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Interview ONE Road to ONE03 ブログ 北野雄司

【Special】WithコロナのJ-MMA─02─ABEMA北野雄司Pに訊く<後編>「一致団結して陳情に行くことも」

【写真】4月17日、5月31日とABEMA中継大会のスタッフは経験を積んできたが、手綱を緩めることは許されない (C)MMAPLANET

COVID19のパンデミック、地球はニューノーマルの時代を迎えた。日本でも4月と5月の緊急事態宣言を経て、6月から経済活動が再開も、事態が終息することはない。

MMA界はかつてない状況のなかを生き抜く努力をしている。MMAPLANETでは各MMA大会の新型コロナウィルス感染に関しての現状とこれからを尋ねた。

いち早くコロナと共生路線を打ち出し、ゾーニングを取り入れたABEMA格闘ch北野雄司プロデューサー・インタビュー後編。会場内に潜む感染リスク対策を話してもらった。

<北野雄司インタビューPart.01はコチラから>


──リスト化は感染が起こってしまった時、考えたくないですがクラスター化することを避けるために必要なことですね。

「ハイ。今回の大会の規模で言うと、リスト化は現実的な範囲かと思っています。とにかくあの規模の会場で、どこまでゾーニングを徹底できるかですね」

──6試合という数も、ゾーニングを考えてという部分があるのでしょうか。

「ゾーニングに関しては試合数よりも、会場の広さを一番考えています。Jリーグの方と話していると、Jリーグではスタジムという大きさがあるので、控室と外部をつなぐ入り口はこちらに1つ、このゾーンには入り口は2つで、そこに受付を用意すると中に入る人を管理できます──という感じなんです。

中継スタッフはグラウンドの端にいて、選手とは接触がない。中継車は駐車場に停めているという風です」

──それは格闘技イベントとはかなり違ってきますね。

「実は横浜のぴあアリーナMMさんとは10月のRISEで初めてご一緒させてもらうのですが、ドアを開けるとすぐに会場があって、天井も高くシンプルな構造の建物なんです。コロナウィルス感染予防を考えると良いホールかと思いました。

8月1日のプロ修斗後楽園ホール大会もメディアにおいてはゾーニングが行われ、PRC検査で陰性の結果を得た記者お呼びカメラマンのみがケージのあるフロア階、試合後の選手のインタビューが許可された

狭くてもそうだし、広すぎても動線が引くのが大変です。だからこそ、10日は気を引き締めてかからないといけないです。そのためにもリスクポイントの洗い出しが必要かと思っています。

例えばゾーンを分けていても、トイレの数が少ないので、AとBグループの人は、トイレは客入りの前に済ませるだとか。トイレの入り口に注意喚起するモノを置いておく必要もあります。手指消毒と防護マスクをすることで感染のリスクは相当抑えられるとも言われていますし、人と人との間での感染予防として有効だという前提もあります。

人と人が接触しない。触れたモノは全て消毒をする。数時間という限られた時間であるなら、かなり徹底できるのではないかと思っています。催し物としては、どんどん試合が続く方が良いのですが、試合と試合の合間に消毒をする。この間、ABEMAで視聴される方にはその間も視てもらう映像は用意しますが、会場で観られているファンの方には間延びするように感じられるかもしれません」

──そこは格闘技ファンですから、許容してくれるかと思います。とにかく会場での接触という部分なのですね。大切になってくることは。

「極端なことをいえば、出場選手は朝起きて会場に来て、試合をして家に戻り眠るまで、10人しか会わなかった。うち8人はPCR検査を受けている。そんな風に振り返る1日を提供しなければならないです。

もちろんPCR検査を受けた後に最善の注意を皆にしてもらうことも前提になっています。実は上手く提携できるホテルがないか探したりもしています」

──むしろ、そこまでトライをされていたのですね。

「PCR検査を受けてからホテルに隔離して、他の誰とも接触しない。そうできるのが理想ですから」

──それこそイベントによって、バジェッドの多少はあっても、それぞれができる限りベストを尽くすことが大切になってきます。

「最初はPCR検査を受けることが大事だったのが、もう抗体検査も当たり前になってきています。PCR検査が普通にできるようになれば良いですね。

ただし、今ある団体が全て活動を続けられることを考えると、それこそ今回のグループでいえばAやBに該当する人たちが極めて安価にPCR検査を受けられるようになる必要があります。そんな環境を創るためには、皆が一致団結して陳情に行くことも必要になって来るかと思います」

