではK-1、武林風など世界のトップステージで戦ってきた。でも……なんだろう……。なぜMMAを戦おうと思ったんだろう? 自分でも分からないな。コーチから『その柔軟性があれば、MMAでも打撃を使えるだろう』と言われて。それでやり始めたのかな? まあ大した理由じゃない。今もUFCでキャリアを終えると、サッカーをやろうと思っているしね」

――……。K-1でタイトルを賭けて戦った久保優太選手も、MMAに転向しました。凄く興味深いです。

「ユータ・クボは偉大なファイターだ。きっと良い人間だと思う。でも、ユータ・クボがMMAを戦っていることは知らなかった。実際、他のUFCファイターのこともあまり知らないんだ(笑)。彼はMMAで上手くやれているの?」

――大晦日は敗れましたが、RIZINでの最近の活躍は素晴らしいです。打撃の精度が、生粋のMMAファイターと段違いという風にも見えます。

「MMAだけを戦っているんだな。凄いな。ところで君って、今、日本からインタビューをしているの? 日本人だからクボのことをそんなに知っているのかな」

――えっ? 今は取材の都合で米国にいますが、普段は東京で仕事をしています。

「そうなんだ(笑)。クボはグッドファイターだ。グレートファイター。でも彼と試合をした時、本当に僕は最悪のコンディションだった。試合直前まで、ロッカールームで眠っていて。そのままリングに上がると、彼にそっくりな人間が横に立っているじゃないか。目を疑ったよ。でも、アレってクボの兄弟だったのかな?」

――きっと弟の久保賢司さんだと思います。

「そういうことか。体調が悪かったし、『なぜクボが2人いるんだ?』って不思議な感覚だった。俺はどうにかしてしまったのかって(笑)」

――ハハハハハ。

「それほどのもんだったから、試合の時は全くエネルギーがなくて。あんな風になってしまったんだ」

――なるほどです。ところで今回の対戦相手であるジアン・シウバに関して、どのような印象を持っていますか。

(C)Zuffa/UFC

「対戦相手の印象? 

分からない。今回の対戦相手のことは全く知らない。ただ、顔は分かった」

――シウバの試合もチェックしていないのですか。

「しないよ。対戦相手の映像なんてチャックしたことがない。頭では考えるけど、そんなことまではしないんだ」

――本当ですか(苦笑)? ともあれ、土曜日の夜はどのような試合をしたいと思っていますか。

「僕が?」

――もちろんです。

「質の高い打撃戦かな。自分らしく戦いたい」

――その打撃もキックからMMAに変わったことで、アジャストが必要だったと思います。

「もちろんだ。そうしないといけない。テイクダウン・ディフェンスが加わるんだから。テイクダウンを切って、戦う。それだけだよ。そして、アナコンダでも極めてやれば良いんだ。アハハハハ。でも、僕の人生はずっと打撃と共にあった。僕は真正ストライカーだ。相手を倒すために、戦う。それがテイクダウンだというファイターもいる。そういうヤツとUFCデビュー戦で戦い、ハイキックでKOした(笑)。

キックボクシングは相手と向き合って、そしてぶっ飛ばせば良かった。MMAは距離が長い。いかに意表をつくのか。それがMMAの戦い方だ。頭の良さが問われるんだ。まぁ、そこが戦っていて楽しいところなんだよ。スマートに戦わないといけないのに、バカにならないと戦えない。頭の線が切れていないと。でも、しっかりとMMAを理解して頭脳戦を戦い抜かないとダメなんだ。それがミックストマーシャルアーツ。全てが含まれた戦いだ。思いきり頭を下げたヤツが、バックエルボーで相手を倒す戦いなんだよ。いかに驚かせることができるのか。意表をつくのがMMAだ」

――もっと色々と尋ねたくなるメルシックですが、約束の時間が来てしまいました。最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

「ファン? それともファイターに?」

――ファンに、です(笑)。お願いします。

「2度、日本に行ったことがある。凄く良い場所だった。試合でなくても、ただ訪れたいと今も思う。日本の文化を始め、あらゆることが良かった。街も人も、一歩進んでいるっていう感じで。それがナチュラルで、タクシードライバーからもそういうことが伝わってきた。まぁ、正しいかどうかは分からないんだけどね(笑)。僕はそう感じたんだ。そうだね、日本のファンの皆に僕の試合を見て欲しい。アリガトーゴザイマス」

■視聴方法(予定)
2月23日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS
午前7時45分~U-NEXT


■UFN252対戦カード

<バンタム級/5分5R>
ヘンリー・セフード(米国)
ソン・ヤードン(中国)

<ミドル級/5分3R>
ブレンダン・アレン(米国)
アンソニー・ヘルナンデス(米国)

<140ポンド契約/5分3R>
ロブ・フォント(米国)
ジアン・マツモト(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ジアン・シウバ(ブラジル)
メルシック・バダザリアン(アルメニア)

<ライトヘビー級/5分3R>
アロンゾ・メニフィールド(米国)
ジュリアス・ウォーカー(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イオン・クテレバ(モルドバ)
イボ・アスラン(トルコ)

<フェザー級/5分3R>
アンドレ・フィーリ(米国)
メルキザエル・コスタ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ニック・クレイン(米国)
マンスール・アブドゥルマリック(米国)

<バンタム級/5分3R>
リッキー・シモン(米国)
ジャビッド・バシャラット(アフガニスタン)

<ウェルター級/5分3R>
オースティン・ヴァンダーフォード(米国)
ニコライ・ベレテンニコフ(カザフスタン)

<ミドル級/5分3R>
ヌルスルタン・ルジボエフ(ウズベキスタン)
エリック・マコニコー(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
モデスタス・ブカウスカス(リトアニア)
ハファエル・セルケイラ(ブラジル)

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45 MMA MMAPLANET o UFN UFN238 エイマン・ザハビ キック ジャビッド・バシャラット ボクシング

【UFN238】キックでもボクシングでもない打撃戦。ザハビがバシャラット兄との化かし合いを制す

<バンタム級/5分3R>
エイマン・ザハビ(カナダ)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28
ジャビッド・バシャラット(アフガニスタン)

すぐにスイッチしてサウスポーから関節蹴りを見せたバシャラットが、オーソで左右の前蹴りを繰り出す。左の前蹴りを続けたバシャラットの顔面を。ザハビの右ロングがかすめる。より慎重になったバシャラットはパンチとテイクダウンを警戒しながら、ヒザ蹴りで迎え撃つ。手数は完全に少ないザハビの一発カウンター、もしくは飛び込んでの一発狙いに対し、バシャラットが左アッパーからボディショットを決める。

