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【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。ロメロ✖ブリーデン「質量が上回っていても」

【写真】なぜ質量が高く、破壊力のある攻撃を持つブリーデンは敗れてしまったのか(C)Zuffa/UFC

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑氏とともに見てみたい。

武術的観点に立って見た──DWTNCS S04 Ep04におけるアンソニー・ロメロ✖マイク・ブリーデンとは?!


強力な武器を持っていても使えていない

──アンソニー・ロメロ✖マイク・ブリーデンのコンテンダーシリーズの一戦ですが、どのような印象を持たれましたか。

「いやぁ、2人も良い選手じゃないですか!! そして質量が高いのは基本的には負けたブリーデンでした」

──そうなのですか?

「ハイ、そこに関しては完全にブリーデンです──足を蹴られて負けてしまいましたが。そしてアグレッシブなのがロメロでした。切れでロメロという感じで、足を効かせて。ブリーデンは質量が高くて、間も自分のモノになるのに、ヒットアンドアウェイで台無しにしてしまっています。パンチも重いのにあの戦い方をするということは、自信がないのですかね。それと、右足前の左のパンチと左ミドルが良かったです。ただし、そこもずっと使わない」

──サウスポーでの左の攻撃が良かったということですね。最初はオーソで、カーフを効かされて変えた構えの方が威力があった。でも、またオーソに戻した。

「その通りです。時折り、サウスポーに構えた時の左のパンチも蹴りも凄く重いです。2Rにブリーデンがテイクダウンされ、立ち上がり際にロメロがハイキックを狙ったシーンがあったじゃないですか」

──ハイ、MMAとして間断のない素晴らしい攻撃に思いました。

「ただ、あの後の展開でブリーデンがチョイと出したヒザ蹴り、その場で本当にチョコンと出したヒザなのですが、アレが効くということは質量が高いということなんです。ただし、そこを生かしきれていない。

しかし、コンテンダーシリーズの試合は最近のUFCの大物選手の試合より、良い試合が多いですね。このUFCと契約していない選手たちは、本当に良い戦いをしている。しかも、この試合で勝ったロメロはUFCと契約できなかったのだから……もう、驚きですよ。

だから、どこに理想を持っていくかですね。3Rにブリーデンは必死になってパンチを振るっていった。なぜ、それを1Rと2Rにしなかったのか。スタミナに自信がなかったのですかね。それぐらいしか、考えられないですね──あれだけの攻撃力があるのに。体もボチャっとしていて。

対してロメロは精悍で、好戦的でしたね。横蹴りができるような、そういう蹴りは使っていないですけど、使える構えで。オーソ同士の時のは、このロメロの左足を斜にした構えだと中心がズレるのでブリーデンは見えていなかったかと思います」

──ロメロの構えのせいで?

「ハイ。見えなかった。サウスポーに構えると見えるけど、それを続けない。対して、ブリーデンが見えてない状況でロメロは際の蹴り、離れ際とかの攻撃が凄く良かったです。繰り返しますが、これでUFCと契約できないとは……。もう、何をか言わんや。そこは私が言えることはないのですが……。

ただし日本で、ダナ・ホワイトが目の前で試合を見ていて『今日、良いところを見せた選手は契約するぞ』なんていう状況があったら、日本の選手だってやりますよ。それはやります。ただし、そういう戦い方を外国人とすると日本人が勝つのは難しいでしょうが」

──話をロメロ✖ブリーデンに戻しますと、それだけ質量が高く、重いパンチを持っているブリーデンですが、カーフを効かされてしまいました。

「あのカーフで効かされていましたが、ロメロは続けなかったですよね。蹴った本人も痛めていないでしょうか。自分も相当に痛めるような蹴りになっていたように思いました。それとブリーデンは、結局のところ単発なんですよね。ずっとリズムも1・2、1・2で……よっこいしょ、よっこいしょって感じで。あれだと当たらないですね。だから、先ほどもいったように、どこを理想を置いて戦っているのかということなんです。

質量が高くても、その概念がないですし、ヒットアンドアウェイで下がってしまうから、間もロメロになってしまいます。ロメロは間が自分にくると、常に攻撃ができていました。それは多少殴られようが攻撃するという勝気なところであり、そういう選手と戦うと質量が高くても攻められることが多くなり、見た目も悪くなります」