──米国ではUFCやBellatorだけでなくLFAやTitan FCにも大企業といってよい病院グループが検査体制をフォローしています。

「そこに関しては、ABEMAは普段から医療関係者と仕事をしているわけではないです。ただし、PCR検査を受けるために検査会社と技術会社との橋渡しを青木ファミリーの鬼澤信之(医療法人あんず会杏クリニック)理事長が取り持ってくれました。

格闘技大会に関係する人達のことを自分事のように考えていただき、団体に大きな負担がかからない費用でPCR検査を受けられることになったというのもあります。UFCやBellatorとは違いますが、僕たちにも鬼澤先生のバックアップがあり、今回のコネクションを築くことができました。

Road to ONEは青木選手がプロデュースしているようなモノだと僕が発言するのは、こういう青木ファミリーのサポートがあってのことなんです。青木さんがいることで、その周囲の方が協力してくださるからできていることがあります」

──やはり、そのようなことがあってRoad to ONEという試合の場が存在しているのであれば、『こんな時に試合を組んでいただいて』という感謝の言葉を選手は口にしてしまいますね。

「そのような想いは、試合に込めて欲しいです。いつも通りの厳しさをもって試合に向かって欲しいと思っています。そういう覚悟で戦ってもらえると、感謝の言葉は必要ないと考えています。僕らもやるべきことをやっているので、選手たちは試合が終われば──次のストーリーに向かって疾走してほしいです」

■Road to ONE03対戦カード

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
江藤公洋(日本)

<ストロー級(※61.2キロ)/5分3R>
猿田洋祐(日本)
内藤のび太(日本)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
手塚裕之(日本)
グンター・カルンダ(コンゴ民主共和国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
今成正和(日本)
根津優太(日本)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
朝陽PKセンチャイムエタイジム(日本)
KING強介(日本)

<キックボクシング・ストロー級/3分3R>
有井渚海(日本)
黒田直也(日本)

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ABEMA Interview J-CAGE Special ブログ 北野雄司

【Special】WithコロナのJ-MMA─02─ABEMA北野雄司Pに訊く「共有する場所、時間をできるだけ減らす」

【写真】現状の検査では感染を起こる。よってゾーニングで予防対策をこうじるABEME中継大会だ(C)MMAPLANET

COVID19のパンデミック、地球はニューノーマルの時代を迎えた。日本でも4月と5月の緊急事態宣言を経て、6月から経済活動が再開も、事態が終息することはない。

MMA界はかつてない状況のなかを生き抜く努力をしている。MMAPLANETでは各MMA大会の新型コロナウィルス感染に関しての現状とこれからを尋ねた。

2人目は緊急事態宣言下、4月17日にRoad to ONE02、5月31日にプロ修斗公式戦が会場非公開のABEMAテレビマッチを中継し、いち早くコロナと共生路線を打ち出していてABEMA格闘ch北野雄司プロデューサーの話を訊いた。


──無観客ライブ中継大会しか行われなかった4月と5月を経て、限定ながら客入れをした格闘技イベントの再開から2カ月。4月17日以来となるRoad to ONEが開催されます。新型コロナウィルスは存在し、そのなかで経済活動が再開された。そこが4月とは違うのですが、本質的にワクチンも薬もないかでイベントを行うことは変わらないです。

「ハイ。そうですね。これまでお客さんが会場にいるイベントはKrushやRISE、修斗の生中継で関わらせていただきました。今からすると4月にROAD TO ONE02があったことが、もの凄く昔のように感じます。あの時と比較すると、K-1もRIZINもイベントを開いていますし、海外の格闘団体でも続々と活動を再開していることもあり、色々な実例を学べています。

それと我々と同じサイバーエージェントグループのNOAHとDDTというプロレスの大会にも関わらせていただいたことで、より経験を積むことができたと思います。今は何よりプロ野球とJリーグが観客を動員して行っている。そして4000人から5000人というファンが会場に足を運んでいます。同じような規模でイベントを開く人、もっと大規模にそして頻繁にやっている人がいます。そういう人達からも学びがあります」

──「こんな時に〇〇を」という言葉を口にするアスリートはいますが、プロ野球は毎日のように行われ、世界中からスポーツの結果が届くようになった。4月とはまるで違うんだという感覚があります。

「そうですね。だから今でも選手は試合があると、『こんな時に試合を組んでいただいて』という風に感謝の言葉を口にします。ですが、僕はもうその言葉は言わなくても良いんじゃないかと感じています。久しぶりに自分がリングやケージに立つと、自然にそう感じるのかもしれないですが……」

──もう、これは普通だと。そんななか大きな規模のイベントから学べるという言葉がありましたが、具体的な事例があったのでしょうか。

「もともとJリーグの方たちが、5月に実施した修斗の無観客大会を視察しにくださいました。そういう縁もあり、今では私たちより経験を重ねているJリーグの方とは色々と話しをさせていただいていますし、Zoomで報告会のようなこともしています」