バシャラットは跳びヒザの着地にパンチを合わされそうになるが、サイドキックで尻餅をつかせる。ザハビは右の蹴りも織り交ぜるようになり、バシャラットのダブルレッグをかわす。そのまま間合いの測り合いとなり、バシャラットが初回を取った。

2R、ザハビが右カーフを蹴り、バシャラットの後ろ回し蹴りをかわす。さらにジャブをカウンターで迎え撃ったザハビは、組み技封印かというぐらい打撃戦に徹底している。飛び込みながら足払いを狙ったバシャラットが、サイドキックで関節を狙う。ワンツーから前に出たザハビは、スリー・フォーとパンチを続ける。構えを変え、フェイクを交えつつ上下を打ち分け、右ボディストレートを決めたバシャラット。ザハビは右ミドルから左、さらに左右のオーバーハンドを狙う。

近い位置で右オーバーハンドを当てたザハビに対し、バシャラットは足を使いつつダブルレッグも切られる。その際にワンツーをオーバーハンドで繰り出す変則的なザハビの打撃は、やはり厄介だ。バシャラットも右を当てて、ザハビのワキを走り抜けるような動きを見せ、ダブルレッグへ。ノーアームギロチンで応えたザハビ。自ら背中をつけてエスケープしたバシャラットは、左ジャブに右を合わされ、「効いていない」とアピール――も、左の蹴りに右オーバーハンドを合わせれ、軸足がバランスを崩しラウンドも落とした。

最終回、前蹴り、カーフから左ジャブ、スイッチして左ミドルを入れたバシャラット。ザハビも右を返す。飛び込みながら左をかわしたバシャラットだが、左ミドルで腹を抉られる。警戒をし、バックステップやサークリングを見せるが基本は前に出て圧を掛けるバシャラット。その結果、蹴りを入れて右アッパーにつなげる。さらに左ボディフックを入れたバシャラットは、ワンツーから右アッパーを伸ばす。

ザハビも前に出てワンツー、右をカウンターで当てたバシャラットがワンツーのツーを腹に受け、右ミドルを蹴られる。左の蹴りに左を合わせたザハビは、直後に右を被弾。キックでも、ボクシングでもない打撃戦は近い距離でスピニングバックエルボーをバシャラットが狙い、ザハビがバックを取る。腰に乗せての投げを察知し、離れたザハビ。最後まで拳を打ち合った騙し合い、化かし合いは3-0でザハビに凱歌が挙がり、4連勝を達成。バシャラットはキャリア15試合目の初黒星となった。


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45 AB Brave CF MMA MMAPLANET o UAEW UFC UFN UFN238   アザット・マクスン アブドゥルカリーム・アルセルワディ アレックス・ペレス アレッサンドロ・コスタ アレッシャンドリ・パントージャ ウマル・ヌルマゴメドフ エイマン・ザハビ エリク・アンダース キック シャミル・ガジエフ ジェイミー・ピケット ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク ジャビッド・バシャラット スティーブ・アーセグ タイソン・ペドロ ダヴィッド・ドヴォルザーク デイヴィソン・フィゲイレド ビクター・ヘンリー ベクザット・アルマカーン ボクシング マット・シュネル ムハマド・モカエフ ルドヴィット・クライン ヴィトー・ペトリーノ 中村倫也 吉野光 平良達郎 風間敏臣 鶴屋怜

【UFN238】計量終了 モカエフがついにタイトル挑戦経験者と。吉野に勝ったオリヴェイラ×ソパイも注目

【写真】歴史の浅い――しかも仕切り直しがあった階級だからこそ、これから動きも大きくなるはずだ(C)MMAPLANET

2日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN238: UFN on ESPN+96「Rozenstruik vs Gaziev」の計量が行なわれ、全選手が滞りなくクリアしている。
Text by Manabu Takashima

メインはヘビー級のジャイルジーニョ・ホーゼンストライク×シャミル・ガジエフという今大会だが、日本のファンからすると気になるのは軽量級、やはりフライ級とバンタム級の戦いだろう。


フライ級では平良達郎がコールアウトしたムハマド・モカエフが、ついにタイトル挑戦経験のあるファイター=アレックス・ペレスと対戦する。2020年11月にデイヴィソン・フィゲイレドの持つ世界フライ級王座に挑戦して敗れたぺレスは、その後の3年4カ月で流れた試合数は「9」、実際にオクタゴンに足を踏み入れたのはたったの1度でアレッシャンドリ・パントージャに91秒でRNCで一本負けを喫している。

いえばこの40カ月でペレスは、僅か3分28秒しか戦っていない。対するモカエフは、この間にNCを含めると9試合を経験してきた。ペレスにケージロスがあるかどうは分からないが、勢いがあるのはモカエフであることは間違いない。ペレスがタイトル戦線に再浮上するためには、キャリア10連勝の新鋭に初黒星を与えることが必須だ。

そんなペレスとの対戦が4度に渡り流れたマット・シュネルと戦うスティーブ・アーセグは、Eternal MMAフライ級王者から昨年6月にスクランブル出場でオクタゴン初陣を戦った。そしてダヴィッド・ドヴォルザークを下し、2戦目でシュネルと戦うことが決まっていたが、シュネルの欠場で試合が不成立に。結果、代役アレッサンドロ・コスタに判定勝ちを収めている。

仮にアーセグがシュネルを下して3連勝とすれば、今後数カ月で平良の対戦相手になることは十分にあるだろう。

平良、そして鶴屋怜目線で眺めるフライ級に対し、中村倫也&風間敏臣視線で俯瞰すべきなのがバンタム級戦線だ。メインカードではウマル・ヌルマゴメドフとベクザット・アルマカーンという16勝0敗×16勝1敗という凄まじい戦績の持ち主同士がぶつかる。とはいえ、アルマカーンは今回がUFC初陣ということもあり、フライ級の同胞アザット・マクスンの例を見るまでもなく16勝1敗という数字は参考記録に留めるべきだろう。

UFCデビュー戦といえば、ヴィニシウス・オリヴェイラと対戦するスウェーデンのベルナルド・ソパイは、今大会に初めて世界最高峰の舞台に上がる。ライオンキングの異名を持つ、アルバニア系スウェーデン人選手はコロナ禍の2020年8月にスロックホルムで無観客ウィークリショーを開いたBRAVE CFに出場し、一躍注目を集めるようになった。

その流れでバーレーンで戦ったことがあるソパイだが、ほぼスウェーデン国内で経験を積み、UFCにたどり着いたレア・ファイターだ。キックボクシングを思わせる近い距離で、右オーバーハンドの強さが目立ったソパイだが、執拗なテイクダウン狙いには手を焼く――BRAVE CF時代はそんなヤングブラッドだった。

