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【Pancrase341】キャリア2戦目の渡邉史佳がランキング3位のNORIに判定勝利

【写真】袈裟固めからのパウンドや肩固め、渡邉がトップキープから攻めた(C)MMAPLANET

<女子フライ級/5分3R>
渡邉史佳(日本)
Def.3-0:29-28.29-28.30-27.
NORI(日本)

サウスポーのNORIが右のサイドキックで距離を取る。NORIが左ミドルを蹴ると、渡邉は右ストレートを伸ばす。渡邉はじりじり距離を詰め、再びNORIの左の蹴りに右ストレートを合わせ、ケージまで押し込む。NORIは首相撲でテイクダウンディフェンスし、距離が離れると左ストレートを当てる。前に出る渡邉はNORIのサイドキックをキャッチしてテイクダウンし、ハーフガードでトップキープする。

渡邉は肩固めの形でNORIの上半身を固めてパスガードを狙う。ガードに戻された渡邉だったが、NORIのガードからの腕十字を外してサイドへ。袈裟固めで抑え込むと、NORIの左腕を両足ではさんでパンチを連打。終了間際、NORIの頭をまたぐように右腕に腕十字を狙った。このラウンドはジャッジ3名とも10-9で渡邉を支持する。

2R、NORIは左ミドル・インローと右のサイドキック。渡邉は距離を詰めてNORIをケージに押し込む。四つの攻防から渡邉がグラウンドで上を取って、肩固めへ。NORIがケージを蹴って脱出しようとすると、渡邉はクラッチを外してトップキープする。NORIは渡邉の脇をくぐるようにしてバックへ。渡邉は立ち上がって向き合う。

ここでNORIが首相撲・四つ組みから足をかけてテイクダウンし、再びバックからRNCへ。NORIが腕十字を狙うと、渡邉はNORIを前に落としてトップキープする。NORIはガードポジションから蹴り上げと三角絞め。渡邉は足を振ってサイドにつく。2Rはジャッジ1名が10-9でNORI、2名が10-9で渡邉とした。

3R、NORIが左ミドルと右のサイドキック。渡邉は右ストレートで飛び込んでいく。NORIは左ストレートで前に出て、首相撲からヒザ蹴り。渡邉は距離を取りながら右ストレートを狙う。ここからNORIが前に出て、渡邉が足を使いながら右ストレートを狙う展開が続く。

この右ストレートをもらって左目を気にする素振りを見せたNORIだが、左ハイ・サイドキック。手数を増やすが、渡邉は有効打を許さない。このまま試合終了となり、渡邉がランキング3位のNORIから判定勝利を収めた。


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【Pancrase341】重田ホノカの挑戦を受ける、端貴代「格闘魂の底力とは――気合いと根性です」

【写真】今年の9月でデビュー20周年を迎える端(C)SHOJIRO KAMEIKE

31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE341にて、フライ級QOPの端貴代が重田ホノカの挑戦を受ける。
Text by Shojiro Kameike

2021年10月にNØRIを下して暫定QOPとなった端は、正規王者に昇格後、ダイレクトリマッチでもNØRIに判定勝ちを収めて初防衛に成功した。11カ月の試合に向けて――というよりも、20年にも及ぶ端のキャリアを支えてきた「格闘魂の底力」について訊いたところ、まさかの答えが返ってきた。


――練習後のお疲れのところインタビューを受けていただき、ありがとうございます。

「こちらこそ、すみません。こんな遅い時間に……(※22時から取材がスタート)」

――我々は問題ないのですが、端選手は現在どのようなスケジュールで1日を過ごしているのですか。

「昼間は飲食店で仕事をしていて、夜は19時から22時、23時ぐらいまでジムで練習です。あと土日は実家(御食事処 三好弥)の手伝いをしています」

――今、ファイターが注目するお店といえば三好弥か「スナックふじの」ですね。

「アハハハ! 何か始まりましたね(笑)」

――多くの選手が「端さんの練習はハードだ」と口にします。試合前と通常の期間で練習内容は異なるのでしょうか。

「通常はいろんなことを試して、試合前は試合でやることを徹底して練習するという感じですね。だいたい試合の2カ月前ぐらいから練習内容を切り替えます」

――端選手がプロデビューした頃は、ショートノーティスで試合をすることも多かったです。一方で今回は前の試合から1年という期間が空いており、一般的には「ブランク」と呼ばれる試合間隔ではあります。ただ、現在の端選手にとっては、それぐらいの試合間隔のほうが良いのでしょうか。

「昔のように試合を詰め込むよりは――というぐらいですね。でも最近は、試合のない期間に試し、繰り返していることが試合でも繋がってきています。そういう意味では良い試合間隔なのかもしれないですね。

試合も『機会があれば』という感じで、試合が無ければ無いで……とは考えています。昔は私の人生には格闘技しかなかったけど、今はそういうわけではないですし」

――前回の試合が1年前なので昔の話を振り返るようですが……、端選手は試合前に「相手の心を折りに行く試合をしたい」と仰っていました。実際のところ、相手の心を折ることはできたのですか。

「う~ん、相手も心が強かったですよね。そこで自分も仕留めることができませんでした。私自身がもっと攻めていれば――特に最後は腕十字を極めきりたかったです」

――1Rにあれだけ端選手がコントロールしていながら、2RにNØRIがバックマウントを奪うなど盛り返してくるとは思いませんでした。

「2Rは私がミスしましたね。今もまだ凄く反省しています(苦笑)」

――端選手がバックマウントまで奪われる展開は、あまり記憶にありません。

「そう言われてみると、私も最近では記憶にないですね。特に四の字で腕まで巻き込まれて。自分でも過去最悪のポジションを許してしまったと思います。だから、なのか……2Rは『アレッ!? こんな展開になっちゃった』と、焦りはありました。ただ、あの展開で極められることはないとは感じていましたね。何がどう、ということではなく長年の経験と感覚で(笑)」

――2Rを凌いだ端選手が、3R以降は一方的に攻め込みました。あの展開で心が折れなかったNØRI選手も成長を感じさせたと思います。そんななかで端選手は、どの段階で仕留めようと考えていたのですか。

「一つひとつ積み上げて、最後に極めたいと思っていました。私って、いきなりバシッと極めるスタイルではないじゃないですか。とにかく、私がやることは決まっている。自分がやることを徹底して、貫く。ラウンドごとに細かく作戦を変えるわけでもないですし」

――それが端選手らしさであり、凄さだと思います。フルラウンドに渡って、試合前に決めたスタイルを貫くために動き続ける。普段は体力面のトレーニングはしているのですか。

「体力トレーニングというより、サーキットトレーニングやミット打ちで鍛えていきますね。NØRI選手との初戦は相手がサークリングし続けたので、私も打撃を練習どおりには出せなかったんですよ。それが再戦では相手も組んできてくれて、私としては戦いやすい面はありました。戦いやすい……うん、『試合をした!』という実感はありました」

――端選手はこれまでスマックガール、DEEPジュエルス、そしてパンクラスQOPのベルトを巻いてきました。今の端選手にとってベルトとは、どのようなものなのでしょうか。

「私の『生きた証』ですかね。毎日やり続けてきたことが結果として、形として表れたのがベルトなんじゃないかなって思います。特にパンクラスのベルトに対しては、『守りたい』という気持ちが強いです。今まで初防衛に成功したことがなかったですし」

――確かに。これまでスマックガールはベルトを巻いたあとに活動休止となってしまいましたし、DEEPジュエルスは初防衛戦でキム・ジヨンに敗れました。

「あの頃はベルトを持って海外に挑んでいた時期でもあったんですよ」

(C)STRIKEFORCE

――スマックガール王者となってストライクフォースの王座決定戦に出場

(C)DAVE MANDEL

DEEPジュエルスのベルトを巻いてインヴィクタFC王座に挑戦したりと……。

「はい。だからといって初防衛戦に憧れがあったというわけではないんですけど――やっぱりキム・ジヨンとの防衛戦が、ずっと心のどこかに残っていて。

(C)ROAD FC

キム・ジヨンとはROAD FCで試合をしたことがあり、その時はドローでした。

そうやって一度対戦したことがある選手のことって何となく分かるじゃないですか。だから再戦では……、何と言えばいいのか」

――再戦では試合前から「勝てる」と考えていたということですか。

「勝つか負けるかは、やってみないと分からないと思うんです。でも試合に向かうまでの気持ちを考えると、自分の中に甘さがありました」

――つまり自分に負けたということですね。

「そんな甘えがあった自分に納得がいかないと言ったら言い過ぎかもしれないけどね。だからNØRI選手との初防衛戦では甘えもなく、私としては初戦の続きを戦うという意識で。ただ初防衛に成功して、NØRI選手との再戦に勝っても結局は満足できなくて(苦笑)。