──Jリーグの学びなどもいかし、今回の大会の予防対策はどのようなことを行われますか。

「ONEの名前をお借りして行う大会ですし、海外ではUFCもそうしているように、PCR検査を複数回行って、選手や関係者が陰性状態にあることを証明し続けてイベントを開こうと思います。現状の有効な陰性証明の手段というのがPCRしかないので、PCR検査を重ねて行っていきます。この記事が出る頃には2回目が終了したところじゃないかと思います。

ここまで私たちも格闘技やプロレス団体のPCR検査を延べ600件ぐらいやってきましたが、陽性だった人はゼロなんです。そういう意味で格闘技やプロレス業界の人たちの健康管理に対して信頼はあります。ですが、それが安全の裏付けとは言い切れません。

どれだけ検査をしても直後から感染のリスクは生まれます。だからこそ、次のフェーズとしてやるべきことは会場の中でのゾーン分け、ゾーニングです」

──動線を引くということですね。

「ハイ。PCR検査を極力多くの人が受けたうえで、ゾーンを分け、選手やスタッフを守る。会場をいくつかのエリアに分けて、グループ同士が接触する接点を可能な限り少なくしようと思っています。ゾーニングは、Jリーグや海外サッカーリーグがやっていることを参考にさせていただいています」

──選手とセコンド、それぞれのスタッフ、メディア、観客が会場にいます。

「まずグループを4つに分け、その中でゾーニングを行います。例えば選手や中継の出演者など、ケージサイドにいる人たちをAグループとします。Aグループの人たちは、大会前に1回から2回のPCR検査を受け、陰性の可能性が極めて高い人しか入れないゾーンを用意し、そのゾーンの中だけを移動ができるようにします。

続いてBグループですが、このグループは運営の中核メンバーなどがあたります。このメンバーには少なくとも1回はPCR検査を受けてもらいますが、それでもAグループとの接触は限られた数名が行い、感染リスクを高めないようにします。

そして、Cグループは技術スタッフなどです。このグループは「複数回のPCR検査を受けること」を必須としませんが、AグループやBグループと接触できる場所にはそもそも行きません。仕事をする場所や時間帯が異なるので、一切接点を持たないということです。

なお、取材を行う方々でも、PCR検査を受けていただいた方はBグループとなり、ケージサイドでの撮影や試合後の選手インタビュー等を、ソーシャルディスタンスを十分に取ったうえで行っていただきます。

そうでない方々は申し訳ないですが──Cグループとなり、選手とは対面しない形で試合をチェックしていただきます。

滞在する空間・場所、それと時間軸という面でゾーニングをしていきたいんです。他のグループが同じ場所を使うとしても、使う時間が違っていれば、両者が使用していない間にそこを消毒すれば、感染確率を下げられます。

最後に、観客とその対応をするスタッフというDグループがいて、AからDまでゾーニングをして、グループごとの人たちがそれぞれ接触しないようにします」

──それぞれがどれぐらいの人数になりそうですか。

「今回で言うと、AグループとBグループは20人規模ですが、Cグループになると数が増えます。その人数が全員PCR検査を受けると、興行全体の収支を脅かすことになります。だからCグループの全員を検査することは難しく、Cグループのなかにも限られた少数のメンバーだけ、Bグループとやりとりをすれば仕事が遂行できるようにします。

例えば僕自身はBグループに当たりますが、Cグループの人とは同じ会場にいてすれ違うことこそあれ、濃厚接触することはない、というような感じです」

──そうすると仮にCグループに感染者がいても、ゾーニングを徹底することで、その他のグループの皆さんに感染するリスクは相当に抑えることができるということですね。

「ハイ、僕らもお客さんとは一切接点がないようにしていきたいです。地上階に選手や演者さんの控室を設け、ケージサイドにいる人達がいる。2階の踊り場に中継など、技術さんたちがいて、その間の行き来する数を絞ることで感染リスクを下げていきたいです。

あとは申し訳ないですが、搬入作業をしてくださる人は、搬出の時間まで会場でないところで待機していただくなど。共有する場所、時間をできるだけ減らす、そして消毒を行うことでさらに感染リスクを減らせるかと思っています。

ただし以上のようなことを徹底して行っても、会場も大きくないですし感染が起こる可能性は常にあります。なので、これまで通りイベントに参加する方をリスト化して、万が一、が起こった時の追跡調査ができる体制を整えます」

<この項、続く>

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ABEMA Interview Special ブログ 北野雄司