あれからほぼ3年が過ぎ、UAEWで吉野光をKOしているオリヴェイラの打撃に対し、どのような幅のある戦いを見せることができるのか。粗いが当たれば倒す、そしてなぜか当たるオリヴェイラのパンチ。その分KOパンチを被弾することも少なくないオリヴェイラとの距離、振りの大きさの対比が楽しみな一戦となる。

オリヴェイラ×ソパイ戦の前に組まれた試合順に、不満を抱いていて然りなのがジャビッド・バシャラットだろう。キャリア14勝0敗1NC、前戦ビクター・ヘンリー戦こそローが急所に入りNCとなったが、オクタゴン3連勝でランカーとの対戦を強く要望してきた。

そのなかでUFCで4勝2敗のザハビとのマッチアップ、グラップリングに特化した相手をジャブと蹴りで突き放し、完全ドミネイトもしくはポイントアウトの遂行していくに違いない。だからこそ、注目すべきはザハビの戦い方だ。実兄である名将フィラスが控えるザハビは、前述したようにグラップリングに特化したという印象を利して、予測不能な打撃を有効な武器としつつある。

バシャラットが持ち味である徹底して落ち着き払ったファイトで、やるべきことを選択すればザハビに勝ち目はない。しかし、少しでも奢りを見せ、ザハビを軽視するような心の隙があれば……そこが命取りになるやもしれない。

■視聴方法(予定)
3月3日(日・日本時間)
午前3時30分~UFC FIGHT PASS
午前2時45分~U-NEXT

■UFN238計量結果

<ヘビー級/5分5R>
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク: 257ポンド(116.57キロ)
シャミル・ガジエフ: 261ポンド(118.38キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴィトー・ペトリーノ: 205.5ポンド(93.21キロ)
タイソン・ペドロ: 205.5ポンド(93.21キロ)

<フライ級/5分3R>
アレックス・ペレス: 126ポンド(57.15キロ)
ムハマド・モカエフ: 126ポンド(57.15キロ)

<バンタム級/5分3R>
ウマル・ヌルマゴメドフ: 136ポンド(61.69キロ)
ベクザット・アルマカーン: 136ポンド(61.69キロ)

<フライ級/5分3R>
マット・シュネル: 126ポンド(57.15キロ)
スティーブ・アーセグ: 126ポンド(57.15キロ)

<ミドル級/5分3R>
エリク・アンダース: 185.5ポンド: 186ポンド(84.37キロ)
ジェイミー・ピケット(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
ヴィニシウス・オリヴェイラ: 135.5ポンド(61.46キロ)
ベルナルド・ソパイ: 135.5ポンド(61.46キロ)

<バンタム級/5分3R>
ジャビッド・バシャラット: 136ポンド(61.69キロ)
エイマン・ザハビ: 135.5ポンド(61.46キロ)

<ミドル級/5分3R>
クリスチャン・レロイ・ダンカン: 186ポンド(84.37キロ)
クラウジオ・ヒベイロ: 185.5ポンド(84.14キロ)

<ライト級/5分3R>
ルドヴィット・クライン: 156ポンド(70.76キロ)
AJ・カニンガム: 155.5ポンド(70.53キロ)

<ライト級/5分3R>
ロイック・ラジャポフ: 155.5ポンド(70.53キロ)
アブドゥルカリーム・アルセルワディ: 156ポンド(70.76キロ)

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MMA MMAPLANET o UFC UFC294 ジャビッド・バシャラット ビクター・ヘンリー

【UFC294】注目のバンタム級マッチは、バシャラットのローがヘンリーの急所に入りノーコンテストに

<バンタム級/5分3R>
ジャビッド・バシャラット(アフガニスタン)
NC 2R0分15秒
ビクター・ヘンリー(米国)

中央にバシャラット、左に回るヘンリーが右ローで姿勢を乱させる。すぐに右ローを返したバシャラットは、カーフを続けてジャブを当てる。ヘンリーの右ローにワンツーを合わせにいったバシャラットは、スイッチを織り交ぜて左前蹴りを繰り出す。ヘンリーも蹴り足を残して構えを変える場面も。バシャラットはアブを当て、ヘンリーの拳はなかなかバシャラットを捕えることができない。とジャブ、ニータップから左ハイを蹴ったバシャラットは左の蹴りを掴まれても足を抜き、逆に蹴り足をキャッチしてテイクダウンを奪う。

スクランブルでバックに回ったバシャラットは、正対してボディロックテイクダウン狙いもヘンリーが耐える。バシャラットはヒザを入れて離れ、後ろ回し蹴りへ。かわしたヘンリーだがカーフを蹴られる。右カーフを2発入れたヘンリーが右前蹴り、さらに左インローを決める。バシャラットは前蹴りヲキャッチしてボディロックへ。ヘンリーがケージに押し込み、バシャラットが押し込み返したところで時間となった。

2R、バシャラットの左ローを急所に受けたヘンリーが、うめき声をあげて悶絶する。一度は上体を起こしたが、再びマットに倒れ込んだヘンリーはようやくケージにもたれ込んで座るも再開は難しいか。またも倒れ込んだヘンリーに対し、観客は無情のブーイングを送る。ドクターが無理矢理立たせたが、ヘンリーは再度座り込む。この時点でインジュアリータイムも残り1分に。そして、5分を経過した時点でフェリーが試合の終了を告げた。

バシャラットは詫びを入れて、ヘンリーとハグ。ヘンリーはジョシュ・バーネットに抱えられてケージを下りた後に、ノーコンテスト裁定がアナウンスされた。


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IMMAF MMA MMAPLANET o UAEW UFC UFC294 アレックス・ヴォルカノフスキー アンシュル・ジュビリ イクラム・アリスケロフ イスラム・マカチェフ カマル・ウスマン カムザット・チマエフ キック サイド・ヌルマゴメドフ ジャビッド・バシャラット ジョニー・ウォーカー ティム・エリオット トレヴァー・ピーク ナサニエル・ウッド ビクター・ヘンリー ブラジリアン柔術 ブルーノ・シウバ ボクシング マイク・ブリーデン マゴメド・アンカラエフ ムイン・ガフロフ ムハマド・モカエフ モハメド・ヤヒア ヴィクトリア・ダダコワ

【UFC294】初のUAE人UFCファイター誕生=モハメド・ヤヒア「アブダビは世界のファイト・キャピタル」

【写真】天窓から灼熱の後光がヤヒアを照らす(C)MMAPLANET

21日(土・現地時間)、UAEはアブダビのエティハド・アリーナで開催されるUFC 294「Makchachev vs Volkanovski 2」では、史上初のUAE生まれでUAE育ちのMMAファイターが誕生する。
Text by Manabu Takashima