勝ったことについては、その時は嬉しいです。でも試合後は『あぁバックを取られてしまったなぁ』とか「仕留めきれなかった!」という気持ちのほうが強くなります。だから、ずっとMMAを辞めることができないのかもしれませんね」

――前回のNØRI戦で初防衛を果たすことができました。端選手の中はキム・ジヨン戦のことを払拭できたかもしれません。そして今回も防衛戦になったということは、端選手としては今後もタイトルマッチを続けていきたいということなのでしょうか。

「私としてはタイトルマッチでも、ノンタイトルマッチでも構いません。ただ、私ももうこの年齢なので……」

――どういうことでしょうか。

「NØRI選手に勝って暫定王者になったのが2021年で。そのベルトを持って他のところで戦えるような状態でもなかったです。だから諦めたというわけでもなく、とにかく目の前の試合を考える。チャンピオンであるかぎり、絶対に防衛戦はやらないといけないものじゃないですか。だからMMAを続けるために、このベルトがあるんだなと思っています。

それと今、パンクラスの女子が徐々に盛り上がってきていますよね。同じ大会で女子の試合が他にも3試合あって。私が対戦する重田選手もそうですけど、新しい選手が上がってきて対戦するというのが楽しいんです。もっともっと選手層が厚くなってくれればって」

――では重田選手について印象を教えてください。

「ライカ戦の前はストロー級でやっていたので、当時は対戦するとは考えていなかったです。でもストロー級の時も、『強い選手が出てきなぁ。こういう戦い方を自分もやってみたいなぁ』と思っていましたよ。それは重田選手に限らず、他の選手の試合を視ていても。

でもやっぱりライカ戦の時は『本当に強いなぁ』と感じました。私もライカさんとは対戦したことがありますし。特にテイクダウンする力は本当に強いと思いますね」

――端選手にとっては久々に組みが中心の相手と対戦することになります。

「私の場合は、グラップラーの選手でもあっても組みを避けてくるじゃないですか。だからガッツリ組んで来る試合は、もともと少なかったです(苦笑)。だから重田選手が、どう出て来るのか。ライカ戦を視ると、私としては『テイクダウンしてから、こういうふうに展開できると良いなぁ』と思いました」

――端選手が重田選手のように戦いたいと思うことがあるのですか。

「アハハハ、そうです。『私がやりたい戦いってコレだな』と思う展開がありました。どの展開かは言わないけど、コントロールの方法としてはベーシックで強いと思います。だから私もやりたいけど、自分もしっかり対策できるという面はありますね」

――重田選手の煽りについては、どのように受け止めていますか。

「別に、どうとも思っていないです。私たちがやっているのは言葉の交換ではないので。MMAだから体で感じるものだし、次の試合で感じてもらえることができるとは思います」

――試合で相手に感じさせたいものが、記者会見で仰っていた「格闘魂の底力」なのでしょうか。

「あぁ、あれですね。格闘魂の底力とは――気合いと根性です」

――そこですか!

「やっぱり最後にモノを言うのは気合いと根性なので。次の試合も気合いと根性で頑張ります!」

■視聴方法(予定)
2024年3月31日(日)
午後1時00分~ U-NEXT 、PANCRASE YouTube メンバーシップ

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【Pancrase341】井村塁戦に向けて、田嶋椋「試合をするたびに、試合の楽しみ方が分かってきた」

【写真】弱い自分を認識する。その作業の繰り返しで、人は強くなれると思います。目を背けない限り(C)MMAPLANET

今週末=31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE341で井村塁と対戦する田嶋椋。松岡拓と共に戦った格闘代理戦争-THE MAX-の振り返りから、自身のファイトに関してインタビューで応えてくれた。
Text by Manabu Takashima

忘れてしまいたい──でも、乗り越えないといけない中島太一戦を消化し、笹晋久を経て井村と相対する田嶋。その想いとは。

<田嶋椋&松岡拓インタビューはコチラから>


──では格闘代理戦争の監督ではなくファイター田嶋椋のインタビューを始めさせていただくにあたって、MMAPLANETとしては昨年4月の中島太一選手との試合に関して尋ねないとわけにはいけなくて……。

「ちょっと、そこは……(苦笑)」

──試合内容、試合後の反応と全ておいて、あの試合を乗り越えることができていると捉えて良いでしょうか。

「そうですね……あの試合は、何もできなかったので。やはりSNSの反応は、相当なモノだったので……」

──全15試合のロング興行で、14試合目。その前の2試合の5Rの戦いも正直、鑑賞用スポーツとしては非常に厳しかった。そのような状況下で、見ている者にストレスが溜まっていたと思います。

「でも、それはそうなるよなという試合でした……。自分が見ていても、そうなったと思います。中島選手と向き合った時、こっちの作戦が全部通用しないという風に感じてしまったんです……。気持ちで……打撃で振ってとか、行こうというのもありました。でも、それをすると完全に死ぬなというイメージが自分のなかで固まってしまって。

そういうモノを壊すというか……あの時は、冷静に自分のなかで全てが見えてしまったので、もっと気持ちを出して行けるようにならないといけない。そこを学びました。試合後も太田(純一)代表とも色々と話して、改善していこうと」

──それを12月の笹晋久戦でぶつけることはできたという感触はありますか。

「ありました。前に出て、全ラウンドを取りに行くぞという気持ちは出せたと思います。笹選手のように強い選手と真っ向から戦えて良かったです」

──ただ難しいですよね。冷静さも必要で、バカにもなれないといけない。

「いや、その通りなんです。その両方が欲しいです。冷静過ぎるとガッと行けない。熱すぎても隙ができる。そのバランスが大切になってきます」

──そういうことで考えると、次戦の相手である井村選手はガンガンと攻めてくる印象の強い選手です。

「井村選手は攻撃を受けながら、攻める選手ですよね。そういうガツガツくるタイプの相手だと、こっちが冷静でいれば冷静でいるほどミスを回収することができます。そこでこっちが熱くなると、どっちかが致命傷となる攻撃を被弾する賭けのような勝負になってしまいます。だからこそ、次の試合では冷静になることが必要だと思います」

──井村選手はピンチになっても、動き続けて盛り返す。そんなファイターでもあるので、そのペースに巻き込まれないためにも冷静さをキープする必要があると考えますか。

「冷静に戦うのは前提として、冷静過ぎると中島選手との試合のようになってしまう(苦笑)。自分のペースで戦えている時は冷静で良いです。同時に乱戦に巻き込まれた時に冷静さをキープするのか、ギアを上げるのか。そのバランスを如何に取るのか。そこに関しては、自分のなかでは今はできるようになっていると思っています」

──高い山の頂上で、景色を見て怖いと感じると恐怖で。綺麗だと思えると、楽しめる。気の持ちようというのはあるかもしれないです。

「ハイ。自分は、試合は結構試しめる方なんです。楽しく……頭は冷静さを保っても、心はホットに戦いたいですね。そこは積めてきたと思います。試合を重ねるたびに、試合の楽しみ方が分かってきたというか……まだまだですけど、色々なモノが見えてきている感じはあります」

──中島選手との試合前に、その中島選手を越えるとRoad to UFCからUFCという目標を持っていました。今、あの目標というのは?

「自分のUFCで戦いたいという気持ちは変わらないです」

──そうなるとパンクラス内ではRoad to UFCを見据えている透暉鷹選手が、バンタム級のチャンピオンです。そこに向けて、今回の試合の意味合いをどのように考えていますか。

「今回の試合は1位と3位だし、次期挑戦者決定戦の位置づけにある試合だと思います。なので、ここでしっかりと勝って……。透暉鷹チャンピオンは『パンクラス内では、戦う相手は想定していない』という発言をしているので、『舐めるなよ』という試合をしたいです。

透暉鷹選手の視界に自分が入るとためにも、全ラウンドで圧倒して井村選手が『もう、コイツとはやりたくない』と思わせるぐらいボコボコにしたいです」

──では最後に、その想いを込めて井村選手との試合に向けて一言お願いします。

12月の笹選手との試合と比較すると、寝技でも打撃でも全てにおいて上がっていると自信を持っています。前回の試合はまだ納得できるまで行っていないので、自分が納得できて見ている人に楽しんでもらえる試合がしたいです」

■視聴方法(予定)
2024年3月31日(日)
午後1時00分~ U-NEXT 、PANCRASE YouTube メンバーシップ

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【FAW2024#01】格闘代理戦争で戦って─01─田嶋椋&松岡拓「覚悟を持って戦ってくれた」(田嶋椋)