【Special】ABEMA北野雄司に訊く、withコロナの格闘技─02─「PCR検査の実施を視野に」

【写真】客入れした大会も再開される。会場使用時間、キャパは3月以前とはらない。さらなる工夫と細心の予防策が必要になる格闘技イベント&中継だ (C)MMAPLANET

非常事態宣言下のRoad to ONE02、非常事態宣言解除後のプロ修斗公式戦を経て、MMAイベントの開催と中継は次のステップに進むなか、フェーズ02に向けて話を訊いたABEMA格闘ch北野雄司プロデューサー・インタビュー第2弾。

ゾーニングという動線という要素が加わる格闘技イベント、無観客からソーシャルディスタンスを取ったうえでファンの観戦も可能になっていくなか、さらなる感染対策とは。またグラップリング中継の可能性を尋ねた。

<北野雄司インタビューPart.01はコチラから>


──ゾーニングと動線、ここをしっかりと確立できれば交わらない分だけ人員は割けることができそうです。

「理想をいえば、大会の会場に行って生中継をしてきたけど、3人にしか会っていません……というようなことができれば良いですね。さすがにそこまでの実現は難しいかもしれないですが、『ABEMA』で生中継や配信を行う団体とは、しっかり安全対策を行ったうえで観客を動員した大会を開けるようにしていきたいです」

──UFCではケージ内でのインタビューがない。視聴者レベルでいえば、そういう変化が見られますが、取材する側からするとセミ、メイン出場の選手は会場で会見が行われ、それ以外の選手はバーチャルで質疑応答が行われている状態です。

「5月31日の修斗の大会では、岡田遼選手がソーシャルディスタンスをとってメディアの質問を受けているのを見て、やはり勝手知ったる人達の前だからこそ、見せることができる表情があるなと思いました」

──今、言うべきではないかもしれないですが、生の声が聞きたくなるモノです。

「記者の皆さまのお気持ちもわかります。だからゾーニングや時間割を取り入れていくことで、よりリスクを減らしていきたいと思います。そして抗体検査やPCR検査の実施を視野にいれるべきかと思います。

実際、僕宛てに受託検査会社を紹介していただいたりもしています。一定人数のPCR検査を受託検査会社に請け負ってもらえるようでしたら、『高島さん、取材で会場に行くうえで心配であれば、PCR検査を受けてもらうことも可能ですよ』と言えるようにもなります」

──会場を訪れる人間として、自分が感染するのも、感染していたとして人に感染させるリスクも下げたいと思っています。検査が行われると選手やセコンド、スタッフとそれこそ会場にいく人が、その時点で感染しているリスクはかなり下げることができます。

「それが理想です。国内ではUFCのように1週間に2度も3度も受けることはコストの関係で難しいですが、PCR検査や抗体検査を参加選手、セコンドが受けられるようにしていくのが理想です」

──ゾーニング&時間割、そしてPCR検査という二重の予防ですね。

「はい、ゾーニング&時間割で接触する人の数を減らす努力をする一方で、選手やその関係者、朝から晩まで会場にいるスタッフが検査をクリアしている状態でその場にいる。この2つが掛け合わせることができれば、感染はかなり防ぐことができるようになるのではないかと考えています」

──PCRの検査費用が大会開催のコストに加わるのも、この時代だと。

「抗体検査だと、より現実的なりますね。検査は受ける人数が多くなるとコストも下げることができると思いますし。選手はPCR検査、スタッフたちは抗体検査という段階の踏み方もあるかと思っています。

海外の先進的なスポーツも参考しながら、これからの感染予防策を考えていきたいですね」

──経済活動再開はコロナ終息では決してない。格闘技を伝える立場としては、感染予防対策という安全管理の透明性と、基準が格闘技界に存在してほしいというのはあります。特に観客を集めるようになってくると。

「僕の立場で言えることは、『ABEMA』が放送・配信を行っている団体さんに関しては、プロレスも格闘技も感染予防対策は同じ基準で行っています。『ABEMA』印ではないですが、『ABEMA』が行っている対策が団体の信頼感に繋がればと思います。

お客さまに観てもらえる大会になってからも、一緒に考えて最善を尽くしてやっていきたいです。そういう言葉を、胸を張って言えるだけのことをしていかなければならないです。それに格闘技の規模だから、推進しやすいというのはありますしね」

──実際、ファンに観客席を開放した時に屋内型スタジアムの4万席もある状況で、関係各所を「ABEMA」印の格闘技イベントと同じ頻度で消毒できるのか甚だ疑問です。

「現状の格闘技会場の規模感では、可能だというのはあります。だからこそ、これから大会実施会場の規模感が変わっていくと、ここで話してきたゾーニングは一つの在り方だと思っています」