メイン登場の世界ライト級王者イスラム・マカチェフ、コメンで戦うカムザト・チマエフ、ビクター・ヘンリーと注目のバンタム級マッチが控えるジャビッド・バシャラットなど、中東のみならず欧州、ロシアからもムスリム・ファイターが集まる同大会。チマエフが近頃スウェーデンからUAEの国旗の下で戦うことを決めたが、ドバイで生まれ&在住のモハメド・ヤヒアこそが、正真正銘のアラブ首長国連邦産のUFCファイターだ。

ライト級でトレヴァー・ピークと戦うヤヒアは、UFCファイターを目指しカンフージムでキックを始めると、プロMMA初陣から9年目で世界最高峰に辿り着き、母国で初陣を迎えることとなった。そんなヤヒアに初インタビューを試みた。


──モハメド、最初にY A H Y Aという綴りですが、発音はどのようになるのか教えていただけないでしょうか。

「ヤヒアだよ。ヤ・ヒ・ア」

──モハメド・ヤヒアですね。ありがとうございます。アラビア語の発音方法がまるで理解できおらず。そのモハメドですが、UAE初のUFCファイターとして母国大会でトレヴァー・ピークと対戦します。今の気持ちを教えてください。

「とても良い感じだ。国を代表して戦うことを誇りに思う。この国を代表してUFCで戦うことが、ずっと夢だったからね。繰り返すけど、誇りだし幸せなことだ」

──モハメドのプロMMAデビューは、2014年の3月。もう8年半も前になりますが、なぜMMAファイターになろうと思ったのでしょうか。

「14歳の時にTVでUFCを視た。どこか、MMAのトレーニングができる場所はないか探し始めたんだ。最終的に何か格闘技ができる場所として、カンフーのジムを見つけることができた」

──カンフーですかっ!!

「そうだよ(笑)。当時のドバイには、MMAの練習ができる場所はなかった。ブラジリアン柔術のアカデミーは少しあったけど、ほとんどが打撃のジムだったんだ。グラップリングができるところは、本当に少なかった。でも、そのジムではキックボクシングもならうことができて、アマチュアでキックの試合に出るようになった。アマ・キックの戦績は22勝0敗だよ。18 歳……19歳の時かな、MMAの練習に参加するようになった。TK MMAで」

──TK MMAということは、タム・カンの?

「そうだよ。UAEで一番大きなMMAジムだ。今やカムザット・チマエフを世界中からファイターが集まっている」

──打撃出身なので、モハメドのストロングポイントはストライキングと日本のファンに紹介して問題ないですか。

「僕としては、自分はオールラウンド・ファイターだと思っている。ただ、やっぱり立って打撃で戦うことが好きだね。でも、どの局面でも戦うことができるよ。だからこそ、打撃がより生きてくる。結果、UAEWでUAEWアラビア・ライト級チャンピオンになり、UFCと契約できた。そして、週末には国を代表して、世界最大のステージで戦う。凄くハッピーだよ。」

──初のUAEからのUFCファイターになりましたが、今後はこの国のMMAを引っ張る立場にありますね。

「初めてUAEからUFCファイターになったことも、非常に誇りに思っている。UAEでMMAは急激に発展しているんだ。アブダビは世界のファイト・キャピタルになろうかという勢いだ。柔術、キックボクシング、ボクシングで世界最大のイベントが開かれ、UFCでもとても重要な大会開催地になっている。

UAEの子供達が、UFCファイターを目指そうと思った時、自分の国の選手がそこにいるかどうかはとても大切になってくるはずだ。僕はUAE初のUFCファイターになったけど、絶対に最後にはならない。この国では時間を掛けて、MMAへの投資が続いている。IMMAFの世界大会を開くように、アマチュアMMAの発展にもしっかりと力を注いでいる。UAEのMMAには、素晴しい未来が待っている。そんな母国で最初のUFCファイターになれたことは、とても嬉しい」

──では対戦相手のトレヴァー・ピークの印象を教えてください。

「タフな相手だけど、なんら特別なところはない。打撃にしてもそこまで秀でているモノでなく、レスリングもそうだ。どこの局面でも僕が上回っているだろう。自分の力を披露するのに、完璧な相手といえる。全力で殴って、蹴って──UFCにあっても、自分がハイエストレベルのファイターだということを証明したい。何かがオクタゴンのなかで、起こる。そんなファイトを皆に見て欲しい」

■視聴方法(予定)
10月21日(土・日本時間)
午後11時00分~UFC FIGHT PASS
午後10時30分~U-NEXT
10月22日午前3時~PPV

■UFC294対戦カード

<UFC世界ライト級選手権試合/5分5R>
[王者]イスラム・マカチェフ(ロシア)
[挑戦者]アレックス・ヴォルカノフスキー(豪州)

<ミドル級/5分3R>
カマル・ウスマン(米国)
カムザット・チマエフ(UAE)

<ライトヘビー級/5分3R>
マゴメド・アンカラエフ(ロシア)
ジョニー・ウォーカー(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
イクラム・アリスケロフ(ロシア)
ヴァレリー・アウベス(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
サイド・ヌルマゴメドフ(ロシア)
ムイン・ガフロフ(タジキスタン)

<フライ級/5分3R>
ティム・エリオット(ロシア)
ムハマド・モカエフ(英国)

<ライト級/5分3R>
モハメド・ヤヒア(UAE)
トレヴァー・ピーク(米国)

<バンタム級/5分3R>
ジャビッド・バシャラット(アフガニスタン)
ビクター・ヘンリー(米国)

<ミドル級/5分3R>
セドリクス・デュマ(米国)
アブ・アザイター(ドイツ)

<ライト級/5分3R>
アンシュル・ジュビリ(インド)
マイク・ブリーデン米国)

<フェザー級/5分3R>
ナサニエル・ウッド(英国)
ムハンマジョン・ナミモフ(タジキスタン)

<女子ストロー級/5分3R>
ジン・ユフレイ(米国)
ヴィクトリア・ダダコワ(ロシア)

<ミドル級/5分3R>
ブルーノ・シウバ(ブラジル)
シャラブジン・マゴメドフ(ロシア)

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MMA MMAPLANET o RIZIN Road to UFC UFC UFC294 アレックス・ヴォルカノフスキー アンシュル・ジュビリ イクラム・アリスケロフ イスラム・マカチェフ カマル・ウスマン カムザット・チマエフ キック キム・ギョンピョ サイド・ヌルマゴメドフ ジェカ・サラギ ジャビッド・バシャラット ジョニー・ウォーカー ティム・エリオット トレヴァー・ピーク ナサニエル・ウッド ビクター・ヘンリー ブルーノ・シウバ ボクシング マイク・ブリーデン マゴメド・アンカラエフ ムイン・ガフロフ ムハマド・モカエフ ヴィクトリア・ダダコワ