【写真】松岡がプロで戦うようになった時、しばらくは必ず格闘代理戦争-MAX-出場という文字が添えられるに違いない(C)MMAPLANET

格闘代理戦争-THE MAX-4年振りに再開したABEMAの格闘家発掘リアリティTVショー。代理戦争はケージのなかはガチ、外はエンタメというJ-MMA界にあって独特の空気感を持つ。そんな代理戦争に31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE341で井村塁と対戦する田嶋椋が、一般公募の監督としてOota Dojoの同門=松岡拓と出演した。
Text by Manabu Takashima

結果──3月15日に都内某所で実施された一回戦で、松岡は中谷優我に敗れた。アマ修斗全日本3位、新人王Tでプロデビューが決まっている松岡にとって代理戦争で得た経験とは。そして試合を控える田嶋が見た代理戦争とは。


――3月15日、格闘代理戦争-THE MAX-に田嶋椋監督として一般公募枠から同門の松岡拓選手が出場し、残念ながら中谷優我選手に敗れました。田嶋選手としては、その2週間後に自らの試合があるなかでの収録や抽選会、セコンド業となりました。随分とドタバタだったかと。

田嶋 そうですね……。15日の試合の1週間前に公募選手のなかで予選があり、松岡君が勝ってくれて。なので、本決まりになったのが1週間前でした。ただ自分の試合に向けてということでは深く考えることはなかったです。こういうテレビの企画も面白れぇなと思っていたので(笑)。試合に向けては、特に何も影響ないです。

──なるほどです。ところで予選の体重は何キロだったのですか。2週連続の試合で減量がどれだけ必要なのかは、気になるところです。

田嶋 73キロでしたね。ただ対戦相手が変更になり、体重も変わったり……なかなか大変でした(笑)。

──私も今回の格闘代理戦争はフェザー級だと思っていたのですが、1回戦も69キロのキャッチウェイトでライト級に近かったですね。でも、これは予選があったことを考慮しての決定だったのかもしれないですね。

松岡 自分は全く無名なので、スケジュールも体重の変更も全て飲み込んで格闘代理戦争に出たいと思ったので、そこは気にしていなかったです。

──既存のプロモーションでの試合ではないですし。あくまでもリアリティTVショーで、既存のプロモーションでは得られない知名度を獲得できる。そういう割り切りがあったということですね。

田嶋 自分も松岡君と同じ考えでした。条件、体重が変わっても強いヤツが勝つので。松岡君が予選、本戦と覚悟を持って戦ってくれて良かったです。

──格闘技メディアという立場ですと、前日の計量や抽選会は普通のプロ格闘技興行と変わらない──目の前で起きていることを記事にする方法論と同じでした。逆に大会当日は試合と試合の間が長く、収録という空気で戸惑ったのも事実です。選手として、その辺りはどのように感じていましたか。

松岡 自分は今回のような舞台で戦ったことがなかったので、今回は格闘代理戦争の現場で強い選手や有名な選手に会えたことで自信にも繋がり、次の試合にも自信をもって戦えると思います。格闘技を続けていても、あれだけのカメラがあったりする場で戦えない人もたくさんいます。それだけでも、これからの格闘技生活に役立つと思います。

──たくさんの大人が真剣になって番組を創る。その場を体感したわけですしね。ところで対戦相手の中谷選手はDEEPや巌流島でプロの経験があるファイターでした。組み技に関して自力のある新鋭ですが、青木真也監督から「負け覚悟」という発言がありました。この言葉にプレッシャーを感じることはなかったですか。

松岡 あれは……ちょっとプレッシャーになりました(苦笑)。

田嶋 実際にあの青木選手の発言が切り取られて、世の中に発信されていくので──やっぱりうまいですよね。ネタとして、制作の方に提供してくれているわけですし。

──田嶋選手が中島太一選手と戦った際に、相手コーナーにいた青木真也監督からは、「知らない」と相手にされていない風な発言もありました。青木選手の標的になるのは、本当に恐怖ではないかと(笑)。

田嶋 そこも含めて、全てエンタメに徹されているのだと思いますし、気にすることはなかったです。ただ松岡君には青木監督のところの選手をぶっ殺して欲しいとは思いました(笑)。

──アハハハ。その両者の対戦ですが3分3Rという時間設定、ここも勝負の綾となった感があります。

松岡 自分は打撃が得意なので、打撃をしっかりと効かせる。組まれたら離れるというプランでしたが、上手くいかなかったです。

田嶋 自分も3分3Rは経験していなくて。3分3Rはやり切ろうと思うと、やり切れてしまう時間です。5分だと切ったり、離れたりする時間が出てくる。そこで消耗させることもできるじゃないですか。

──松岡選手の立場だとそうですよね。

田嶋 5分あれば、展開も変わってきます。3分はずっとしがみついていることができますけど。一度、山を創れば時間までいきやすいです。

──仕切り直しがゴングなので、試合中に立って五分に戻されるわけでなく、気持ちも持続しそうです。そして仕切り直し後も同じ戦法でいくことも、迷わないでいけるのかと。

田嶋 まず組んで1分が使われ、一度離れてもすぐに組み直される。そうしたら、もうラウンドが終わってしまいます。あの中谷選手の戦法も。つまり向うの作戦が生きる。そこをしっかりと考えて、良い作戦を立ててきていたのだと思います。

松岡 でも、椋さんだったら逃げることができています。自分だから、アレを続けられてしまって。自分の実力不足です。

──田嶋選手は、この企画に参加されて何が生きたと振り返ることができますか。

田嶋 自分の試合が近づくなかで、試合をするのは松岡君なのですが、俺もケージのなかに入って自分のパンクラスでの試合をイメージしたりして。故意的にも俺も緊張してみたり、今週の日曜日の試合の雰囲気を味わうことができたのは良かったです(※取材は26日に行われた)。

──では格闘代理戦争出場を経て、松岡選手は今後どのようにMMAファイターとしてのキャリアを構築していこうと考えていますか。

松岡 自分は修斗の新人王トーナメント出場が決まっています。そこでしっかりと優勝をして、そこから修斗のトップになって日本のトップファイターの一員になっていきたいです。

──格闘代理戦争、決勝大会などワンマッチ出場のチャンスもあるかと。

松岡 ハイ、オファーを頂けるなら格闘代理戦争の方にも出るつもりです。修斗の新人王戦の日程も決まっていないですし、また格闘代理戦争の大会に出たいです。

──格闘代理戦争に出たことで他の修斗新人王戦出場選手よりも、確実に名前と顔を覚えてもらえたと思います。松岡選手のことを認識したファンに今後に向けての意気込みの方をお願いします。

松岡 自分は強くなるために格闘技を始めました。格闘技をやっている人やファンに「あいつは弱い」と思われたくないので、しっかり椋さんのように相手をなぎ倒して強いと思われる選手になります。

──押忍。ありがとうございます。続いて田嶋選手、パンクラスの次戦に向けて話を引き続き聞かせてください。

田嶋 ハイ!!

<この項、続く>


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45 MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase341 YouTube ボクシング ライカ 伊澤星花 太田忍 征矢貴 端貴代 重田ホノカ

【Pancrase341】フライ級QOP端貴代に挑戦、重田ホノカ「端さんは私のスピードについてこられない」

【写真】この選手は図太い神経の持ち主だと思っていたのですが、とことん練習をして自信をつけていることが分かりました(C)SHOJIRO KAMEIKE

31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE341にて、重田ホノカが端貴代の持つフライ級QOPのベルトに挑む。
Text by Shojiro Kameike

昨年プロデビューし、ここまで3連勝中の重田は、現在20歳。若さゆえのビッグマウスも聞かれるが、決して口だけではない実力を証明してきた。その自身の源は、パラエストラ千葉ネットワーク改めTHE BLACKBELT JAPANでの練習にある。重田が練習で大号泣する理由とは?