──質量が高くても、蹴られてしまう。自分の攻撃で間を創ることはできないのですか。

「質量の上下というのは、立ち会うと必ず生じます。そこを起点にモノゴトを考えることは今のMMA界や格闘技界にはないです。だから、判定も質量の上下と勝敗が一致するものではないです。何より質量が上回っていても勝つ方向に戦略を練らないと、強力な武器を持っていても使えていないことになります。コンテンダーシリーズまで来て、武器がなかったり、能力のいない人はいないでしょうが、ちゃんと武器を使えないのは勿体ないです。ブリーデンもそういうことになるのですが、それはブリーデンには相当な伸びしろが残されているということになります」

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DWTNCS S04 Ep04 Report UFC アンソニー・ロメロ ブログ マイク・ブリーデン

【DWTNCS S04 Ep04】ヘッドムーブで防御、対角線コンビからTD。淀むことなく流れるMMAでロメロ快勝

<ライト級/5分3R>
アンソニー・ロメロ(カナダ)
Def.3-0:30-26.30-27.29-28
マイク・ブリーデン(米国)

ブリーデンのローをかわし、自ら右ローを蹴ったロメロ。右を伸ばし、右ミドルを入れたブリーデンに対し、ロメロは左インサイドローを蹴っていく。ワンツー&ミドル、テイクダウンのフェイクを見せたブリーデンが右オーバーハンドを伸ばし、バックステップでかわしたロメロは前に出てワンツーへ。

ロメロの右ローで体が流れたブリーデンが左ハイ。ロメロは右ローから左ハイを狙う。互いにカーフを蹴り、ブリーデンの左フックがロメロの顔面を捕える。ジャブの差し合いから右を狙ったブリーデンに対し、ロメロも左ミドルを決める。さらにロメロがワンツーを決め、右カーフから跳びヒザを繰り出す。これは胸にしか届かず、ブリーデンが左ミドルを決める。互いにフェイントを交え、頭をしっかりと動かすという高度なキックボクシングMMAを展開した。

2R、右アッパーを入れたロメロに対し、ブリーデンが初めてクリンチへ。すぐに離れたブリーデンは逆に右を被弾し、ダブルレッグで尻もちをつかさせる。立ちあがった直後に右ハイを狙ったロメロは、切れ目のない攻撃を仕掛ける。さらにロメロは左ジャブから右カーフを蹴り、ブリーデンは構えを変える。ロメロは右アッパーを決め、ブリーデンの右カーフに左ジャブを合わせる。

ジャブの精度でも上回るロメロがスピニングバックフィストへ。ブリーデンは組んでケージに押し込むが、滑ってテイクダンは奪えない。と、離れたロメロはジャブを見せた直後にニータップ気味にテイクダウンを決め、バックへ。ブリーデンもすぐに反応してスクランブルから離れて、右ヒザに続き左フックを思い切り打ち込む。しかし、直後にブリーデンはサウスポーに構え、左足を引きずる仕草を見せた。

最終回、サウスポーのままのブリーデンが組みながら右を振るう。ロメロは右ミドルを入れ、右フックに組みつくや離れ際に左フックを当てる。非常に完成度の高いロメロは攻撃を散らしつつ、右カーフを効かせ下がったブリーデンにパンチの連打、さらに前足となった右足にローを連続で入れる。

ブリーデンもここで下がらず、前に出る意志を見せ続けフックを振るっていく。ボディを纏めたブリーデン、ロメロは回るようになりクリンチへ。離れた両者、互いに右ジャブを当て、ロメロのダブルレッグは切られる。ジャブを当て、左フックで圧力を高めるブリーデンに対し、ロメロはケージの前を移動するようになる。それでも右ミドルを2発入れたロメロは右フックを被弾し、ヒザ蹴りをキャッチする。

すぐに足を抜いたブリーデンの圧力が高まるが、右足にカーフを蹴られ体がよれる。組みを選択したブリーデンは、離れたロメロのカーフで大きく体が崩れる。直後に跳びヒザからテイクダウンに持ち込んだロメロがトップを取った状態で試合終了を迎えた。

キャリア8勝0敗としたロメロは「家族、ガールフレンド、コーチに本当に感謝している。テイクダウンにいったのはコーチの指示があったから。タフな状況でよく分かってくれている。ブリーデンはスーパータフだった」と話し、カナダ人として2人目のコンテンダーシリーズからのステップアップを果たせるようアピールした。