──自粛が解かれてから動き出すのと、その前に考え出していたことで、その部分でノウハウの蓄積は確実にあるかと。

「今年はインフルエンザにかかった人の数がとても少ないそうです。それは皆がマスクをして、手洗いをこまめにしたからと聞きました。現在の世の中にはそういう習慣が根付いた下地がありますし、今後は誰もが対策を考えて行動していく。だから、『コロナと生きていく』ということすら、ことさら言葉にする必要はないぐらいになっていければ良いですね。

そういう世の中で、スポーツの中継をする際に対策費がもとから費用に組み込まれているのも当然になっているわけですし。当たり前になったと考えないと、大会関係者みんなが精神的に削られてしまいます。

この間にやってきたことで、覚醒というか、成長したスタッフがいました。ノウハウの蓄積もあって、この2カ月間で逞しくなっている人間とか(笑)。そういうスタッフが実際にいることは、やはり励みになります。ことの重大さを知り、それを当然と思えることで前進できている実感はあります。

前に進み始めることで、人間は成長しています。そういうスタッフは大会前も大会後も、イベント開催中と同じ配慮ができますから、そこを大会に関わる人達の共通意識としたいですね」

──それがこれからの標準になると。

「はい。結果、ここで一緒にやっているメンバーは大会期間中以外でも、しっかりと対策できる人間になっているはずです。これからはそういう意識がある人と仕事がしたいと思われる社会になっていくでしょうね。そのような考え方にアップデートされた時代になったということだと考えています」

──ところで、4月、5月の『ABEMA』テレビマッチで行った修斗公式戦では、3試合のグラップリングマッチが組まれました。これは専門メディアとすれば画期的で、グラップリングの伝播への一歩となる可能性があったと感じています。

「僕は自分が柔術の練習をしていないので、SNSで柔術系の方たちをフォローしている数は少なかったんです。それが修斗の大会の時に改めてリサーチをすると、岩本健汰選手と世羅智茂選手の試合への前評判の良さに驚きました。

競技としての柔術は広まりつつあると伺っていましたが、Quintetのような大会があることも驚きでした。でも、今回の件でグラップリングに興味を持つ層がしっかりと存在することが感じられました。

最近、コンテンツは掛け合わせになってきたと思います。そんな時流を受け、『ABEMA』のテレビマッチでは、柔術やグラップリングという単体ではなく、修斗の大会の中にグラップリングの試合を掛け合わせることができました。

それは単にグラップリングの試合を修斗の大会に組み込んだというわけではなく、『Road to ONE:2nd』で世羅選手とグラップリングの試合を行ったMMAの青木真也選手が岩本選手を世羅選手の対戦相手として推薦するという掛け合わせがあったわけです」

──柔術、グラップリングサイドから見れば、柔術、グラップリングの試合があれば良いですがMMAやキックを楽しんでいるファンに、グラップリングを見せるには掛け合わせが必要になってくると。

「はい。岩本選手対世羅選手の試合は良かった。だから次は柔術コミュニティで名前のある選手同士をただ組むというのでは、これまでと変わりなく、グラップリングや柔術が広まるということにはならないかと思います」

<この項、続く>

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ABEMA Interview Special ブログ 北野雄司

【Special】ABEMA北野雄司に訊く、withコロナの格闘技─01─「欧州サッカーリーグの開催マニュアルを」

【写真】経済活動再開は決して新型コロナウィルス感染への警戒を怠ってはならない──それは格闘技イベントの開催でもいえることだ(C)MMAPLANET

新型コロナウィルス感染拡大は世界中に多大な影響を与え、日常を一変させた。日本の格闘技界でも3月からイベントの中止及び延期が相次ぐなか、4月17日にRoad to ONE02、5月31日にプロ修斗公式戦が会場非公開のABEMAテレビマッチとして行われた。

そして今──緊急事態宣言の解除と、経済活動の再開とともに格闘技界も動き始めた。withコロナの時代の格闘技界はフェーズ01からフェーズ02を迎えたといえる。

そんななかフェーズ01を経験したことで、これからの格闘技イベント及び中継はどのような方向へ向かっていくのか。この間の日本の格闘技を支えたといっても過言でないABEMA格闘chの北野雄司プロデューサーにフェーズ02に向けて、話しを訊いた。


──4月17日のRoad to ONE02、5月31日のプロ修斗。2つのABEMAテレビマッチを終え、ウィズ・コロナの格闘技大会及び中継もフェーズ01から、世の中の流れに沿いフェーズ02を迎えようとしています。そのなかで5月31日の修斗は、4月17日と比較して、どのような点に進歩を感じられましたか。