――現在は追い込み練習の最中とのことですが(※取材は3月21日に行われた)、タイトルマッチを控えているといえど、表情も気持ちもこれまでの3試合と変わらなそうですね。

「全然変わらないです(笑)。柔道時代から、大きな大会であっても特に気持ちは変わらないんですよ。気を張っていても勝つ時は勝つし、負ける時は負ける。逆に気持ちが乗っていなくても、勝つ時は勝つので。やっぱり試合は、どれだけ準備できているかが大きいと思います。しっかり準備して、あとは戦うだけっていう」

――ベルトに挑戦できることに対する嬉しさはないですか。

「特にないです! 『次はタイトルマッチです』、『やりま~す』みたいな感じで」

――ただ、フライ級1位のライカ選手を下した時に「次はタイトルマッチが組まれるだろう」という想定みたいなものは持っていたのではないでしょうか。

「いやぁ……勝つには勝ちましたけどフィニッシュできなくて、試合後は泣きながら牛丼を食べていました(苦笑)。『もっと大きく叩いておけば良かったんですかね?』とか」

――重田選手としてはフィニッシュできなかったとはいえ、1R終盤はストップしても良かったのではないかと思います。

「あれは私もよくないんですよ。もう1Rでフィニッシュできると思って連打したら、殴りすぎて疲れちゃったんです。両腕の前腕がパンパンになって、2R以降の動きにも少し影響してしまいましたね。

ああいうシーンでは殴り方も重要なんだなって思いました。たとえば少し殴って相手が少し動いて、また私が殴って――ということの繰り返しだと、1回1回リセットされてしまうじゃないですか」

――なるほど。レフェリーストップのタイミングがリセットされてしまうわけですね。

「はい。相手を完全に動けない状態にしてパウンドを落とし続ける、ということも必要なんだなって分かりました。それで殴り続けていたら腕がバンバンになって、2Rにバックを奪ってRNCを極めようと思っても腕が使えなかったんですよ」

――パウンドによるレフェリーストップに対しては、以前に荒東“怪獣キラー”英孝選手が「レフェリーが試合をストップする理由をつくる。効かせるというよりもパンチをまとめるほうが正しい」と仰っていました。

「あぁ、そうなんですね。良いことを聞きました(笑)」

――一方で、あの連打を受け続けても決して諦めないライカ選手の気持ちの強さも見えた試合ではありました。

「そうですか。試合中に相手のことを見ていなかったので……。私としては、まず1回目のテイクダウンで成功するとは思っていなかったんですよ。だけど倒すことができたから、『今日はいける!』と思ってしまって(苦笑)。手応えとしては、おそらくライカ選手は自分のスピードについてくることができない。さらに1Rでかなり削ったからだと思いますけど、2R以降は相手のパンチもスピードがなくなっていました。このパンチをもらっても効くことはないと判断して、あとはどこでフィニッシュするか――と考えていましたね」

――どの時点でフィニッシュするつもりだったのでしょうか。

「3Rです。最後に私がバックマウントから腕十字を狙ったじゃないですか。腕十字って逃げられると自分が下になるリスクもあるので、最後の最後まで躊躇してしまった部分はあるんです。バックも取っているし、このままキープしていても勝てるわけで。だから極めに行くのが終了間際になってしまいました」

――実際、重田選手が十字で腕を伸ばしたところで試合は終了しました。

「2Rもバックに回ってから、RNCか十字を狙っていたんですよ。でも1Rの展開から、私に時間を考える余裕が生まれちゃって。今、極めに行って失敗したら後半がキツくなるとか。ライカ選手はもともとボクシングの世界チャンピオンだから、スタンドに戻って一発を食らうと危ないですし。であれば、このまま寝かせておいたほうが良い。そう考えながら時計をチラチラ見ていて……。欲を言えばフィニッシュしたかったけど、勝つために安全パイを選んでしまったと思います」

――勝利のために安全パイを選ぶこともあると思います。特に挑戦者決定戦の意味合いを持つマッチメイクで、勝てばタイトル挑戦が待っているわけですから。もう一つはフィニッシュすることと、3R通じて相手に何もさせない――完全にドミネイトすることで、どちらが強さを感じさせるのか。

「確かに。3Rずっと立たせず、抑え込んで殴り続けるのも難しいですもんね」

――これはMMAという競技を考えるうえで、いつも意見が分かれるところです。ただ、ライカ選手をフルラウンド圧倒したことで、さらに重田選手の強さを見ることができたのも事実です。正直なところ「ここまでやれるのか……」と驚きました。

「ありがとうございます。体力には自信があるので(笑)」

――アハハハ。

「前回の試合も自分がコントロールし続けているので、息があがることはなかったです。試合が終わっても息は切れていなかったぐらいで。でも、それって見ているお客さんからすると……って考えることはあるんですよね。『まだ体力が残っているなら、もっと行けよ』と思われるかなって。実際、自分でもそう思われて仕方ない試合をしてしまったと思います。だから次のタイトルマッチは、余力を残さない試合をしたいです。フルラウンド、相手を潰しに行きますよ。でも5Rまでやるつもりはないですけどね」

――まだプロ3戦目でありながら、ライカ選手を圧倒できる試合ができた。そこにご自身の成長は感じますか。

「実感はないですけど、少しは成長できているのかなって思います。でも自信は全くないんですよ。昨日も練習で忍さん(太田忍)さんや御代川(敏志)さんにボコボコにされて、心も折れて半ベソになっていましたもん。『端さんにもボコボコにされて、私も心が折れてタップしてしまうのかな……』と考えてしまいましたから(苦笑)」

――……練習がトラウマになってしまうのではないですか。

「アハハハ。でも毎回、練習でボコボコにされることで『次の相手はここまで強くないだろう』と思えるんですよ。私はボコボコにされて強くなるタイプで。だからライカ選手のようなレベルの相手と対戦しても、気持ちの面で優位に立てるんじゃないかと思います。『端さんもウチの男子選手よりは強くない。強くない』と考えながら練習してきました」

――よほど練習でボコボコにされているのですね(笑)。

「女子MMAファイターって、まだまだ選手人口は多くないじゃないですか。だから男子選手と練習することはあっても、相手が受けてくれることが多いですよね。でも自分は、そんな練習は一切していないので。練習に対して甘えはない。その点だけは自信があります。端さんも男子選手に混ざって、甘えのない練習をしている方じゃないですか。私も同じか、それ以上だと思っていますから」

――確かに、端選手の練習に臨む姿勢は尊敬の対象にもなっています。

「ライカさんもそうですし端さんも、それだけの練習に取り組んできていることは本当に尊敬しています。あとは、今なら伊澤星花さんですかね」

――伊澤選手と練習したことはあるのですか。

「ないです。私は対戦する可能性がある選手とは練習しないので。でも伊澤さんと練習したことのある男子選手から聞くのは、とにかく巧いって。あとは強くなるために妥協がない。だけど、力は私のほうがあるって言われました」

――アハハハ。最後に自分を上げてきますね。

「それだけの練習をさせてもらっていると思うんです。たとえば月曜日の朝から、練習で征矢貴さんにギロチンを極められて大号泣したりとか」

――号泣するのですか。

「号泣ではなく、大号泣です(笑)。しかも一本目のスパーから極めてきますからね。翌日は忍さんと御代川さんにボコられ、また泣いて……。自分ほど試合前に泣かされている選手はいないと思っています。柔道時代から、相手が男だろうと誰だろうと練習でやられたら悔しい。打撃スパーでジャブを1回当てられただけで『絶対にブッ飛ばしてやる』と思うし、グラップリングで倒されたら『足にしがみついてでも極めてやる』っていう気持ちになりますよ。とにかく負けたくない、勝ちたいです」

――これまで端選手は、ジャブとグラウンドコントロールで相手を削り、勝利してきました。本人は謙遜から否定していますが、間違いなく相手の心を折ってきたファイターだと思います。重田選手はご自身が、これまで端選手が戦ってきた相手とは違うと言い切れますか。

「はい。そもそもテイクダウンされることはないし、端さんが私のスピード――特にスクランブルからの回転の速さには、ついてくることができないと思います」

――重田選手はストロー級でプロデビューしましたが、今回はフライ級のベルトに挑みます。前回のライカ戦もフライ級契約で、階級の違いなどは感じませんでしたか。

「私としては、フライ級よりもストロー級のほうが合っていると思います。でもフライ級でチャンスをもらった以上、ここで勝って改めて『ストロー級で戦いたい』と言いますよ。勝たないと自分に発言権はない。それがファイターだと思っているので」

■視聴方法(予定)
2024年3月31日(日)
午後1時00分~ U-NEXT 、PANCRASE YouTube メンバーシップ

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【Pancrase341】アトム級QOP王座獲り=沙弥子戦へ、SARAMI「恥ずかしくない自分でいたい」

【写真】格闘家はいつまでも格闘家を名乗り続けることができる──だからと、表題の言葉を話したSARAMI。グッとくる言葉です(C)TAKUMI NAKAMURA

31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE 341にて、アトム級クィーン・オブ・パンクラス王座決定トーナメント決勝としてSARAMIが沙弥子と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

2021年に修斗で女子世界スーパーアトム級のベルトを巻き、キャリア2本目のベルトを目指してアトム級クィーン・オブ・パンクラス王座決定トーナメントにエントリーしたSARAMI。

準決勝のジェニー・ファン戦は、ファンにやりたいことをやらせない試合運びで判定勝利を収めたが、そこにはメンタル面の充実や格闘技への取り組み方への変化があった。

沙弥子との決勝戦が決まり、記者会見の場では「格闘技との向き合い方や深みという点では、まだまだ私とは比べものにならない」という言葉も出たSARAMI。今回のインタビューでは試合への意気込みはもちろん、この発言の真意も訊いた。