【UFC294】初インド人UFC勝者へ──。アンシュル・ジュビリ「人々の代表として責任感を持って戦わないと」

【写真】受け答えが、表情に比例してソフトなジュビリ(C)MMAPLANET

21日(土・現地時間)、UAEはアブダビのエティハド・アリーナでUFC 294「Makchachev vs Volkanovski 2」が開催される。実は同国の労働力は外国からの出稼ぎの人々によって支えられており、彼の地に住む人々の人口比ではインド人は35パーセントを数えるといわれている(※UAE政府は数値を公開していない)。
Text by Manabu Takashima

そんなアブダビ大会で、2人目のインド人UFCファイター=アンシュル・ジュビリが、同国のMMAファイターとして初めての勝利を目指し、マイク・ブリーデンと対戦する。Road to UFC2021ライト級優勝ジュビリは、準決勝でHEATやAngel’s FCでライト級王者となり、今ではRIZINと主戦場とするキム・ギョンピョを破り、一躍注目されるようになったファイターだ。

テイクダウンにも対応した確かなボクシング技術の持ち主に、Road to UFC優勝からの人生の変化について尋ねた。


──アンシュル、今日はインタビューを受けていただきありがとうございます。

「UFCファイトウィーク、初のインタビューをRoad to UFC前にインタビューをしてもらった日本の記者の人とできて凄く嬉しいよ」(※同インタビューのあと、ジュビリは1時間以上のインド・メディアとの取材スケジュールが入っていた)

──ただ、あの時の自分はインド人選手が珍しくてインタビューをさせていただいた次第で。まさかRoad to UFCで優勝するとは思っていなかったです。特にキム・ギョンピョというアジア最強クラスのファイターが出場していたので。

「準決勝のキム・ギョンピョ戦はとにかく、彼の前に立って思い切り戦う。それだけを考えていたんだ。知っての通り、彼の評価の方が高かった。彼は僕より才能もあっただろう。でも、とにかく勝って決勝にいきたいと思っていた」

──結果、番狂わせのスプリット判定勝ちを収め。決勝のジェカ・サラギ戦は予想通りのフィニッシュ勝利でした。Road to UFCで優勝した時の達成感はいかほどのものだったでしょうか。

「Road to UFCの決勝で優勝した時は、自分のなかで『やるべきことをやった』というぐらいの嬉しさだったんだ。どの試合でも感じていたのと同じで、『勝てて良かった』と。でもインドに帰国すると、自分の世界が確実に変わっていた。大騒ぎになっている周囲を見て、『あぁ、何かを僕はやり遂げたんだな』という気持ちが初めてわいてきた。

と同時に、インドの人々の代表として責任感を持って戦わないといけないと思うようになったよ。彼らの夢を、僕が実現するんだって」

──その変化に戸惑うことはなかったですか。

「UFCファイターになって、メディアからの注目という点では全く変わったよ。そして、賞賛されることが増えた。本当にそこは変化したけど、僕はRoad to UFCに出場した際に『優勝する』とただ口にしていたわけじゃない。本当にそのつもりだったから、UFCと契約したら、自分の生活が変化する準備もしていた。だから、戸惑うことはなかったよ」

──なるほど、勝てたら……というような想いではなく、そこまで強い意志を持っていたのですね。アンシュルが契約したことで、インドにおけるUFC人気が高まっていると感じることは?

「そうかもしない……僕がRoad to UFCと契約し、そしてUFCと契約を結べたことでUFCを知った人も確かにいる。同時に僕のことを応援してくれても、あまりUFCのことを知らない人達も結構いるんだ。ただ単に僕がインドを代表して、国際的な舞台で戦うということで応援をしてくれて」

──では、変化という部分ですが練習環境など。UFCとサインしてから変わったことはないですか。

「今回のUFCデビュー戦に向けて、バリのSOMA FIGHT CLUBで練習してきた。ロシアからボクシング・コーチ、キックのコーチはニュージーランドから来ていて、凄くレベルの高いトレーニングができたよ。グラップリングもそうだし、いつか米国に行って練習をするようになりたいと考えているけど、今はその必要がない。現状ではSOMA FIGHT CLUBとインドのニューデリーにあるクロストレイン・ファイトクラブを行き来していて、十分なトレーニングを積むことができている」

──ところで今回はアブダビでUFCデビュー戦を戦いますが、UAEには300万人以上のインド人労働者の人が住んでいて、UAEで一番多い人口らしいですね。

「まず、この素晴らしいカードが並んだイベントでUFCデビューできることを本当に感謝している。そして、アブダビにやってきてインドの人々からも熱烈な歓迎を受けているよ」

──では対戦相手のブリーデンについて、どのような印象を持っていますか。現状、UFCでは3連敗の選手です。

「UFCに弱い相手はいないよ。でないと、UFCで戦うことはできない。Road to UFCで僕が戦ったキム・ギョンピョのことをアジア最強クラスと言っていたけど、つまりそういうことだよ。僕は彼に準決勝で勝って、UFCファイターになった。UFCとは、そういうレベルにある舞台だ。対戦相手が3敗だからといって絶対的に軽視することはないし、勝利を手にするために本当に厳しい練習をしてきた。UFCデビュー戦は、僕にとっては世界戦に等しく重要な試合で、ここで勝ってさらに前進するために負けられない。ブリーデンは打撃もグラップリングも強い。ただし、僕はどの局面でも彼より優れている。初回で倒すつもりでいるよ。

見ている人々が退屈な想いをするような試合だけはしたくない。ケージのなかで、皆に喜んでもらえる試合をする。もちろん、日本のUFCファンの皆のためにも、ね」

──ありがとうございます。

「バリで日本の人達と触れ合うこともあった。凄く良い感じの人たちばかりで。なんといっても僕は日本食が大好きだから、いつか日本で戦いたいと思っている。日曜日の試合はアーリープレリミだけど、アーリープレリムのメインだ(笑)。日本の皆にもチェックして、応援してほしい」

■視聴方法(予定)
10月21日(土・日本時間)
午後11時00分~UFC FIGHT PASS
午後10時30分~U-NEXT
10月22日午前3時~PPV

■UFC294対戦カード

<UFC世界ライト級選手権試合/5分5R>
[王者]イスラム・マカチェフ(ロシア)
[挑戦者]アレックス・ヴォルカノフスキー(豪州)

<ミドル級/5分3R>
カマル・ウスマン(米国)
カムザット・チマエフ(UAE)