「4月と5月だと社会の新型コロナウィルスを巡る情勢が違っていました。5月は感染症拡大防止対策がステップ2になる直前で、新型コロナウィルスの感染予防に対する人々の知識が違っていました。

イベントに参加する人々の感染防止に対する知識量が4月とは比較にならないほど多くなっていたので、感染防止に関するお願いをすると、そこを正しく受け止めることができるようになっていました。そういう部分では4月よりも5月はモノゴトを進めやすかったです」

──それも4月があってこそですが、その4月大会はイベント開催に関しては当日の中止もあるのではないかと危惧していました。ライブ中継を行ったことに対して、何かネガティブな反応はありましたか。

「4月にあの大会をやることも、代表取締役社長の藤田(晋)に会議で報告しオーソライズ(承認)を得て行ったことですし、社内的には何もなかったです。ただし、社外からは様々な形で質問をいただくことはありました。

あの時は世論の合意や方向性が形成される前に中継するという部分で、5月よりも理解を得る大変さはありました」

──つまりは誰もがしなかった時に、踏み出したことになります。もちろん、賛成の声ばかりではなかったですが、とある修斗の選手に話を聞くと『あそこまで大会を開くために、多くの人が覚悟をもって臨んでいた。そのことを知ってから、自分も人として役に立ちたい。期待に応えたいと迷いを払拭できた』と言っていました。

「そう言ってもらえると、素直に嬉しいです。ただ、もう色々なことがあり過ぎて、若干記憶がボンヤリしてきています(笑)。

ただし、やって良かったという意見が多くなると、自分のチームであっても気の緩みが感じられました。だから、改めて注意喚起をすることにしました。時間が経ったり世間が柔らかくなると、携わる人の意識も、ある程度緩みますから。

でも、感染者が出ると多くの人に迷惑が掛かるし、色々な人に心配をかけることになります。やはり引き続き、1人も出してはいけないということを肝に銘じ続ける必要があります。それもあって過去に放送してきた大会を振り返り、アレがあったから今がある……というほど自己評価できないです。明日、1カ月後……と先々の心配をずっとしていないといけないですから」

──ライブで格闘技大会を中継する。感染はそこからスタートでない。いつ、どこで、誰が感染しているのかは分からないという現実に実は変化はありません。経済活動を再開したとしても。

「4月、5月、そして今も変わらないのは、会場に到着する前にご家族や限られた人としか会っていなくても、既に感染している可能性があるということです。だから僕たちに防ぎようがないことは起こりえます。

感染が起こった時のことを考えて、その前後の行動を把握するのは当然として、スタッフも極力重症化リスクの低い若い人員を手配していました。あわせて『業務経験よりも、感染予防への意識が高いスタッフを優先する』という指示をしていました。高齢者と同居している人は配置せず、真面目に予防対策をできるスタッフでやってきたという自負はありますね」

──スタッフの意識を高めると同時に、選手サイドも同様に現状をより理解する必要もあるかと2大会を終えて感じました。

「修斗でも『試合が終わった選手からどんどん帰宅する』というガイドラインを選手達に伝えていても、残って試合を見ているチームがありました。坂本(一弘サステイン代表)さんが、帰宅をするように伝えに行ってくださいましたけど」

──この2大会を経て、今後はどのようなスケジュールを組んでいくことになりそうですか。

「もともと修斗は7月に大会を開催予定で、その際は中継もするつもりなので、ぜひともサポートしたいです。またONEチャンピオンシップも再開すれば、渡航制限解除後スタッフを現場に派遣する必要も出てくるかもしれないです。

勿論、かねてからお世話になっているK-1さん、RISEさん、パンクラスさんほか、既に活動していますが……グループ内のプロレス団体であるNOAHさんやDDTさんと中継を創っていくことになります」

──安全対策は完全、満点がないといえますが、今後どのような部分でさらに力をいれていくべきだと考えていますか。

「今の時点で努力していることは、2つあります。世界のメジャーサッカー・シーンでは、ドイツのブンデスリーガが一番最初に活動再開をしましたよね」

──ハイ。無観客でTV中継を行っています。

「欧州のサッカーリーグの開催マニュアルが、大変厳しいというのをどこかの記事で読み、早速その規定書を入手して日本語訳を作成しました。

ぎっしり字で埋められた資料で、過去14日に発熱があったかなど基本的な確認はもちろん、ドアハンドルやリフトボタンを手で触れないでヒジを使う、……消毒剤は乾いた手にこすりつける必要があり、その後は水で洗ってはいけない……等とても細かい点まで指示されているんです。スタッフの間に立てるアクリルボードに関しても、しっかりと記載されていました」