──試合まで1週間を切っていますが、練習の状況はいかがですか。(※取材25日に行われた)

「昨日がスパーリングは最後で、あとはミット打ちをやってもらってという感じで調整します」

──今回はアトム級クィーン・オブ・パンクラス王座決定トーナメント決勝ということで、前回の準決勝のジェニー・ファン戦を振り返っていただけますか。

「結果的にジェニー・ファン選手が思ったよりも強くなかったのか、自分の方がちゃんと強かったのか…ですが、自分のやることをしっかり出せた試合だったと思っています」

──もっと苦戦する試合展開を想定していたのですか。

「ファン選手が凄い勢いで攻めて来て対応できないかなと思っていたし、あんなスピーディーにテイクダウンが取れるとは思っていなかったですね」

──ファン選手は3Rからアグレッシブに攻めて来ましたが、1・2Rは自分のペースで戦えているという手ごたえはありましたか。

「はい。3Rになってファン選手が出てきましたが、最初からあれをやらせなかったのは私だったと思うし、相手を(攻めに)来させなかったという部分で自分は成長したなと思います」

──SARAMI選手と対戦相手の相性や対策もしっかりハマったと思うのですけど、それ以外の部分でファン戦前に取り組んだことはあったのですか。

「メンタルトレーニングを始めました。始めて5カ月、月2回のペースなのですが、メントレの先生に『最近自信がないんです』というところから話をして、自分の頭の中を整理して…ですね。私って練習をすればするほど『今日も上手くいかなかったな』というメンタルになって、どんどん自信がなくなっていくんですよ」

──ダメな方ばっかりに目が行ってしまうのですか。

「そうです、そうです。できない自分・ダメな自分ばっかりを見ちゃっていて、ずっと自分に自信がなかったです。そこをもう少し自分ができたところを見てあげたり、自分のやるべきことにフォーカスして1つずつ積み重ねていくようになったら、ああいう試合ができました」

──試合直前のメンタルも今までとは違いましたか。

「緊張するのは一緒だし、プレッシャーもあったんですけど、とにかく自分がやるべきことをやらないと勝ちに繋がらないという意識で、ずっと練習からやっていて、それがしっかりできたのかなと思います」

──しかもそれで実際の試合でも相手の強いところをほぼ出させずに勝つことができたわけで、それもまた自信になりますよね。

「そうですね」

──自分ができなかったことではなく、自分ができたことに目を向ける。同じ練習をやっていても捉え方が変われば、今までとはガラリと変わりますよね。

「はい、変わりました。今までは北岡(悟)さんや川村(亮)さんに頼ったり、人に甘えていた部分があって、だいぶこの数年で変わってきたと思うんですけど、今回はちゃんと自分で作ろうと。1人になっても試合ができるように自立してやっていこうと思って、自分でこれがいいと思ったものを選ぶようになったんです」

──自分の意志でやりたいことが明確になったのですか。

「はい。そういうことをちゃんと自分で考えて作ってこられたのかなと思います」

──例えばSARAMI選手は周りからのアドバイスを聞きすぎてしまう部分もあったのでしょうか。

「そうかもしれないですね。自分ではこうしたいと思っていても、人の意見を聞くとブレるんですよ。でもそこを何とか自分で作れるようになったのかな…とは思います」

──改めてトーナメント決勝では沙弥子選手と対戦することになりました。組み合わせが決まった時、沙弥子選手が勝ち上がってくることは予想していましたか。

「してないですね。私は(V.V)Meiさんだと思っていました」

──沙弥子選手とMei選手の準決勝はスプリット判定の接戦でしたが、試合映像を見た感想はいかがですか。

「沙弥子選手は勢いがあるんだろうなと思います。このベルトを作ってほしいと言った張本人ですし、そうやって周りを自分の方に持っていく力とか、準決勝も微妙な判定だったかもしれないけど、そこを勝ち取るというのも沙弥子選手のパワーだと思います」

──確かに沙弥子選手はどちらに転ぶか分からないところを自分の方に持っていく勢いはあると思います。その相手にSARAMI選手はどのような試合をしたいですか。

「試合としては沙弥子選手が私とやって、やっぱりSARAMIは強かったなって思わせたい。勢いを持っている・持ってないは関係ないぐらい、私が圧倒したいというか。私がやるべきことをやれば自然にそうなると思っています」

──対戦相手もいますが、自分との勝負に勝つこと大事だと。

「試合になったら周りは関係ないですからね。ケージの中に入って戦うのは2人だし、それまでの勢いや周りの応援は関係ない。(1対1で)勝負しようよっていう感じです」

──記者会見では「格闘技との向き合い方や深みという点では、まだまだ私とは比べものにならない」というコメントもありました。そこも含めて自分が圧倒するという言葉につながるのでしょうか。

「そうですね。これは沙弥子選手に限らず、みんなもっと考えた方が良いですよね。競技に対してだったり、自分の形を持つことだったり。例えばさっきのメントレやムーブメントトレーニングは強い人はみんなやっているけど、そこまでやれてない人はたくさんいると思うんで。そういった意味で『比べものにならない』というのは、沙弥子選手に対してというよりは、その他大勢の選手に対して言ったことですね」

──それこそベルトが懸かった試合だったり、トップを目指していく選手になるためには、勢い以外のことも求められると思います。SARAMI選手もベルトという意味では2021年に修斗のベルトを巻いていますが、あの時と今を比較すると、SARAMI選手自身も周りのシチュエーションも違いますか。

「全然違いますね。やっぱりあの時はもっと自分がない状態で、みんなに甘えて、たまたまちょっと頑張ってベルトが獲れた、そんな感じだったんです。でも、今回は自分で勝ちを取りに行く感じなので、そこが違うかなというところと、修斗のベルトを失ってからRE-VIVEというジムに通うようになって、そこにはオリンピックに出るようなアスリートの人たちも通っているんですね。そういう選手たちと接していると本当にみんなしっかりしていて、競技への考え方が格闘技の選手とは違うんですよ。ある意味、格闘技はちょっと練習して頑張ればプロの試合に出ることが可能じゃないですか」

――純粋なファイトマネーだけで生活できている選手はごく一部だと思いますが、ファイトマネーが発生するという意味でのプロ選手は多いですし、ほかのスポーツと比較するとプロの位置づけは違うと思います。

「だから自分はプロ格闘家です、チャンピオンです、ベルトを持っていますと言った時にやっぱり恥ずかしくない姿でいたいし、本来はそこまでしないと生き残れない世界だと思うんですよ。でも格闘家はいつまでも格闘家を名乗っていられるものだから、そこで恥ずかしくない自分でいたいなと思うし、そう思うようになってから意識が変わりましたね」

──その意識で格闘技に取り組んでいるSARAMI選手がベルトを巻けば、新しい変わるきっかけにもなると思うのですが、自分自身への期待もありますか。

「そうですね。ただ勝った後のことはあんまり考えてなくて。引退も近いんだろうなとは正直思っているし、ベルトを獲ってまた世界が変わったらいいなと思います」

──安易にストイックという言葉はあまり使いたくないのですが、SARAMI選手はキャリアを重ねて『これぐらいでいいだろう』ではなくて『もっとできるだろう』と思って、それを実践しているわけじゃないですか。その部分でSARAMI選手に注目する方も多いと思います。

「どうなんですかね。でもデビューした時期で言ったら私と沙弥子選手は2~3年しか変わらないんですよ。年齢も同じだし。それで私が勝ったら『またSARAMIかよ』って思われないですか(苦笑)」

──勝負の世界なので、そうは思われないでしょう。

「キャリア的には私が上ではありますけど、沙弥子が新しい選手というか新世代みたいに思われているのは…ちょっとだけイライラします(笑)」

──今日は試合以外にも色々な話をありがとうございます。それではインタビューの最後に締めの一言をいただけますか。

「あぁ…私が一番苦手なやつですね(笑)。(しばらく考えて)楽しんで見てください! 以上です!」

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2024年3月31日(日)
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【Pancrase341】中田大貴と対戦、碧南在住シュウジ・ヤマウチ「日本で王者になるために帰ってきた」

【写真】取材が行われた2月26日は、まだ少しふっくらとしていた。通訳は碧南市に住むシュウジの叔母さんが務めてくれた。ありがとうございます(C)SHOJIRO KAMEIKE

31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE341にて、シュウジ・ヤマウチが中田大貴と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

ellatorで活躍するゴイチ・ヤマウチの従兄弟であるシュウジは、愛知県碧南市で生まれた。5歳の時にブラジルへ渡った後、柔術とキックボクシングを始め、MMAを戦うようになる。日本初戦となった2022年12月の雑賀ヤン坊達也戦では、TKO負けを喫したものの、序盤は組みで雑賀を苦しめている。そんなシュウジが名古屋市のALIVEで久米鷹介と練習しているという。なんとシュウジは日本で戦うために、碧南市に帰ってきていたのだった。