<ライトヘビー級/5分3R>
マゴメド・アンカラエフ(ロシア)
ジョニー・ウォーカー(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
イクラム・アリスケロフ(ロシア)
ヴァレリー・アウベス(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
サイド・ヌルマゴメドフ(ロシア)
ムイン・ガフロフ(タジキスタン)

<フライ級/5分3R>
ティム・エリオット(ロシア)
ムハマド・モカエフ(英国)

<ライト級/5分3R>
モハメド・ヤヒア(UAE)
トレヴァー・ピーク(米国)

<バンタム級/5分3R>
ジャビッド・バシャラット(アフガニスタン)
ビクター・ヘンリー(米国)

<ミドル級/5分3R>
セドリクス・デュマ(米国)
アブ・アザイター(ドイツ)

<ライト級/5分3R>
アンシュル・ジュビリ(インド)
マイク・ブリーデン米国)

<フェザー級/5分3R>
ナサニエル・ウッド(英国)
ムハンマジョン・ナミモフ(タジキスタン)

<女子ストロー級/5分3R>
ジン・ユフレイ(米国)
ヴィクトリア・ダダコワ(ロシア)

<ミドル級/5分3R>
ブルーノ・シウバ(ブラジル)
シャラブジン・マゴメドフ(ロシア)

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Brave CF IMMAF MMA MMAPLANET o UFC UFC294   アレックス・ヴォルカノフスキー アンシュル・ジュビリ イクラム・アリスケロフ イスラム・マカチェフ カマル・ウスマン カムザット・チマエフ サイド・ヌルマゴメドフ ジャビッド・バシャラット ジョニー・ウォーカー ジョン・ジョーンズ ティム・エリオット デメトリウス・ジョンソン トレヴァー・ピーク ナサニエル・ウッド ビクター・ヘンリー ブルーノ・シウバ ボクシング マイク・ブリーデン マゴメド・アンカラエフ ムイン・ガフロフ ムハマド・モカエフ ラマザン・ギチノフ ヴィクトリア・ダダコワ 山口怜臣 平良達郎

【UFC294】エリオットと対戦、ムハマド・モカエフ「平良達郎? 彼は彼の道を歩み、僕は僕の道を征く」

【写真】非常にフレンドリー、それが平良の話題になると……(C)MMAPLANET

本日、21日(土・現地時間)にUAEはアブダビのエティハド・アリーナで開催されるUFC 294「Makchachev vs Volkanovski 2」に、ムハマド・モカエフが出場しティム・エリオットと対戦する。

IMMAFジュニアで2度の世界大会制覇、23連勝というプロデビューから注目され、バーレーンの王族が所有するKHKジムで金の卵として育てられたモカエフは、同じくバーレーン王国のMMAプロモーション=BRAVE CFでプロデビューを果たすと、キャリア5連勝でUFCと契約を果たした。

2022年3月のオクタゴン初陣から、今年3月まで4連勝を達成したモカエフが、半年ぶりの実戦をホーム同然のアブダビで戦う。元タイトルコンテンダーのエリオットに対し、自身満々のモカエフ。しかし、同い年で同じようにUFC4連勝中の平良達郎の話題になると、なぜかクールな反応に終始した。


――ムハメド、今日はインタビューを受けていただきありがとうございます。

「久しぶりだね。元気でやっているの? トレーニングが長引いて、インタビュー時間がおしてしまって申し訳ない」

──全く大丈夫です。UFCにステップアップしてからは初めてインタビューができて嬉しいです。そのUFCでは現在4連勝のムハメドですが、前回ジャフェウ・フィリョ戦ではRNCで一本勝ちを収めたもののヒザ十字をセットされ、試合後には左足を引きずっていました。

「僕のヒザは最高の状態だよ。デッドリフトで去年は165キロが最高記録だったのが、今は175キロを挙げられるようになったからね。全てにおいて、成長しているよ」

──では、結果的にあのヒザ十字は大したことがなかったのですか。

「いや、結構シリアスだったよ。でも英国のフットボールチームの専門家の下でリハビリをしたから、動きは良くなる一方だ。まだ23歳だし、その辺りは伸びていくだけだよ」

──IMMAFとBRAVE CFで素晴らしい成績を残していたムハメドですが、プロMMAを5試合しか経験せずにUFCと契約をした時は、正直なところやっていけるのか危惧していました。それがオクタゴンで4連勝です。

「1年で4勝、あっという間だった。その結果、フライ級で一番成長が早いファイターになれている。自分が思っていたよりも1年、1年半ぐらい早いよ。ヒザをケガすれば、多くのファイターはもっと休養が必要になる。でも、僕には若さがあって回復も早かった。本当は8月のボストン大会でも戦える状態で、オファーもあったんだ。でも、あの時は対戦相手が見つからなかった。結果、今大会まで待たないといけなくなった。このペースだと、あと1年──再来年には、世界タイトルに挑戦できるだろうね」

──その急成長は思った通りの結果なのでしょうか。それとも、もっとタフな戦いが待ち受けていると思っていましたか。

「タフな戦いが待っていると思って、ずっと準備してきた。それだけ集中してきたんだ。ノーランカーと戦う時のモチベーションは、それほど高くなかったよ。だからこそ、しっかりと戦いにフォーカスして、パフォーマンス的には勝つために戦った。その分、集中力が養われたし、上の選手と戦う時にその経験が生きてくるだろうね」

──今もバーレーンのKHKジムに所属し、エルダル・エルダノフの指導を受けているのですか。

「そうだよ。エルダノフ、ルスタン・ハビロフ、ラマザン・ギチノフらトレーニングしてきた。今回の試合のため、最初のキャンプはダゲスタンの山岳部でレスリングをやり、それからバーレーンに戻って残りのキャンプをやり切り、アブダビにやってきた。自分でも長いキャンプだったと思う。タイからボクシングのコーチも来て、英国のコーチもいるし手厚いサポートを受けている。グレートなチームだよ。それにヒザの負傷中もボクシング、フィジカルの強化を怠らなかったしね。精神的に健康であるためにもトレーニングは欠かさなかったんだ」

──ところで昨年のアブダビ大会を取材した際に、観客は中東とロシアのムスリム連合のような雰囲気で凄まじい熱気がありました。

「僕にとってはまさにホームのような空気だよ。ミドルイーストでは常にフルサポートを受けている。IMMAF、BRAVE CFと10戦以上、中東で戦ってきた。プロだけでもバーレーンで2度、それと去年のUFCアブダビ大会に続き、今回で4度目のミドルイーストでの試合だ。ダゲスタン、チェチェンの人々はビザなしでUAEに入国できるから、凄い数のサポーターもやってくる。それにUAE在住の英国の人たちも、僕を応援してくれる。まさに家にいるようなものだよ(笑)」