──先日の修斗中継でも使われていましたね。いやぁ、でもそんな資料まで訳されているとは驚きです。

「興味深かったのが、ゾーニングが徹底されているということです。マスコミと選手たちは一切会わない動線になっていました。

修斗でも選手とメディアのゾーンは完全に分けていたのですが、そこは徹底できていなかったです。選手たちがメディアのゾーンに来ていましたからね」

──それは私も試合後の選手に取材をしているので、猛省すべき点です……。

「今後はもっと人の出入りが増えていく傾向にあるので、そこは守っていただくように団体と相談していきたいです。特にそのマニュアルではゾーンと時間帯が決められていて、どの時間帯に誰がどのゾーンにいたのか分かるようになっています。

スタジアム内、スタンド部分、スタジアムの外とゾーンを分けていて、それぞれのソーンに時間帯も記入されており、そこにいる人数も決められています。中継スタッフの上限まで規定されています」

──それは凄いですね。

「これは無観客が前提ですが、それでも感染は有りうることとして、そうなった場合に接触した人を迅速に割り出し、そこからの二次感染を抑えるための手段を講じています。

何時から何時まで、誰がどのゾーンにいたのかをハッキリさせて、ゾーンが違う人々との接触を避けています。今後の収録イベントに関しては、このゾーニングを考えています。先日、修斗の会場をとあるスポーツ・リーグの方が視察されていたのですが、『私たちはここまでできていない』とおっしゃっていただけました。

サッカーの大型アリーナに比べれば、格闘技の会場は構造が単純で比較的動線の工夫がしやすくなっています。あわせてスタッフの意識、対応レベルをさらに育て、欧州のサッカーリーグと同じような対応・準備ができるようにならなければいけないと思っています」

<この項、続く>

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Interview J-CAGE ONE Road to ONE02 ブログ 北野雄司 未分類

【Road to ONE02 & Fight & Life】Keep Fighting。北野ABEMA格闘CHプロデューサーに訊く、中継する理由

Kitano【写真】取材は15日、午後12時半。普段なら人で溢れているアベマタワー11階の食堂は閑散としていた。BYRON BAY COFFEEも休業中でコンビニのみオープンという状況だった (C)MMAPLANET

今月23日(木)に発売されるFight & Life誌では『Keep Fighting─格闘技は続く─』という特集が組まれている。

MMA、グラップリング、キックから那須川天心、堀口恭司、RENA、青木真也、岩本健汰、チャトリ・シットヨートン、弥益ドミネーター聡志らが新型コロナウィルス感染拡大、主要都市の非常事態宣言下で如何に格闘技と生きていくのかを語る特集のなかで、ABEMA格闘チャンネルの北野雄司プロデューサーがこの1カ月半と今、コロナウィルスが存在し続けるかもしれない将来においての格闘技中継についての取材も行われた。

ここでは17日(金)に開催されるRoad to ONE02でのコロナウィルス対策や、この大会を開く理由の一つを話す氏の言葉を抜粋してお伝えしたい。

sponsored by ABEMAという言葉が見られる大会に関して、「今でも悩むけど……1人じゃないというのを感じています。僕も今は在宅勤務で誰とも会っていないけど、同じ想いの人はいる」という言葉が思わず発せられるなか、北野氏が示した今大会を中継の意味とは。


──『会場を専門業者により1日複数回の消毒を実施、サーモグラフィー・体温計のよる検温、うがい、アルコール消毒を徹底し、3密の状況を極力避け、大会関係者にはマスク着用を義務付ける』などコロナウィルス感染予防策が主催者からリリースで伝えられ、メディアも会場で取材ができないことが通達されました。

「ハイ、この大会に関係する多くの人と意見を出し合って感染者を出さない、万が一出た場合はクラスターを起こさない。感染者が出た場合は、その経路がハッキリわかるという対策を最大限、実行委員会の皆様と考えてきました。

感染者を出さない努力をする一方で、万が一出た場合の対応も想定しないといけないですからね」

──リリースでは言及されていない対策もあるということですね。

「まだ大会までの時間があるので、その時の状況に合わせて変更点も出てくるかと思いますが、まず初歩的な部分としてスタッフ、アスリート、セコンド、全ての人をリスト化して、大会後2週間の後追い健康チェックを行います。

それと今回は急遽会場が変更となったことを受け、会場すぐ近くにある大会議室を借り切り、さらに稼働していないシティホテルを何部屋か借りてソーシャルディスタンスが一定程度確保された選手の控室に当てています。その部屋や会場も消毒作業を徹底します。