――今日はALIVEで久米選手との練習を取材させていただきました。ALIVEで練習し始めたのは、いつ頃でしょうか。

「初めてALIVEに来たのは去年の11月だったと思う。キッカケは名古屋の柔術大会会場で、叔父がスズキさん(鈴木陽一ALIVE社長)に声をかけたんだ。ベラトールにゴイチが出た時、同じ大会にカトウさん(加藤久輝)に出ていて、叔父もスズキさんのことも知っていたからね。その時にはもう僕が日本に来ることは決まっていて、叔父がスズキさんに『シュウジが日本に来たら、また挨拶しに伺います』と伝えたと聞いている。それがキッカケで、僕もALIVEで練習させてもらうようになったんだ」

クメサンハムニダと

――では久米鷹介選手と一緒に練習した感想を教えてください。

「すごく強い。打撃も、グラップリングも――とにかく強いんだ(笑)。最高の練習パートナーだよ。碧南市からALIVEまでは車で1時間以上かかる。特に夜は渋滞もあるから、もっと長いドライブになることもある。それだけ時間をかけてもALIVEに来て、クメさんと練習することには大きな価値があると思っている」

――日本にいる間は、生まれ育った碧南市に滞在しているのですか。

「いや、今は日本に住んでいるよ」

――えっ!? 雑賀選手と対戦した時は、ブラジルから来日していましたよね。

「去年の9月、日本に移住したんだ。日本でMMAの試合をすること、そしてチャンピオンになることが小さい頃からの夢であり、目標だった。まず2022年にパンクラスで、その夢を叶えるチャンスをもらうことができた。ただ、試合のたびにブラジルから来ると、プロモーター側にとっては航空チケットなど金銭面でネックになることは多いよね」

――はい。そのとおりですが……。

「僕は日系ブラジル人3世だ。5歳まで碧南市で育ち、今も日本に親戚が住んでいる。だから日本に移住して、親戚たちと生活しながら日本で戦うことを決めたんだよ。ブラジルでも試合のチャンスはあるだろう。でも僕は、どうしても日本で試合をしたかった。日本でMMAのチャンピオンになる――子供の頃に抱いた夢が、ずっと頭の中から離れなかった」

――では現在、日本でどのような生活を送っているのでしょうか。

「生まれ育った碧南市で親戚と一緒に暮らしている。仕事は碧南市の隣、西尾市にあるオガワジムでキックボクシングとMMAのインストラクター、コーチをしているよ」

――生まれ育った街で親戚の方と生活するので、ブラジルのご家族は安心でしょう。一方でブラジルのチームメイトからは、シュウジ選手が日本へ行くことについて残念がる声は聞かれませんでしたか。

「チームメイトたちも応援してくれている。みんな、僕の夢を知っていたからね。日本に住んでいたほうが試合も組まれやすいし、そのぶんチャンピオンに近づくことができることを理解してくれているよ。それとチームメイトは僕が日本で頑張ることを、自分たちの可能性の一つとして考えている。僕が日本でチャンピオンになれば、ブラジルの仲間たちも同じように日本で試合をすることができるかもしれない。そのためにも僕は日本で戦うんだ」

――もし雑賀選手に勝っていたら、ブラジル在住でも日本のMMA団体からオファーがあったと思いますか。あるいは、勝っていても日本に来ることになっていたでしょうか。

「前回の試合結果は関係ない。もともと日本でMMAを戦うという夢があったし、それはずっと変わらないからね。もしサイガに勝っていても日本に移住していたと思う。前回、日本の空港に降り立った瞬間に、子供の頃の夢が一気に蘇ってきたんだ。その時に僕は『絶対に日本でチャンピオンになる。そのためにまた日本に来る』と心に誓ったよ。

初めてPRIDEを見た時から今でも、僕の中ではずっと日本の格闘技が一番なんだ。それは自分が生まれた国だから――という以上に、僕の中で変わらない想いだ」

――なるほど。もともとシュウジ選手が柔術を始めたのは何歳の時なのですか。

「僕が10歳の時だった。柔術はクリチーバのアカデミア・アリーナで、フェルナンド・ヴィエイラから教わったんだ。もともと叔父たちがグレイシー・ファミリーやPRIDEの大ファンでね。彼らの影響で僕とゴイチも格闘技が好きになり、柔術をやってみたいと思うようになった。

綺麗なフォームの左ハイ

14歳になってキックボクシングも始めてから、K-1 MAXも視るようになったよ。

僕は魔裟斗のファンなんだ。彼のファイトスタイルが大好きで。魔裟斗だけでなく、当時のK-1 WORLD MAXに出ていたファイターのことは、みんな大好きだったね。素晴らしいファイターばかりで、彼らのテクニックをずっと視てきた」

――14歳の時からキックボクシングをやっていて、MMAよりもキックボクシングをやりたいという気持ちはなかったのですか。

「もともとMMAをやりたかったから、柔術だけじゃなくキックボクシングも学んだんだ。最初はキックボクシングと柔術を組み合わせたものがMMAだと思っていたからね(笑)。キックのキャリアはアマチュアを含めて28勝1敗で、最後の試合は2012年だったかな。もちろん勝っているよ」

――そのキャリアを知ると、日本のK-1やキックボクシング団体からもオファーが来るかもしれないですね。

「アハハハ。またキックボクシングの試合もやってみたいね」

――では前回の雑賀戦の内容と結果について、今はどう捉えていますか。

「あの試合はサイガが勝った。彼が勝利のチャンスを掴んだ。それだけだよ」

――何か敗因は……。

「自分はもっと良い試合ができたと思う。彼はライト級で、僕は本来フェザー級で――いや、この話はやめよう(苦笑)」

――階級差、体格差は敗因の一つだと思いますか。

「まぁ、負けは負けだよ。敗者が言えるのは、勝者への『おめでとう』だけさ」

――素晴らしい言葉です。雑賀戦については、これ以上は聞かないことにします。ただ、今回はフェザー級戦であり、シュウジ選手にとってはフェザー級がベストということですね。

「自分としてはフェザー級が最適な階級だと思っている。だけど前回はライト級での試合だったことを負けた理由にはしたくない。僕はライト級での試合オファーを受け、しっかりと練習した末に負けたんだからね」

――むしろフェザー級のシュウジ選手がライト級1位であった雑賀選手を、あそこまで追い詰めただけに本来の階級での試合が楽しみです。

「おぉ、ありがとう。次の対戦相手はランキング6位だ。一つひとつ勝って、チャンピオンになるよ」

――その中田選手について、ファイターとしての印象を教えてください。

「良い選手だね。でも試合を視てみると、自分のほうが上だと感じている。トップからでも、ボトムになっても自分のほうが強い。とにかく良い試合になることは間違いないよ。そして僕は、いずれ必ず日本でチャンピオンになる」

――ではシュウジ選手にとって、MMAを戦ううえで最終的なゴールは何なのでしょうか。パンクラスでチャンピオンになった後は……。

「う~ん、これは言っていいのかな?」

――ぜひとも、言いたいことは言ってください。

「パンクラスのチャンピオンになり、そのベルトを持ってRIZINに出たい。そしてRIZINのチャンピオンにもなりたいんだ」

――今なぜ、RIZINの名前を出すことを躊躇したのでしょうか。

「今回はパンクラスで戦うわけだから、そこで他のプロモーションの名前を出すのも……ね。だけど一番は――先のことばかりを考えていると、目の前にある次の試合にも勝つことはできない。まずはナカダに勝ち、一つひとつステップを踏んで、ゆくゆくは日本でチャンピオンになる。僕は、そのために日本に帰ってきたんだ」

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【Pancrase341】SARAMIとアトム級QOPの座を賭けて対戦。沙弥子「王者に相応しい人間かを証明する」

【写真】車で移動中にZOOM取材に応じてくれた。多謝です(C)TAKUMI NAKAMURA

31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE341にて、アトム級クィーン・オブ・パンクラス王座決定トーナメント決勝として沙弥子がSARAMIと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

トーナメント準決勝ではV.V.Meiをスプリット判定で下した沙弥子。Meiの組技に苦戦したことを修正しつつ「今あの試合に自分の気持ちを置いても意味がない」とSARAMIとの王座戦に備えてきた。

沙弥子はMei、SARAMIというキャリアで勝る選手たちを倒すことに価値を見出し、パンクラスのベルトを狙う。


――準決勝のV.V Mei戦はスプリット判定という結果でした。あの試合を振り返ってもらえますか。

「もっとMei選手を組んだり投げたりできると思ったんですけど、予想以上に力の配分が上手かったり、タックルに入るテンポやタイミング、倒されてからの速さが予想以上だったので、対処が追い付かない部分があったんです。