──そんなホーム、アブダビで戦うティム・エリオットの印象を教えてください。

「喧嘩屋で、良い対戦相手だ。パンチからレスリング、レスリングからパンチという風にアグレッシブに戦う。でも、まぁ動きは読めるよ。僕はアマチュアの頃から、彼のようなファイターと連日のようにトーナメントで戦ってきた。このアマでの経験が、今の僕に凄く生きている。ティム・エリオットのような36歳になってもハングリーな選手と戦う時には、特にね。

彼がスタンドで戦ってくるなら、受けて立つ。テイクダウンを狙ってくるなら、そこに対応する。自分が望んだタイミングで、いつでもテイクダウンできるから。ティム・エリオットはレスラーと戦った経験が少ない。UFCフライ級にはレスラーがいない。デメトリウス・ジョンソンですら、別にレスラーではなかった。DJは偉大なMMAファイターだ。僕にとってDJは、ジョン・ジョーンズに次ぐP4Pファイターだったけどレスラーではない。ティム・エリオットに対しても、DJはスペースを与え過ぎていた。僕はそうじゃない。しっかりと距離を潰して、テイクダウンする」

──テイクダウン後もスクランブルに持ち込ませず、しっかりとコントロールすることが狙いですか。

「ティム・エリオットは、僕にスクランブル戦を仕掛けることはできない。僕がそれを許さないで戦えば、ね。でも、僕はスクランブルは得意だ。スクランブルに持ち込んで、僕が後手に回ることは絶対にない。彼のスクランブルは、もう古い。同じスクランブルと言っても、僕のソレは次元が違うよ」

──ところで日本人UFCフライ級ファイター、平良達郎選手もムハマドと同じ23歳で、現在UFCで4連勝中です。彼のことを意識することはありますか。

「確かに彼もUFCで勝ち続けているけど、タツロー・タイラはまだ、僕が戦ってきたような相手と競い合ったことがない。彼は若いから、対戦相手を慎重に選んでいるんだろう」

──いや、若いとムハマドが言っても……。

「そう、僕も若い。僕は彼との試合を申し出たことがある。でも、彼は受けなかった。まぁ、タツロー・タイラがこのまま勝ち続けると、いずれ僕らは戦うことになるだろう。でも、僕は彼のことは今は気にしてない。それに彼が僕より先にチャンピオンになっても構わない。僕らの世代から、チャンピオンが生まれることは素晴らしいことだから。彼は凄く良いヤツだって聞くから、そんな彼とすぐに戦って破壊したくないんだ。彼は彼の道を歩み、僕は僕の道を征く。そして、いつか交わることがあれば戦えば良いんだ。交わることがなければ、それはそれで……そういうものなんだ」

──……。う~ん、平良選手が実際にオフィシャルでUFCからオファーを受けたのかどうかも分からないですし……、断ったとしてもどのような事情があったのかも不明なので。でも、そういう想いがムハマドにあるなら平良選手と比べられることに嫌悪感を覚えるということでしょうか。

「それは別に構わないよ。僕らは無敗同士だし、比べられて然りだからね。あと、日本の選手ならレオ(山口怜臣)とは彼の試合前にタイで会ったんだ」

──山口選手はプロデビュー戦で勝ち星を挙げることができなかったです。

「そういうこともある。でも、レオは強い選手だ。チャンピオンになれる器の持ち主だよ」

──ムハマド、今日はインタビューの時間を取っていただきありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いします。

「レオとIMMAFで戦ってから、僕のことを応援してくれる日本の人たちがいるんだ。凄く感謝している。いつか日本で戦いたいと思っているよ」

■視聴方法(予定)
10月21日(土・日本時間)
午後11時00分~UFC FIGHT PASS
午後10時30分~U-NEXT
10月22日午前3時~PPV

■UFC294対戦カード

<UFC世界ライト級選手権試合/5分5R>
[王者]イスラム・マカチェフ(ロシア)
[挑戦者]アレックス・ヴォルカノフスキー(豪州)

<ミドル級/5分3R>
カマル・ウスマン(米国)
カムザット・チマエフ(UAE)

<ライトヘビー級/5分3R>
マゴメド・アンカラエフ(ロシア)
ジョニー・ウォーカー(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
イクラム・アリスケロフ(ロシア)
ヴァレリー・アウベス(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
サイド・ヌルマゴメドフ(ロシア)
ムイン・ガフロフ(タジキスタン)

<フライ級/5分3R>
ティム・エリオット(ロシア)
ムハマド・モカエフ(英国)

<ライト級/5分3R>
モハメド・ヤヒア(UAE)
トレヴァー・ピーク(米国)

<バンタム級/5分3R>
ジャビッド・バシャラット(アフガニスタン)
ビクター・ヘンリー(米国)

<ミドル級/5分3R>
セドリクス・デュマ(米国)
アブ・アザイター(ドイツ)

<ライト級/5分3R>
アンシュル・ジュビリ(インド)
マイク・ブリーデン米国)

<フェザー級/5分3R>
ナサニエル・ウッド(英国)
ムハンマジョン・ナミモフ(タジキスタン)

<女子ストロー級/5分3R>
ジン・ユフレイ(米国)
ヴィクトリア・ダダコワ(ロシア)

<ミドル級/5分3R>
ブルーノ・シウバ(ブラジル)
シャラブジン・マゴメドフ(ロシア)

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ABEMA MMA MMAPLANET o Road to UFC UFC UFC ESPN52 アルジャメイン・ステーリング ギャレット・アームフィールド ジャビッド・バシャラット マネル・ケイプ 中村倫也 海外 風間敏臣

【UFC ESPN52】オクタゴン初陣へ、風間敏臣「MMAは変わったけど、自己主張する部分は変えない」

【写真】中村倫也とデビュー戦が同日というのも、運命。さぁ風間のUFCファイター人生が始まる (C)MMAPLANET

26日(土・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるUFC ESPN52「Holloway vs The Korean Zombie」で風間敏臣がUFCデビュー戦を戦う。
Text by Manabu Takashima

2月のRoad to UFCバンタム級決勝で、中村倫也に33秒KO負けを喫して世界最高峰との契約に、一本気の風間は何を想ったのか。そしてUFCで戦うことを決め、彼の技術や内面にどのような変化が見られたのか。

ABEMA海外修行プロジェクトで過ごしたベガスの日々から、今週末のギャレット・アームフィールド戦に向けての心境を尋ねた。


――UFCデビュー戦を週末に控えている風間選手ですが、まずにお伺いしたいことは契約時の話です。RTU決勝で、いうと秒殺KO負け。去年のトーナメントは当初、決勝まで進むと契約はあるという話も存在していたのですが、フライ級とフェザー級はそうはならなかったです。