スタッフは朝から晩まで会場や控室の隅々まで消毒をすることになっています。実はこの消毒を無料でやってくれるという業者さんが現れて。その方は格闘技界に関わっていた人で、『少しでも格闘技に恩返しをしたい』と言ってくれたんです。

でも実行委員の坂本(一弘)さんが、無償でやってもらうわけにはいかないと。そのような想いや熱量がシンクロするできごとがあって……。正直なところ、それぞれのご家族の気持ちを考えると『なぜ、うちの人間がそこにいる必要があるの』という考え方をもつご家庭もあるはずです。

僕自身、ウチの会社が主催するイベントじゃない。でも、そういうグッとくることがいくつも出てきたんです。現場に入ると、役割や立場などの分け隔てはなく……我が事として予防対策をやらないといけないという気持ちになりました」

──万全を期しても、万全にならない。でも万全に向けての対策ということですね。

「ソーシャルディスタンスをキープすることも当然で、参加選手には地方からくる選手もいますが、公共交通機関を使う時間を減らす、もしくは完全に無くしたいと考えています。

そのなかで決まったのは選手、セコンド、ドクター、スタッフ……関係する人全員は家から会場までドア・トゥ・ドア──車で来てもらうこと。地方の選手は新幹線の駅からになりますが、ここは徹底をお願いしています。

自家用車で来る人はパーキングの負担、そうでない選手は行き帰りをタクシー移動にしてもらい、駐車場代やタクシー代は主催者サイドが支払う。理想をいえば会場に来る人間は朝起きて、夜眠るまで会った人が指折り数えられるような状態にしたいです」

──当日に関しては、接触者の数を減らすよう徹底するということですか。

スタッフは試着も終えている。中継陣はここに手袋をしてそなえることとなる

スタッフは試着も終えている。中継陣はここに手袋をしてそなえることとなる

「距離が近くなるような作業が必要になるスタッフには、使い捨ての防護服を購入しているので、それを着用してもらう予定です。これまで格闘技で汗が飛び散っている写真は良い写真とされていましたが、現状はカメラマンさんにとってはリスクなのかもしれないですし。

スタッフの機材も会場に運び入れるまでの期間に消毒をする。この作業は既に始まっていますし、中継が終わった後もやることになると思います」

──そこまでして、「なぜやるのか?」ということは格闘技界内外から挙がると思います。

「これから日本の格闘技界はお客さんが試合を会場で見られるのは、いつになるのか現状見えていないです。

お客さんが会場にこられるようになっても、それは私たちの社会生活が『コロナとともにある状態』になっている可能性だってあります。インフルエンザ、ノロウィルスと同じように練習仲間、家族から伝染る、当然のように病院に行き投薬を受ける……そんな当たり前にコロナのある世界になるかもしれない。そのような世界が来る時のイベント開催、中継フォーマットは、プロモーター……団体さんだけでなく、私たちメディアも確立する必要があると考えています。

お客さんが会場で格闘技を見られるようになるまで、格闘技は無観客大会が続く可能性もある。その判断を団体がしたときに、僕らとしては『このような対策をしているので、中継が可能です』と応えられるフォーマットを提示できるようならなければならないです。

医学的に新型コロナが解明されていくまで、僕らは何が有効なのか、本来は必要ないかもしれないことまで試さないといけない。今はその時期で、これからのwithコロナの時代を迎えるための準備……そんな時代がこないことを想いながらも、そうなってしまう社会を想定した安全な中継体制の準備は必要になる。それも今、やるべきことでもあると考えます。

そのフォーマットは格闘技に限らず、無観客で中継されるスポーツ番組の未来に通じるかもしれない。出場選手やスタッフからすると、17日には『こんなことしないと大会は開けないのか』という想いも出てくるだろうし、当日になって初めて分かることも出てくるはずです。

そんなことを可能にできるのが、今回のメンバーの繋がりだと僕は考えています」

■Road to ONE02対戦カード

<グラップリング・ライト級(※77.1キロ)/10分1R>
青木真也(日本)
世羅智茂(日本)

<ムエタイ72.5キロ契約/3分3R>
緑川創(日本)
西川大和(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
祖根寿麻(日本)
後藤丈治(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
工藤諒司(日本)
椿飛鳥(日本)

<グラップリング・フェザー級(※70.3キロ)/10分1R>
宮田和幸(日本)
田中路教(日本)

<ムエタイ・ストロー級(※56.7キロ)/3分3R>
HIROYUKI(日本)
ポン・ピットジム(タイ)