バックを取られたときもセコンドの勝村(周一朗)さんから、私は逃げるのがそこまで上手くないので『無理に暴れても意味がない。殴って隙ができたら回れ』と言われていて、そこは冷静に指示通りにやれたかなと。自分の良い点と悪い点が分かった試合だったと思います」

――バックを取られた状態で後ろのMei選手を殴る場面が多かったですが、Mei選手の方が優れているであろうスクランブルの攻防を仕掛けるより、殴って嫌がらせして逃げるという判断だったのですね。

「そうですね。しっかり首を対処して殴れる時に殴って逃げるタイミングを待とうということでした」

――ただしバックキープされる時間が長く、ポイント的に不安になることはなかったですか。

「2Rが終わった時点のオープンスコアでポイントが割れていましたし、勝村さんに『ポイントをとられていますよね?』と聞いたら『そうだね』という意見で。3R、勝つためには攻める以外なかったので、相手を見ないで前に出るしかないと思っていました」

――勝つために自分が出来ることをやろう、と。

「あとは自分に恥ずかしくない試合をしたかったです。私はずっとMei選手とやりたくて、いざ試合でMei選手を怖がったり、前に行けない試合をするなら、倒されてもいいから自分に恥ずかしくない試合をしたい一心でした」

――判定を待っているときの心境は?

「試合が終わったときも周りに『すいません、負けました』と言って、私自身も負けたと思っていました。だから判定勝ちを告げられた時、あの会場で一番びっくりしては私だったと思います」

――SNS上でも判定に対して色々な意見が出ていました。

「色々と言われて、しばらくは落ち込みました(苦笑)。すっきりした勝ちではなかったので。でもジムのみんなが勝ちは勝ちだからと言ってくれたので、そこで立ち直ることができました」

――準決勝をクリアしたことはどう捉えていますか。

「みんなが納得する試合ではなかったので心残りがあると言えばあります。でも今あの試合に自分の気持ちを置いても意味がないと思っているので、あの試合は過去の試合、過去の自分として、今はSARAMI戦に集中しています」

――そのSARAMI戦に向けて、どのようなことを意識して練習してきましたか。

「SARAMI選手も組みが強くて、前回の試合では組みの対処が遅かったので、そこを意識しています。あとは動きのテンポが遅くならないように、自分の流れを自分で作ることができるように練習しています」

――SARAMI選手はMei選手と同様にキャリア豊富で上手さを持っている選手です。

「練習させてもらったこともあるし、力の入れどころ・抜きどころがすごく上手い選手だし、固める力や腰の力もあって、要所要所格闘家として必要な力を持っている選手だなと思いました。試合の流れを創る、ペースの配分、力の使い方…色んな経験をして勝つことの難しさを知っている選手なので、勝ちに徹することができる。変なギャンブルはしない、安定している選手だと思います。だからそこを自分がどう崩すかがキーポイントだと思います」

――動じないSARAMI選手をどう崩すか、ですか。

「Mei選手とやってもそうだったのですが経験豊富な選手は本当に動じないので。その場で自分ができることをやろうと思うし、逆にビクともしないならこっちからやってやろうじゃんって」

――トーナメントの勝ち上がりを見ると、準決勝でMei選手、決勝でSARAMI選手とキャリアが上の選手と対戦することになって、まさに沙弥子選手がチャンピオンに相応しいかどうかが試される相手との試合が続きますね。

「まさしくその通りですね。Mei選手に勝つこと、SARAMI選手に勝つことは本当に大事なことだと思います。見ている人たちもどれだけ2人が強いかを知っているし、2人に勝つことにどれだけ価値があるかも分かっている。私がチャンピオンに相応しい人間かを証明するためにも、パンクラスのベルトが似合うためにもあの人に勝つことが一番だと思います」

――決勝戦を前にしてベルトへの想いを聞かせてください。

「前回はベルトを意識しすぎたかなと思います。今回は勝てばベルトが手に入る試合ですが、そこを考えると空回りすることが多いので、ベルトのことは一旦置いておいて、シンプルにSARAMI選手に勝ちたい気持ちで戦って、その先にベルトがある・みんなにチャンピオンとして認めてもらいたいと思います」

――沙弥子選手にとっては一発勝負のタイトルマッチや王座決定戦ではなく、トーナメントでベルトを目指すことが大きいようですね。

「はい。ベルトまで2試合あることでベルトへの想いが強くなっていますし、経験を積む、厳しい道を進む……それも含めてこのメンバーのトーナメントでよかったと思います。ベルトを獲れば自分のビジョンも明確になるので、それを有言実行することを考えて日々過ごしています」

――最後にファンの皆さんに向けてメッセ―ジをいただけますか。

「パンクラスのベルトを取って皆さんと大喜びしたいです」

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【Pancrase341】雑賀ヤン坊達也の挑戦を受けるアキラ「そんなに格闘IQが高くないので苦労しています」

【写真】IQが高くないという自覚があるから、アキラは努力して勝てる。なんでも自覚がない人の方が大変(C)TAKUMI NAKAMURA

31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE341にて、ライト級キング・オブ・パンクラシストのアキラが雑賀ヤン坊達也を挑戦者に迎えて防衛戦を行う。
Text by Takumi Nakamura

昨年7月の超RIZIN02でトフィック・ムサエフに敗れて以来、約9カ月ぶりの試合でホームリングと言えるパンクラスで防衛戦に臨むアキラ。豪快・豪傑というイメージのアキラだが、ムサエフ戦の反省を踏まえてより細部にこだわる練習を続けてきた。王座防衛、そしてライト級で戦うことへのこだわりについてアキラに訊いた。


――2023年7月のトフィック・ムサエフ戦以来の試合が決まりました。ムサエフ戦後はどのように過ごされていたのですか。

「壮絶に倒されたので、石渡(伸太郎)さんから『脳のダメージを抜くように』と言われて、しばらく激しい練習は控えていました。それで少しずつ練習を再開していきました」

――改めてムサエフ戦を振り返っていただけますか。

「あそこで世界トップの実力を体感したというのはすごい大きな経験だったと思います。試合そのものは2R1分ぐらいでKOされて、結構やられていたと思うんですけど、作戦通りにいった部分・自分の中で結構手応えを感じた部分もあって。僕のパンチがムサエフ選手に当たってちょっと嫌な顔をして、そこから攻めづらそうになったり。パンチを効かせるまではいけなかったですけど、本当にいい経験になりました」

――試合前は後手に回らないところを意識していたのですか。

「そうですね。後手に回らない、引かないというのは決めていました」

――具体的に手応えになったところ、足りないと思ったところはどこですか。

「まずムサエフ選手の打ち合い…というか、打ち合う前の体の使い方だったりとかスピードだったりを意識していて。ムサエフ選手は組みも強いじゃないですか。僕とやったあとの武田光司戦を見ても、武田選手は組めなくて打撃をやらざるをえないみたいな感じで削れちゃっていて。そこは石渡さんの分析で分かっていたんで、あの時は組むという選択肢がなく、打ち合いの方が勝機あると思っていました。実際、倒される直前に僕の右フックがムサエフ選手の顎先をかすめているんですよ。あのパンチは僕の変なクセが出てしまって、あと一歩届かなかったんですけど」

――完全に圧倒されたという敗戦ではなかった、と。

「そうですね。ムサエフ選手が圧倒的な化け物だという感じもなかったですし、1人の人間として戦えるなと思いました」

――あのときは大会の約3週間前に決まった一戦でしたが、キャリア的にそろそろ海外の強豪と戦いたいという考えもあったのでしょうか。

「僕も年齢を重ねてきて、残りのキャリアも長くはないですからね。だからもう本当にチャンス、上に行くチャンスがあればどんどん貪欲にいきたかったので、舞い込んできたチャンス=ムサエフ戦をやろうと思いました」

――あの試合以降はどんなことを意識して練習していますか。

「ガンガン激しいスパーを積むだけじゃなく、悪いところを修正する・伸ばすところは伸ばす。そういう練習ですね」

――今は実践的な練習よりも技術練習の比重の方が多いのですか。

「スパーリングはそこまでガンガンやってなくて週1~2回、他は打ち込み練習・ドリル練習を繰り返していて、それと並行してフィジカルや心肺機能を上げる練習もやっています。ただ……ドリル練習は頭が疲れるので苦手です(苦笑)」

――アキラ選手の試合を見ていて、打ち合いや前に出る強みをどう生かすか、その展開をどう長くするか。そこがもっと上に行くために必要な部分だと思っていたんですよ。

「なるほど、なるほど。結局、格闘技って距離なんですよ」

――おおっ!格闘技は距離!