「そういう話もあったのですが、契約の話が最初に来た時は『いらねぇな』と思いました。本当にいらねぇなって」

――風間選手の性格だと、そうなることは十分に予想されます。

「本当にそう思いました。契約するという話が来るとも思っていなかったですし……。自分のプライドですよね。回りの目というよりも『それはねぇだろう』って思っていて」

――その心情が痛いほど分かっても、絶対に逃してはいけない機会だと周囲の誰もが思っていたかと。

「ハイ。正直、それでも2週間ぐらい返事はできなかったです」

――2週間も……。

「本当にいらないと思っていたので。大沢(ケンジ)さん、家族、指導してくれる方、応援してくれる方、皆が逃しちゃいけないと言ってくれて。『誰もがUFCで戦いたくてMMAをやっている。でも、多くの選手がUFCで戦うことができない。そのなかでチャンスがあるということは、UFCで何かやれという運命なんだ』と言われたことが、かなり響きました。

UFCに行って見返してやろうとか、そういうことではないんです。俺はUFCでやるべきことがあるんだと思うようになりました。普通だったら、あそこで契約はないので。だからこそ、今回のデビュー戦を含め1試合、1試合が重要になってきます。その何かをするためにはこんなところで、こけてはいられない。だから、土曜日の試合に向けて気持ちは凄く入っています」

――あの時、ここで契約の話があるのは逆に酷かなとも思いました。

「そうですね。気持ちの面だけでなく、UFCは憧れの舞台であるけど修羅の道です。その手前で負けている人間が、現状の力では生きのびることはできない。それもあって、俺がUFCと契約して良いのか、なおさら深く考えました」

――一番下からのスタートかと思います。

「ハイ。一番下です。ただし、凄く自信を持ってシンガポールに来ました。負ける気もしないし。2月に負けて、ここまでやってきたことを信じているので」

――2月の時点では風間選手は自分の形になれば、UFCファイターでもある程度のところまで勝てる。ただし自分の形に入れない戦いこそUFCでの風間選手の戦いであり、それ故に2月までのMMA観ではUFCでは勝ち残れないというのは正直にありました。

「それ、本当にまんま米国に行って思ったことなんです。自分の寝技はUFCファイターにも通用する人には通用します。ただしMMAになると通用しない。攻防にならない。皆、その大きさはともあれ、五角形が綺麗に揃っている。何かが抜けているのは良いことではあるけど、限界がある。抜けている部分に、他を追いつかせて五角形を綺麗にしないといけないと強く感じました。だから米国に行って、技術面だけでなく考え方という面で大きく成長できたんじゃないかと思っています」

――ABEMA海外武者修行プロジェクト。米国ではどれぐらいの期間、練習していたのですか。

「6月の最初から1カ月半ですね。ラスベガスのエクストリーム・クートゥアーで。アルジャメイン・ステーリング、コディ・ガーブラント、マネル・ケイプ、ジャビッド・バシャラット、アミル・アルバジ……僕が名前を知らないだけで、もっと多くのUFCファイターと練習していたはずです。そういうなかでやらせてもらって、足りない部分は凄く目立っていたし、その分成長できたと思います」

――急激に変わることはなく、強みを生かすためのプロセスを変えていくということだと思いますが、米国を経験してどのように変化を加えましたか。

「そうですね、現状の話で寝技オンリーは通用すると思っています。そのなかでMMA、打撃になると劣る部分がある。この数カ月の間、寝技を捨てたぐらいのイメージでレスリングと寝技に取り組んできました。そこを上手く混ぜて戦う。組み付くまでの展開、手数、フェイク、そういう練習をしてきました。MMAは1度のトライで終わるわけではないので、何回も何回もそれを繰り返すイメージを持っています」

――では帰国してからの練習も、米国修行以前とは変わったのでは?

「変わりましたね。本当は2カ月の予定だったのですが、試合の話もあり日本での練習も違うモノになるので1カ月半で切り上げさせてもらったんです。米国でやってきたこと、考えが変わったことを反映させた練習を日本でやってきました。ただし、自分がやりたいことはやるという姿勢は変えたくなかったです(笑)。

MMAに対する考え方は変わったけど、自分は自分でいないといけない。オクタゴンは審判を除けば、対戦相手と2人だけの世界だから。その中でどっちが上に立てるか。自己主張するという部分は変えなくて良いと思っています。

ただトレーニングの質は変わりました。UFC PIで自分の体をチェックしてもらって、意識することも変わって。自分はガニ股で、極端な話をすると外側に体重を乗せていました。両足とも外側に力が入っていた。でも機敏な動きをするには、内側に体重を乗せないといけない。それは日常から意識するようになりました。

それにテイクダウンに入った時に関しても、考え方を変えました。リフトをすること。それは凄く疲れることなので、ずっとリフトをすると自分が削られます。でもリフトできる相手はテイクできる。とりあえずリフトの意識を持つようになりましたね。それ以外にも細かいところから自分は変わったと思います」

――そのなかで迎えるギャレット・アームフィールド戦です。どのような印象を持っていますか。

「打撃が良くて、テイクダウンへの反応も良い。ただしワキ差しの反応は早いけど、そのほかの仕掛けはワンテンポ遅い。Fighting Alliance Championshipというところのバンタム級のチャンピオンなんですけど、去年の7月のUFCデビュー戦ではフェザー級で戦っていました」

――フェザーで契約して、バンタム級で勝負を賭ける。その勝負の相手が風間選手になったわけですね。

「それだけのフィジカルはあるかと思います。今の自分にUFCで楽な相手なんていないですけど、慎重かつ大胆に戦いたいです」

――翌日のRoad to UFCと合わせて7人の日本人選手の出場、国内で一際注目の集まる週末ですが、他の日本人選手に負けたくないという意識はありますか。

「日本人同士……やっぱり中村倫也、あんな風にやられた相手だし敵対心を持ち続けないといけないと思っています。憧れとかではないですが、彼は自分のなかで目標の存在です。目標にしなければならないと思っています。彼はデビュー戦でもメインカードで戦うわけですし、目標だし越えて行かないといけない選手としてUFCという舞台に足を踏み入れています」

――ではデビュー戦、どのような風間敏臣を見せたいですか。

「う~ん、なんだろう……。本当に考え方自体が変わったので、見せたいというか……そもそもが分かるんじゃないかと。自分の動き、ステップを見た時に『コイツ、何か変わったんだろうな』と思ってもらえるんじゃないかと。勝って、それを伝えたいです。勝って、風間変わったな。成長したな。これからも成長していくな。UFCで、世界が見えるなと思ってもらいたいです」

■視聴方法(予定)
8月26日(土・日本時間)
午後6時~UFC FIGHT PASS
午後5時30分~U-NEXT

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