「………じゃないですか(笑)?」

――なんで急に自信がなくなっているんですか(笑)。MMAは他の格闘技と比べてやることが多いもので、選手によっていろいろな解釈ができる。そこでアキラ選手から“距離”という言葉が出たことが興味深いなと思いました。

「試合はお互いに立った状態で、その距離確認から始まるじゃないですか。そういう意味でも距離は大事ですよね」

――それは昔から意識していたのか、それとも今の練習環境の中で意識するようになったのか。どちらですか。

「昔はそこまで距離や位置取りは気にしてなかったです。それこそデビュー当初は打撃も距離も分からないから、とにかくフィジカルで相手を制圧したいと思っていて、とりあえず近づいて殴る・組んで倒す、みたいな(笑)。実際それが自分にとっては一番の安全策だったんです」

――リスクを負って前に出るのではなく、前に出ることで結果的に勝ちに近づくわけですね。

「はい、僕はライト級でもパワーある方だったので、一旦組んじゃえば組み伏せることが出来たし、修斗時代はリング&ロープだったので、とにかくロープまで押し込む。昔の僕って相手をロープに押し込んでいるイメージですよね?」

――ゴング&ダッシュ!という印象でした。でもそれが相手のレベルも上がっていくうちに少しずつ変わってきたわけですよね。

「そうですね。ただ距離を詰めるだけでは技術的に足りなくなるので、色んな人に教わりながら技術を覚えて。石渡さんに練習を見てもらうようになってから、さらにちゃんと格闘技を教わっている感覚ですね」

――石渡さんの指導はすんなりと入ってきたのですか。

「自分はフィジカルでなんとかしてきたタイプで、そんなに格闘IQが高くないので苦労しています(苦笑)。他の選手のように石渡さんに言われたことをパッと理解して体現することができないので、僕が理解しやすいように、石渡さんがより細かくかみ砕いて伝えてくれて。さっきの話に戻るんですけど、自分でも距離や位置取りは細かく気にしているし、試合中に石渡さんからも細かく指示されます」

――対戦相手の対策とは違う部分で、自分で勝ちパターンがより明確になっていますか。

「そうですね。それにハマったら誰にでも勝てるみたいな感じはしています」

――さて今大会では雑賀ヤン坊選手と対戦します。どのような印象を持っていますか。

「前は組み付かれたら背中をすぐついて負けちゃうイメージでしたけど、12月の粕谷(優介)戦を見ると、自分から(ポジションを)返したり投げにいったり、簡単に背中をつかなくなりましたよね。ちゃんとMMAとして強くなっていると思うので、僕も気合いを入れてやろうと思います。ただヤン坊選手の得意なパターンは分かっているので、しっかり対策を立てて試合を迎える予定です」

――2021年10月以降はRIZINとパンクラスで試合を続けていて、昨年4月にはライト級キング・オブ・パンクラスの統一戦にも勝利しました。パンクラスで戦うことにはどんな想いがありますか。

「やっぱ自分がのし上がってきた、勝ち上がってきた団体なので特別な想いはあります。しかも自分とヤン坊選手の試合はRIZINで組まれてもおかしくない試合だと思うし、そういう試合をパンクラスのメインで出来るというのは僕としてもうれしいし、皆さんに楽しんでいただけるように盛り上げたいですね」

――パンクラス王座の防衛戦であると同時に、日本人ライバルとの試合ということで勝てば前進・負ければ後退というシビアな一戦でもあります。

「僕はちょいちょいライト級日本人No.1は俺だ!と言っているので、そういう意味でも同じ日本人には負けたくないです」

――ライト級は他の階級に比べると日本人は少ない・外国人選手が強い階級ですが、直近のRIZINでも堀江圭功選手や中村K太郎選手がライト級に階級を合わせてきて、選手の駒も揃ってきた印象があります。今のライト級の状況はどう見ていますか。

「少しずつ盛り上がってきているなと思いますね。ちょっと前は海外選手が目立っている感じでしたが、日本人も充実してきたので、これからライト級を盛り上げたいです」

――アキラ選手はライト級で戦うことにこだわりはありますか。

「ありますね。一度フェザー級に下げた時は絶不調だったし。あとは五味(隆典)さんがやった階級でもあるし、ライト級が黄金の階級という意識もあるので、そこでしっかり自分の実力を示したいと思います」

――ライト級で戦う以上は、体のサイズの違う外国人選手にどう勝っていくかも大きなテーマになります。

「ライト級で自分よりも小さい選手は見たことがないので、そこで頑張っている姿も見せていけたらと思います」

――アキラ選手にとっての次戦=再起戦は内容結果を含めて重要になると思います。どのような試合を見せたいですか。

「ヤン坊選手は本当に強い相手なんですけど、そこは『自分が日本人ライト級No.1だ!』と言えるような試合をしたいです。あとはチャンピオンとして、迎え撃とうという感じじゃないですけど、しっかり潰してやろうかなと。これがチャンピオンの強さだぞというものを見せてやります」

――ではこの試合も含め、今後はどのような目標・展望を持って戦っていきたいと思っていますか。

「まずはしっかり目の前のヤン坊選手を倒してベルトを防衛して、また強い外国人と戦っていきたいです。体の小さな僕でもライト級の外国人とやり合えて勝てるところを見せたいです」

――それでは最後にファンのみなさんに向けてメッセージをいただけますか。

「ヤン坊選手も本当に強いので、早く終わるにしろ5分5Rフルにいくにしろ、すごくいい試合を見せられると思います。その上で僕がチャンピオンとしての強さを見せつけますので、皆さんぜひ楽しみにしていてください」

■視聴方法(予定)
2024年3月31日(日)
午後1時00分~ U-NEXT 、PANCRASE YouTube メンバーシップ

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【Pancrase342】ストロー級暫定王座戦。リトル×黒澤亮平「勝ったら正規王者」&4年9カ月振りの砂辺光久

【写真】元修斗世界王者で2位の黒澤と、4位のリトルでは暫定王座という現実に抱く想いは違ってくるか(C)MMAPLANET

21日(木)、東京都新宿区の新宿サンエービルでPancrase342の記者会見と調印式が行われた。
Text by Manabu Takashima

粕谷優介、久米鷹介、KARENの会見での模様に続き、4月29日(月・祝)に立川市の太刀川ステージガーデンで開催される同大会で暫定ストロー級王座決定戦を戦う黒澤亮平×リトルの会見冒頭での挨拶と、MMAPLANETの質問への返答をお伝えしたい。

山北渓人が返上して王者不在のストロー級で組まれた暫定タイトルマッチ。この暫定という部分でリトルと黒澤の間では捉え方がしっかりと違っていた。


リトル
「もともと自分も修斗に出ていて、兄弟子の石渡伸太郎選手を追いかけてパンクラスに出始めて。ついにここまで来たなっていうのもあるのですが、やっぱり僕は見ている人を常に楽しませたい。喜ばせたいというのがあるので、暫定タイトルマッチになるとより多くの人が見てくださると思います。1人でも多くの人を全力で楽しませることができればな、と思います」

黒澤亮平
「ベルトを獲りにパンクラスに来たので。この暫定タイトルマッチが決まるまで色々とありましたけど、純粋にタイトルマッチが決まって嬉しいなと思っています」

──現在空位のタイトルが正規王座決定戦でなく、暫定で争われることをどのように捉えていますか。

リトル 正直、そこに関しては不満とかは全くなくて。本当にこの試合を用意してくれたことを有難いと思って、全力でやるだけです。

黒澤 僕は不満があります。それは……1位が腑抜けなんで仕方ないんですけど、だからこそリトル選手と暫定タイトルマッチが決まったことは嬉しいと思っています。僕のなかで、この試合に勝った方が正規王者で次に防衛するなら、防衛戦という勝手な気持ちではあります。

なお記者会見で列席はなかったが、他に7試合の本戦が明らかとなっており、ライト級でKTT所属のホン・ソンチャン×松岡嵩志と対戦も決まった。昨年のRoad to UFC出場も準決勝で敗れたホン・ソンチャンは、2月にEternal MMAで計量失敗のウェズ・ギャッパーに敗れ3月のGLADIATOR025での暫定王座決定戦出場の機会を逸していた。捲土重来、3連敗は許されない状況でのパンクラス初陣となる。

さらに元ストロー級KOP砂辺光久が、2019年7月以来のパンクラス参戦となる。2022年7月のRIZIN36での敗北から1年9カ月振りの実戦復帰となる砂辺は前田浩平と対戦する。この間にパンクラス王は44歳になっており、滑り込みのパンクラス30周年記念大会シリーズ出場に対し、どのような気持ちで臨むのか──気になるところだ。

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